- 日本の淡水魚
トウカイコガタスジシマドジョウ
- 野口
みなさん、こんにちは。
毎日暑いですが、魚たちは暑さに負けず元気にしております。
今回紹介したいのは、やたら名前が長いこの魚です。
ドジョウの仲間の「トウカイコガタスジシマドジョウ」です。
ふつうのドジョウなら皆さんも見たことあるかと思いますが、
こちらのドジョウの仲間はどうでしょうか?
岐阜県、三重県、愛知県、静岡県に生息していますが、
多くの場所では生息数が減少しており、
絶滅も心配されている種類です。
幸い岐阜県ではまだ多く確認できております。
今回は、そんなトウカイコガタスジシマドジョウの繁殖に挑戦してみました。
6月28日に産卵したときに撮影した卵です。
大きさは1mmくらいですね。
さらに翌日の29日にはこんなかんじです。
そして30日に無事生まれました。
まだこの段階では何の魚かわからないですが、
ここからぐんぐん成長していきます。
7月1日には前日まで横たわっていたものが、
底をはうように動き始めました。
横から見てみると、もうすでにドジョウの面影があります。
そこから毎日エサをしっかり食べて、
7月7日にはさらに大きくなっています。
7月15日には体の模様もしっかり濃く出ています。
そこからおよそ一か月経過したものがこちらです。
立派に成長してくれています。
紹介しているのはほんの一部の個体ですが、
全部で数百匹が順調に育っています。
今回は無事に繁殖に成功しましたが、
当館がオープンして以来、13年間でたった1回しか繁殖しておりませんでした。
絶滅が心配される魚でもあるので、
今後も安定して繁殖できる方法を探していきたいですね。
あと余談ですが、トウカイコガタスジシマドジョウを繁殖させている横では、
ハゼ類の繁殖も行っております。
こちらはたびたびブログでも紹介されてきましたが、
このビーカーの中に、生まれたてのハゼ類の稚魚がたくさん泳いでいます。
こちらについても、アクア・トト ぎふが開館して13年間で、
去年はじめて繁殖させたものばかりです。
それまではハゼ類の同定すらできない状況で
展示もほとんどできていない状況でしたが、
採集してきたハゼ類の写真をとって同定しての作業を数百回繰り返して
目を慣らしていきました。
色々な方から同定のポイントや繁殖のポイントを教えていただき、
2年目に突入しています。
その結果、シモフリシマハゼ、アシシロハゼ、アベハゼ、ゴクラクハゼ、
ビリンゴ、ウキゴリ、チチブ、ヌマチチブ、トウカイヨシノボリ、
ヨシノボリ属の一種(旧トウヨシノボリ)の合計10種の繁殖に成功しました。
これらのうち、シモフリシマハゼ、アシシロハゼ、アベハゼ、ビリンゴ、
ヨシノボリ属の一種(旧トウヨシノボリ)に加えて、
シマヨシノボリの6種を新規展示種として水族館の仲間に加えることができました。
淡水魚メインの水族館であるため、汽水魚の扱いに悪戦苦闘しながらも
少しずつ形になっております。
このあたりの繁殖の様子は水族館のバックヤードでみることもできますので、
もしバックヤードツアーに参加されることがありましたら、
そっと上からのぞいてあげてください。