企画展「話題になった生きものたち ~なつかしくて新鮮!!~」
2017.01.08 (日)
12月17日に始まった企画展「話題になった生きものたち~なつかしくて新鮮!!~」
今回の企画展はこのような年表から始まり、
誰もが「なつかしい・・・」と感じる生きものを選び、年代別に展示しています。
ということで、今回は企画展で展示している生き物の中で
最も古い年代のものを紹介します。
その名も「アルテミア」。
これで分かった方は、かなりの生きもの好きですね!!
「なつかしい・・・」と多くの方に感じていただくために、
別の名で紹介すると、、、
「シーモンキー」。
いかがでしょうか??
昭和40年代に一世を風靡したという、「シーモンキー」。
このアルテミア(通称:シーモンキー)は
ホウネンエビモドキ科アルテミア属の総称で、甲殻類の仲間です。
ほとんどの甲殻類はキチン質を主体とする硬い甲殻で
身体を覆っているのに対し、このアルテミアは甲殻を持ちません。
塩水湖に生息しており、
Brine(塩水の) shrimp(エビ)という名でも呼ばれています。
乾燥に長期間耐えられる耐久卵を産み、
塩水に浸かると孵化する性質を利用して、
エサ生物として広く活用されているため、魚を飼育されている方には
「ブラインシュリンプ」と呼んだ方がおなじみかもしれませんね。
水族館職員の私は、孵化させたらすぐに
エサ生物として活躍してもらう認識しかありませんでした。
「水田でみかけるホウネンエビに近い生き物」という知識はあったものの、
成体になるとどんな大きさなのか、どんな姿なのか、
実に基本的なことを楽しみに見守ることになりました。
ということで、企画展に向けてバックヤードで飼育を開始しました。
まずは塩水を容れた水槽で耐久卵を孵化させました。
誕生6日目
この頃は、甲殻類の初期の幼生「ノープリウス幼生」といって 成体とは異なる形態です。 それでも、甲殻類っぽい感じは出ていますね。 ちなみに、緑色の色素を持ったクロレラという藻類を エサとして与えているので、消化管が緑色に見えますね。 動きは成体よりも単調な印象です。
誕生17日目 真上からの写真です。すでに成体になりました。 企画展に向けてバックヤードの30℃近い温かい水槽で飼育していたら、 思ったより成長が早かったです。 光学顕微鏡では画面からはみ出すほど大きくなっていました。 こちらは光を当てて実体顕微鏡で覗いたところです。 光り輝いてまるで宝石のようですね。
誕生45日目頃 もう肉眼で充分観察できます。 白色の卵を容れた卵嚢も見えますね。 ということで、この個体はメスです。
成体になっても大きさは1cmほどしかありません。 遊泳力は強くないので、流れのあるところでは流されるままです。 そしてこの頃、企画展開始に合わせてお客様の前にデビューしました。
水槽内ではこんな感じで泳いでおり、 卵嚢が見えるので前がメス、後ろにくっついているのがオスですね。 そして、周囲の水中に小さなオレンジ色の 点々として見えるのが、幼生です。 実際にじーと観ていると自力で動き回っているのがわかりますよ。
オスは頭部に角のような交接用の付属器がありますので、 オスメス見分けてみてください。 そして展示風景。
アクリルガラスの向こう側が見えませんが、 水槽や当時のなつかしの一品は 実際にアクア・トトぎふに見に来てくださいね。 お客様の反応を眺めていると、 幼いお子様にご自身の体験を話している姿をちらほら見かけ、 なんだか癒されます。 大人の方々も、 「なつかしい・・・」と感じる生きものの前で立ち止まっていただき、 当時の想い出に浸るもヨシ、 ご一緒されている方との話のネタにするのもヨシ、 それぞれの「なつかしい・・・」な時間をお過ごしください。