河口のカニ水槽に新メンバー
2015.10.02 (金)
こんにちは。堀江真です。
もうすっかり秋ですが、ちょっとふり返ってブログを書きます。
この夏、3Fの「河口のカニ」水槽に、
新メンバーが加わったのでそのお話をします。
だれが加わったのかというと、
↓ こんな感じの川の河口で、
↓ こんな感じにエサの入ったかごを沈めて、
↓ 一晩おいて、かごを引き上げると、
かごの中に入っている生き物です。 その正体は、こちら ↓ テナガエビです。 テナガエビは本州、四国、九州に分布していて、 春先から秋にかけて川の河口付近に集まり産卵します。 食用にもなり、漁業の対象となるほか 釣り好きの人には数釣りのターゲットとされ、 からっと素揚げにして食べられたりするなじみの深いエビです。 しかもかっこいい姿をしておる。
こんなに魅力たっぷりのエビを展示しないわけにはいかない! と奮起したのが6月のこと。 サツキマスの入手でお世話になっている川漁師さんにお願いすれば、 大きいサイズのテナガエビをわんさか捕っていただけるだろう。 とは思いましたが、 やっぱり生息環境やどんなふうに暮らしているのかなどを よくわかったうえで、展示したいという思いもあり、 カゴや、たも、釣竿を持って採集に出かけてきました。 夜行性なので、 昼間たもをもってガサガサしても少ししか取れませんでしたが、 一晩設置しておいたカゴには、 大きいものから小さいものまでちょうどいい数のテナガエビが入っていて、 水族館に連れてくることができました。 7月に展示水槽へと移し展示を開始しましたが、 やはり、暗い所に隠れてしまい見えないことが多かったです。 それでもお盆を過ぎたころから、 わりと姿を見せてくれることが多くなりました。 ↓ 展示槽のテナガエビのオス。はさみ脚が立派です。
↓ 展示槽のテナガエビのメス。はさみ脚が短く体も小さめ。
ちなみにテナガエビには2つのタイプがあり、 幼生期を海ですごす両側回遊型(汽水湖型・河川型)と 一生を大きな湖など淡水でくらす陸封型(湖沼型)がいるのですが、 両側回遊型は小さい卵をたくさん産み、 陸封型は大きい卵を少なく産むようです。 大きい卵を産む陸封型は幼生の飼育もがんばれば可能なようですが、 今回展示しているのは河口でとってきているので両側回遊型。 卵をおなかに抱いているメスは何匹かいるので、 なんとか育ててみたい思いはあるのですが、 はたしてうまくいくかなぁ・・・。 寿命は1~3年ということで、 繁殖期が終わる秋ごろに死んでしまう親が多いのですが、 真冬でもまれに釣れることがあるそうです。 何月ごろまで川の河口で見られるのか、 秋以降にはどんなサイズの個体が生き残っているのかなどを知るために、 今後も時間を見つけて夜の河口へ足を運んでみようと思っています。 ↓ 夜、懐中電灯で照らすと目がキランとするメスのテナガエビ
クロベンケイガニがどーんと居座るカニ水槽の下のほうで、 ちょこんとたたずむテナガエビをぜひ見に来てくださいね。