水族館での困りごと・・・結露
2020.06.08 (月)
早くも沖縄や奄美などでは梅雨入りし、これからは湿度が高くじめじめした季節になります。
そして、水族館内では結露との戦いが始まります。
館内には空調をかけて温度調整をおこなっていますが、冷水系の水槽と館内の温度に差ができると、水槽のまわりには結露が発生します。
冬の暖房をかけているときに、皆さんの家でも窓ガラスに水滴ができることはありませんか。冷たいジュースの入ったコップのまわりに、水滴がつくこともあるかもしれません。あれが結露です。
温度差があればあるほど結露はひどく、水槽アクリル面は真っ白に曇ったようになります。
結露がついた水槽では水槽内の魚が見えなくなるので、対策を講じます。
その対策の一つが結露防止シートというものです。
お寿司屋さんのネタケースやガラス張りの冷蔵庫などで使用されていて、かなりの優れものです。ネタケースが真っ白で中のネタが見えないことなんてないですよね。
今回はその貼替えの様子をお伝えいたします。
これは「岐阜県の希少淡水魚Ⅱ」のカマキリ(アユカケ)の水槽です。
結露防止シートは劣化すると効果がなくなってくるために、定期的に貼り替えをします。
古い結露防止シートをはがし、アクリル面の汚れをきれいに拭いていきます。
この際に、アクリル面に糸くずや小さなごみが付かないように気を付けます。
これを怠ると結露防止シートをうまく貼ることができません。
次に、薄めた中性洗剤をアクリル面にまんべんなくスプレーしていきます。
結露防止シートについているセパレーターシート(剥離紙)をはがし、アクリル面の中央をねらってそっと結露防止シートを貼り付けます。
結露防止シートとアクリル面の間にできた気泡を、ゴムへらを使って抜いていきます。
この際、結露防止シートに傷をつけないようにゴムへらにタオルを巻くと、結露防止シートに傷をつけることなくスムーズに作業できます。(写真ではゴムへらがわかりやすいようにタオルは外しています。)
貼り終わったら、結露防止シートのふちなどに残った中性洗剤液をタオルでふき取っていきます。
その後3時間ほどしっかりと乾燥させるときれいに結露防止シートが貼り付きます。
この時に水槽下部に水が溜まっていると、その水分を結露防止シートが吸って浮き上がってしまい、うまく貼ることができません。(何度も失敗して、このことにようやく気が付きました。)
作業完了です。
このように梅雨時期に向けて、冷水系の水槽の結露防止シートを順次貼り替えていき、結露対策を強化していきます。
それでも完全に結露を防ぐことはできないので、見回りの度にタオルでふき取ったりして、お客様に見やすい水槽になることを心掛けています。