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オスメスどっち?!

2020.06.21 (日)

小野

みなさん、こんにちは。

だんだんと暑くなってきましたね。

 

少し前の話になるのですが、性判定研修に参加してきましたので、お話ししたいと思います!

 

 

性判定とは、生き物がオスかメスかを判断することです。私たち哺乳類は、外見でオス、メスを見分けることができますが、生き物によっては外見では判断がつかないものもいます。

 

では、オス、メスがわかると、どんな利点があるでしょうか?

例えば、オス特有の病気、メス特有の病気というものがあります。病気によっては、オスよりもメスの方で発生率が高いものもあります。

オスかメスかがはっきりしていると、病気を鑑別する上でとても有益な情報となります。他には、繁殖する可能性があるかどうか、観察された行動が交尾行動なのか異常行動なのか判断することに役立ちます。

 

 

前回の企画展『アマゾンを超える水の楽園 パンタナール大湿原』では、ルリコンゴウインコを展示していました。

このルリコンゴウインコは、外見で性別がわかりません

 

 

 

 

そこで今回、性判定研修でルリコンゴウインコの性別について調べてきました!

結果はこちら♪

右:ミョン、メス  左:サンゴ、オス

 

 

ここからは性別を調べる方法を少し詳しく説明していきます。

 

外見ではわからないため、DNAという物質を用いて判断します。

DNAには、たくさんの遺伝情報が含まれていますが、その中でも性別を決定する部分に注目します。

私たち哺乳類にはXとYという性染色体が存在し、XXであればメス、XYであればオスというふうに性別が決定します。

鳥類では、哺乳類と少し異なり、ZとWという性染色体が存在します。

そして、ZWであればメス、ZZであればオスとなります。

 

 

まず、羽毛を数本抜きます。羽毛の先端には少しですが皮膚や筋肉などの組織が付着しています。

それらの組織からDNAを取り出していきます。

 

↓下の写真のように、羽の先端を切り刻みます。(写真は別の個体のものです)

切り刻むことによって組織からDNAを取り出しやすくなります。

 

 

次にタンパク質分解酵素などが入った液体に漬けて組織を除去し、DNAのみになるようにしていきます。

 

 

羽からとれるDNAの量はごくわずかですが、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって、性別を決定する領域のDNAの量のみ増やします。

 

 

最後にこの機械で電気泳動を行います。

電気泳動とは、DNAの分子量を比較することができる手法のことです。

これにより、性別を決定するZとWの染色体を区別することができます。

 

 

ZとWの染色体は分子量が異なるため、両方の染色体を持つ(ZW:メス)場合は2本の線が現れ、Zの染色体のみを持つ(ZZ:オス)場合は1本の線が現れます。

写真のMはMale(=オス)、FはFemale(=メス)を意味します。

④のサンゴがオス、⑤のミョンがメスという結果となりました。

 

いかがだったでしょうか?

難しい用語もたくさん出てきましたが、なんとなく理解してもらえたら嬉しいです。

 

今回紹介した性判別の方法は、たくさんある方法の1つであり、これ以外にも血液や糞便により性判別を行う方法がありますので、気になった方は調べてみてください。

 

 

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カテゴリー  研究・調査
キーワード 小野
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