おもしろ飼育コラム

今が見ごろのサンショウウオ
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今が見ごろのサンショウウオ

いよいよゴールデンウイークに入りましたね。   新しく始まった企画展「そっくりないきもの」や、オオサンショウウオ幼生の特別展示など、今のアクア・トト ぎふは見どころ満載です。 さて、その中でも私が今の時期に、強く強くオススメしたい展示があります。     そう、小型サンショウウオの展示です。 この写真に写っている一番右の水槽がアツいのです。   ここではマホロバサンショウウオとヒダサンショウウオの2種が展示されています。   普段は隠れがちで、1~2匹がなんとか観察できるというような飼育スタッフ泣かせな生き物ですが、今の時期はこのようになっております。 繁殖期を迎え、ムッチムチのサンショウウオたちがミッチミチに大集合しています。     さらに2023年5月4日の夕方には、このような行動も観察できました。       開館中に産卵、さらにオスが卵嚢を抱いて受精させています!   ヒダサンショウウオは渓流中の大きな石の下などで産卵するため、こういった行動を野外で観察することは非常に困難です。 もしかしたら、今年も開館中にこのような行動が観察できるかもしれませんよ。     ゴールデンウイークの館内は混みますが、15:00以降は比較的ゆっくりと観覧できますので、ご来館お待ちしております!

フトイモリのおとなとこども
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フトイモリのおとなとこども

久しぶりの飼育コラムです。田上です。   今回はキメアラフトイモリ Pachytriton granulosus について書きます。   このイモリは中国に生息するイモリで、成体は山の中の渓流などで暮らしています。 2015年に開催した企画展「イモリ」で展示して、その後バックヤードで飼育してきました。   はい、展示していない生物ですみません…。   英名はPaddle-tailed Newt。確かに尾はパドルみたい。   個人的にとても好きな種ということもあり、バックヤードの最深部で粛々と飼育下繁殖に取り組んできて、昨年春にようやく成功しました。育ったのはたった3個体ですけど。   その育った幼体たちも随分しっかりとしてきたので、その様子も一緒にご紹介できればと筆をとった次第です。(コラム書けよ!というプレッシャーもあったとかなかったとか…)   さて、昨年生まれの幼体はこんな姿。   随分親と雰囲気が違いますね。   幼体は成体とは違って陸上生活をしており、皮ふの質感も全然違います。   スローな動きですが、しっかりエサも食べています。     すばやく舌を伸ばしてエサを捕まえているのがわかると思います。     では、水中生活している成体はどうかというと、こんな風。     水ごとエサを吸い込むように食べていますね。   生活する場所がかわると捕食方法もガラっと変わっています。 幼体の頃には無くてはならない舌ですが、成体になると邪魔になるので、 成長に伴い、なんと舌は口内に癒合していきます。   それにしても舌が無くなるって、なかなかすごいですね…。   また特別展示のような形で皆様に見ていただけたらと思っています。 引き続き大事に育てていきます。     Tweet

企画展 もっと知りたい ウーパールーパー
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企画展 もっと知りたい ウーパールーパー

新型コロナウイルスの影響で開始が遅れていた企画展もようやく皆様にご覧いただけるようになって、2か月ほど経ちました。   すでに皆様の中でのお気に入りの生き物は決まっていますでしょうか? 私の一番のお気に入りはというと、こちら。   グレーターサイレンです。 写真は砂に潜って顔だけ出しているところです。 自然下では、生息場所の水が枯れると地中に潜って数か月間生きることができるそうです。   そんな、グレーターサイレンですが、砂に埋もれた体がどんな形をしているのか想像つきますか?         実はこんな感じです。     細長い体をしており、後ろあしは退化しています。 奇妙な体型をしていますが、地中に潜りやすい体型なのでしょう。 毎朝、状態確認のため水槽を覗きに行くと、全身砂の中に埋もれ姿が全く見えないことも。 最初はどこへ行った?と、心配になりましたが、開館するころには顔を出してくれています。   見つからないというときは、よーく探してみてください。 顔だけ出して、こちらを見ているかもしれませんよ。     Tweet

企画展便り~ウーパールーパー変態個体について~
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企画展便り~ウーパールーパー変態個体について~

みなさま、こんにちは! 暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?     現在、開催している企画展『もっと知りたいウーパールーパー』の、個人的な見どころのウーパールーパー変態個体について紹介します。     そもそも、変態とは生き物が成長する過程で形態を変えることです。   ウーパールーパーはカエルと同じ両生類です。 両生類は通常、変態してエラなどがなくなります。 しかし、ウーパールーパーは幼形成熟(ネオテニー)といって繁殖ができる成体になっても、幼生の形態(外鰓、矢印)が残ります。     ちなみにですが、ウーパールーパーの成体はエラ呼吸、肺呼吸どちらも行うことができます。     では、本題のウーパールーパーの変態についてです。 ウーパールーパーは野生下では変態することはありませんが、飼育下ではまれに変態することがあります。 変態する要因として、飼育環境の変化や甲状腺ホルモン(サイロキシン)の投与があります。   企画展で展示しているウーパールーパーは、甲状腺ホルモンを投与して、変態させました。 人為的に変態させましたが、健康状態に問題はなく、元気に過ごしています。 それでは、変態する前と後を比較してみましょう。   まずは、外鰓がなくなっているのがわかりやすいですよね。(丸く囲ったところ) また、尾の高さが低くなっています。(黒矢印)     摂餌する様子はこちら。 変態する前と後どちらも、エサに対する反応はとても良く、何でも食べます。         企画展では、ウーパールーパーのエラが少しずつ変化していく様子を映像で流しています。 是非、変態したウーパールーパーにも注目してくださいね!     Tweet

ヒダサンショウウオ幼生の常設展示開始
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ヒダサンショウウオ幼生の常設展示開始

4Fから3Fへ下りるスロープにある通称スロープ水槽。 この一番上の水槽にヒダサンショウウオの幼生を展示しました! 第一弾として7匹の幼生を展示しています。 この個体たちは当館で今年繁殖した個体になります。   卵嚢から出てきてすぐの頃はこのように外鰓が羽のようで何とも儚い感じでしたが、約1か月でずいぶんしっかりした体型になりました。   できるだけ長い間展示したいのですが、水槽の構造上、変態したら展示終了となります。野生下では幼生のまま越冬する個体もいますので、越冬幼生がでてくれることを祈りたいと思います。 (水温をしっかりと下げたりできれば変態時期を遅らせることは可能なのですが、いかんせん水温操作ができない水槽なので…、祈るのみ。)   もともとこの水槽には、ハコネサンショウウオの幼生も展示しています。 岐阜県内の渓流でも目にすることの多いヒダ幼生とハコネ幼生。同じサンショウウオの幼生とはいえ、姿かたちはかなり違っていて、見比べるととても面白いですよ。   Tweet ;

ぬか喜び
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ぬか喜び

春は様々な生物の繁殖期にあたります。館内でも展示水槽やバックヤードでは、多くの新しい命が生まれています。 下の写真はヒダサンショウウオ。今年は繁殖させる予定はなかったのですが、展示水槽内でポコポコ産卵しています。 輝く卵嚢は非常に美しいです。休館中ということで、皆様に見ていただくことができないのが非常に残念。 飼育生物の繁殖はいつも心躍る出来事なのですが、その中でもこの春、一番テンションが上がったのがこちら。 ヒラタコモリガエルです。 現在は常設展示していないのですが、企画展などで何度も展示したことがあります。3月下旬から抱接がみられ、オスが盛んに鳴いているのも確認できました。 もはや鳴き声といっていいのかわかりませんが、このクリック音がそう。 これはいよいよか!と楽しみにしていましたが、抱接をやめてしまったりとなかなか進展しません。 と思いきや4月20日の朝、メスの背中に卵があるのを発見しました! うわー! 映像や画像では見たことがありましたが、目の前で見るとこれはすごいインパクト! ヒラタコモリガエルの産卵は水面近くで抱接した雌雄がひっくり返ったポーズで行われます。ジャーマンスープレックスみたいな感じでしょうか。 そして出てきた卵を下にいるオスが腹で広げて、メスの背中に張り付けます。その後、メスの背中の皮膚が膨らんで卵を包みこみます。 写真は産みたてなので、卵は半分くらいしか埋まっていません。これからどのようにメスの背中が変化していくのか、、、ワクワクがとまらない! 2日後はこの通り。 かなり埋まってきています!   4日後。     なんということでしょう…。 卵が全部背中から落ちてしまっています…。もしかすると未授精卵だったりしたのでしょうか。理由はわかりませんが、孵化した子ガエルがメスの背中から発射されるシーンを見ることは、次回にお預けとなって今いました。 卵が落ちた後もメスの背中はこの通り。       穴はすぐには塞がらないようです。 今回は残念な結果になりましたが、来年こそ!できたらジャーマンスープレックスな産卵シーンなども動画撮影できればなと思っています。   Tweet  

アカハライモリの情熱
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アカハライモリの情熱

今、水槽内では、アカハライモリの繁殖行動を見ることができます! 野外での繁殖期は春になってからですが、 当館の水槽は野外と比べて暖かいためか、毎年1月ごろから観察できます。 オスは繁殖期になると、このようなド派手な婚姻色が出てきます。 上から下まで紫で、とても私にはマネできないコーディネートです。   また、おしりのあたりがぷっくりふくれてきて、 よく見ると毛のようなものが見えます。 実はここからメスを誘う性フェロモンをだしているのです。   その名は「ソデフリン」   万葉集にある額田王が詠んだ 「茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」 が名前の由来となっています。 「紫野」は紫の染料のもととなる草が生えている場所、 「袖振る」は愛情を示すしぐさを意味します。この命名、本当に素敵ですね。   袖ではないですが、紫を召した幅広い尾をふります。動画でどうぞ。     オスはメスの行く手を遮り、後ろあしでメスの首付近をがっちりおさえて、 顔の前でしっぽをフリフリフリフリと振ります。 こういった繁殖行動は地域によって違いがあり、同じアカハライモリでも 他地域のオスとメスではうまく繁殖できない場合があることが実験的に確かめられています。   観察していてもメスがオスの求愛を受け入れることはめったになく、 そのまま無視して泳ぎだすことがほとんどです。 オスはそれでもめげずにメスにアピールします。 なんというか、このめげないオスの姿をみると、ついつい時間を忘れて応援してしまいます。   さて、実は最近、メスも性フェロモンをだしていて、 オスをその気にさせていることが発見され、昨年その研究論文が公開されました。   その名は「アイモリン」   このアイモリンの名の由来もまた素敵です。 額田王の詠んだ歌は大海人皇子に向けたもので、大海人皇子は次のような歌を返しました。 「紫のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも」 この「妹(いも)」は恋人や妻を意味し、オスのソデフリンにちなんでつけられたそうです。   寒い日が続きますが、アカハライモリは熱い情熱的な毎日を過ごしています。 ぜひじっくり見に来てください。 (今の時期、水族館は比較的お客様が少ないのでゆっくり観察できますよ。コソッ)     Tweet

アイゾメヤドクガエルの展示再開
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アイゾメヤドクガエルの展示再開

皆様お待ちかね、アイゾメヤドクガエル再登場のお知らせです。 (待ってましたよね?ね?) 1Fアマゾン川コーナーでは、現在ヤドクガエルの仲間を2種 (キオビヤドクガエル・マダラヤドクガエル)展示しています。 アイゾメヤドクガエルは約2年前に一旦展示終了としました。 理由としては繁殖がなかなかうまくいかなかったためです。 過去には偶発的にぽつぽつ受精卵がとれたことはあったのですが、 なかなか安定しません。 そこで思い切って、バックヤードで繁殖に取り組むことにしました。 2015年11月末に当館にやって来た、 まだあどけない幼体達をコツコツ育てること約1年。 ペア形成もうまくいって、ぽんぽん産卵するようになりました。 今、バックヤードのヤドクガエル水槽は、 色々なサイズのアイゾメヤドクガエルがヒョコヒョコ歩いていて、 とても可愛いです。 ニヤニヤが止まりません。 経年劣化で穴だらけだった擬岩も補修し、 当館生まれの個体も展示できる大きさまで成長しましたので、 いよいよ展示再開の運びとなりました。 同居している2種より一回り大きいですが、まだまだ大きくなります。 成長をお楽しみに。 成長といえば、バックヤードツアーの見学ルートに、 まだ少しオタマジャクシもいますので、 ぜひそちらのチェックもお忘れなく。 バックヤードツアーは土・日・祝、11:00と15:00に開催しています。 ※各回先着10名(当日インフォメーションにて受付) Tweet

ブルブルガエル
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ブルブルガエル

こんにちは。 最近、すごく月がきれいですよね。   さて、タイトルの「ブルブルガエル」って一体なんでしょう? まずは、こちらの動画をご覧ください↓        微妙にブルブルしてるのわかりましたか? これはナガレタゴガエルのオスです。   おなかや背中をちょっと押すとブルブルブルーっと震えます。 その際、か細い声も聴こえるんですが、 この動画では残念ながら聴こえないです。 それほどちっちゃーい声です。    なぜブルブルするのかというと、 「やめろ!放せ!」っていうアピールです。 オス同士で抱接しないように、 「おい!オレ様はオスだ!放せ!」って言ってるんです。   これはリリースコールと呼ばれるもので、  鳴き声と振動で伝えるのですが、  私の知る限りでは、他のカエルの場合、  もっと大きな声で鳴き、もっと大きく体をヒクヒクさせます。 こんな地味なリリースコールは初めて見ました。   夏に捕まえた時は、ブルブルしなかったので、  秋になり繁殖期が近づいてきて、  それなりにやる気になったってことかなと思い、  展示槽の石をめくってみたところ・・・     やっぱり!!!      抱接してました。しかも相手はカジカガエル♀。         水から出しても放しません!   展示槽にいるナガレタゴガエルは全部オスなんです。 (メスは1匹しかいないため、予備水槽で丁重なおもてなしをしています。)   オスは手当たりしだいに動くものに抱接して、 相手にリリースコールされなければ放れないわけですから、 こうなることは分かってたんですけど。 どうするかなぁ…。   カジカガエル♀にとってはいい迷惑といった感じ。 ナガレタゴガエル♂も報われないし…。 なんとかしてやらねばーーー。     思いつく解決策といえば、 あきらめるまで待つ! それでもだめなら、カジカガエルもオスだけにする。 コレしかないかな。   そうします! それでは、また。   ツイート     

かまれたカエル
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かまれたカエル

朝の見回りの時、水槽内で、 なんとなくヘコんでるシュレーゲルアオガエルを見つけました。   手に取ってみると、左の前あしが太くなってて、 点々と体表にあなが…。歯型!? かまれちゃったんだな~。かわいそうに。   きっと加害者はヤマアカガエルです。 かわいそうなんですけど、見事な歯型が残っててちょっとおもしろい。 ヘコんではいるけど、しっかりエサを食べるのですぐに治るでしょう。   ということで、 大事をとって抗生剤軟膏を塗って水槽に戻し、 経過観察することにしました。     ツイート    

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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