おもしろ飼育コラム

保全池から来たイチモンジタナゴ
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保全池から来たイチモンジタナゴ

こんにちは。残暑厳しいですね。   先日、三重県の松阪市まで行ってきました。 目的は、イチモンジタナゴ松阪個体群を譲り受けるためです。     木曽三川・長良川の展示ゾーンで飼育展示している生き物は、岐阜県内、あるいは濃尾平野を由来とする個体を展示するようにしていますが、どうしても入手できない場合があります。 今回のイチモンジタナゴもそのひとつ。 現在、岐阜県では在来の個体が見つからず、他の地域からの外来個体群が確認されるのみとなっているからです。   そこで、広い意味では同じ伊勢湾周辺の個体群であり、遺伝子汚染されていない、そして、産地が明らか、なおかつ系統保存にも貢献できる!いいこと尽くし!!ということで、今回、特別にお願いして保護活動により管理されている三重県松阪市の個体群を譲っていただけることになりました。     当日は保護活動を担っているタナゴの専門家の方にご案内していただき、保全池を見学することができました。   池の底には、産卵母貝となる二枚貝がわんさか!これは感動でした! (分布エリアからするとミナミタガイという二枚貝です)   水族館に持ち帰ったイチモンジタナゴは大きさが3~4cmで、数日の養生期間を経て、展示水槽に仲間入り。   ここと、 ここです。 この水槽では、同じくらいの大きさのカワバタモロコと一緒に群れていますよ。   来年の春には大きく育ったイチモンジタナゴの求愛行動が、展示水槽で見られるといいな。   オスには青みがかった婚姻色がでて、ヒレは赤くなり、   こんなふうにヒレを広げて求愛行動をみせてくれます。   イチモンジタナゴ松阪個体群は地元の自治会や、有識者の方々の手により、 大切に守られてきたものです。より良い展示ができるよう心がけます。     Tweet

闇夜ににょろにょろ
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闇夜ににょろにょろ

こちらは当館3F長良川の展示ゾーン「ゆるい流れの魚」水槽で展示しているニホンウナギです。     バックヤードにも2匹だけですが、ニホンウナギを飼育していて、こちらは大きさ25cmほどとデビューさせるにはまだ小さいです。 ニホンウナギは夜行性ですから、日中はこのように隠れ家に入っていて、ほとんどの時間は顔だけしか見ることができません。 完全に隠れてしまって姿が見えないこともあります。 エサを与えると、にょろっと頭を隠れ家からのばしてくれることはありますが…。 体全体を見ることが中々できないので、瘦せてないかな~。ケガはしてないかな~。 と、私はよく不安になっています。     そこで、暗くなれば隠れ家から出てきて、その全貌を見せてくれるはず…と、当直時の真夜中に覗いたところ…。 隠れ家からにょろりと出てくれていました! お!ちゃんと太って成長してきているな…!と嬉しく思いました。 私は、暗闇が苦手なので当直はいつもびくびくしながら行っていましたが、この時ばかりはとてもほっこりとした気持ちになりました。     Tweet

ツチフキは忙しい
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ツチフキは忙しい

こんにちは。 いい動画が撮れたので見てください! ツチフキのオスが卵を守っている様子です。     地面に転がっている小さな泥団子が卵です。   オス、忙しそうですね。 卵を転がしたり、泥をブホブホしたりして、うまく言い表せませんが卵を守っているようです。     産みたての時は、卵は1か所にまとまっているのですが、 この通り、オスがせっせとお手入れするので、卵は散らばっていきます。     ほかの個体が近付くと、高速でぴゅーんと追いかけて、追い払います。     20分間撮影したのですが、その間ずっと卵のお手入れにいそしんでいました。 フレームアウトしたのは、ほんの少しの時間。ほかの個体を追い払う時ぐらいでした。   これほどまでに、頑張って卵を守っていたとは…。   今年は梅雨が長く雨量も多かったせいか、 ツチフキにとっては当たり年というか、 ここ数年で1番の産卵回数だったような気がします。     この動画で、卵のお手入れにはげんでいる姿を見たら、 ツチフキってすごくいい魚だな♪ と改めて感じました。     ところで、岐阜県の、というか濃尾平野に今いるツチフキは、 遺伝子を調べた結果では、近畿地方の遺伝子をもつ個体しか見つからないそうです。 つまり、もしかすると国内外来種かもしれないということ。 それについては残念な気持ちもありますが、 こうやってオスが頑張って守ってくれた卵ですから、しっかり育てていきます。     Tweet

カワムツの作戦
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カワムツの作戦

営業再開からしばらくの間、ふれあい水槽のエサやり体験はお休み。 その間、魚たちのエサは、スタッフが毎朝開館前に与えていました。   私はエサやりの前に水槽の掃除をしているのですが、掃除道具を水槽に入れてごしごししていると、手にカワムツが当たることが何度もありました。   最初はうっかりぶつけてしまったのかと思い、 「ごめん、当たっちゃった?大丈夫?」 と気を付けていたのですが、繰り返しぶつかってきます。   そもそもカワムツは泳ぎが遅いわけではなく、人間の手の動きを避けることなど朝飯前です。 よく見てみると、カワムツはわざと私の手をつついているようでした。     これは・・・エサくれって言ってるのかな? 更に観察を続けると、どうやらいつも同じ1匹の個体が寄って来ているみたいです。   以前はこんなことは一度もありませんでした。掃除のとき魚は遠くに逃げてしまい、こちらに近づいてこなかったのに。     エサやりをするとき、体の大きなウグイが優先的にエサを取り、小さなカワムツたちはその合間を縫ってこぼれたエサを拾っています。 掃除のときウグイは近寄ってきませんので、このカワムツは「ウグイのいないところでゆっくりエサをもらいたい!」と思っているのかもしれませんね。     それにしても、私の手にくるくるまとわりついてくるカワムツは可愛いです。 ので、掃除のときはエサを少し持って行って、ウグイに見つからないよう、こっそり手渡しであげています。カワムツの作戦勝ちですね。       Tweet

婚姻色コンテスト!
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婚姻色コンテスト!

こんにちは。 毎日暑いですね~…。 魚のように水中で暮らせないかと思う今日この頃です…。(笑)     さて、当館の魚たちはというと、あちこちで恋の季節を迎えています。 日本産淡水魚のオスの多くには、繁殖期になると美しい婚姻色が現れます。 今回は、私の一押しの婚姻色がキレイな魚たちをご紹介♪ ハリヨ   ヌマムツ     オイカワ     どうでしょうか…♪ 普段は地味な色合いの魚たちがこのようにイメージチェンジ!!   日本産淡水魚=地味な魚というイメージが強いですが、繁殖期を迎えると、このように美しくなります…♪ この魅力がたくさんの人々に伝わりますように…。   Tweet

答えあわせ
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答えあわせ

こんにちは。   当館では、チチブ ↓   ヌマチチブ ↓   シモフリシマハゼ ↓   の3種のチチブの仲間を展示しています。       チチブの仲間に共通する特徴は「3つに分かれた歯(三尖歯)をもつ」ことです。 「この歯は石などについたコケを食べるのに適している」と、ずっと以前に何かの本で読んだのですが、   チチブもヌマチチブもシモフリシマハゼも、エサのオキアミを、大きな口でばくっと食べますし、小魚を見れば追い回してしとめるほど獰猛で、また、オス同士のケンカもたえません。   普段の様子を見ている限りでは、(コケなんか食べそうにないんだけどな~。本当に食べるのかなぁ?)と、ずっと気になっていました。     そんなある日、展示水槽でのヌマチチブの様子を見て、はっとしました。 こ、これはどう見ても、コケをそぎ取って食べている!! しかもかわいい。     こんなふうに、本で読み疑問に思っていることが、生きている姿を観察することによって解決でき、とてもうれしい瞬間でした。   後日、チチブの歯(側歯)を見てみたところ、3つに分かれているのまでは分かりませんでしたが、歯は2列に並んでいました。 図鑑にも2列に並んだ歯が見えると書いてありました。   生き物について分からないことがあったら、水族館に来て、生きている姿を見てみてください。   疑問は解決しないかもしれませんが、生きている姿は何かしら教えてくれますよ。         Tweet  

真珠のついた魚たち
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真珠のついた魚たち

みなさんこんにちは。   もう梅雨の時期、外で遊ぶにも雨が心配だなという方が多いのではないでしょうか? そんな時、水族館はおすすめですよ♪     さて、春から夏にかけて、当館の3Fに展示している魚たちの中には、こういった顔をしているものが現れます。 顔の周辺に白いぶつぶつがあります。 たまに優しいお客様が、病気じゃないですか?とこっそり教えて下さいます。     これは、追星(おいぼし)と呼ばれるもので、繁殖期になるとコイの仲間のオスに現れる二次性徴で、正常な状態なのです。 追星は、皮膚にあるケラチンタンパク質が硬くなり、小さな突起物として発達しているものです。 ケラチンタンパク質は私たち人間でいうと、爪や髪の毛などを作っている細胞です。     この追星が現れる部分は、魚の種類によって違い、目の周辺やアゴ、ひたい、胸の近くなど様々です。 形も板のようになるものから、体表を覆いかぶさるようになるものなど様々で面白いです。     先程の写真はオイカワですが、他にもいますので少しご紹介します。 ヌマムツ     カワヒガイ     アブラボテ 正面からみると、一匹だけ白いひげを生やしたみたいで面白いですね。       肝心なその役割については、縄張りをもつオス同士で攻撃につかっていたり、メスに対しては追星で突くことによって繁殖の刺激を与えたりしています。     そして私が一番気になったのは追星という言葉です。 初めて聞いたとき、スッと頭に入ってきて覚えやすい呼び名でした。 追星の語源を探っていますが、それについて触れている情報は見つかりません。 ちなみに英語ではpearl organと呼ばれるそうです。       コイの仲間だけなのかと思いきや、アユにもザラザラした追星が発達するようなので、今年は確認してみようと思います。   追星は繁殖期に現われる特徴なので、観察は今の時期がおすすめですよ。       Tweet

石化けの術!
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石化けの術!

さて、エサの時間が今日もやってきた!と、いつものように私は魚たちのエサを運んでいます。   魚には、水槽の前に立つだけで「エサくれ~!」と尾びれをふりふり全力アピールをするものや、その反対に、臆病でじぃ~…と隅の方で餌が目の前に落ちてくるのを待つものなど様々です。   そして、エサを与えたいのに「どこにいるんだ…?」と、水槽の中で姿をくらますものも… 今回はそんなかくれんぼがとっても上手な魚についてご紹介です。     どん!突然ですが問題です! この写真の中にある魚が隠れています…   どこにいるか見つけられますか~♪ 拡大してみますね!   正解は・・・ おやおや!! 大きな顔がこんにちは~♪     見事に石に化けていたのは「アユカケ」という魚でした~!! このように、アユカケは「石化け」と呼ばれる特技をもっていて、環境に応じて自分の体色や質感を変化させ、自然の中にとけこむことができる凄い魚なんです♪   当館の水槽内では3匹のアユカケを展示していますが、よくこれをやられてしまうので探すのに苦戦する時もあります…   皆さんは見つけることができましたか?   ちなみにこの写真は私が川に潜っているときに撮影したもので、ゆっくり泳いでいなかったら確実に見逃していました…(笑)   「アユカケ」という名前の由来は、鰓蓋の上に大きい棘があり、これを使って獲物である「アユ」をひっかけて食べる、という逸話からこの名前がついたと言われています。 (本当にひっかけられるの?と疑わしいところもありますが…w) 主にエサの魚を捕まえる時は、お得意の「石化け」で気づかれないように待ち伏せて…「バクッ!!」と目にもとまらぬスピードで仕留めます^^   また、体長は30cm程と中々貫禄があるサイズまで大きくなります。 先程の写真のアユカケを捕獲してみたところ、なんだか魚でなく、大きなカエルを乗っけているような気分になりました…w   そんなかくれんぼの名人アユカケは、3階「岐阜県の希少淡水魚」のコーナーにいますので、来館された際にはどこに隠れているか探してみて下さいね♪ 写真のようなまだまだビッグサイズではないですが、これからもエサをいっぱい与えて大きくしていきますよ~♪     Tweet  

水族館の困りごと・・・藻(コケ)
  • 日本の淡水魚

水族館の困りごと・・・藻(コケ)

皆さんはご家庭で魚やカメ、ザリガニなどを飼育した経験はありますか? 魚などを水槽で飼育していると、水槽のガラス面がだんだん汚れてきますよね。 水族館の水槽も同じで、ラン藻やケイ藻などの藻類が生えてきて、アクリル面が汚れてきます。   臨時休館中は、飼育スタッフも最小限の人数で作業していたので、通常なら毎日水槽掃除をしてきれいに保っているのですが、なかなかそこまで手が回らず、水槽はどこも藻類が付着し汚れてきました。 生物の健康管理上は問題ないのですが、アクリル面が汚れすぎて、生物の状態を観察すらできないのは困ります。       3階のコイやナマズがいる「ゆるい流れの魚」水槽は日光もよく入り、明るい水槽です。日光が入るということは、藻類もよく育ちます。   写真を見ると分かるかと思うのですが、少し清掃した上の方と比べると、いかに藻類が発生していたかよく分かりますよね。 ここまでになると汚れも頑固で、掃除も一苦労です。 スポンジやスクレーパーなどの掃除道具を使って隅々まできれいにします。   掃除後の水槽はいかがですか?魚たちもよく見えるようになりました。     これは同じく3階のウシモツゴの入っている「岐阜県の希少淡水魚Ⅰ」水槽です。 水槽の底砂に緑の膜のようなラン藻が付いて、かなりの汚れ具合です。 この水槽はかなり狭いので、太っちょな私には水槽に入って掃除することができませんので、他の飼育スタッフが潜水掃除をしてくれました。 底砂や流木などにも付いていたラン藻を落として、すっかりきれいになりました。 ここまで水槽が汚れることは、開館以来初ではないかと思います。 再開に向けての清掃作業は大変でしたが、再びお客様に来ていただける準備が整ったことにホッとした再開前日でした。   これからも皆様に楽しんでいただけるようにスタッフ一同頑張りますので、よろしくお願い致します。   Tweet  

ハリヨ
  • 日本の淡水魚

ハリヨ

みなさんこんにちは。 さて、今回はハリヨの稚魚を紹介したいと思います。 先日、当館の公式ツイッターでも紹介しましたが、もう少し成長したハリヨもいますので、ご覧ください。   まずはこちら。     婚姻色が出てギラギラしているのがオスです。   メスはお腹が膨らみます。   こうなったらウィローモスというコケが入った、繁殖用の水槽に移動させます。   オスはウィローモスを使って底に巣を作り、完成するとメスに向かって求愛を始め、メスはオスを気に入ると求愛に応じて産卵します。   こちらが巣で、その中に産みつけられているのが卵です。   産卵を終えるとメスはどこかへ行ってしまいますが、オスは卵やふ化した仔魚が成長し巣立つまで世話を続けます。   こちらがふ化して3週間くらいの稚魚です。     まだまだ小さいですが、うっすら親のハリヨと同じような模様が出ていますね。 餌の動物プランクトンを食べて、お腹がパンパンでオレンジ色に透けています。     こちらは1ヵ月半くらいの稚魚です。 模様もだいぶはっきりと出てきました。   今、バックヤードにはハリヨの稚魚が200匹くらいいます。 もう少し増やす予定です。   このブログを読んで「もっとハリヨの話を聞きたい!」思った方へ。 現在は新型コロナウイルス感染防止対策のため休止していますが、当館では毎日14時から、ポイントガイドも実施していました。 しかし、この時間にガイドに行っても、私は待っているお客様を見たことがない…泣   当館のポイントガイドはその日ガイドするスタッフによって内容が少しずつ違います。 コロナが落ち着いたら、それぞれのポイントガイドもお楽しみに!   Tweet  

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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