カタハガイ産まれのシロヒレタビラ
2020.02.23 (日)
こんにちは。
梅の花が咲いて、春まであと少し。
そろそろ、春に繁殖させる魚の様子が気になり始めています。
そういえば、ちょうど昨年の今頃に、こんな記事を書きました。
3階の岐阜県の希少淡水魚コーナーでは、
婚姻色に彩られたシロヒレタビラのオスがいて、
産卵母貝となるカタハガイの近くをうろうろしています。
ときどきメスと寄り添って泳いだりもします。
ここワンド水槽での出来事です。
それから、どうなったでしょう?
じつは、夏から秋にかけて、5匹のシロヒレタビラの稚魚が誕生しました。
産卵母貝として、頑張ってくれたのはこちらのカタハガイ。
タナゴに卵を産みつけられるという災難?に合いながらも、
今でも元気そうです。
貝から浮上した稚魚は、2.5cmぐらいにまで育ちました。
警戒心が強いので、奥のほうに隠れていることが多いのですが、
人気のない時間には、稚魚同士かたまって泳いでいます。
こうして、私たち飼育スタッフが何も手助けしなくても、シロヒレタビラは貝に卵を産みつけ、産みつけられたカタハガイは衰弱もせず、稚魚の母貝を役目を果たしてくれました。
魚も元気。貝も元気。ということを示してくれたようで、なんだかうれしいですね。
これで、カタハガイが繁殖して幼生を放出してくれたら完璧なのですが…。
その時のために、幼生の宿主であるトウヨシノボリも同居させていますが、そんなに簡単には行きませんね。
(カタハガイの幼生はヨシノボリなどの魚のヒレなどに寄生して成長します。)
カタハガイなどの淡水二枚貝の長期飼育や繁殖はとても難しく、淡水生物の保全に関わるすべての人たちにとって大きな壁であり、課題となっています。
ですから、展示水槽での繁殖は無理だとは思いますが、せめて長く生きていてほしいなと毎日見守っています。
最後にひとつ、こちらのワンド水槽からお知らせです。
最近、ササノハガイの仲間の分類が見直され、ここ岐阜県に生息するトンガリササノハガイは「ササノハガイ」に改められました。
魚の名札も、ささっと修正いたしました。今後ともお見知りおきを。