おもしろ飼育コラム

  • 企画展・特別展示

生きた化石カブトガニ

  • たちかわ

企画展「話題になった生きものたち」で展示中の生きもので、

今回紹介するのはカブトガニTachypleus tridentatus

 

分類学的にヒトから遠く離れた生物ほどおもしろいと感じる私、

先日ブログで紹介したアルテミアに続いて、

今回のカブトガニも非常に楽しみにしていた生物です。


カブトガニは日本国内では、

瀬戸内地方や九州北部の沿岸に広く生息しており、

このうち岡山県笠原市や佐賀県伊万里市の繁殖地は

国の天然記念物に指定されています。

ただし多くの生息地で開発により生息環境が悪化し

個体数もかなり減ってしまっています。

そのため環境省のレッドデータブックでは

絶滅危惧Ⅰ類に指定されているのが現状です。


そんなこともあり、一体どんな環境で生息し繁殖しているのか、

以前から一度生息地を訪れてみたいと思っていた生物なのです。


カブトガニがなぜ話題になったのか調べてみると、

特徴的な硬い甲羅と長い尾からなる姿かたちが

大昔からほとんど姿を変えておらず「生きた化石」と呼ばれており、

1970年代の生きた化石ブームに乗っかったそうです。

名前に「カニ」とは付くものの、

分類においてはカニよりもクモに近縁な生物であり、

古生代に栄えたと言われる三葉虫が祖先にあたるそうです。

たしかに似ているなぁと思って眺めています。

 

今回はオスとメスの2個体を飼育しています。

2017.2.5-1.jpg

 

しかし、企画展開始時には上の写真のように

1個体のみの展示となっていました。

なぜなら、オスが環境に慣れないのかエサを食べなかったので、

慣れるまでの約2ヶ月間バックヤードで飼育していたのです。

そして企画展開始から遅れること1ヶ月半、

1月24日にやっとオスメス2個体での展示となりました。

 

ということで、オスとメスで外見がどう異なるのか、

写真で説明していきます。


まずは背面の全体像。

2017.2.5-2-2.jpg

オス

2017.2.5-3.jpgメス

 

どうでしょうか??

ほとんど同じに見えますが、オスは甲羅の頭部辺縁がへこんでいますね。

正面からだとなおさらわかりやすいですよ。

2017.2.5-4-2.jpg

オス吻側

 

そして、さらに分かりやすいのがこちら。

腹部の写真。

2017.2.5-5.jpg

オス腹面

 

2017.2.5-6.jpg

メス腹面

 

ポイントはオスの写真の緑色矢印!!

オスの第2、3番目の脚がかぎ状なんです!!

他の脚はメスのものも含めて全てはさみ状ですよね。

 

抱合の際、オスがメスの上に乗るのですが、

この時メスの甲羅が当たる箇所のオスの甲羅がへこみ、

メスの甲羅をつかみやすいように

オスの第2、3番目の脚がかぎ状になっているのです。

 

ただ、性別判定のポイントがわかっても

だいたいの時間はこんな状態。。。

2017.2.5-7.jpg なかなか動いている姿を目にできませんが、

それでも時々アクリルガラスにもたれかかって

ワサワサと動いていることがあります。

そんなラッキー!!な場面に遭遇したら、腹部をよく観察してみてくださいね。

 

メスの写真の紫色矢印のところが口になります。

エサを食べている様子も撮影したいのですが、

なんせエサに覆いかぶさってしまうので、撮影できず、、、

 

ちなみにこの写真を撮るために

昨年末に入社した新人に協力してもらいました。新人の手が写っていますね。

そのうちこの飼育日誌にも登場すると思いますので、

楽しみにしていてくださいね。

 

 




本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

年間パスポート
のご案内