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世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ

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新たな一歩

2017.09.17 (日)

野口
みなさん、こんにちは。

アクア・トト ぎふの3Fにあるこちらのワンド水槽では、

ゼゼラを展示しています。





川で魚を採っていても普通の人にはあまり馴染みのない魚かと思いますが、

アクア・トト ぎふがあるこの濃尾平野では、

ワンドなどのように水深が浅く、

流れが穏やかな場所に行けばよく見かける魚です。



このような場所は、川の増水により適度にかき混ぜられること(攪乱)で

良い環境が保たれており、

多くの魚類が繁殖に利用したり、繁殖した稚魚が育つ場所にもなります。

しかし現在では、樹林化が進み攪乱が起きにくいことから、

水質や底質の悪化を招き、

ワンドのような環境を利用する魚の多くが生息数を減らしました。

中には絶滅危惧種に指定されている種も少なくありません。


そんな魚類を保護していくためには、本来の生息地における取組(保全)と

その生息地とは別の場所での取り組み(保存)の

両方の取り組みが欠かせません。



水族館で働く私にできることとしては、

飼育下における繁殖方法を確立させることで

野外ではなかなか観察できない繁殖生態の解明であったり、

繁殖・飼育・展示を通じて普及啓発を行なっていくことなどが挙げられます。


冒頭で紹介したゼゼラについては、

当初、当館では展示しておりませんでした。

普通に飼育するのも少しクセがあり、痩せやすいことや臆病なことから

展示が避けられていた経緯がありました。

そんななかでバックヤードである程度飼育できる目途が立ったことから、

2016年5月から展示を開始し、あわせて繁殖にも取り組んできました。

 

繁殖には屋外の水槽を使用しました。

この場所はそこまで人も通ることもないので、

魚にとっては落ち着いて過ごせる場所であったかと思います。

毎日のエサをあたえて、水温を計測して、

あとは繁茂してくるアオミドロなどの藻類を定期的に取り除くぐらいで、

できるだけ自然に近い状態で維持管理していきました。

 

1年目の昨年は何も手ごたえを感じることなく繁殖期を終えてしまいました。

そして、2年目の今年は見事繁殖に成功しました。

 

まだまだ小さいですが、まぎれもなくゼゼラです。

前回紹介させていただいたトウカイコガタスジシマドジョウは

ホルモンを使用して繁殖させた経緯がありますが、

今回のゼゼラは自然に産卵しました。


今回の事例は、当館にとっては初の繁殖です。

もう少しこまめに見ていれば、卵や、ふ化直後の様子など

写真に残すこともできたのでしょう。そこだけが悔やまれます。

ちなみに卵としてはこのような感じです。 





ゼリー状になっており、よく見てみるとこまかな卵が無数にあります。

こちらの写真は、ゼゼラの繁殖について色々とアドバイスをして応援してくれている

ゼゼラのスペシャリストからお借りしたものです。




なかなかゼゼラだけに力を注ぐこともできない現状もあるのですが、

今回の繁殖を偶然ではなく、必然にするためにもなんとかしたいですね。

痩せたり病気にならないように、しっかりとエサをあげて良い状態を保つこと、

そこからいかに繁殖させていくか、繁殖させたものを いかに育てていくか、

まさに飼育技術そのものです。

そして、その技術が水族館の財産にもなっていくわけですから、

挑戦しない理由はないでしょう。




では、最後にゼゼラの稚魚がエサを食べる様子をご覧ください。

底のエサをついばむように食べるのは、特徴的なエサの食べ方かと思います。

2017年09月の一覧 | 記事URLを表示

カテゴリー  日本淡水魚
キーワード 野口
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