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メコンの村に伝わるグラミーの生食文化!?

2024.06.20 (木)

佐藤

みなさまこんにちは。

展示飼育部の佐藤です。

 

今日、紹介するメコン川の魚はスリースポットグラミーという魚です。

 

グラミーの仲間は東南アジアを中心に分布する魚たちで、

体長2㎝ほどの種から50cmを超える種まで、大きさも様々です。

 

当館では「草地水溜りの魚(雨季)水槽」に3種のグラミーを展示しております。

今日はその中のスリースポットグラミーに注目してみましょう。

 

大きさは10~15㎝ほどで、尾ビレのつけ根と体の中央に黒い目玉模様があります。

この2つの目玉模様と同じ大きさをした本物の目を合わせると、

見事に3つの目玉模様(スリースポット)の完成です!

 

そしてもう一つ、胸のあたりから伸びる細長いヒゲのようなものが

グラミーの仲間たちの特徴といえます。

これは腹ビレが発達して長くなったもので、

この長いヒレを動かす様子を当館の水槽でも観察することができます。

 

 

このグラミー、水槽でじっくりと観察するには最高の魚たちですが、

カンボジアのある村では昔からこの魚を生で食べる文化があります。

それがこちらの写真です。

 

 

私はこれまでメコン川流域の淡水魚たちを数多く食してきましたが、

どの地域でも、どの種類でも、火を通した料理か干物料理が出てきます。

 

グラミーの料理に関しても同様でしたが、

ある日、ある村に滞在した際にスリースポットグラミーの

生食料理と出会う機会が巡ってきたのです。

 

 

料理自体はすごく簡単なもので、

まずは村の近くを流れる水路でグラミーをすくってきます。

 

それを三枚におろして水瓶に貯めた雨水でかるく洗ってから、

ライムをギュッとしぼって30分ほど漬けておきます。

そして塩コショウで味付けして、ピーナッツを砕いたもの、

庭に生えている数種類のハーブ、モヤシをお皿に盛りつけて出来上がりです!

 

 

そのお味はというと、ハーブの味と香りが強いので、

正直、グラミーの味はほとんどわかりませんでした!

 

 

私はこの村で3回この料理と対面しましたが、結果は以下の通りです。

1回目は食べている間に強い腹痛に襲われて完食できず、

2回目はたくさん食べているフリして一口だけにセーブ、

3回目は村の人たちに正直に説明して食べずにギブアップ・・・でした。

 

 

 

私の感想はさておき、

大小さまざまな500種以上もの淡水魚がいるこの地域で、

なぜスリースポットグラミーだけを生で食べるのか?

なぜこの村でしか食べないのか?

私にとってはとてもミステリアスで興味をそそる現地の食文化のお話しでした。

 

 

ご来館の際にはスリースポットグラミーの体の模様や、

長い腹ビレを動かす様子をじっくりと観察していただきながら、

グラミーのカルパッチョ風(ライム漬け)料理の

お味を想像していただけると嬉しいです!

最後までお読みいただきありがとうございました。

それではまた!

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カテゴリー  アクア・トトの生き物
キーワード 佐藤
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