おもしろ飼育コラム

<サンショウウオ日記 vol.22>ホクリクサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.22>ホクリクサンショウウオ

当館も加盟している(社)日本動物園水族館協会では、 種の保存を目的とし、種保存委員会を設置しています。 そこで、各園館が飼育している生物の中から、対象となる希少種を選定し、 「種の保存」のため、さまざまな取り組みを行っています。 今回紹介するホクリクサンショウウオもこの対象種のうちの一つです。   ※ちなみに上記の対象種でサンショウウオ科では、ハクバサンショウウオもそうです。   対象種となるということは、すなわち、絶滅の危機に瀕しているということ。 環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。 また、石川県羽咋市では、指定天然記念物に指定されており、保護されています。 保護池も作られており、2年前に訪れたことがあるので、その時の写真をご紹介します。     羽咋市といえば、ホクリクサンショウウオ!と思っていたのですが、UFOでもかなり有名なのだそうです。スゴ! こんな風に繁殖池が整備されています。 時期的に卵のうも観察できるかなーと思っていましたが、ガサガサするわけにもいきません。 上から探していたら、ありました!ありましたよ!1対だけ!   見事なコイル状の卵のうです。(ちなみに、例によって例のごとく、発見者は私ではありません・・・) すぐに夕暮れになったので、観察できたのは1対だけでした。   さて、展示しているホクリクサンショウウオは、いしかわ動物園様より譲っていただきました。 どうもありがとうございました! 当館では今後も継続して飼育に取り組む予定です。 いずれこの写真のようなクルクルした卵のうを、皆さんにお見せできればと思います。

<サンショウウオ日記 vol.20>第2回サイエンスカフェ開催!
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<サンショウウオ日記 vol.20>第2回サイエンスカフェ開催!

8月21日(土)に、第2回サンショウウオdeサイエンスカフェを開催しました。 講師に首都大学東京の草野保先生をお迎えして、 「トウキョウサンショウウオの生態と東京都多摩地区における保全」というテーマで お話していただきました。   草野先生らが行っている保全活動を参考に、カスミサンショウウオの保全活動を実施していることもあり、 私もかなりワクワクです。 ちなみに、トウキョウサンショウウオはこのあたりにはいませんが、同じ止水性サンショウウオですので、 すごく参考になります! (過去の文献などに愛知県のトウキョウサンショウウオという記述がありますが、研究の結果、カスミサンショウウオとされました)   まずは、当館スタッフによるアイスブレイク。   今回は、「水」についての問題をみなさんに考えていただきました。 サンショウウオの繁殖場の水枯れや陸地化は、かなり深刻な問題です。 その辺りをふまえてのアイスブレイク、ニクい演出です。   さて、本題の草野先生のお話。 トウキョウサンショウウオの保全活動についての部分では、何よりその調査地点の数に圧倒されます・・・。 もちろん、その活動には大勢の方が関わっていらっしゃるのですが、 このネットワークと長期間にわたる調査活動は本当にすごいと感動しました。 しかし、個体数の減少もはっきりと表れているとのことでした。   今までは「開発」がトウキョウサンショウウオが減っていく主な原因であったのが、 さらに「外来種」や「心無い人間の違法採取」などもあらたな脅威となっているとのことです。 アライグマが食い散らかしたトウキョウサンショウウオの死体写真や、違法採取の写真は 本当に心が痛みます。 講演終了後は質問タイム。 時間いっぱいまで質問が飛び交いました。中には時間の都合上、質問できなかった方もいらっしゃるくらい活発。   今回は小学生のお客様も参加されていて、またその少年が、誰より活発に質問していたのには驚きました。 その質問にも、草野先生はしっかりと答えてくださり、また質問内容が非常に興味深くて、 一気にフロアが「なるほどー!」てな雰囲気につつまれました。 こういう感じが、企画して良かったと何より思える瞬間であります。   草野先生、ご講演本当にありがとうございました!     ちなみにこれは、その小学生のお客様が作ったジオラマです。 サンショウウオ愛に包まれた作品ですね!!  

<サンショウウオ日記 vol.19>イシヅチサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.19>イシヅチサンショウウオ

お次はイシヅチサンショウウオをご紹介します。 この個体たちは、サンショウウオ展のために収集したのではなく、 実はずっと前から飼育していたんですよ。 いつだったかな、確か平成18年だったかな。 当時はまだ、イシヅチサンショウウオではなく、オオダイガハラサンショウウオという名前でした。 隠蔽種だったわけです。 中央構造線にそって、近畿・四国・九州に分布しているオオダイガハラサンショウウオが、 研究の結果、四国のものはイシヅチサンショウウオに分けられました。 このあたり、先日のサイエンスカフェで、京都大学の西川先生に詳しくお話していただきました。 (西川先生らが調べられたわけですから、これ以上詳しく教えてもらえることなんて他にないですね)   長い間飼いこんでいるだけあって、ケージのフタをあけたらエサだと思って近づいてくるカワイイ奴らです。 そんな点をかって、館内2か所で放映している、「餌の食べ方」の映像は彼らに登場してもらっています。       (実はこれ、iPad!今は特別展で常設していますので使えませんが、終わったらこれで遊びまく る・・・、もとい、他で活用します・・・。)   ちなみにこの個体たちは愛媛県にある、虹の森公園おさかな館様より譲っていただきました。 ちょっと前にお伺いする機会があったのですが、大きな水槽で展示されており、とても目立っていましたよ。 繁殖目指して頑張っておられ、アツいサンショウウオ談義に花が咲いたことは言うまでもありません。 うちも負けてられないぞ!  

<サンショウウオ日記 vol.16>ライブペイント開催!
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<サンショウウオ日記 vol.16>ライブペイント開催!

ここ数年、アクア・トトぎふでは、企画展と連動したイベントを夏に実施しています。 今年は「サンショウウオ展」をやっていますので、小型サンショウウオをテーマに楽しく学べる、 いろいろなイベントや企画をみんなで練り練りし、実行にうつしています。 そして、そのサンショウウオ・イベントの一つ、 「アートdeサンショウウオ~ライブペイント~」を8月7~8日に実施しました。   今回のライブペイントでは、絵本作家である池谷剛一さんをお迎えして、 中庭に突如出現した巨大なボードに、心地よいリズムの音曲に合わせて、 4枚の絵を描いていただきました。   真っ白の大きな用紙を前に、最初の一筆を入れる瞬間、見ているこちらも緊張。。。。 イベント終了後、池谷さんに「最初って、すごく緊張しないですか?」って聞いたところ、 「そこが一番、楽しいんだよ・・」とのこと。 おぉぉ、カッコイイ! テーマは「サンショウウオ・森と水・自然のつながり」です。 池谷さんの絵本は「いのち」をテーマに描かれています。 今回のライブペイントともつながるテーマで、否応なく期待が高まります。 軽快に音をつなぐ彼は、実は当館の飼育スタッフ。 仕事よりイキイキしています。コラ。 途中、見に来てくれた子供たちにも、作品を手伝ってもらいました! プロ顔負けの筆さばきに、オーディエンスからも大きな拍手!   さて、我々の仕事はというと、描いている池谷さんの絵をみながら、 サンショウウオの生態や生物のつながりについて、くわしく解説していくこと。 まさに、アートとサイエンスのコラボレーション!   2日目は3枚目の途中で豪雨にみまわれ、ライブが一時中断となるハプニングがあったものの、それもご愛敬。 とても心に残るイベントとなりました。 池谷さん、どうもありがとうございました!   イベントの様子をYouTubeにアップしていますので、ぜひ見てくださいね。  

<サンショウウオ日記 vol.15>エゾサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.15>エゾサンショウウオ

それでは、日本のサンショウウオ紹介、2種目はコチラ。 エゾサンショウウオです!まっクロな体色に見えますが、実はほんのりと金粉をふりかけたような、模様があるのですよ。 ちょっと見づらいですね。すみません。 幼体は成体と違って、もっと派手で金ピカですので、バックヤードにいる幼体の写真をお見せします。     このエゾサンショウウオ、名前の通り北海道のみに生息する種です。 エゾサンショウウオで興味深いのが、エゾアカガエルとのオタマジャクシと同所にいる時。 エゾサンショウウオのオタマジャクシは、エゾアカガエルのオタマジャクシを食べる天敵にあたります。 なんと、エゾアカガエルを丸呑みしやすくするため、口や頭が大きくなるんですね。 絶対食べてやる!という気合と迫力がひしひしと伝わってきます。 (ちなみに、エゾアカガエルだけではなく、自分の仲間も襲います。そのため「共食い型」とよばれます。)   これはエゾアカガエル、ピンチ! しかし、そこはエゾアカガエルも負けていません。 なんとか食べられまいと、こちらも頭が膨らんできて、なんとか丸呑みされないようにするわけです。 生死がかかっているわけですから、膨らむくらいなんのその、 新弟子検査で頭にシリコンを入れて身長を伸ばした舞の海関とはわけが違います。(例えが古いか)   機会があれば、ぜひ皆様に、膨らみ対決中の2種のオタマジャクシをお見せできればと思います。   さて、今回のサンショウウオ展で、エゾサンショウウオを初めて飼育して驚いたのが、 全く物怖じしないこと。搬入直後にピンセットから餌を食べて、かなり驚きました。 展示水槽でも全く隠れず、ドーンと中央に居座っています。 飼い込んだ個体でもないですし、これ、他種じゃちょっと考えられません・・・。 さらに、上からのぞくと、この目で「エサ―♡」ですからね、カワイイやつめ!!   さて。 このエゾサンショウウオ達ですが、おたる水族館様からサンショウウオ展のために、譲っていただきました。 ご協力、どうもありがとうございました!

<サンショウウオ日記 vol.14>アベサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.14>アベサンショウウオ

ようやく岐阜県に生息する6種の紹介が終わりました。 今回からは、日本各地にいるサンショウウオをご紹介します。   1発目はコチラ。 アベサンショウウオです。 このアベサンショウウオは小型サンショウウオで唯一、「種の保存法」で捕獲等が禁止されています。 今回のサンショウウオ展を企画するにあたり、このアベサンショウウオは規制が厳しいため、 生体の展示はちょっと無理だろうと思っていました。 しかしながら、数年前、福井県越前市で行われた「アベサンショウウオネットワーク会議」に参加した際、 アベサンショウウオ保全活動に感銘を受け、保全という切り口からでも紹介できればと考えていました。   今回、その情報収集のため、大変お世話になったのが、福井県両生爬虫類研究会会長、 (環)希少野生動植物種保存推進員の長谷川巌さんです。 お忙しい中、生息地など現地案内していただき、これまでの活動成果などについての資料もこころよく提供していただきました。   実際、アベサンショウウオが暮らす場所を目にして驚いたのは、人の生活圏と本当に近いことです。 民家の裏庭で繁殖していたりするものですから、ちょっと衝撃的でした。 また、人それぞれ、いろんな立場の方がおられます。そういった保全活動の難しさについても思い知らされました。   その後、展示準備を進めていくうちに、なんと幸運にもアベサンショウウオの捕獲・展示許可がおりました。 これは当館にやってきた若いメス個体です。 繁殖期は終わっており、時期的に微妙でしたが、なんとか発見できました・・・・。 (どうでもよいことですが、見つけたのは私ではありません。でも、こういうのって結構後引くくやしさです・・・)   今回のアベサンショウウオの展示が、サンショウウオと暮らしていくための「理解」につながるものとなれば、本当にうれしいことです。 同時に、飼育下繁殖方法の確立めざして、取り組んでいきます。皆さんにも良い結果を伝えられるよう、頑張っていきたいと思います。

<サンショウウオ日記 vol.11>カスミサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.11>カスミサンショウウオ

さて、サンショウウオ紹介も6種目。 岐阜県に生息するサンショウウオ、最後の1種です。 それは、こちら。   カスミサンショウウオです。 今回はイラストのアップ!   カスミサンショウウオについては、いろいろな取り組みなど過去の記事でも紹介しております。 (何よりサンショウウオ日記の一発目はカスミ幼生の放流についてでした) 当館から一番近くの場所に生息地があるサンショウウオですし、 最初に繁殖に成功したサンショウウオでもあります。 いろんな意味で、このサンショウウオに教えられたことは多い気がします。   というわけで、今回の特別展では、カスミサンショウウオがいろんなところに出没しています。 たとえば、   生態解説ブースのフィギュアもそう。他にも・・・   この写真の中にも実は、隠れていたりするのです。   さて、良いか悪いか別にして、展示個体はよくなついているので、 水槽をのぞきこめば、必ず人の方を向いてくれます。被写体には最高です。 良い写真がとれたら、またご紹介します! 

<サンショウウオ日記 vol.10>コガタブチサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.10>コガタブチサンショウウオ

さあ、岐阜県に生息するサンショウウオ紹介もあと2種です。 次はコガタブチサンショウウオをご紹介。     コガタブチサンショウウオ(通称:コブチ)は、昨年より常設展示しました。 そのあたりは、昨年のブログに書きました。(下記リンクを参照) http://blog.goo.ne.jp/aquatotto_staff/e/e49d84b4b82c5cb82108f94cf5da2d55   なかなか出合えなかったので、そういった意味でも、非常に思い入れのあるサンショウウオであります。 さて、このコブチが産卵する場所は、伏流水のしみだす岩などの奥の奥の奥~の方ですので、 卵のうは、普通に見れるものではございません。 見つけるためには、根気と勇気と体力と愛が必要です。   ここだけの話、、、 実は当館のサンショウウオ展で見れるんですよ。   カスミサンショウウオと比べると卵の大きさが全然違いますね。 産卵する場所は地中深くですから、餌となる生物がほとんどいないんでしょう。 そのため、卵の栄養だけで変態できるそうです。すなわち、栄養たっぷりなわけですね。大きいはずだわ。   ちなみに、この卵のう、当館で産卵したものです(ちょっと自慢)。 産卵場所の環境をイメージし、ホームセンターにて資材をセレクトし、繁殖水槽をハンドメイドした結果! 4対の産卵が見られました。   しかし、すべて未授精卵という悲しい結果が、上記の標本展示につながっております。 標本ビンの中に入っている保存液には、私の涙もちょっぴり含まれているとか、いないとか・・・。 来年こそ!!!

<サンショウウオ日記 vol.7>クロサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.7>クロサンショウウオ

次はこちらクロサンショウウオ。           クロサンショウウオといえば、当館が日本動物園水族館協会の繁殖賞を受賞した種です。 日本の水族館・動物園で初めて繁殖に成功したんですよ。   ※繁殖賞とは?→https://aquatotto.com/about/news/detail.php?id=146   そして、今年も繁殖期をむかえ、オスの体も水生型に変化し、いよいよだぞ! というのは、過去の飼育日記でお伝えしました。 ※これ→https://aquatotto.com/blog-diary/2010/03/post477.html   それでは、結果をご報告いたしましょう! 今年は・・・・・・・・、繁殖しませんでした・・・。 「お楽しみに」的な書き方しておいて、この有様。 ちっとも産卵がみられないまま、オスが水から上がりだしたのを見たときは、 もう、ショックすぎて、心労で痩せそうになりました。 まだまだ飼育環境で足りない要因があるんでしょうね。燃えてきました、来年こそ!   さて、このクロサンショウウオも、前に紹介したハクバサンショウウオ同様、 岐阜県ではかなり危機的な状況に陥っている生息地があります。 繁殖のために使われていた湿地に、水がたまらなくなっているのです。   そのためシートを埋めて、一部に水がたまるようにしているのですが、 もともとの湿地の面積に比べるとかなり小さいので、 クロサンショウウオの幼生を食べるアカハライモリが大集合したり、 イノシシが泥浴びして、ぐっちゃぐちゃになってしまったりと、悲惨な状況です。   詳しくは、サンショウウオ展で解説していますので、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。   でも、ほんとネガティブな現状報告ばかりで、ヘコみますね・・・。

<サンショウウオ日記 vol.6>ヒダサンショウウオその2
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<サンショウウオ日記 vol.6>ヒダサンショウウオその2

よく考えたら、バックヤードにちょうどヒダサンショウウオの幼生がいたので、 写真をとってきました。 上からの写真でわかりづらいかもしれませんが、こんな姿です。       右の個体は、変態完了しているので、エラは無くなっています。 同じ日、同じ場所で見つけた個体ですので、左の幼生ももうすぐ変態を迎えるものと思います。 ちなみに越冬幼生で、昨年誕生した個体です。 その年の秋には変態してしまうものもいれば、幼生のまま冬を越すものもいます。 ちなみに、この2匹でもよく見ると違いがありました。   まずこちらが変態がすんだ右の幼体の後肢の指です。       5本ありますね。 では、左の幼生はどうかというと・・・、       4本! よく見てみると、いろいろな発見があるものです。 皆さん、サンショウウオ展でも、要チェックやで!

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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