おもしろ飼育コラム

メコンオオナマズの見分け方
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メコンオオナマズの見分け方

みなさま、こんにちは! 暑さも少しずつ和らいできて、過ごしやすくなってきました。   今回は2階にある水槽『メコン川 中流の魚Ⅱ』のメコンオオナマズについてのお話しです。   メコンオオナマズは、世界最大級の淡水魚のひとつで当館のシンボルフィッシュにもなっています。水槽で5匹のメコンオオナマズを展示しています。 2016年9月12日にDLT法という計測方法で正確な全長を測定した時には、一番大きな個体で166.9㎝でした。それから4年も経っているので、より大きくなっているのは間違いありません。   さて、5匹のメコンオオナマズには『ソン』『サム』『シー』『ハー』『ホク』というタイの言語で数字を意味する名前が付けられています。これは、個体識別をして毎日の給餌量を把握するためです。   それぞれ、簡単に見分ける方法がありますので、ぜひ覚えてお気に入りの1匹を見つけてみてください♪   まずは、1匹目の『ソン』です。 『ソン』の特徴はエラぶた(黄色で囲ったところ)に切れ込みがあるところです。     続いて、2匹目の『サム』です。 体色が他の個体と比べて黒っぽく、吻先がやや丸くなっています。     3匹目は『シー』です。 背ビレの中央部分(黄色で囲ったところ)に黒い斑点があります。 背ビレの両面に斑点が付いていますので、どの方向から見ても見分けることができます。     4匹目は『ハー』です。 『ハー』は特徴がないことが特徴です。     最後、5匹目は『ホク』です。 体色がほかの個体と比べて薄く、背ビレの形(黄色で囲ったところ)が角張っていることが特徴です。       いかがだったでしょうか? よくよく観察すると、個体ごとの特徴があり、見分けやすいかと思います。   ちなみにですが、お客様によく『サメみたい』と言われているメコンオオナマズですが、その名前の通り、ナマズの仲間でして、ナマズの特徴でもある『ヒゲ』もしっかりと生えています! 合計で4本のヒゲが生えていますが、このうちの2本は観察しやすいところに生えています。   写真の黄色で囲ったところにとても短いですがヒゲが生えているのが分かりますか? 残りの2本は口の両脇のしわの中に左右1本ずつ、(写真の青色で囲ったところ)に隠れています。   私としてはヒゲが見えやすい『ホク』で探してみることがオススメです! 見分けるポイントをおさえて、ぜひメコンオオナマズたちを観察してみてください‼     Tweet

葉っぱも食べるよ
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葉っぱも食べるよ

皆さんこんにちは! 突然ですがクイズです!   これは小松菜です。誰が食べるのでしょうか? (動物じゃなくて魚ですよ~♪)     正解は…。 当館2階のメコン川エリアで展示しているグラミーの仲間たちです♪       そのままだと、葉がかたくて食べられないので、一度湯がきます。それをクリップに挟んで水槽内に吊るすと、グラミーたちが食べにやってくるのですが、私はこの様子を見るのが可愛らしくて好きなんですよね…♪   では、なぜ小松菜を与えるようになったのか、その経緯を先輩に尋ねてみました。 グラミーの仲間は動物プランクトンや小エビ、水生植物など色々なものを食べる雑食性です。 飼育スタッフが与える人工餌料やアカムシなどをよく食べてくれますが、それだけでは足りなかったのか、以前は水槽内に植えられている水草もついばんで食べていたそうです。 そこで、自然界で食べている水生植物の代わりに、いろいろな植物を与えてみたところ、この湯がいた小松菜が一番よいのではないか。ということになったそうです。   小松菜を与えるようになってからは、水草も食べられなくなり以前より状態が良くなったみたいです♪   どんな作業にも、一つ一つの事に意味がある。と改めて感じた瞬間でした。 小松菜給餌のアイデアを思い付いた先輩のように、新人平井もアイデアマンとなるべく、もっと生き物に関する知識を深めていきたいと思います。     Tweet

保全池から来たイチモンジタナゴ
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保全池から来たイチモンジタナゴ

こんにちは。残暑厳しいですね。   先日、三重県の松阪市まで行ってきました。 目的は、イチモンジタナゴ松阪個体群を譲り受けるためです。     木曽三川・長良川の展示ゾーンで飼育展示している生き物は、岐阜県内、あるいは濃尾平野を由来とする個体を展示するようにしていますが、どうしても入手できない場合があります。 今回のイチモンジタナゴもそのひとつ。 現在、岐阜県では在来の個体が見つからず、他の地域からの外来個体群が確認されるのみとなっているからです。   そこで、広い意味では同じ伊勢湾周辺の個体群であり、遺伝子汚染されていない、そして、産地が明らか、なおかつ系統保存にも貢献できる!いいこと尽くし!!ということで、今回、特別にお願いして保護活動により管理されている三重県松阪市の個体群を譲っていただけることになりました。     当日は保護活動を担っているタナゴの専門家の方にご案内していただき、保全池を見学することができました。   池の底には、産卵母貝となる二枚貝がわんさか!これは感動でした! (分布エリアからするとミナミタガイという二枚貝です)   水族館に持ち帰ったイチモンジタナゴは大きさが3~4cmで、数日の養生期間を経て、展示水槽に仲間入り。   ここと、 ここです。 この水槽では、同じくらいの大きさのカワバタモロコと一緒に群れていますよ。   来年の春には大きく育ったイチモンジタナゴの求愛行動が、展示水槽で見られるといいな。   オスには青みがかった婚姻色がでて、ヒレは赤くなり、   こんなふうにヒレを広げて求愛行動をみせてくれます。   イチモンジタナゴ松阪個体群は地元の自治会や、有識者の方々の手により、 大切に守られてきたものです。より良い展示ができるよう心がけます。     Tweet

仲間が増えました!
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仲間が増えました!

レッドジュエルフィッシュは、アフリカに生息するシクリッド(カワスズメ科)の仲間です。 2階「コンゴ川 河口の魚」水槽(ニシアフリカコガタワニの隣の小さな水槽)で展示しています。   最近、このレッドジュエルフィッシュの展示数が増えたのでご報告します。 大きな個体が写っていますが、これはもともと展示していた成魚です。 このように成長すると、白い宝石を散りばめたようなスポット模様に覆われます。   新たに展示水槽にデビューしたレッドジュエルフィッシュたちはまだ幼魚なので、黒い斑紋が目立ちますが、成長してゆくにつれて素晴らしい発色を見せてくれることでしょう!     また、今回レッドジュエルフィッシュの数を増やしたのは、この水槽で繁殖に挑戦したいからです。随分前に、隣のニシアフリカコガタワニ水槽でレッドジュエルフィッシュを展示していたのですが、そこでは時折、自然に繁殖していました。   現在の展示水槽は以前より小さくなりましたが、まずは幼魚をしっかり育てて、いずれは隠れ家となる障害物を増設するなどして親魚のペアリングを促していきたいと思います。   今後の成長が楽しみです。賑やかになった水槽を是非、ご覧ください!     Tweet

タガメの成長記録
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タガメの成長記録

前回は水生昆虫の卵についてブログを書きましたが、今回はその中のタガメの成長について書いてみたいと思います。 タガメは、種の保存法に基づく特定第二種国内希少野生動植物種に指定されており、2020年2月10日から販売・頒布目的の捕獲や譲渡は禁止されています。   さて当館では、今年の6月7日にタガメの産卵を確認しました。オスが卵を保護していたのですが、一部の卵には水の補給がないようで、十分に成長していないようでした。 (卵の大きさにばらつきが見られます。)     本来だとオスが卵を乾燥しないように世話をしますが、うまくできていないようなので、下の写真のようにペットボトルを加工して、卵が産み付けてある木の杭を湿らせるようにして卵の成長の様子を見ました。   6月16日に20個体の幼虫が産まれてきました。産卵数の1/4程度のふ化率でした。 成長の悪い小さかった卵は残念ながらふ化しませんでした。 生まれたばかりの1令幼虫は体に黒の縞々があるのが特徴です。   下の写真は1令幼虫がオタマジャクシを食べている様子ですが、暴れる獲物に体を麻痺させる成分の含まれた消化液を注入して、ゆっくり時間をかけて獲物の肉質などを溶かして食べていきます。   6月21日には1回目の脱皮をして2令幼虫になりました。2令幼虫からは体が緑色になります。水草など植物に紛れて目の前を通る獲物をじっと待ちます。   続いて6月28日に3令幼虫、7月6日に4令幼虫、7月15日に5令幼虫に脱皮しました。 5令幼虫は最後の脱皮前には体色が赤銅色になり羽化の準備ができたことがわかります。   最終的には8月1日に無事に成虫になりました。 タガメは成長に伴って脱皮をして、約1.5倍ずつ大きくなります。   タガメは5回の脱皮を繰り返して成虫になりますが、その脱皮殻を並べてみるとタガメの成長の具合がわかりやすいかと思います。 これまでもタガメの繁殖には取り組んできましたが、かなり手間がかかることや、上手くいかない年もあったりしました。 そこで今年から水質の悪化を防げるように飼育設備を改良しました。また、幼虫が餌を捕まえやすいように水位を低くしたり、脱皮の足場となる水草や流木などを多めに入れたこと、共食いを避けるため適切なタイミングで個別飼育に変更したことなど、こつこつ工夫したことが功を奏して、大成功でした。   Tweet

闇夜ににょろにょろ
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闇夜ににょろにょろ

こちらは当館3F長良川の展示ゾーン「ゆるい流れの魚」水槽で展示しているニホンウナギです。     バックヤードにも2匹だけですが、ニホンウナギを飼育していて、こちらは大きさ25cmほどとデビューさせるにはまだ小さいです。 ニホンウナギは夜行性ですから、日中はこのように隠れ家に入っていて、ほとんどの時間は顔だけしか見ることができません。 完全に隠れてしまって姿が見えないこともあります。 エサを与えると、にょろっと頭を隠れ家からのばしてくれることはありますが…。 体全体を見ることが中々できないので、瘦せてないかな~。ケガはしてないかな~。 と、私はよく不安になっています。     そこで、暗くなれば隠れ家から出てきて、その全貌を見せてくれるはず…と、当直時の真夜中に覗いたところ…。 隠れ家からにょろりと出てくれていました! お!ちゃんと太って成長してきているな…!と嬉しく思いました。 私は、暗闇が苦手なので当直はいつもびくびくしながら行っていましたが、この時ばかりはとてもほっこりとした気持ちになりました。     Tweet

オオサンショウウオの行動にびっくり!
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オオサンショウウオの行動にびっくり!

初めまして。4月に入社しました展示飼育部の戸矢と申します。 飼育業務を行っていると、なかなか見られない生き物の行動に驚くことがあります。 当館3F「清流近くの生きもの」水槽のひとつではオオサンショウウオを展示しております。普段は写真のように水槽の右奥の方でじっとしていることが多いです。   しかし、ある日の閉館後に水槽を見てみるとオオサンショウウオが水槽の前方に出てきていました。あれ?どうしたのだろうとよく見てみると…   オオサンショウウオの周りにモヤが!! このモヤの正体はオオサンショウウオの脱皮した皮膚(脱皮殻)です。オオサンショウウオって脱皮するの!?と驚く人も多いと思いますが、ヘビやトカゲのような爬虫類だけでなくサンショウウオやカエルといった両生類も脱皮をします。   さらに、オオサンショウウオはこの脱皮殻を食べてしまいます!実は、オオサンショウウオだけではなく、多くの両生類は脱皮殻を自分で食べてしまうのですが、実際にその行動を目にしたのは初めてで、テンションが上がりました!     なんで自分の皮を食べるの?と不思議に思い、その理由を調べてみたところ、栄養補給のためであるという説や、脱皮した皮が残っていることで捕食者に自分の居場所知らせてしまうことを防ぐためという説などがあげられているのですが、はっきりとした理由は明らかになっていないようです。   また生き物の変わった行動を発見したらブログで報告していきますのでお楽しみに!     Tweet

センターポジション
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センターポジション

みなさんこんにちは。 じめじめとした梅雨が終わり、セミの鳴き声が聞こえ始め、真夏の匂いがし始めました。   今回はよくよく考えると少し変わった行動なのに、飼育スタッフとしてはナイス!と思う行動をする、そんな個体をご紹介します。     それはこちら   2F「コンゴ川下流の魚」水槽にて展示しているテトラオドン・ムブです!     アフリカのコンゴ川やタンガニーカ湖などにすんでいるフグの仲間で、淡水のフグの仲間としては、特に大きい種類で最大67cmという記載があります。   まず目につくのは体の模様でしょうか。   「体にある網目模様で、迷路をしてしまうよね」とお子様たちと話したこともあります。     この個体ならではの行動が、   良く見えるポジションにいつもいる!です。   それは(もうここのセンターポジションはゆずらないぞ)と言わんばかりです。   こちらの水槽は奥行きがある形をしているので、奥側にはかなりのスペースがあるのですがそちらへ移動することは全くないんです。     砂の中にずっと潜ってしまって見えないという飼育スタッフ泣かせの生き物たちがいる一方で、常によく見える位置にいるムブには、ついついナイス!と思ってしまいます。   さらに、このムブのいるガラス面はほとんど毎日潜水清掃を行うので、どちらかというと居座り辛いはずなのですが、ムブはこのポジションから離れません。   奥側にムブが嫌がる何かがあるということはなく、ムブを追いかけて攻撃するような魚もいないので不思議です。   このセンターポジションをキープしつつ、まだまだ大きく成長して様に存在をアピールしていって欲しいですね!   Tweet

ニューフェイス
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ニューフェイス

みなさん こんにちは。     さて、実はちょっと前に3階にある『下流の魚』水槽に カルガモ2羽が仲間入りしました!     カルガモは、国内で繁殖しているカモの仲間で、以前から展示はしていましたが、この度、大阪市の天王寺動物園から2羽を新たに搬入しました。 その搬入の様子、ちらっとお見せしますね!     受け取り当日、朝から車を走らせ大阪へ。   道中、土砂降りの雨に降られながらも大阪に到着し、カルガモを受け取って岐阜に帰ってきました。   着いてまず、体重測定や、健康状態のチェックなどを行います。     ひと通り確認も終えて、いよいよ展示水槽にデビュー!!・・・と言いたいところですが、新しい場所に来てまだ慣れていないので、展示水槽には出さず、一晩、展示水槽内にある隔離小屋にて過ごしました。     そして翌朝、正式に展示水槽デビューです! 初めは、植栽の茂みに隠れていましたが、最近では、前に出てくることも多くなってきました。   ちなみに、それぞれ黄色と黄緑色のバンドを足につけていますので、ぜひこの水槽の前を通った際には探してみてくださいね!   では!     Tweet

水生昆虫の卵
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水生昆虫の卵

現在、当館ではゲンゴロウ、コオイムシ、タガメ、タイコウチの4種の水生昆虫を展示飼育しています。 今年も繁殖期をむかえ、5月1日にゲンゴロウが、5月5日にコオイムシ、6月7日にタガメ、6月8日にタイコウチがそれぞれ産卵しました。 今回は、その中でもカメムシ目に分類されるコオイムシ、タガメ、タイコウチの繁殖に注目してみたいと思います。       まずはコオイムシ(子負虫)ですが、名前が示すように、コオイムシのメスが、オスの背中に卵を産みつけます。 写真のように卵は長径2mm、短径1.3mmほどの楕円形で、これを背負い、保護するのはオスの役割です。オスが積極的にアピールし、1匹のオスに複数のメスが卵を産みつけるのが一般的です。 オスは卵を背負うと酸素を供給するため、水面から卵が出るようにしてじっとしていることが多いようです。 卵は成長に伴い水分を吸収しながら大きくなります。1~2週間ほどで最初の1.5倍くらいの大きさになると、幼虫がふ化します。         次にタガメですが、写真のように水面から出た木の杭や水草の茎などに卵を産みつけます。 受精した卵は白地に黒い縞が入った長径5mm、短径2.5mmほどの大きなもので、1回の産卵でおよそ80~90個が産みつけられます。 タガメのオスはふ化するまで、この卵の世話をします。直射日光が当たるときは自分の体で卵の上に覆いかぶさって日陰にしたり、定期的に口に含んだ水分を卵に補給して乾燥するのを防ぎます。また、外敵が襲ってきたときは、威嚇して追い払うこともあります。 1~2週間で卵が1.5倍くらいの大きさになると幼虫のふ化が始まります。ふ化はほぼ同時で一斉にたくさんの幼虫が産まれてきます。しばらくはオスが幼虫を外敵から守ります。     最後にタイコウチの卵は湿った土やコケの中に産みつけられます。 当館では生け花などで使う吸水スポンジを産卵床として使っています。 長径3.7mm、短径1.5mmほどの楕円形の卵に呼吸糸というひげのようなものが生えています。この呼吸糸は卵に酸素を送ることができ、卵が水没しても呼吸糸を通して呼吸することができます。 下の写真では呼吸糸だけが出ていて、卵はスポンジ内に埋め込まれています。   1回の産卵で10~12個ほど産卵します。 ふ化直前になると卵の中の幼虫が透けてきて、卵自体が赤っぽくなります。           このように産卵場所や子育てに違いがあるというのは、面白いですよね。       Tweet ;

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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