【命をつなぐ大作戦通信 Vol.3】長くて語れなかった話をここで
2017.06.17 (土)
どうもこんにちは。
今回は企画展の中で紹介したかったけど、
説明が長くなりすぎるために紹介しきれなかった話なんかを
書いていこうと思います。
本題に入る前にまずはこちら。
ここでは同じ種類なはずなのに、性が違うだけで、
見た目がかなり変わるという生き物を紹介しています。
魚類ではほとんどオスが派手な種類が多く、
その中でもはっきりした魚類の例として、
キュウセンのオスと
メスを展示しています。
何も知らなかったら別の種類と思ってしまうほど
オスとメスで違いますよね~。
魚類だけではなく、
他の動物の例も写真にて紹介していますが、
動物のオスは性にこだわり、とことん「オスだぞ!」という
派手なアピールをしているのだなーと思いますよね。
じゃあヒトはどうなんだろう、と考える機会の一つになればと思います。
そして本題はここから・・・。
ある一部の魚類には、
生まれつきの性を途中でガラッと変えてしまうことが
できるものがいるのです。
そう、それがこちら
「ファンタスティックな性転換」って書いてありますが
このキャッチフレーズは担当者お気に入りです。
この展示ブースでは、いわゆる「性転換する魚たち」を展示しています。
性転換する魚にも様々な種類がいるのですが
今回選んだ種類は
こちらのスミレナガハナダイなどのハナダイと呼ばれる仲間で、
こちらはスミレナガハナダイのメスです。
ハナダイの仲間は一匹のオスが
複数のメスを引き連れるハーレムを作って繁殖を行います。
(一夫多妻制ともいいます)
さらに、オスがいなくなってしまうと
ハーレムの中の一番体が大きいメスがオスに性転換して
ハーレムを作るようになります。
こちらがオスです。
とても綺麗な色をしてますが、
体が大きく、より派手な色をしているので
それだけ天敵に見つかりやすくなってしまうリスクがあります。
そのため体の小さいうちはオスにならず、
メスとして繁殖に参加します。
より多く自分の子孫を残すという点で、優れた戦略ですね。
さらにいうと、
オスになるためにはハーレムのオスがいなくなり、
自分の体が一番大きくなるという条件を
満たすことができなければいけませんが、
オスになることができればハーレムを作って、
より多くのメスを獲得して自分の子孫を残すことができるので、
同じ種の中でも、生存するのに有利な子孫が残る
とも考えられます。
そのため、
ハナダイの仲間では生まれつきオスは存在せず、
みんなメスから成長して、のちに性転換をしてオスになるようです。
このようなメスからオスに性転換することを
「雌性先熟」といいます。
このハナダイのほかにも
性転換する魚たちを展示していますが、
その中でも例外が存在するのです。
それがこちら。
魚についた寄生虫などを食べて掃除する魚として有名な
「ホンソメワケベラ」です。
この魚も「雌性先熟」の種類なので、
メスからオスへ性転換するはずが・・・。
一部のホンソメワケベラで
生まれながらにして、
オスが存在することがわかっています!
先ほどのお話のように性転換の競争が繰り返されると、
体の小さいオスは子孫を残すことができず、
淘汰されてしまうはずですが、
どうしてはじめからオスである小さいオスも
子孫を残せるのでしょうか。
実はホンソメワケベラの小さいオスは
大きいオスがもつはずのハーレムを持たず、
ハーレムを追跡して繁殖する瞬間に飛び込んで
自分の子孫を残すんです。
これを「スニーカーオス」と呼びますが、
この戦略が一部のオスで成功しているので
「雌性先熟」のホンソメワケベラですが
生まれながらのオスが存在しているんです!!
このほかにも、
オスにもメスにもなれちゃうなんて魚もいます。
このように一筋縄ではなく、
あの手この手を使った戦略が
「性転換のファンタスティック」なとこなので、
少しでも面白いと思っていただけたらなと思います。
話が長くなりましたが、
なによりこんなストーリーがあることが
長年の研究によって明らかにされてきているといことも
すごいなーと伝わればいいなと思っています。
それではまた次回のブログをお楽しみに。