捨てられたアオダイショウ
2017.01.21 (土)
今シーズン、なんだか暖かい日が続いて、美濃地方は全然雪が降りませんでしたが、
今回の大寒波から、ようやく冬らしさが到来した感じです。
外で冬眠させている両生類たちのためには、冬は冬らしくビシッと冷えてほしいのですが、
大雪はちょっと勘弁してほしいですね。
さて、そんな冷え込みがきつくなったつい先日のお話です。
夕方、閉館直前にインフォメーションより内線電話がかかってきました。
「お客様がアオダイショウを持ってこられています」と。
(あー、何かの拍子に冬眠しているアオダイショウを捕まえちゃったかな)とか、
(そういえば冬眠しているアオダイショウを外で見たことないなぁ、場所教えてもらおう)とか、
鼻歌交じりの軽快なステップでエントランスに向かったのですが、
その直後、気分は最悪に。。。
エントランスに着いて、まず目に入った紙箱とその上にある一枚の紙。
超絶嫌な予感がします。
持ってこられたのは岐阜市在住の方でした。
聞くと岐阜市立加納小学校の校門前に置かれていたとのことです。
発見してしまった手前、そのまま放置するわけにもいかず、
とにかくどうにかしないとということで、当館に持ってきたそうです。
とりあえず状態を確認しないといけませんので、フタを開けようとすると、
発見者の方がバババっと後ろに下がられました。
「苦手ですか?」
「…ハイ。」
ヘビがとても苦手というのに、このまま見過ごすこともできないからと
自分の車に乗せて来られた優しさにちょっと感動するとともに、
ペットを捨てることへの腹立たしさやら悲しさやらもこみ上げてきます。
体はキンキンに冷えて動きは鈍くなっていましたが、生きていました。
かわいいアオダイショウです。
「どうすればいいでしょうか…」と心配そうにおっしゃる発見者の方。
アオダイショウも冬眠するヘビですが、冬眠には準備が必要です。
ぬくぬくと飼われていたとおぼしきこの個体を、
真冬に外に放り出しては、おそらく死んでしまうでしょう。
それに、野外で発見した個体なら、元いた場所に放してくださいと言えるのですが、
どこのアオダイショウかわかりません。
同じ種でも別の場所から連れてこられた個体は外来種です。
『北海道からきた』と謎の文面も手紙に残されていますし…。
そもそもペットとして飼育されていた生物を野外に放つのは、
どういう影響を与えるかわかりませんので、慎むべきでしょう。
ちなみに水族館では原則ペットを引き取ることはありません。
飼い主は責任をもって最後まで面倒をみるべきであり、
どうしても飼えないのなら、次の行く先を探すべきです。
(過去にはこんなこともhttp://aquatotto.com/blog-diary/2012/08/post713.html)
当たり前ですが、施設の前に手紙とともに放置することは、
行先を探したことにはなりません。
これは遺棄であり、法律(動物愛護管理法)で禁止された行為です。
結局、この個体は今、当館のバックヤードにいます。
当館ではアオダイショウを常設展示しておりますが、十分な数を飼育していますし、
アオダイショウは長生きですので、これ以上は飼育できません。
この個体をどうするかは今のところ未定です。
手紙は小学生くらいのお子さまが書かれたものと思います。
このブログを読んで、元の飼い主が引き取りにくるなんてことはまずないと思いますが、
誰か同じようなことを考えていた方の元に届いて、
その方が思いとどまってくれればよいと願うばかりです。