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岐阜県内の野外水域における初記録が論文に掲載 「第3の外来種」観賞魚メダカの初記録

2022.08.01

岐阜県内の野外水域に放流された観賞魚メダカの記録が、研究成果として「伊豆沼・内沼研究報告Vol.16 (2022)」にて公開(2022年7月31日付 URL:https://doi.org/10.20745/izu.16.0_63)および論文掲載されました。

近年、キンギョやニシキゴイ、ヒメダカといった人工改良品種に関して、野外への放流による在来生物への悪影響が懸念されており、このような人工改良品種を「第3の外来種」と呼称することも提唱されています。

本研究では、岐阜県美濃市において採集されたメダカ類の形態的特徴を観察したところ、一部の個体は、鑑賞メダカとして人気の高い幹之(みゆき)メダカと特定されました。このような近年よく流通している鑑賞魚メダカの野外での確認は、岐阜県では初めてとなります。本研究の成果は、「伊豆沼・内沼研究報告 Vol.16 (2022)」に掲載されました。

 

今回確認された観賞魚メダカは、人為的に放流されたものと考えられ、在来種であるミナミメダカと交雑してしまうおそれがあります。「観賞魚の安易な放流は厳に慎まなければならい」という認識を高める上で、重要な論文です。

論文タイトル 「岐阜県の野外水域における体外光メダカ(幹之メダカ)などの観賞魚メダカの標本にもとづく初記録」
著者 堀江真子(世界淡水魚園水族館)
伊藤玄(龍谷大学生物多様性科学研究センター、岐阜大学教育学部)
雑誌名 伊豆沼・内沼研究報告 Vo.16(2022)p.61- p.70
(URL:https://doi.org/10.20745/izu.16.0_63)

伊豆沼・内沼研究報告とは
宮城県にあるラムサール条約登録湿地、伊豆沼・内沼を中心とした平野部の湿地に関する調査研究の成果を掲載し, 日本の湿地生態系の将来にわたる保全対策の礎となることを目的とし、(公財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団が発行する研究報告書。http://izunuma.org/5_2.html

論文掲載の経緯
近年よく流通している観賞魚メダカの野外での確認は全国的にも例が少なく、特に標本に基づいた記録は2件の研究報告しかありません。そのため、記録を残す重要性を感じ、全国的な平野部の湿地環境について広く掲載されており、外来種問題について取り上げることも多い伊豆沼・内沼研究報告に投稿いたしました。