- 新しい展示
オオアタマガメ展示開始
- 田上
大きい頭のカメ。
尾で木からぶらさがり、岩を登るという活動的なカメ。
そんなオオアタマガメ、常設展示はじめました。
昨年の夏の特別展「カメペディア」以来、このカメを常設展示化すべく
私は時に大々的に、時に隠密裏に、様々な顔を使い分け粛々と内外にアピールを続けてきました。
その結果、常設展示にこぎつけました。
展示開始は休館日翌日、12月11日。9日閉館後から作業開始です。
水槽から魚や底砂を取り出し、乾燥。そして、擬岩の取り付けにかかります。
取り付ける擬岩も自主製作しました。
製作にあたっては、当館でFRP職人として名実ともにNo.1のヒロセ氏に弟子入りです。
氏の指導は飛騨の寒さのように厳しく、サンショウウオが冬越ししているテラスで涙を流すこともしばしば…。
製作期間中つらい日々が続きますが、しかし、私はめげません。
そう、たった一つ。
オオアタマガメを展示するという強い気持ちがあるから…。
そんな辛い日々を乗り越え、準備段階から数回の設置試験をこなします。
「よし。大丈夫だ…。」
師匠の短いながらも、優しく暖かい気持ちがにじみでる言葉に思わず目頭が熱くなります。
いよいよ設置です。
何とも言えない緊張感、展示への期待、積雪による帰宅への不安…。
いろいろな感情がこみあげる中、高ぶる気持ちをおさえつつ、
エイヤーッと水槽内に擬岩をはめ込もうとしたら、全然入りませんでした。
ヒューッ!水槽に入らない擬岩だって?こいつはお笑い草だ!
皆の視線が痛い痛い。
その後、いろいろ奮闘いたしまして、なんとか予定通り間に合いました…。
あとはご来館されるお客様の反応を、トッケイヤモリ水槽の横手から、
こっそりのぞくという非常にワクワクする仕事を残すのみ。
他の作業を終えたスタッフが展示水槽を見に来ます。
「これから上に木を張り巡らせるんでしょ?」
「いつぶら下がるの?」
このような、不躾な質問を私に投げかけてきます。
長らく水槽で飼われていた個体が、木からぶら下がれるわけないでしょう。
考えたらわかるだろ!とキレそうになりますが、擬岩の一件があったので、
「勘弁してよ~」と返すのが精いっぱいでした。
オオアタマガメの話はさておき、まったく無駄な裏話を書いてしまったのですが、この際気にしません。
オオアタマガメの素敵さと、私の悲しみを感じていただけたら、ちょっとは報われます。
皆さんお待ちしております。
ちなみに、このオオアタマガメは神戸市立王子動物園さんより譲っていただきました。
どうもありがとうございました!
この個体、神戸市の路上で保護された個体とのことです。
実に残念なことですが、めぐりめぐって当館にやってきましたので、
末永くお付き合いしていきたいです。