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古代生物がやってきた!~ミズクラゲ~

2023.07.04 (火)

霜鳥

企画展「古代生物がやってきた!~時を超えた生き物たち~」の展示期間も残りわずかとなりました。

 

最後にどうしても皆さまにお伝えしたい、私が個人的に大好きな生き物をご紹介します。

それはこちら、ミズクラゲです!

 

 

クラゲのゆったりとした動きは、見ていてとても癒されるなぁと感じます。

 

企画展のテーマは「古代生物」ですが、クラゲはいつ頃、地球上に現れたのでしょうか?

 

古代生物のことを知るには、化石を調べるのが一般的な方法かと思います。

しかし、クラゲの体には骨などの硬い組織が無く、ほとんどが水分でできているため、化石に残るのは稀なことです。

この企画展では、クラゲの化石が見つかっている例として、アメリカ・イリノイ州のメゾンクリーク生物群がある地層の年代に合わせ、石炭紀(約3億5890万年前)の生物として紹介しています。

 

ですが、それ以前の時代の化石からもクラゲと思われる生物やその痕跡が見つかってきており、また、クラゲ類が属する刺胞動物門や有櫛動物門は動物界のなかでも原始的なグループとされているので、数ある動物たちのなかでもかなり初期に誕生したのではないか、とも考えられています。

 

そんな大昔からクラゲの仲間が暮らしていたのも驚きですが、その生命力や増え方にも驚かされます。

 

 

ある日、いつものようにミズクラゲの状態をチェックしていると、水槽の壁面やネットにオレンジ色の粒々したものがくっついているのを見つけました。

それがこちら。

 

 

なんだかイソギンチャクのような形をしていますよね。

これはポリプと呼ばれるものです。

一般的にイメージされる丸くてふわふわ漂うクラゲは、ミズクラゲの生活史のなかのほんの一部の世代です。

クラゲのオスとメスが出会い受精卵を作ると、それがプラヌラという世代を経て、岩などに固着して暮らすポリプに変わります。

ポリプは分裂して増えていくのですが、この水槽内の環境がポリプにとって良かったのか、気がついたら数えきれないほどびっしりとついていました。

 

漂うクラゲたちから少し目線をそらして壁面を探していただくと、見つけられるかと思います。

 

 

さらに、実は今、もう1種類、クラゲがいます。

そのクラゲを見られるのはここ、ヌタウナギの水槽です。

 

 

水槽のアクリル面に小さなものがついているのですが、拡大するとこんな感じ。

 

これはハイクラゲという種類のクラゲです。

ミズクラゲのように泳ぐことはなく、名前の通り這うようにして移動します。

 

潮間帯の海藻などにくっついて生息するのですが、水族館の水槽にもたびたび発生する、神出鬼没のクラゲです。

いつまで見られるか分かりませんが、ぜひこの機会に観察してみてください。

 

企画展は7月9日までとなっております。

普段の当館では見られないクラゲ!じっくりご覧くださいね。
 

 

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カテゴリー  企画展・特別展示
キーワード 霜鳥
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