おもしろ飼育コラム

千客万来のにぎわい
  • 日本の淡水魚

千客万来のにぎわい

みなさん、こんにちは。 先日、冬の河口へ採集に行ってきました。 こんな寒い時期なので釣り人もいませんし、シジミをとる人もいません。 水中をのぞいても魚影があるわけでもなく、寂しげな雰囲気が漂っています。 しかし、いるところにはしっかりと生き物はいますので、それを見つけて 確実につかまえていく感じの採集になります。 日中に確認できたものとしては、テナガエビ、シモフリシマハゼ、アベハゼ、ウロハゼ、アシシロハゼ、エドハゼ、マハゼ、キビレでした。 これが夜になると状況が好転し、ハゼ!ハゼ!ハゼ!とあちこちにハゼ類の姿を確認することができます。 夜に確認できたのは、昼間のものに加えてシマイサキ、スミウキゴリ、ミミズハゼ類、ビリンゴなどもいました。 マハゼ   テナガエビ シモフリシマハゼ スミウキゴリ ビリンゴ キビレ シマイサキ   夜のほうが圧倒的に個体数も多く、ぼーっとしている魚も多いのでつかまえやすいです。 河口で生き物をとるときは干潮時にいくのですが、夜の方がよく潮がひくことも重要なポイントになります。 スミウキゴリは産卵期が近いのか、かなりの個体数をみることができました。 ミミズハゼ類も石をどけると見つけることができます。 ただ、昼間に同じ作業をしてもあまり姿をみることができないので、昼と夜でちょっと居場所が変わったりするのだろうかという疑問を持ちました。 夏場には本来見られるはずのテナガエビがまったく見られず、ものすごい数のマハゼでしたが、今回はテナガエビもしっかり採れたので一安心です。 そろそろアユカケの遡上やイシガレイの幼魚が見られる時期ですが、 今回は姿をみることはできませんでした。 またもう少ししたら行ってみようと思います。   Tweet

3年目のトウカイヨシノボリ
  • 日本の淡水魚

3年目のトウカイヨシノボリ

こんにちは。 こちらは3F希少淡水魚コーナーのトウカイヨシノボリの水槽です。 照明を少し暗くして、植物の根っこなどを足したところ、以前は、隠れたりケンカしたりで、 なかなか姿を現さなかったのですが、なんだかよく出てきてくれるようになりました。   以前にもブログで紹介したことがありますが、2016年、2017年、2018年とトウカイヨシノボリが産卵したら、 それをふ化させて育てるようにしてきました。 ふ化したばかりの稚魚は約3.2mmととても小さい上に、遊泳力が弱く、浮遊生活を送るため管理がとても難しいです。 また、稚魚のエサにはシオミズツボワムシという小さな動物プランクトンを与えますが、 このシオミズツボワムシの培養も山あり谷ありで…、 稚魚が順調なのに、あげれるワムシがいない!と涙をのんだこともありました。 しかし!3年目の2018年、ついに、満足のいく数のトウカイヨシノボリを育てることができました。   育った個体数を年ごとに見てみると、 2016年は何回も産卵してくれて、何回も育てたのに40個体、 2017年は1回の産卵から31個体、 2018年は2回の産卵から145個体!     失敗の度にやり方を少しずつ変えて、ようやくトウカイヨシノボリの母になれました。   今や予備水槽にはこんなのや、 こんなのが、 こんな感じでたくさんいます。 もう少し育ったら展示水槽にデビューできるかな。   トウカイヨシノボリは岐阜、愛知、三重にしか生息していない東海地方の固有種です。 わたしなりに解釈すると東海地方の宝です。 なので、ひとりでも多くのお客様に関心を持っていただけたら嬉しいです。   Tweet

季節のバトン
  • 日本の淡水魚

季節のバトン

こんにちは。 毎年楽しみにしている水族館の黄梅もきれい咲きました。 いい香りです。 今回は一つ季節をさかのぼった話になりますが、 秋の風物詩として、今年度も無事にイタセンパラの展示を実施することができました。 それと並行してバックヤードでの繁殖作業も進めていました。     午前と午後に時間を決めて10日間撮影を試みました。撮影後はひたすら映像の確認作業。 地面の中にもぐっている二枚貝のところへ、オスがメスに求愛しながら誘導している様子です。 これまでに産卵する瞬間は何度か見たことありますが、求愛行動ははじめてみました。 残念ながら産卵行動は撮影できませんでしたので、また来シーズン狙います。   秋といえばイタセンパラのイメージも強いですが、 冬といえばどんな魚をイメージされるでしょうか。 こちらはビリンゴという魚です。 こちらの水槽で展示していますが、12月くらいから繁殖行動の見られるメスに黒っぽい婚姻色がでます。 控え目なときもあれば、婚姻色全開のときもあります。 多くの魚はオスに婚姻色がでますが、ハゼの仲間はメスに婚姻色がでる種もしばしば。 過去のブログでは繁殖作業の様子なども紹介してきましたが、 今年も準備を進めています。 ビリンゴに婚姻色が出ると、冬という季節をすごく感じます。それとともに春にむかって季節が進んでいく期待感のようなものも湧いてきます。 あと少ししたら、ウキゴリとかもいい感じに婚姻色が出始めるかと思いますので要チェック。 秋から冬へ、冬から春へ、魚たちによって季節がつながれていくようです。     Tweet

運動会
  • 企画展・特別展示
  • 日本の淡水魚

運動会

こんにちは。 前回に引き続き企画展の紹介になります。 こちらの水槽では婚姻色をテーマにしてボウズハゼの仲間が展示されています。 ボウズハゼの仲間はおもに沖縄など暖かい地方に住んでいますので、あまりなじみがない魚かもしれません。 ボウズハゼの仲間は植物食性の傾向が強いので、石の表面などについているコケなどを食べます。     このように石の表面についているコケをこきざみに口を動かしながら食べる様子を「ボウズハゼ運動」と呼んだりします。 アカムシやブラインシュリンプなどを食べてくれるようになるまでは、自然のコケをエサとして与えるために、コケのついた石を定期的に入れ替えて飼育しています。 コケがついた新しい石をいれてあげると、すぐに寄ってきて食べていますので、やっぱり好きなんだと思います。 あっちでもこっちでも一生懸命コケをそぎとって食べている様子はまるで運動会のようににぎやかで楽しさを感じます。 ボウズハゼの仲間はオスとメスでまったく見た目が違う種もいますので、どれがオスでどれがメスなのか、この水槽に何種類いるのかじっくりと観察してみてください。 Tweet

井戸端会議
  • 日本の淡水魚

井戸端会議

最近なにかと話題の「下流の魚」水槽ですが、少し不思議な光景をみかけました。 こちらはスミウキゴリですが、なぜか集まっています。 動画でもご覧ください。     水槽内に十数匹はいると思いますが、その半分以上が集まってきています。 たまたまかと思いましたが、毎朝ここで集まっています。 日中や夕方はばらけて自由にしています。 何か意味があって集まっているとは思いますが、なんでしょうか。 わかりません。 今日食べたいエサの話でもしているのだとしたら面白いですが。 皆さんも水槽を観察しながら色々な疑問をもたれると思いますが、それらを共有していくと何か答えが得られたりするのかもしれません。   Tweet

たまには出歩きます
  • 日本の淡水魚

たまには出歩きます

こんにちは。 少し前のブログで紹介された「下流の魚」水槽にいるモクズガニですが、少し変わった方法で行動を観察してみました。 日中に姿を確認することは少ないですが、タイムラプスという方法で動画を撮影してみたところ、その姿をとらえました。     動画をご覧いただくと、水槽内の魚がめまぐるしく移動しており、空間を広く利用しているのがわかります。 そして、途中からモクズガニが現れました。 人がみていないところで、うろうろしています。 今回確認できたのは1個体でしたが、実際には10個体はいます。 水槽の前で朝から晩まで観察していれば色々な発見もありますが、今回の要領でやれば生き物が水槽内をどのように利用しているのがか把握することもできます。 ついでにもう一つ撮影してみました。     こちらも普段隠れ気味のアベハゼやアシハラガニが時間の経過とともに観察できました。 これからも色々な水槽で試していこうと思います。     Tweet

すべてが主役!?
  • 日本の淡水魚

すべてが主役!?

秋の風物詩、イタセンパラの展示が「下流の魚」水槽ではじまりました。 毎年見ても、毎回写真をとっても、やっぱり今年は今年で、しっかり見て写真を撮りたい欲望にかられます。 この水槽には他にも色々な生き物が展示されていますが、主役はだれかと聞かれると答えられません。 数で言えば、一年足らずで大繁殖したオイカワです。 すごい数の群泳がみられ、今でもどんどん産卵して増え続けています。 底のほうではスミウキゴリやゴクラクハゼが良いアクセントとなりアピールしています。 このゴクラクハゼはばっちり婚姻色が出ていました。かっこいいです。 あと、魚以外でいえばお子様に人気のクサガメやカルガモがいます。 今の時期しか見られないので、イタセンパラをじっくりとみていただきたいのはもちろんですが。 スミウキゴリ、ゴクラクハゼ、オイカワ、コウライモロコ、ボラ、モツゴ、タモロコ、ワタカ、イタセンパラ、モクズガニ、カルガモ、クサガメ...。 皆さんの一押しはどれでしょうか。   水槽を隅から隅までじっくりと観察しながら楽しんでいただけたら本望です。         Tweet

新入りをよろしく
  • 新しい展示
  • 日本の淡水魚

新入りをよろしく

新しい仲間を紹介します。   こちらはオオシマドジョウと呼ばれるドジョウの仲間で、かつてはシマドジョウ西日本グループ4倍体型と呼ばれていました。 吉井川の魚類の一つとしてオヤニラミやムギツクが泳ぐ水槽に仲間入りしましたが、当館ではオオシマドジョウによく似たニシシマドジョウがすでに展示されております。   よく似ているので見た目ではなかなか区別できないかもしれません。 ニシシマドジョウは染色体数が2n=48の2倍体、オオシマドジョウは2n=96の4倍体ということで、ニシシマドジョウが染色体数を倍化させて誕生したものがオオシマドジョウと考えられています。 といっても難しい話なので、とりあえずは両者は分布域が異なるので、生息地で区別することは可能です。 ニシシマドジョウは当館がある岐阜県などに生息していますので、この周辺で採ったらニシシマドジョウです。オオシマドジョウはおもに瀬戸内海流入河川に生息していますので、そのあたりで採ればオオシマドジョウです。 学生時代はオオシマドジョウの生息する地方に住んでいましたので、何度もオオシマドジョウを捕まえてきました。 時折このような全長15cmをこえる大型の個体と出会うこともありました。   この写真の個体はメスなのでややお腹が大きいですが、なんとなく肉付きも良く強そうな感じもします。   当然、ドジョウの仲間なので砂や砂利の中にも潜ります。   パッと見た感じいないと思っても、こんな感じで隠れていますので、予想以上に多くの個体がいると思います。 ぜひじっくりと観察してみてください。       Tweet

新しい世代
  • 日本の淡水魚

新しい世代

夏も終わり秋が深まりつつある今日この頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか? ついこの間までは猛暑で汗だくになっていたのを懐かしく感じます。 さて、目指してきた一つの目標でもありますが、以前ブログでご紹介したゼゼラやツチフキの繁殖した個体が展示デビューしましたのでご報告します。   さぁ、どこにいるかわかるでしょうか? ん?もしかしてこれか?と思うような大きさかもしれません。 居場所さえわかってしまえば、見つけるのはたやすいかもしれませんが、この水槽の中にいるという前提で見なければ、なかなか見つけるのも難しく、周りの風景にも同化しています。 まだまだ小さいので、このまま順調に育つことを祈るばかりです。     また、トトベビー水槽で展示していたウシモツゴの繁殖個体も時を同じくしてデビューしています。 ゼゼラやツチフキに比べると、ウシモツゴのほうがわかりやすいので、来館された方はすでに気づいているかもしれません。 新しい世代が次々に誕生して成長してデビューし、水槽のなかでも世代交代は行われていきます。 理想を言えば、水槽内で産卵された卵が育って、自然に世代交代をしてくれればよいのですが、そう簡単にはいきませんので、我々が一つ二つ手を貸すことで、種を絶やさないように心がけています。 頑張ったところで種が絶えない保証が絶対にあるわけではありませんが、このような形が水族館内における人と生き物との共存という一つの形でもあるように思います。   途中経過をお伝えしてそのままになっているニシシマドジョウも大きくなりました。 生まれたときから3,4カ月経過すると、まぁまぁな大きさまで育つことがわかりましたが、まだ展示するには小さいので、もう少しあたためておきます。   Tweet

どんこのこ
  • 日本の淡水魚

どんこのこ

みなさまはドンコという魚を知っていますか? 「ドンコ」をインターネットで検索するといろんな魚がでてきます。 魚の図鑑を見ても、カジカやアユカケ、ヨシノボリの仲間、はたまた深海にすむチゴダラなど、たくさんの魚にドンコという呼び名が書かれています。 わたしも子供のころは、川でとれるハゼっぽい魚をすべてドンコとよんでいました。   しかし、真のドンコ(標準和名がドンコ)はただ1種のみです。 どーん!!これが正真正銘のドンコです。   このドンコ、強面(こわもて)です。ほんとに強いです。 個人的には長良川にすむ淡水魚界1、強いしこわい魚なのではないかと思うぐらいです。 ドンコどうしで気が合わないと、「ひねり体当たり噛み」をくり出しますが、そのキレの良さははんぱじゃありません。 弱い方のドンコは生きた心地がしないと思われます。   さて、そんな強さをもったドンコですが、オスが卵を守る健気さも持ち合わせています。 この夏、バックヤードで飼育しているドンコがうまくペアをつくって繁殖してくれましたので、ご紹介します。   黒々としたオスとお腹の大きなメスがいるな~とは思っていたのですが、ある日、隠れ家として入れてあるパイプの内側に卵が産みつけられていました。   オスが卵のそばにいて、胸ビレを使って新鮮な水を送っているようでした。 本来はこうして卵がふ化するまでオスが守るのですが、ふ化した後に、ほかの魚たちに稚魚が食べられてしまうかもしれないので、卵をパイプごと取り出して人工的に育てることにしました。 卵の観察もしたかったので、いくつか回収してシャーレで管理しました。   以下、写真で紹介していきます。   6月1日 お米のような形の卵です。   6月8日 体ができてきました。   6月17日 大きな卵黄をかかえた稚魚が誕生しました。   6月28日 卵黄を吸収してドンコらしい体つきになりました。   7月16日 体の色が濃くなり強面になってきました。   ドンコは広くとらえるとハゼの仲間ですが、一般的なハゼにくらべると卵が大きく、ふ化した稚魚も大きめです。 浮遊期間がなく、初めから着床して親と同じような生活を送り、ぐんぐん育ちました。   本当はこうしたドンコの繁殖の一部分でもいいから、お客様に見ていただきたかったので、なんとか展示水槽で繁殖しないかと、去年、一昨年とペア飼いに挑戦したのですが、うまくいかず…。 予備槽では穏やかに過ごしているペアを選んで移しても、なぜか展示水槽に入れるとバッチバチの大げんかになってしまうのです。   現在では大きい個体は体長4cm近くになりました。 そして、ドンコらしく大きい個体がいばり始めました。   このどんこのこたちが大きくなって展示水槽にデビューできるのは、どれぐらい先になるかわかりませんが、大切に育てていきたいと思います。   Tweet

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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