渓流展ブログ11「封入標本」
2013.02.20 (水)
みなさん、標本は好きですか?
わたしはこれまで、正直、標本の面白さが分からない人でした・・・・
標本は、学術的に貴重な資料ですが、
少し黄ばんだ液体の中に、何やら生き物が入っていて
それを少し不気味に感じていたのです。
でも、それは封入標本に出会う前の話。
今ではすっかり「標本好き」になりました。
今回の渓流展でも、水生昆虫を封入標本にして展示しています。
封入標本は、透明なプスティック樹脂で標本の周囲を固めているので、
色々な角度から、生物を観察することができます。
また、標本なのに、とってもキレイなんです。
これなら虫嫌いの方でも「ちょっと虫ってステキかも・・・」
と思ってくれるに違いありません!
そこで今回は、この封入標本の作り方をご紹介したいと思います。
まず、標本の主役である水生昆虫を採集して、エタノールに置換します。
この作業で、生物の体内に含まれる水分を完全脱水して、標本に使います。
今回はエタノールの濃度を80%から99%に、3週間ほどかけて脱水しました。
さて、脱水が完了したら、いよいよ封入作業です。
材料はこちら↓
不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤は、
ネット通販で入手しました。
それから、樹脂を入れるタッパー。
100円ショップで、ポリプロピレン製のものを使用しました。
容器は耐熱温度が120度以上で、内側に凹凸や刻印がないものがオススメです。
ではでは、封入作業です。
まず、一層目に樹脂を流し込みます。
これは標本を置く土台になるので、薄くしすぎないことがポイントです。
一層目がある程度硬化した時点で、標本を置きます。
この時、テンプラの衣を付ける要領で、
標本の周りに樹脂を付けると、空気の混入が少なくなります。
一層目と標本が硬化したら、三層目を流し込みます。
この時、硬化が不十分だと、標本が浮いてしまうので、要注意です。
そして、数日後・・・
樹脂が完全に固まったら、完成です!
容器のお尻を軽く叩くと、樹脂がぽろっと外れます。
もっとも嬉しい瞬間です。
最後は研磨。
これが最も大変な作業で、根気のない私は、ここをサボってしまいます。
バットに水をはり、耐水性のサンドペーパーで
80番→400番→1000番→1200番と数字を上げていきます。
そして仕上げは、台所でよく見かける研磨剤を布に付け、磨き上げたら完成です。
封入標本マイスターの当館スタッフ・河合マイスターによると
エタノールで置換する際、展足(昆虫の標本の形を整えること)して足の形を整えると
ステキな封入標本ができるそうです。
ではでは、みなさんも
封入標本を通じて、水生昆虫の世界を楽しんで下さい!