おもしろ飼育コラム

サンショウウオ日記~凹~
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サンショウウオ日記~凹~

先日、毎年恒例ハクバサンショウウオの繁殖池造成のお手伝いに行ってきました。  行った日が例年よりちょっと遅かったこともあり、今年は雪がすっかりとけていました。   【どんなことやってるかは過去記事で】 https://aquatotto.com/blog-diary/2010/06/post494.html https://aquatotto.com/blog-diary/2010/06/post495.html   今年も土を掘り進めつつ、道路上に産み落とされた卵嚢を回収します。 発生がすすんだ卵嚢もありますね。 回収した卵嚢は掘り進めた池に戻します。 ちなみに、産卵しているのはハクバサンショウウオだけではなくて、 ここでは、他にも クロサンショウウオやヤマアカアガエル、アズマヒキガエルが産卵しています。   これはアズマヒキガエルの卵紐。水たまりから溢れるほど産卵していました。 ん?ちょっと視線を横に向けると、 あー!死んでる! カエル合戦の際に溺死してしまったんでしょうか。 ここも道路の横のほんの小さな水たまりです。 死んでしまった個体の体は、 これから生まれるたくさんのオタマジャクシを育む大切な餌となることでしょう。 なんと言うかとても厳かな気分で水族館へ戻ってきたのでした。   さて。タイトルのとおりヘコんだことというのは、 このことではなくて、当館のハクバサンショウウオのことです。 なんと、 産卵しました!!! 7年越しです。ようやくです。私は本当にうれしかった。 ただ、なんとなく、初めて観察したときから未受精卵くさいなと思っていたんです。 結果はやはりダメ。 野外だったら道路上でも受精しているのに…orz   あっそれから、ちょっと前に書いたブチサンショウウオ! 2対目は未受精卵でした…orz 1匹だけ育っていた幼生、順調だったのですが、事故で死なせてしまいました…orz   思うようにはいかないものです。 凹んでます。      ツイート

色変わりカエル、その後
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色変わりカエル、その後

いよいよ梅雨入りしました。   全国のネットニュースを見てみると、チラホラ色変わりカエルが登場しはじめたようです。 当館へも毎年連絡がきますので、今年はどんな個体が見れるか楽しみにしています。    昨年、白・金・青・黒(半透明)の色変わり個体をまとめて特別展示で紹介しましたが、 展示後は普通の体色のニホンアマガエルがいる水槽に場所を変えて、 ずっと展示していました。 (目立つので、何度も来られている方はご存知かと思いますが…)     小さかった体も随分立派になりました。それでは近況写真をはっときます。 これは白の個体。安定の可愛さです。       これが金。上の「白」とは違って、不完全なアルビノ個体です。 成長とともに「黒」が強くなってきたかなと思います。 青。もともと通常の体色部分があった個体ですが、 かなり青の部分が狭くなってきました。成長とともに体色が変化してくることは、普通にあります。     下の2枚は半透明(黒)。虹色色素細胞異常の個体。 当館に来た当初はこのように、頼りない体型でしたが、   いまではこの通り、圧巻の体型です。私といい勝負です。   左後肢付け根と目の周囲に通常の体色のスポットが出てます。 おもしろいなぁ・・・・、とみてるともっと面白い部分に気づきませんか? そう、お腹の中に卵が透けて見えますね。 横から見るともっとわかりやすい。   こりゃ良く見える!今が観察のチャンスです。 これらの色変わり個体たちはこれからもずっと展示水槽にいますので、 お腹の卵の透け具合や体色の変化などを時折見比べにきてくださいね。   あと、今年もヘンな色のカエルが見つかったら、ぜひぜひ教えてください。 情報お待ちしております。   ちなみにお世話になっている広島大学の三浦先生のHPには、 今まで発見された色変わり個体が紹介されていますので、こちらもぜひ。 http://home.hiroshima-u.ac.jp/~amphibia/miura/irogawari.html     ツイート

ハコネサンショウウオ幼生
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ハコネサンショウウオ幼生

あと少しで渓流展も終了となります。   このハコネサンショウウオ幼生達も特別展終了後はバックヤードに移動させます。 ハコネサンショウウオといえば、先月、筑波山地に生息しているものが、 新たにツクバハコネサンショウウオ Onychodactylus tsukubaensis として新種記載されました。 そんな、今アツいサンショウウオであるハコネサンショウウオの幼生、今後の展示は未定です。 じゃあ、いつ見るか? 今でしょ!   話を展示にもどします。 卵嚢からまだでてきていない個体もいるので、見比べても面白いです。 また、ハコネサンショウウオの卵嚢は、非常にしっかりとしていて、 ちょっとやそっとじゃ破れそうにないシロモノです。 どうやって出てくるかと言うと、 幼生は孵化酵素を分泌して、頑丈な卵嚢をいわばよわーくして出てきます。 幼生が出た後の卵嚢は、こんな風に出てきたところだけ穴があいた状態です。 こんなのも、今ならみれます。   ハコネサンショウウオの幼生は姿形も特徴的。 このように黒いツメや、あしに膜ヒレをもっています。   バックヤードに今年生まれのカスミサンショウウオの幼生がいますので、 ぜひ比較して展示したいところですが、 特別展のコンセプトとずれるのでまたの機会に。 それでは皆様、 ハコネだけにハやくコネーとみれませんとだけお伝えして、筆を置きたいと思います。   ごきげんよう。   ●例の脱出した幼生 まだココにいます…。      ツイート  

ようやく卵嚢から出てきました。
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ようやく卵嚢から出てきました。

次の特別展の告知が出ましたが、まだまだ渓流展は新展開を見せております。 先日ご報告したナガレタゴガエルの卵。 ちゃんと受精していました。日々、胚の形が変化しています。よかったよかった。   さて、今日の本題。ハコネサンショウウオです。 (この卵嚢展示のポケット水槽解説文の手前は居心地が良いようで、 いつも誰かしら挟まっています。文章見えへん!)   卵嚢が展示されているポケット水槽の右下をよく見てみると…、 そうです。いよいよ幼生登場。美しい…。可愛い…。 他個体もあと少しで出てきそうです。飼育水温からみてもうちょっと早いと思ったんですけどね。 まぁ、無事出てきてくれたので文句はいいません。がんばって育てます。   ●目下の悩み ポケット水槽から飛び出したこの幼生。どうやって捕まえればよいのやら…。    ツイート  

ナガレタゴガエル産卵しました。
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ナガレタゴガエル産卵しました。

先日、ナガレタゴガエルのメスを展示水槽に移動させたとお伝えしたばかりですが、 早速産卵しました。 観察しやすいよう&オスが卵塊をブチ壊さないようにしっかりガードして展示しています。   これにより、オスたちの定位置に変化が見られています。   定位置を奪われ、「そこは俺の場所だ!」と悔しがるオス(ウソ)。 定位置を奪われたショックで、卵塊の上で茫然とするオス(ウソ)。   なにはともあれ、よく見える位置にいてくれるとありがたい。   受精していることを願います。 今回はいわゆる「持ち込み腹」での産卵ですので、何も自慢できることはありませんが、 いずれはこの卵から育てたナガレタゴを飼育下繁殖させたいですね。   産卵後のメス。お腹ペッコリ。 お疲れ様でした。    ツイート  

水面下の熱き戦い
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水面下の熱き戦い

渓流展のナガレタゴガエル水槽には5匹のオスがいます。 中心に配置された石を囲むように、奥に2匹、手前に3匹が定位置になっています。 日中はだいたいいつもこのポジションなので、ほとんど動きません。   しかし、夜になると一転、活発に活動しだします。 そう、メスをめぐる熱きバトルを夜な夜な繰り広げているのです(注 メスはいません)。 突然、相手に組みかかっていく姿が見られます。 メスだろうがなんだろうが、動いたものに敏感に反応して、とりあえず抱きつこうとします。 イワナなどの渓流魚に抱きつくこともあるそうです。   夜間、これだけ熱いバトルを繰り広げようとも、残念ながら水槽内にはメスはいません。 抱きつくもの全て他のオスばかり。 それでもめげない君たちの熱い思いは充分伝わった!!   ということで、バックヤードに1個体だけいるメスを展示水槽にだすことにしました。 (バックヤードで別のオスが抱接していましたが、ひっぺがして移動です。ゴメンネ)   さあ、いよいよ展示水槽にいれます。 この5匹、どの個体がメスに抱きつけるのか、目が離せません。 勝負は一瞬でした。逆に抱きついてますが、大丈夫。 ちゃんと一分後には下の動画のように抱接しており、 他のあきらめきれないオスのアタックに耐えています。 逆向きで抱きついても、タイミングを見計らって他のオスが離れたところで、 サッと方向転換していました。いやー、うまいもんでしたよ。華麗な体さばき。 映像は撮り損ねたんですけどね ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \   ということで、今なら抱接シーンがご覧いただけます。 あとは渓流展開催中に産卵してほしいですね。        ツイート  

渓流展ブログ7 「ハコネサンショウウオ」
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渓流展ブログ7 「ハコネサンショウウオ」

渓流展も始まって、早1ヶ月。みなさん、お忘れではないですか? 渓流と言えば…。   そう、「流水性小型サンショウウオ」。   まさに満を持してのリレーブログ登場です。 流水性小型サンショウウオと言っても、結構種数がいます。 今回どの種を展示するか非常に悩みましたが、ここはやはり岐阜県にすむ流水性サンショウウオで、 しかも常設展示していないということで、ハコネサンショウウオに決定。   ちなみに、冊子型詳細解説には京都大学の西川先生に執筆していただきました!必読!   さて、ハコネと言えば、2009年夏の「サンショウウオ展」以来、2度目の展示となります。 サンショウウオ展の時は幼生を展示しましたが、今回は幼体と成体を展示しています。   ハコネサンショウウオといえば、日本にすむ両生類で唯一肺を持っていないこととか、 繁殖期にはオスの後肢が野球のグローブを着けたように厚く膨らむこととか、 <非繁殖期> <繁殖期>   郷土料理(下の写真は燻製)として利用されていることとか、 (卵持ってるメスなんですよね、この個体…)   くわしく紹介したいトピックはたくさんあるんですけれども、とりあえずは今回は写真だけで、 話のメインは、明日26(土)に追加展示するコレのお話しをば、聞いていただければ嬉しく思います。   <コレ> ズバリ、ハコネサンショウウオの卵嚢!!!   これはね、ヤバいですよ。展示は日本初ですよ(たぶん)。 ハコネサンショウウオの繁殖場所は河川源流部の大きな岩の裏や、地下伏流水中とあって、 繁殖場所の確認例はわずかしかありません。 正直、カワネズミは野外で見ることがあっても(それもまぁレアな体験ですが)、 ハコネ卵を見つけるなんてことは、まぁ無いでしょう。 それくらいスゲーのです。   上は産卵直後(昨年9月初旬)の写真です。 無精卵を産ませることにかけては右に出るものがいない、 「未受精のファンタジスタ」と全く有り難くない二つ名をもつ私ですがご安心ください。 展示するのは受精卵で、現在はこのようになっています。   今の飼育水温ですと、孵化に約5カ月ほどかかると思いますので、   あと一カ月は卵嚢に包まれた胚の成長をご覧いただけます。   なんだか、自然繁殖させたみたいなのでちゃんとお話しておきますと、 今回は人工的に繁殖させたものなのです。 麻酔後、腹腔内にホルモン剤を注射した親個体を、暗くしたコンテナに入れて産ませました。   (注射中。もちろん、親個体は今でも元気にしていますよ。)     数日後、こんな風に産卵していました。     実は、70年以上前の文献でハコネサンショウウオの飼育下での繁殖行動が紹介されていたり、 NHKさんの映像でも繁殖行動が撮られています。コチラ   今年は自然繁殖を目指します。そんでもって繁殖行動も観察&撮影したいなーと思っています。 中村定八 1941.函根山椒魚の生態に就いて.植物及動物,9(11):422-426;9(12) :515-521.    ツイート

カエルの穴
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カエルの穴

こんにちは。ちょっと肌寒くなってきました。 そして、このあたりは稲刈りの季節でもあります。 詳しいことは分からないのですが、なぜかこのあたりの田んぼは、 田植えも稲刈りも、他の地域と比べて遅いんですよね。 さて水族館の中には、「田んぼや用水路の生きもの」と名前のついた水槽があります。 3Fにあるこちらの水槽がそうです。 秋なのに、新緑がまぶしくてごめんなさい…。 でも水槽の中では、カエルたちが「秋らしさ」を演出してくれています。   陸の部分に注目すると、 穴だらけです。 夏にも、穴があることはあるのですが、こんなダイナミックにはあいてません。 夜は冷え込むので、カエルたちが穴の中でじっとするようになったからです。   こんなところにも!中をのぞくと…、 穴の左端にちょこんとナゴヤダルマガエルが入っていました。   水族館は空調がきいているので、自然界で見られるカエルの冬眠とは少し違いますが、 水槽の中のカエルたちにもそれなりに冬はやってきて、それなりの寒さ対策をするのです。 寒い季節は、穴の中をチェックしてみてください。   あ、カエルは穴をほるわけではありません。 ちょっとしたくぼみや、やわらかい土のところを選んで、後ろあしを使ってもぐるんです。 もぐってじっとしてる間に、土が固まって穴になるってわけで、 例えば、アリやモグラのようにトンネル状の巣を作るのとは別物です。   カエルがもぐる瞬間の映像がとれたら、アップします。 けっこうすごいんですよ~!!真冬までお待ちください☆       ツイート  

またまた色変わりニホンアマガエル
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またまた色変わりニホンアマガエル

現在、3F清流の生き物ゾーンで、青・金(白)合わせて計4匹の色変わりニホンアマガエルを特別展示しています。 9月5日から、この特別水槽に新たな色変わりカエルが加わりました。   いかがでしょう?   今回、半透明!?とご紹介しましたが、「黒」と言ってもよいかもしれません。 このニホンアマガエルは、岐阜県瑞穂市在住の一般の方から譲っていただきました。 ご自宅の庭で発見されたそうで、過去には「青」のニホンアマガエルもいたよとのことです。 …素敵やん。   この色変わり個体は、おそらく虹色色素細胞の異常で、このような体色になっています。 腹面は内臓がうっすらと透けて見えます。 (他の色素細胞の状態によって、色や透け具合は変わりますが)     また、眼も通常の個体と比べて真っ黒です。   これも虹彩の色素細胞の異常のためと思われます。   このような色変わり個体の展示は当館では初めてですが、発見例は結構あります。 色変わり個体の発見・持ち込みは毎年のことですが、いつもワクワクしますね。 ちなみに「展示しました!」と発表すると、「発見しましたー!」という連絡が急増します(笑)   皆様、これからも変な色のカエルを見つけたら、ぜひ教えてください!     ツイート  

繁殖賞いただきました。
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繁殖賞いただきました。

展示終了したコガタブチサンショウウオの幼生ですけれども、近況をご報告。 全個体無事、変態完了しております! そんでもって、日本動物園水族館協会から繁殖賞をいただきました。 (まぁ、これは昨年の繁殖成功に対してですが) 2年連続、マグレじゃなかったということで。 よかったよかった。   さて、幼生の育成2回目の今年。 昨年はなんとか失敗せず育て上げなければということで、 飼育槽のフタをちょっと開けるのも禁止にしていました。 今年は繁殖個体数もかなり増えたことで、適当に気を楽にして飼育に臨めました。   そこで、昨年できなかったことを今年はやるために、自分の中でファウルの線引きをしなおしました。 まさに、気分は陵南の魚住です。 解禁したことの一つが、毎日フタを開けての観察&写真撮影なのですが、 観察をつづける中で、非常に興味深かったことが、「共食い」でした。   今までことあるごとに、 「コガタブチサンショウウオの幼生はエサを食べなくても変態できるんだゼ」 と口すっぱく言ってきた私。 「食べないんじゃねぇのかよ!」と思ったアナタ!フフフ、早とちりはいけませんよ。 私はただ一言も「エサを食べない」とは申しておりません。 言葉のマジックに惑わされてはいけないのです!喝!   でも、今回観察できた「共食い」は、かなり異常な一例と思われますので、 カスミサンショウウオやクロサンショウウオのように自然下で普通にみられる行動ではないと思います。 ご説明いたしますと、まずこれが食べた方の幼生。あいかわらずキュートです。 次が、食べられた幼生。 発生がうまく進まなかった奇形で、体も他の正常な個体と比較してとても小さい個体でした。 それで、ある日観察のため飼育ケースのフタを開けて見ると…。 バクーッ!! いやん、くわえてるやん!!   結局、フタを開けた影響からか、最後まで飲み込まず吐き出してしまいました。 昨年、ミジンコのような小さい生物が胃内から見られたという発表を聞いたこともあり、 口に入る大きさのエサがあれば食べるんだろうなぁと思っていました。 でも、異常な例とはいえ、まさか共食いがみられるとはと驚いた次第です。 そもそも摂餌行動自体初めて目にしたので、非常にテンションがあがりました。   さて。   繁殖賞を目的に今まで取り組んできたわけではないですが、 今回の受賞を一つの励みにして、これからも飼育下繁殖と展示に取り組んでいきます。 そんでもって間違いなく、まだまだ興味深い行動が見れるはず! その時は、皆さんにもマメにお伝えいたしますので、応援おねがいいたします。    ツイート    

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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