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おもしろ飼育コラム一覧
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土用の丑の日を前に…。

2015.07.04 (土)

企画展ニホンウナギ担当一同(田上・波多野・河合)

 

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ニホンウナギ展の開催期間も残すところあと1週間。

 

 

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少々、かたい解説が並んでいますが、

 レプトセファルス幼生のキャラクター(通称:レプちゃん)と

素敵なデザインのおかげで、

居心地のよい空間になっております。

ぜひニホンウナギ展をご覧ください!


そうそう。

6月18日から展示開始した生きたレプちゃん

すなわちニホンウナギのレプトセファルス幼生もまだ元気に泳いでおります。

まだまだ、透明な美しい姿を見ることができますよ。



さて、以前のブログでも書きましたが、このレプトセファルス幼生は

(株)いらご研究所様から分譲していただいた、養殖個体です。

ここでいう「養殖個体」と、皆さんが口にする

いわゆる「養殖ウナギ」は全くもって違うことはご存じでしょうか?

「養殖ウナギ」はシラスウナギを川で捕まえて育てたものです。

 

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厳密にいうと「天然ウナギ」なのです。


今回の特別展は、

ニホンウナギの興味深い生態について知ってもらうことももちろんですが、

一番の目的は、

ニホンウナギがおかれている現状について知っていただくことでした。

ニホンウナギは激減していることは間違いなく、

絶滅してしまうことも十分考えられるくらい危機的な状況なのです。

養殖のためにシラスウナギをどんどん捕まえていては、どうなるかは明白です。

(そもそも、昔とは比べ物にならないくらい獲れなくなっていますが…)



じゃあ、その完全養殖したウナギを食べればいいんじゃない?


いえいえ。

完全養殖に成功したとはいえ、

天然資源に負担をかけない本当の意味での「養殖ウナギ」を

私たちが食べられるようになるのは、まだもう少し先のようです。

(※養殖でもエサなど何かしら天然資源を利用はしますが、ここではおいといて。)


今回の特別展で標本等をお借りした、(独)水産総合研究センターや

(株)いらご研究所の皆様の研究にとてもとても期待しています。



じゃあ、海外のウナギを輸入すればいいんじゃない?


ちょっと待って。

ニホンウナギとは別種のヨーロッパウナギという種がいますが、

この種も絶滅危惧種に指定されています。

この原因の一つに、実は日本での消費があげられます。

ヨーロッパウナギのシラスウナギが養殖用に乱獲され、

色々な経路をたどって最終的にその多くが日本で消費されてきました。

結果として、ヨーロッパウナギも危機的な状況に陥ったのです。


また、つい最近インドネシアでウナギ養殖を盛りあげ、

その品質の高さを知ってもらおうと、

食べ放題イベントを開催するというニュースがありました。

これについて詳細はわかりませんが、大変いやな予感がします。

また、同じ過ちを繰り返すことになるのでしょうか?

ニホンウナギとは別種の海外のウナギを、

さも救世主のように扱うことは、厳につつしむべきでしょう。



さいごに。

もうすぐ土用の丑の日がやってきます。

6月21日に日本大学教授の塚本勝巳先生を招いて、講演会を開催しました。

塚本先生はこうおっしゃられていました。

「ウナギは気軽に食べる魚ではなく、

貴重なウナギを一番おいしく料理できる専門店で、

特別な日にいただくハレの日の食べ物としましょう。」と。


最近、近所のスーパーやコンビニなどで、

予約受付中の紙がこれでもかと張り出されています。

確かに美味しそうです。

でも皆さん、買う前にちょっと考えてみてください。

今、ウナギを気軽に食べられる喜びより、私たちの次の世代、次の次、

いやもっと先の未来の人たちも、ウナギを捕まえ、観察し、

そして時には美味しく食べることができることの方が、喜びは大きくありませんか?

 

 

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カテゴリー  企画展・特別展示
キーワード 企画展ニホンウナギ担当一同(田上・波多野・河合)
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