世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ

おもしろ飼育コラム一覧
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ホトケドジョウが産卵しました

2019.05.12 (日)

堀江真

こんにちは。10連休、終わりましたね。

おかげさまで10連休中は、たくさんのお客様がお越しくださいました。

ありがとうございます。

もちろん10連休が終わった後も、変わらず水槽をピカピカにして、みなさまをお待ちしております。

 

さて、5月に入り、春夏産卵型の魚たちの繁殖が本格的に始まりました。

例年通りに、ハリヨやウシモツゴ、タナゴやヒガイの仲間など数種の繁殖に取り組んでいます。

今年はそれらに加え、うれしいことがありました。

 

それは、ホトケドジョウが産卵したことです。

 

ホトケドジョウは丘陵地の湧き水を水源とする小川や湿地などにすんでいます。

環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類、岐阜県では準絶滅危惧種に指定されています。

ドジョウの仲間は全般に、飼育下での繁殖が難しいと言われているなか、

このホトケドジョウは比較的容易に繁殖する。んだそう…。

絶滅危惧種であるうえ、個人的にこのホトケドジョウが好きなこともあって、

4年前からホトケドジョウの繁殖を夢見てきました。

 

比較的容易といわれているぐらいだから、できるだろう。と、たかをくくっていましたが、

1年目は親魚が病気になり失敗。

2年目は、たくさんの卵を産んでくれるといいなぁ~。

なんていう思いから、欲張ってたくさんの親魚で試みたせいか失敗。

3年目はメスのお腹がいまいち大きくならず失敗…。

 

そして今年、こりもせず一人ギラギラと「産ませてやる!」と意気込んでのぞんだのでした。

今年といっても、親魚を選んだのは去年の夏のこと。

この時期はオスかメスかの見分けが難しく、勘を頼りに10匹を選び繁殖用水槽に移動しました。

3度の失敗を糧にして、繁殖用の水槽は、透明なアクリルガラス製ではなく、四方からは見えないFRP製のものを選び、魚へのストレスを減らしました。

 

繁殖期が間近にせまった3月末、10匹の状態を確認したところ、

お腹がぷっくりと膨らんだメスが3匹いました。

この3匹と、オスらしき4匹を選び、産卵を待つことにしました。

卵を産み付けられるように木の根っこを入れ、

何日かおきに、卵がないかを確認しました。

 

そして4月22日、ついに根っこに変化あり!!

とても小さく直径1mm程度の卵らしきものが、根っこに付いていました。

写真撮影してみると…

卵に間違いありません!しかもちょっと体もできかけている!

あまりにうれしくて、この画像を見せびらかした私です。

 

翌日は、卵を見るのを楽しみに出勤してきました。

 

そしたら、なんと!早くもふ化しており、

大きな卵黄をかかえた全長4mmほどの仔魚が誕生していました。

(ふ化までにかかる時間は、水温20℃では3日、25℃では1~2日といわれます。)

ふ化した当日は、ほとんど動かず、底に横たわっているだけでしたが、2日後には泳ぎだし、

シオミズツボワムシやブラインシュリンプなどの小さな動物プランクトンを食べるようになりました。

ところで、ホトケドジョウの仔稚魚には浮遊期があるとのことですが、

今のところ浮遊しているよりも、底ちかくにいることのほうが多いですね。

初めの産卵でふ化したのは14匹でしたが、

その後も、2~3日おきに10個ぐらいずつ産卵するといった状況が、今もまだ続いています。

 

最初に生まれた個体は、全長1cmをこえ、

ホトケドジョウらしくずんぐりとした体つきになってきました。

 

このままいけば、夏休み前には展示水槽でおひろめできるかもしれません。

お客様に見ていただけるのが、今からとても楽しみです。

 

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カテゴリー  日本の淡水魚
キーワード 堀江真
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