渓流展ブログ8「ハリガネムシ」
2013.02.08 (金)
こんにちは、
入館料半額キャンペーン真っ只中に、すっかり人気者、ハリガネムシの記事を岩本が書きます。
キモイ画像見れない人は、ここから先見ない方が良いです。
そもそも、ハリガネムシって、どんな奴?
えっとですね、とりあえず見た目は、こんなです↓
キモイですか?そーですか。
こいつらが、どこから登場するかって、カマキリとかの昆虫の体の中↓
キモイですか?そーですか。
では、ここからはみなさまに分かりやすいよう、わたくしが自ら絵を描いて、
ハリガネムシとカマキリについて解説いたしましょう。
そもそも、なぜカマキリの体から出てくるかって、
ハリガネムシがカマキリに寄生しているからです。
しかし、寄生したは良いものの、
そのままじゃ異性と出会って恋も出来ないし、
そろそろ外の世界に出たいぜー。となるわけです。
そして、上の写真のように、ウニョーっと飛び出すわけですね。
(上の写真は、トラックに踏まれて仕方なく出てきてしまった個体)
けれども、飛び出すと言っても、炎天下の中、
道路のど真ん中などで自分だけ飛び出してしまっては、
異性に出会うことも、まして生き延びることすらできないかもしれません。
そのためハリガネムシは、
宿主の中枢神経系を改変するタンパク質を
出して行動を操作し、宿主を水に飛び込ませるのです。
そして、晴れて水中デビューしたハリガネムシは
その中で異性と出会い、卵を産み、
次の世代へとバトンを繋いでゆくのです…。
感動的です。
実に感動的な話です。
ところで、なんでそのハリガネムシは渓流展に登場するんだ?
気になるところですね。
解説しましょう!
まず、みなさんのカマキリ像を覆すところから始まるかと思います。
カマキリって、強いですか?強いですよね、斧のような足で蝶を狩り、むしゃむしゃ食べる。
でもね、実は結構弱者なんですよ↓
【トビに捕えられたカマキリの写真。写真提供:先崎啓究】
ご覧のとおり、余裕で食われます。(写真がすごい件については、ひとまずおいておきます)
鳥や哺乳類はもちろん、魚にも食われます。
そうなんです、めちゃくちゃ強そうに見える彼らも実は食われる存在であるのです。
魚に食われる。
ということは…
水に飛び込んだカマキリは、どうなってしまうのでしょうか?
そうです。魚の餌となるのです。
魚からしたら、ごちそうが自ら目の前に現れてくれるようなもんです。
大喜びです。
というわけで、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
ハリガネムシは宿主である昆虫を水に飛び込ませます。
飛び込んだ昆虫は、魚の餌となります。
その結果、佐藤拓哉さんらの研究チームの調査結果によると、
ハリガネムシによって渓流魚にもたらされる餌は、
年間総エネルギー消費量の約60%も占めることがわかったのです。
わたくしのこのわかりにくい説明を補うべく、
佐藤拓哉さんが作成した、下の素晴らしい解説をごらん下さい。
ご理解…いただけましたでしょうか?
なんとなく、ハリガネムシってすごい奴らなんだなって、わかっていただけたら幸いです。
ところで、ハリガネムシについて、今回はみなさまにおなじみのカマキリで解説しましたが、
渓流域ではカマドウマ類(別名:便所コオロギ)によく寄生するそうです。
カマドウマがどんなかって、こんなん↓
(カマドウマに寄生するハリガネムシ)
【檀上幸子さんが撮影したこの素晴らしい写真は、ポストカードとして当館ショップにて限定販売中!】
足の長いコオロギだと思えば、カワイイもんですよね。
ハリガネムシも、少しだけ動きのある針金だと思えば、カワイイもんですよね。
ハリガネムシは、見た目がキモイというだけで忌み嫌われたり、
爪から体に入ってきて内臓食べて人間殺す。なんていう、あらぬ疑いをかけられていますが、
そろそろ汚名を返上しても良い頃なのではないかと、個人的には思っております。
今回の渓流展は、その橋渡し。
ハリガネムシの凄さをみなさまに知っていただき、誤解を解いていただけたら…
と、思っております。
このブログでは、ハリガネムシについて、だいぶ豪快に切りこみましたが、
実際の渓流展コーナーでは、
佐藤拓哉さんによる解説冊子を読んでいただくことができます。
ぜひとも実際に水族館に足を運び、他の渓流展展示も含めて、知っていたっだけたらと思います!!!
おしまい♪