おもしろ飼育コラム

メコンのタイガーフィッシュ!
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メコンのタイガーフィッシュ!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   当館で展示する魚たちの中でタイガーフィッシュといえば、アフリカのコンゴ川水槽で展示しているタイガーフィッシュやゴライアスタイガーフィッシュを思い浮かべる方も多いと思いますが、今回紹介する魚は東南アジアを流れるメコン川のタイガーフィッシュです。   この魚はフォーバータイガーという名で展示しているダトニオイデス属の魚です。 魚体は黄色と黒色の虎模様であることから、現地のカンボジアではトライ・クラー(虎魚)と呼ばれています。   さらに詳しく紹介すると、このダトニオイデス属の魚たちは、東南アジアからニューギニアにかけて5種類が知られており、そのうちの3種類がメコン川で記録されています。   日本のアクアリウムでも昭和の熱帯魚ブームの頃から人気のある魚で、現在も根強いファンを多くもつ魚でもあります。     そんなメコン川のタイガーフィッシュたちですが、豊かな自然環境が失われつつあるメコン川では3種類すべてにおいて、年々減少傾向にあると考えられています。   私自身は足掛け約25年に渡り、カンボジアを中心にタイ、ベトナムで魚調査をしてきましたが、この魚に出会うまでには約10年もかかりました。これだけ長い年月がかかった理由は、少ない魚というだけではなく、私にとっては見知らぬ国での魚探しでしたので、自身の力不足も大いに関係しているのですが、それでも他の魚たちと比べると、出会うまでの道のりは長いものとなりました。     今回はメコン川に生息する3種のタイガーフィッシュの中から当館で展示しているフォーバータイガーとの出会いを紹介します。 カンボジア全土の淡水魚類をすべて見たい!という想いから始めた魚調査の中で、10年探しても見つからない魚が、どのような環境で泳いでいるのだろうか?そんな姿を一度は見てみたい!という気持ちは日に日に強くなっていました。       そんなある日、偶然立ち寄ったメコン川沿いの町での事です。早朝、港に集まって来た魚屋さんの小舟の中に1尾のフォーバータイガーを見つけたのです。私はこの機会を逃すまいと、漁師さんが住む村へ案内してもらい、フォーバータイガーに水中で出会うチャンスを得ました。   その舞台はメコン川に浮かぶ小さな島で、数えるほどしか住民はいませんでしたが、ほぼ全世帯が漁師さんで、ちょうどその時期は潜ってフォーバータイガーを採る漁をしているという話を聞くことができました。しかし、翌朝の漁が待ちきれず初日の夜はほとんど眠ることもできませんでした。   翌朝、小舟に乗り込み、メコン川本流のポイントへ向かっていると、「ここにいるぞ‼」という声と共に舟が停まり、村の漁師たちと一緒に素潜りでメコン川に潜ってみることになりました。その川底一面は岩盤で覆われ、私でも立てる浅い場所があるかと思えば、そのすぐ脇は急に深くなっている場所もあり、とても起伏の激しい環境でした。しかも足を踏ん張らないと立っていられない程、流れが速い場所でした。   その厳しい環境下で私も潜る事に少し慣れてきた頃、「いたぞ‼ついて来い!」という漁師さんの掛け声を聞いて、その場所へ案内してもらいました。一軒家ほどある大岩の斜面を5m潜った時です!ついに、あの虎模様をしたフォーバータイガーが川底の岩陰にひっそりと身を隠している姿が見えたのです。でも残念ながら、さらに2mくらい接近したところで魚に気付かれ、逃げられると同時に私の息も限界が近くなり、水面に浮上することになりました。 これが水中で出会ったフォーバータイガーとの初対面となりました。その後は回数を重ねる毎にフォーバータイガーが好む環境条件が少しずつ分かるようになり、大きな成魚の姿を探してじっくりと観察できるようになりました。しかし、流れが速いため、写真撮影をする余裕はなく、両手は岩にしがみついたり、泳ぐ事にしか使う事ができません。   その一方、小さなフォーバータイガーの幼魚たちは比較的流れの緩やかな場所にいる事がわかり、水中でエビを捕食する様子や、仲間同士でケンカする様子などフォーバータイガーの生活の様子を観察する事もできるようになりました。   当館で展示しているフォーバータイガーは人懐っこく、クリっとした大きな目が私は大好きです。当館へお越しの際にはぜひフォーバータイガーの姿を探してみてください。   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

3mのパーカーホーに出会いたい
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3mのパーカーホーに出会いたい

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚はコイ科で最も大きくなるパーカーホーです。   その大きさは最大で全長3mになるといわれ、そんな魚がメコン川に泳いでいると思うと、ちょっと怖くなってしまう程の大きさです。     パーカーホーはメコン川が流れるカンボジアで国魚に指定され、国民の誰もがその名を知っている魚です。しかし、実際に実物を見た事のある国民はそれほど多くないと思われます。 なぜならば、上の写真のように大人一人では抱えきれない程大きなパーカーホーは、近年メコン川流域で起きている様々な自然環境の変化によって激減しているからです。     私がカンボジアで魚調査を始めた2000年頃には、すでに生息数が減っている種になっていましたが、それでも時々、魚市場でびっくりするような大きさのパーカーホーに出会う機会がありました。 それ以降、年々その姿を見かける機会も減り、2010年以降は20~30㎝程の幼魚の姿を見つけるだけでも幸運といって良いくらい激減してしまいました。     また、パーカーホーはメコン川本流のような大きな河川やそこにつながる湖などに生息しています。漁師さんの船に乗った際、定置網漁や刺し網漁を手伝いながら調査をしていると、小さなパーカーホーを何度か見る機会がありましたが、決して狙って採れる魚ではありませんでした。   ちなみに、上の写真の様に魚市場で売られる小さいパーカーホーはすべて生鮮魚として誰かに買われ、料理されて食べられてしまいます。私も漁師さんの家で一度だけ食べましたが、他のコイ科魚類と比べると多少美味しいかな?という印象のお味でした!     現在、カンボジアでは大きなパーカーホーが漁で採れた時には、水産局職員が記録した後、放流しているそうです。パーカーホーは大きく成長しないと産卵をしない種であるため、小さい幼魚の保全はもちろんですが、大きな個体をしっかりと守ることはとても大切な対策の一つです。     大きく成長すると、魚体の1/3が頭部といわれるくらい大きな頭をもつパーカーホー! アンコールワット寺院の壁画に1個体だけ描かれているのを見つけました。 (壁画の中の魚が見やすいように明暗をつけた加工をしています)   この壁画からもアンコール王朝時代には全長3mのパーカーホーがメコン川に泳いでいた姿が想像できます。私も当館の「メコン川中流の魚」水槽で元気に泳ぐパーカーホーを眺めながら、メコン川の自然環境の回復を願うと共に、いつか3mのパーカーホーに出会う事を夢見ています。   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

壁画から甦る魚たち?!
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壁画から甦る魚たち?!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。 今日、紹介するメコン川の魚は壁画に描かれた魚たちです。   メコン川が流れるカンボジアには12世紀に建てられたアンコールワット遺跡があり、現在は世界遺産に登録されています。   そのアンコールワットにある東第一回廊の壁には乳海攪拌(にゅうかいかくはん)という神々の天地創造神話が描かれており、神々と共にメコン川の魚たちが彫られています。 この神話はお話しするととても長くなってしまうので、興味のある方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。とても魅力的なお話ですよ!     さて、今日はこの壁画に描かれている魚たちに注目してみます。 私がこの壁画を初めて見たのはカンボジアで魚調査を始めた25年前になりますが、壁画の中の魚たちをよく見てみると、どれも特徴がしっかりと描かれていました。   どの魚も、私にとっては調査中に出会う魚たちばかりでした。そして何よりもこの壁画を彫った千年近く昔の石工さんたちが、しっかりと魚たちの特徴を理解して表現している事にすごく感動した思い出が今も心に強く残っています。     それでは今回は、その壁画の中から当館で展示している魚を4種ピックアップしてご紹介いたします。     1種目はこちらの魚です。(壁画の中の魚が見やすいように明暗をつけた加工をしています) いかにも魚らしい姿ですが、このひし形の体型や鱗の大きさ、鰭の形状などから想像すると、コイ科の魚だということがわかります。そしてこの地域に生息するコイ科の中で現存する種類を見ていくと、イエローフィンバーブの仲間だと想像することができます。 現在もバーブの仲間は重要なタンパク源として食されています。     2種目はハンパラバーブです。 こちらもコイ科の魚ですが、頭部が大きく、やや細身の体型をしていますよね。この姿をした現存種はハンパラ属の魚しかいません。体の中央にある大きな黒い斑点が描かれていれば完璧ですね。上のイエローフィンバーブ同様に美味しいですが、小骨が多い魚なのでちょっと食べにくい魚です。     3種目はナイフフィッシュの仲間です。 別名はナギナタナマズとも呼ばれる魚でその姿はまさに細長くカーブする長刀の様です。メコン川では4種のナイフフィッシュが知られており、当館ではそのうちの1種を展示しております。     最後の4種目は当館でも大人気のメコンオオナマズの仲間です。 本当はメコンオオナマズです!と言いたいところですが、種類まではわからないため、ここではメコンオオナマズを含むパンガシウス科の魚たちとさせていただきます。 この壁画では他の魚たちよりも一際大きく描かれており、コイの仲間とは違い、鱗も描かれていません。さらに、背びれと尾びれの間にある小さな脂(あぶら)びれがしっかりと描かれていますよね。現在、メコン川では絶滅の危機に瀕しているメコンオオナマズですが、当時はもっとたくさんいたのだろうな~と想像してしまいます。     さて、今日紹介した魚たちは、「メコン川中流の魚」水槽にて展示しております。千年以上前の人々が見ていた魚たちを、当館の水槽でもご覧いただけます。   ご来館の際には、アンコール王朝時代のメコン川を想像しながら、じっくりと魚たちを見ていただけると嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

サイとゾウの耳はそっくりさん!?
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サイとゾウの耳はそっくりさん!?

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚は「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」です。 前回、メコンの魚シリーズでメコン川のキュウリウオを紹介しましたが、 現地では人々の生活の中から発想を得て、身近な生き物に名をつけることがあります。 これはメコン流域だけではなく、日本の生き物たちの名にも見られますよね。     今日、紹介する「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」もそんな生き物たちです!     最初は「サイウオ」についてです。 メコン川流域にもかつてはジャワサイというサイが広く生息していましたが、 密猟や森林破壊などによってメコン川が流れるインドシナ半島では絶滅してしまったそうです。 かつてメコンの川辺や森で暮らしていたサイたちに似ている事から名づけられた 「サイウオ」とは、一体どんな魚なのでしょうか? その魚がこちらです!   一体、どこがサイなのか?と思われた方もいらっしゃると思いますが、 サイのしゃくれた顔がこの魚の顔つきと似ていませんか? この魚はオスフロネムス・エクソドン(Osphronemus exodon)という魚で 以前紹介したグラミーの仲間でカンボジアでは北東部のメコン水系に生息しています。 現地名では「サイウオ【トライ(魚)・ローメア(サイ)】」と呼ばれています。     そして次は「ゾウの耳ウオ」です。 カンボジア南西部にはカルダモン山脈という原生林が残る山々があり、 その森には現在も野生のアジアゾウが生息しています。 ゾウといえば長い鼻が一番の特徴ですが、もう一つの特徴は丸く大きな耳ではないでしょうか。 ゾウの耳のように大きく丸い姿がこの地域に生息するオスフロネムス・グラミー(Osphronemus gouramy)と似ていることから、「ゾウの耳ウオ【トライ(魚)・トロチア(耳)・ドムライ(象)】」と呼ばれています。     そこでこの2種類のオスフロネムスですが、並べてみると、とってもよく似ていますよね。 そんな2種類の魚たちですが、それぞれの地域に暮らす人々が名づけた名は、逆の地域では互いに使われることはないようです。それぞれの地域の人たちが自然の中で培った独自の文化なのでしょう。     今回、紹介した「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」は「メコン川中流の魚」水槽(メコンオオナマズのいる水槽のとなり)で展示しております。   一見すると本当にそっくりで、鰭の条数など、学術的に見れば違いははっきりしますが、見慣れてくると、パッと見ただけでも、雰囲気だけで見分けられるようになるはずです。     当館はみなさまのお陰で今年20周年を迎え、暑い夏休み中もたくさんの方々にご来館いただいております。当館へお越しの際にはそっくりな「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」を見比べながら、インドシナ半島では絶滅してしまったジャワサイの顔つきとカルダモンの森に今も生息するアジアゾウの耳を連想して楽しんでいただけると嬉しいです!   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

カナヘビの赤ちゃん、今年もうまれてます!
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カナヘビの赤ちゃん、今年もうまれてます!

みなさまこんにちは。 残暑の候、いかがお過ごしでしょうか。 館内の多くのスタッフは暑さにやられてへばっておりますが、館内のニホンカナヘビたちはひときわ元気いっぱい過ごしております。 なぜならそう、繁殖の季節だからです!     ビビっときたある日、飼育ケージ内にある石をそっとどけると・・・     ↓↓↓     なんと、そこには産卵中のカナヘビが! ニホンカナヘビは、石や葉っぱが堆積したところの下など、少し湿っぽい場所に卵を産むのです。春ごろから湿ったミズゴケを石の下に設置しておいたのが功を奏したようです。   ニホンカナヘビは卵の世話をしないため、ここからはスタッフの出番です。     まず、湿ったミズゴケを敷いたケースに卵を回収します。このとき、卵の向きを変えてしまうと、胚がさかさまになり発生が止まってしまうかもしれません。私は間違えないよう、卵にペンで印をつけておくことが多いです。   ケースは直射日光の当たらない場所に置き、ミズゴケが乾かないよう定期的に霧吹きで水をかけます。ただし、あまりにべちょべちょだと卵がカビてしまうため、適度な量を心がけます。   卵は水分を吸収し少しずつ大きくなっていきます。上の写真では、右のほうが回収したばかりの卵、左のほうがふ化間近の卵です。二倍以上の大きさに膨らんでいることがよく分かりますね。   一か月半ほど経過すると・・・   ひょっこり、卵から顔を出しています!     うまれたカナヘビの赤ちゃんたちは、コオロギの赤ちゃんやショウジョウバエなどを与えて世話をします。赤ちゃんが大きくなるにつれ、与えるごはんも大きくしていきます。       これからもすくすく育ちますように! 来年には展示デビューできるよう、飼育スタッフみんなで丁寧に世話をしていきたいと思います。   ニホンカナヘビたちの繁殖の季節はまだまだ続きます。元気いっぱいのカナヘビたち、ぜひ観察しにお越しくださいね。

闇夜に潜む森のハンター
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闇夜に潜む森のハンター

みなさまこんにちは。   夏もいよいよ本番になり、暑い日が続いているせいか、先日車が停車途中で動かなくなってしまいました・・・ 体は元気でしたので、運動ついでに家まで散策しながら走って帰宅し、家族が私の汗だくな姿をみて笑ってくれたので、疲れの方はすっ飛んでいきましたが、修理費用でお財布の中身もすっ飛んでいきそうで焦っている中野です。   みなさまも外出する際は、くれぐれもお気を付けくださいね。     さてこの夏、アクア・トト ぎふは開館20周年を迎え、新施設のオープン・特別企画展の開催など盛り沢山の内容で皆さまをお迎えいたします。   その中でも7月13日より、新しく仲間入りした生き物をご紹介します。 この仲間は、夜行性の種が多く、森の真っ暗な闇の中でハンターとして、優れた能力をもっています。 一つ一つご紹介しますので、どんな生き物なのか考えてみてくださいね。     まず、一つ目の特徴は眼です。体に対して非常に大きな眼をもち、暗い夜でもわずかな光を感知することができるため、獲物の動きを正確に捉えることができます。     二つ目は、尖ったくちばし。肉食性で、大型の昆虫、ネズミやカエル、トカゲ、小鳥などを食べます。下向きに少し曲がっているのは、大きな眼の視界をさえぎらないためと考えられています。     三つ目は音を立てずに飛ぶことができる翼です。羽ばたく音をかぎりなく消すことで、獲物から気づかれず接近することが可能です。     さあ、もうどんな生き物かわかってきましたか? 最後は私の気に入っている特徴です。     頭の上にある羽角(うかく)と呼ばれる飾り羽です。耳ではありませんが、ウサギの耳みたいでなかなかかわいらしいです。仲間を見分けるためや枝に擬態するためにあると考えられています。     それでは、今回仲間入りしたこのような特徴をもつ生き物は・・・・   フクロウの一種「オオコノハズク」です。     自然下では木の洞の中で生活していますので、展示でも用意してみたところ、初めはほとんど利用してくれなかったのですが、最近木の洞にいるところを目撃し感動しました。     普段は写真のようにじっとして、木の枝などに紛れて見つけにくいかもしれませんが、習性の一つなので頑張って見つけてみてくださいね。 *正面に一羽います     ちなみに、現在2羽展示しており、体が大きい方がメス、小さい方がオスのペアです。     夜行性で森の中で生活しているため、自然下では滅多に目にすることができませんので、ぜひ見に来て下さいね!   最後に、こちらの個体は、井の頭自然文化園様に多大なご協力をいただき展示することができました。 この場をお借りし、お礼申し上げます。

メコンのキュウリウオ?!
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メコンのキュウリウオ?!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚はキュウリウオです。   日本の魚に詳しい方であれば、 キュウリウオ科のアユやワカサギ、シシャモなどを 連想する方が多いのではないでしょうか?     今日紹介するキュウリウオはメコン川が流れる カンボジアのキュウリウオです!     カンボジアの水辺にもたくさんの魚たちが生息しています。 その中には色や模様、形などの特徴から、 日常生活でよく目にする物に例えた現地名がつけられた魚たちがたくさんいます。   その一つがキュウリウオなのですが、 まずはその姿を見てもらいたいと思います! それがこちら!!(現地の魚市場で撮影したものです)   キュウリウオなので野菜のキュウリ(胡瓜)っぽいかと思いきや・・・ キュウリにはまったく似ていません。     そこで、今度はカンボジア全土でごく普通にみられる カンボジアのキュウリを日本のキュウリと一緒にご覧ください! 日本で食べるキュウリとだいぶ違います。 太く短く、縦に薄い線が何本も入っていますね!   この魚のしま模様がキュウリのしま模様と似ていることから、 現地ではキュウリウオ(トライ・トローソッ)と呼ばれるようになったそうです。 (カンボジア語で「トライ=魚、トローソッ=きゅうり」という意味です)     ここで恒例の食レポです! このキュウリウオはコイの仲間(コイ科)ですので、 「とにかく骨が多い!」の一言です! 焼いても、煮ても、どこを食べても、骨が・・・ 比較的きれいに魚を食べる自信のある私でも途中で嫌になってしまうくらいです。     さて、今日紹介したキュウリウオは、 「タイガーバーブ(Probarbus sp.)」という名で メコンオオナマズが泳ぐ「メコン川中流の魚」水槽にて展示しています。 メコンの恵みを受けて生活しているカンボジアの人々が、 生活の中で名付けた「キュウリウオ」について紹介させていただきました。     当館はおかげさまで今年20周年を迎え、イベントも盛りだくさんです。 ぜひ足を運んでいただき、メコンオオナマズと一緒に泳ぐタイガーバーブ(キュウリウオ)の姿も見つけていただけると嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

世界最大級の淡水魚
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世界最大級の淡水魚

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。 7月14日に当館も開館20周年を迎えることができました。 応援いただいている皆さまに感謝申し上げます。 さて今回紹介する魚はメコン川にすむ世界最大級の淡水魚です。 その魚はタイの現地名でプラークラベーンとよばれるエイの仲間です。 エイと言っても海ではなく、川すなわち淡水にすむ淡水エイになります。 世界各地には大きな淡水魚たちが数多く知られていますが、 2022年にカンボジアを流れるメコン川で世界記録を更新する 大きなプラークラベーンが釣りあげられました。 その大きさは鼻先から尾の先まで4m、重さは約300㎏もあったそうです。 このメコン川の巨大エイを当館ではメコン川中流の魚水槽で展示しておりますが、 まだまだ世界最大級のサイズには程遠い大きさです。 当館では飼育を始めてからまだ数か月ですが、 毎日ごはんをたくさん食べて順調に成長しています。 世界最大級の魚がメコン川にいる事を知っていた私は、 この魚を一度は自分で採ってみたい!と思い、 漁師さんと共に一週間ほど漁をした事があります。 でも、その漁は毎日行うエサの準備や大きな石をオモリにした仕掛けの準備など、 想像以上に大変で、あっという間に一週間が過ぎてしまい、結果は惨敗でした。 私がお世話になった漁師さん一家は村一番の漁師でしたが、 それでも近年では年間10尾採れれば良い成績だと話をしてくれました。 メコン川の自然環境は日々変化しており、 そこに生息する生き物の多くは危機的な状況になっていることを肌で感じると共に、 季節外れに一週間チャレンジしたくらいではプラークラベーンに出会うのは 難しいということを思い知らされた調査となりました。 それでもメコン川でエイが採れれば、近くの市場で食用として売られます。 私も市場で何度かエイが売られているのを見てきましたが、 1mを超えるエイはとても迫力があり、メコンの怪魚らしい風格があります。 大きな個体になると、まるごと買う人はめったにいませんので、 買いやすい大きさにして売られます。 やはり現地でも珍しい魚なので、エイが売られていると、 お店のまわりには人が集まってきます。 最後に恒例の食レポです!私もプラークラベーンの味には興味がありました。 500g程買って帰り、スープにして一度だけ食べた事がありますが、 味付けが悪かったのか?それとも魚そのものが美味しくなかったのか? どちらかわかりませんが、決して美味しいとは言えない味だったのを覚えています。 ご来館の際にはこれから成長していくプラークラベーンの姿を ご覧いただき、末永く見守っていただけると幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

田んぼのムカデ!?
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田んぼのムカデ!?

皆さまこんにちは。 梅雨時期が始まり、田んぼにも苗が植えられて緑が濃い季節になりましたね。   さて、当館でも展示に少し変化がありました。 それがこちら、水族館3階にあります「岐阜にすむ水生昆虫・里山の生き物」水槽の生き物が変わりました。   その生き物がこちら。皆さん、こちらの生き物知っていますか?     実はこの生き物、ゲンゴロウの幼虫なのです。 こちらの大きな水槽で展示しているゲンゴロウの成虫とは、全く違う形をしています。         ちなみにゲンゴロウの卵はこちら。   1㎝ほどの卵を植物の中に産みつけます。   そして卵からふ化した幼虫は、水の中で暮らし、昆虫やオタマジャクシなどを食べて大きくなり、2回の脱皮を経て、3令幼虫まで成長します。ちなみに当館では、バックヤードで飼育している餌用のコオロギを与えて育てています。 このコオロギを挟んでいる部分がゲンゴロウのアゴです。このアゴで獲物を挟み、消化液を注入して体内の組織を溶かし、吸います。 3令幼虫にもなるとかなり獰猛で、このアゴで挟まれると人間でもかなり痛く、昔は「田のムカデ」と言われ恐れられていたようです。     ふ化してから40日ほどたつと、3令幼虫は8㎝ほどになり、体型も丸々としています。     今回展示できるのはこの3令幼虫までとなります。 実は、この丸々と太った幼虫はその後、土に潜るのです。土に潜ってからの話しは次回のコラムで書こうと思います。     こちらの展示は7月中旬ごろまでを予定しています。 短めの期間ですので、今しか見ることの出来ないゲンゴロウの幼虫の姿を、皆様ぜひ見に来てくださいね。

メコンの村に伝わるグラミーの生食文化!?
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メコンの村に伝わるグラミーの生食文化!?

みなさまこんにちは。 展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚はスリースポットグラミーという魚です。   グラミーの仲間は東南アジアを中心に分布する魚たちで、 体長2㎝ほどの種から50cmを超える種まで、大きさも様々です。   当館では「草地水溜りの魚(雨季)水槽」に3種のグラミーを展示しております。 今日はその中のスリースポットグラミーに注目してみましょう。   大きさは10~15㎝ほどで、尾ビレのつけ根と体の中央に黒い目玉模様があります。 この2つの目玉模様と同じ大きさをした本物の目を合わせると、 見事に3つの目玉模様(スリースポット)の完成です!   そしてもう一つ、胸のあたりから伸びる細長いヒゲのようなものが グラミーの仲間たちの特徴といえます。 これは腹ビレが発達して長くなったもので、 この長いヒレを動かす様子を当館の水槽でも観察することができます。     このグラミー、水槽でじっくりと観察するには最高の魚たちですが、 カンボジアのある村では昔からこの魚を生で食べる文化があります。 それがこちらの写真です。     私はこれまでメコン川流域の淡水魚たちを数多く食してきましたが、 どの地域でも、どの種類でも、火を通した料理か干物料理が出てきます。   グラミーの料理に関しても同様でしたが、 ある日、ある村に滞在した際にスリースポットグラミーの 生食料理と出会う機会が巡ってきたのです。     料理自体はすごく簡単なもので、 まずは村の近くを流れる水路でグラミーをすくってきます。   それを三枚におろして水瓶に貯めた雨水でかるく洗ってから、 ライムをギュッとしぼって30分ほど漬けておきます。 そして塩コショウで味付けして、ピーナッツを砕いたもの、 庭に生えている数種類のハーブ、モヤシをお皿に盛りつけて出来上がりです!     そのお味はというと、ハーブの味と香りが強いので、 正直、グラミーの味はほとんどわかりませんでした!     私はこの村で3回この料理と対面しましたが、結果は以下の通りです。 1回目は食べている間に強い腹痛に襲われて完食できず、 2回目はたくさん食べているフリして一口だけにセーブ、 3回目は村の人たちに正直に説明して食べずにギブアップ・・・でした。       私の感想はさておき、 大小さまざまな500種以上もの淡水魚がいるこの地域で、 なぜスリースポットグラミーだけを生で食べるのか? なぜこの村でしか食べないのか? 私にとってはとてもミステリアスで興味をそそる現地の食文化のお話しでした。     ご来館の際にはスリースポットグラミーの体の模様や、 長い腹ビレを動かす様子をじっくりと観察していただきながら、 グラミーのカルパッチョ風(ライム漬け)料理の お味を想像していただけると嬉しいです! 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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