世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ

おもしろ飼育コラム一覧
おもしろ飼育コラム一覧

めざせ緑のモリアオガエル

2016.12.24 (土)

須田

みなさんこんにちは!

アクア・トト ぎふの3階では、岐阜県にも生息する樹上性のカエル、

「モリアオガエル」を展示しています。 


さてこのモリアオガエル。

自然下ではこのような緑の体色をしているのですが、

2016.12.15-1.jpg

当館でオタマジャクシから育てると、

青みがかったような、白っぽい色のモリアオガエルになってしまうことがあります。 

2016.12.15-2.jpg

2016.12.15-3.jpg

2014年のこのブログでも取り上げられているように、

これまでなぜ青白くなってしまうのか特定することができず、

飼育担当者の悩みのタネでした。

 

青白いカエルを展示することで、モリアオガエルの体色について

「モリアオガエル=青白い」と誤解を与えてはいけない…!


やっぱり自然下のような緑色のモリアオガエルを展示したい!!!


ということで、

今年は「餌」に注目して、トライしてみました!


自然下のモリアオガエルは何を食べているのか

調べてみたところ、セミ、クモ、バッタなどなど

実に様々な餌生物を食べていることが分かりました。


かわって、水族館では何を与えているのかというと、

栄養剤をまぶしたフタホシコオロギ1種です。

2016.12.15-4.jpg


おいしそうに食べてくれますが、

ここに飼育下では足りない何かがあるのではないだろうか?!と考えました。

それはもしかすると、

本来は多様な生き物を餌とすることで得られるはずの、

体色の元となる色素なのでは!?


そこで、餌となるコオロギに色素を添加してみよう!

と7月より取り組みを始めました!

 まずはバックヤードにいる、

今年生まれのオタマジャクシから育てた幼体に

色素を添加したコオロギを与えてみることにしました。

2016.12.15-5.jpg

両生類の多くは

「βカロテン」「アスタキサンチン」「ゼアキサンチン」「ルテイン」などの

様々な色素を持つといわれています。


その中でも、サプリメントとして手に入れやすい

 「ルテイン」「βカロテン」のサプリメント(軟カプセル)の中身を絞り出し、

コオロギにつけて、与えてみました!


針を使ってカプセルに穴をあけ、 

2016.12.15-6.jpg

餌のコオロギにまんべんなくつけてから与えます! 

2016.12.15-7.jpg


それぞれの影響が比べられるように

①これまでと同じ、コオロギのみを与える幼体

②ルテインをコオロギに添加してから与える幼体

③βカロテンをコオロギに添加してから与える幼体


3つのケースに分けて飼育しました。

3か月後、どうなったかというと…


①添加なし  

2016.12.15-8.jpg

 

②ルテイン添加

2016.12.15-9.jpg

③βカロテン添加

2016.12.15-10.jpg

 

並べてみると… 

2016.12.15-11.jpg

 

2016.12.15-12.jpg


どうでしょうこの差!

①コオロギのみ給餌を行った幼体が水色をしているのに対し、

②ルテイン・③βカロテン添加をした幼体の体色が緑っぽくなりました!


とくに青みが少なく、緑が顕著になったのは②ルテインの幼体でした。


これは、自然下の体色に少しでも近づけたのでは!?

緑色のモリアオガエルに向けて、希望の光が見えた感じがします!


さて、バックヤードにいる幼体では結果が得られましたが、

現在展示している成体にも効果はあるのでしょうか…!


次のブログにつづきます!

 





 

記事URLを表示

カテゴリー  日本の両生類
キーワード 須田
前のページへ次のページへ
カテゴリ
バックナンバー