タイコウチの産卵
2019.06.02 (日)
だんだんと暖かくなってきて、水生昆虫の繁殖シーズンがやってきました。
今回はタイコウチについて、ブログを書いてみようと思います。
タイコウチは漢字で「太鼓打」と書き、前脚を広げて泳いでいる様子がまるで太鼓を打っているように見えることから、この名前が付けられています。
英名ではWater Scorpion(水中のサソリ)と呼ばれ、サソリを連想させるようです。
一般的にタイコウチはメスの方が大きいといわれています。
(正確には亜生殖板の形で区別できるのですが。)
下の写真はタイコウチの雄雌の写真ですが、大きさの違いが判るでしょうか。
上がオス、下がメスです。
当館で飼育しているタイコウチが、GWも真っただ中の5/2に産卵しました。
自然界では水辺の湿った土やミズゴケなどの中に産卵するため、その代わりとして園芸用の吸水スポンジを入れておいたところ、下の写真のようにその中に産卵していました。
その卵にはなんとヒゲ(毛)のようなものが生えています。
この毛は呼吸糸というもので、卵に酸素を取り込むためにあります。
また、卵の発生がすすんでいくと白い卵の色が変化していきます。20日ほどで白から赤っぽい色になり、ふ化して幼虫が出てきます。
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ふ化したての幼虫は赤い色をしており、数時間で体が固まってきて茶黒色の体色になります。
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1令幼虫にはアカムシといわれる蚊の幼虫を1匹1匹ピンセットで与えていきます。
3令幼虫で1.5cmくらいの大きくなってくるとコオロギの幼虫を与えます。
今後は2カ月ほどかけて5回の脱皮をして成虫になります。
新しく成虫になった個体を展示できることをご期待ください。
今回ふ化した個体を成虫になるまでしっかり飼育し、展示できるようになりましたら、またお知らせしたいと思います。