おもしろ飼育コラム

水の中の世界から
  • 日本の淡水魚

水の中の世界から

こんにちは。 今日は屋外に設置してあるイチモンジタナゴの水槽をのぞいてみます。     少し時期をさかのぼりまして、繁殖の時期に魚の状態はどんなもんかとカメラを沈めてみました。 追星(おいぼし)や婚姻色がでた多くのオスが二枚貝の周辺を泳いでいました。 一方のメスですが、この種の産卵管はタナゴの仲間では一番と言ってもいいほど長く伸びますが、この映像から見ても、いつでも産卵できそうな状態のメスがちらほらと確認できました。   この水槽の場合、横から見ることができないので、こうやってカメラを沈めてみれば全体の状況もよくわかります。 魚の警戒心もなくこっそりのぞいている感じで、魚との距離も近く楽しくなります。   おまけで、ヤリタナゴとニッポンバラタナゴの水槽もご覧ください。     川の中をのぞいてみて、色々なタナゴの仲間がこんな風に泳ぎ回っている光景がいつまでも見ることができるといいなと願っています。   Tweet

まるで宝石
  • 日本の淡水魚

まるで宝石

まずはこちらをご覧ください。     ご覧いただいたのは、このニシシマドジョウの卵です。 皆さんがご存知のドジョウは水田や用水路などにいますが、このニシシマドジョウはどちらかというと川の本流の砂底・砂利底になっている場所にいます。   産卵直後の卵はこのような感じでした。 1円玉と比べてもこの通り。小さな卵です。 産卵から1日経過して、少し魚の形がみえてきました。 産卵から2日目にはふ化しました。はやい。 4日目には泳ぎ始めました。 しっかりとエサも食べて順調に育っています。 ニシシマドジョウの繁殖を試みてから3年が過ぎましたが、ついに当館で初めて繁殖に成功しました。 卵一つ一つが輝いて見えます。 今回、回収できた卵は215個で、未受精卵もありましたが200個が無事フ化しました。 さぁ、これからしっかりと育てていきましょう。 このあたりの飼育の様子はバックヤードツアーでもご覧になれますので、また機会がありましたら、観察してみてください。     Tweet

目×目
  • 日本の淡水魚

目×目

こんにちは。 先日ご紹介した「イクメン・トトのトトベビー」で展示されたウシモツゴに続いて、今度はオヤニラミのご紹介です。 水族館の裏側の水槽内にオスとメスをいれて飼育していると、水槽内の設備の一部である塩ビ管に産卵しているのを確認しました。     時を同じくして、別の水槽では水槽内の流木に産卵しているのを確認しました。     卵の表面についているゴミをとったり、新鮮な水を送っているのでしょうか。 表面をつついたり体をこすりつけるような行動は、ウシモツゴとはまた一味違って大事に大事に卵を守っているように感じました。 オヤニラミという名前の由来は諸説ありますが、鰓のところにある一つの大きな模様が稚魚の目に見えて、それが親魚をにらんでいるようにみえる、というところからつけられたとの話もあります。 稚魚の段階ではまだその模様も曖昧な感じで、成長とともに模様も出てくるのでしょう。 稚魚の本物の小さな目はしっかりと何かを見つめています。そこにはどのような景色が映っているのでしょうか。 今後は立派に大きくなることを願うばかりです。     Tweet

黒
  • 日本の淡水魚

こんにちは。 先月の話になりますが、父の日の特別水槽「イクメン・トトのトトベビー」をご覧になりましたか? 展示期間はあっという間に過ぎてしまいましたが、普段はなかなか展示できない稚魚をお見せすることができました。 イクメンとしてご紹介しましたが、実際にその様子まではお伝えできなかったので、改めてご紹介しようと思います。 今回展示した魚類の一つ、ウシモツゴです。 ウシモツゴを繁殖させている、水族館の裏側の水槽で撮影したものです。 卵を産みやすいように塩ビ管を沈めて、そこにウシモツゴが産卵できるようにしています。 黒光りしているような立派なオスが卵を守っています。 なわばり意識が強く、近づいてきた他のウシモツゴを追い払う様子が観察できます。 真っ黒で、いかつい感じになっていますが、一生懸命に卵を守る様子はまさにイクメンです。 ただ、とにかくやることが多くて忙しそうです。   卵を守る前の段階、産卵するときの様子もご覧ください。 こちらはウシモツゴの展示水槽での様子です。 流木に体をこすりつけるようにして産卵しますが、それはほんの一瞬の出来事で、これを何回も繰り返して細い流木へきれいに卵を産み付けていきます。 ウシモツゴやモツゴは、こういう流木や石に好んで産卵するので、野外の川やため池などで注意深く観察すると卵を見つけることもできます。 あと、オスとメスの体格差がけっこうあっても、ペアが成立するのも興味深いところです。 展示水槽でも、動画のように産卵している様子が時折観察できるので、ぜひご注目ください。   Tweet

こっちも泥団子
  • 日本の淡水魚

こっちも泥団子

現在、写真のような氾濫原(はんらんげん)とよばれる環境に生息する魚類の個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されてる傾向がみられます。 当館で展示している魚類で言えば、イタセンパラやトウカイコガタスジシマドジョウ、前回のブログでご紹介したゼゼラなども該当します。 そして今回ご紹介するツチフキという魚もそうです。 これまでにツチフキをブログで紹介したことは少ないかもしれません。 ゼゼラとよく似ています。 カマツカにも似ていると思います。 ツチフキのほうがゼゼラやカマツカよりも底が泥っぽいところを好んで生息しているように思います。 このツチフキという魚は全国的にみて個体数が減少しており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されています。   現在、水族館の裏側で飼育・繁殖に取り組んでいます。 こちらが飼育している水槽で、昨年はじめて繁殖が確認されました。 屋外の水槽なので、水温や日長の変化などは自然のままです。 水槽内に使用しているのは田んぼの土なので、ツチフキ好みの環境を再現してます。 ある日、エサをあげようと水槽内を確認したところ、泥にまみれた丸い粒々のものがパッと視界に飛び込んできました。 前回のブログで紹介したゼゼラの卵とよく似ています。 比べてみると、ツチフキの卵(左)の方がゼゼラのもの(右)より大きいです。   また、ツチフキの卵(左)はゼゼラのような卵塊(右)ではなく、ばらけています。 同じような感じの卵ですが、このあたりの違いは面白いです。   ツチフキは卵を産むために、オスが底にすり鉢状の巣を作り、そこにメスが産卵して、そのあとオスが卵を守ります。   その一連の過程を動画に収めたいところですが、そう簡単にはいかないので、今回はオスが卵を保護している様子をご覧ください。   底を耕すように土を吹いている様子、これがツチフキという名前の由来でもあるそうです。 耕すような行動が繰り返されることで、土の中から卵が掘り起こされたり、埋められたりが繰り返されています。 産卵された卵をこのまま水槽内に置いておいても育つことは昨年確認できましたが、成長過程を観察するために一部の卵を回収して育てています。   ゼゼラと同じように成長過程を追っていきますので、まとめてお伝えしていこうと思います。 冒頭でもお伝えしましたが、氾濫原のような変化に富んだ環境で絶滅の危機にさらされている魚類を、少しずつ、確実に飼育下で自然に繁殖できるようになってきました。 このまま前進あるのみ。   Tweet

泥団子
  • 日本の淡水魚

泥団子

こんにちは。 こちらのワンド水槽で展示しているゼゼラが産卵しました。 ある朝、水槽を掃除していると水槽内に丸い粒粒のものが塊になって沈んでいました。   実際に本物を見るのは初めてでしたが、パッと見てゼゼラの卵とわかりました。 泥で覆われているので、知らない人がみれば普通にゴミとして捨ててしまいそうです。 昨年、水族館の裏側で初めてゼゼラの繁殖に成功しましたが、展示水槽では初めての記録になり、当館での繁殖は2年連続となりました。 積極的にエサを食べにくる魚ではないので、痩せないように1日3回エサをあげるようにしており、その効果もあってか飼育を始めて3年経過しましたが、一番よい状態でこの繁殖期をむかえていました。 展示水槽では多くの人の目にふれるので、繁殖までは期待できないと思っていました。 ただ、少し前からそわそわしているので、もしかしてとは思いましたが、本当に産卵するとは・・・ 正直驚きました。 数日でフ化するので、この状況を皆様に見ていただくことは難しく、フ化した仔魚も育つ可能性が低いので、卵を回収して水族館の裏側で育てています。 今のところ順調に育っていますので、成長した様子はもう少し育った段階でご報告させていただきます。   いつも色々とアドバイスをいただいているゼゼラの専門家からも、おめでとうと祝福の言葉をいただきました。 このように産卵してくれたということは、水槽内の環境が本来ゼゼラが生息しているような環境に近づいているのかもしれません。   それでは、最後に産卵前のオスとメスの行動や産卵後のオスが卵を保護する様子の動画をぜひご覧ください。     このようにうろうろしているのは、本来であれば植物の根などに産みつけたりするのですが、水槽内にそれらしいものがないので、探しているような状況だったのかもしれません。     卵を中心に周囲を警戒し、他の魚がきたら追い払い、卵に新鮮な水を送るために卵の上に乗ったり中をくぐりぬけたり、つついたりするような行動がみられました。 面白い。その一言に尽きます。   水槽をよく観察すると、いろいろな発見があります。 油断できませんね。       Tweet

見頃は今
  • 日本の淡水魚

見頃は今

こんにちは。 水族館にはたくさんの水槽がありますが、アクア・トト ぎふの4階から3階の水槽は四季に応じて色々な表情をもっており、今の時期に見頃をむかえた水槽があります。   こちらは先日ブログで紹介しました、スミウキゴリがいる「下流の魚」水槽です。 新たに展示種として加わったスミウキゴリもおススメですが、それ以外の魚も負けじと魅せてくれます。 オイカワは婚姻色が色濃くでて、毎日といっていいほど産卵する様子が観察できます。   産卵の様子は以前にもブログで紹介しましたが、オイカワの繁殖生態を観察するには今が最高の時期でしょう。 自然の川で観察するには運と根気も必要になってきますので、気軽に観察できるところが水族館の一つの良さでもあるかもしれません。     こちらはゴクラクハゼですが、オスとメスが寄り添って、仲良さそうです。おそらくこれから産卵するのでしょう。 奥のほうにあるような石をひっくり返すと、ゴクラクハゼの卵も確認できました。   エサをあげたあとに観察をしていると、ご夫婦で観察されているお客様と5分ほどこの水槽について楽しく会話させていただきました。 その翌日もまた別のお客様とあれこれお話させていただきました。 「ずっとみていても飽きない」と話されておりましたが、私も同じような気持ちで眺めておりました。 目が離せない下流の水槽です。       Tweet

うくかうかないか?
  • 新しい展示
  • 日本の淡水魚

うくかうかないか?

こんにちは。 「下流の魚」水槽に新たな仲間が加わりました。 さて、だれでしょうか?少し考えてみましょう。 ヒントを出していきますね。   1.魚です 2.在来種です 3.下流や河口の汽水域にすんでいます 4.大きさは10~15cmぐらい   なにか思い浮かびましたか? さらなるヒントを出していきます。   5.ハゼの仲間です 6.背ビレに黒斑も白斑もありません 7.ハゼの仲間ですが、中層を浮遊することもあります   そして、最後のヒント。   8.見た目はこちら ↓   正解はスミウキゴリです。 なじみのない魚なので難問だったと思いますが、正解された方おめでとうございます。 ウキゴリの仲間とはいえ、普通のウキゴリほどは浮きません。幼魚や若魚のころは群れて浮いていますが、成魚になると石の下などにかくれて生活することが多くなります。 1年ほど予備槽で飼っていた個体も全く浮くことはなく、石のかげにいたり、砂にもぐっていたりと隠れてばかりいたので、「ウキゴリのくせに」と苦笑していた私です。   しかしです。 この「下流の魚」水槽に移して様子を見ていたところ、なんとちょっと浮き気味の個体があらわれました。 浮いているスミウキゴリ…めっちゃいいです。   ボケボケの写真ですが、イメージだけでもお伝えできればと思いまして…。 個体数が少ないので、見つけにくいかもしれませんが、ぜひ探してみてください。 「スミウキゴリどこですか?」っていつでも聞いてくださいね。           Tweet

魅惑のイシガレイ
  • 日本の淡水魚

魅惑のイシガレイ

こんにちは。新年度が始まりましたね。 入園式後にアクア・トト ぎふに来てくださった園服姿の園児さんにお会いして、とても初々しい晴れやかな気分になりました。 さて、初々しいと言えば、「河口の生きもの」水槽にイシガレイが登場しました。 カレイといえば海の魚ではないか…。いえいえ、川にもいるんです。   おととしの初春、まだ吐く息の白い寒い時期に干潟でヒラヒラと水中を移動するものを見つけました。 最初はヒラムシか何かかな?と思ったのですが、手ですくって手の平に乗せてみると 「カレイィ!!こんなに浅いところに?」 とびっくり。周りをよくみてみると、あっちでもヒラヒラ、こっちでもヒラヒラ…。とてもたくさんいました。 これを育てて、クロダイやスズキが泳ぐ「河口の魚」水槽に入れようと思い、大事に大事に育てて、大きさが10センチを超えたぐらいで、去年の秋ごろ一度展示しました。 しかし、他の魚たちにつつかれ、継続不可能という結末に。 そこで今年は、「今の、この季節の干潟を見せたらいいんだ!」という考えにいたり、親指の爪サイズのイシガレイのまま、となりの「河口の生きもの」水槽で展示をすることにしました。 トビハゼのいるところです。 そして、その作戦は今のところうまくいっています。 見慣れればちびっこイシガレイは、わりと簡単に見つかるのですが、お客様はなかなか見つけられない様子で、水槽のそばを通りがかると、「カレイどこですか?」と頻繁に質問をいただきます。 「イシガレイが注目を浴びている!」と内心大喜びしながらお答えしている私です。 水槽の裏側で作業をしていると聞こえてくるのですが、 「イシガレイがいるんだって。え~どこだろう?」と探してくださっている方も実に多くいらっしゃいます。 イシガレイが隠れずヒラヒラ泳いでいる時は、他の生き物はそっちのけで 「あ!何かいる!イシガレイって書いてあるよ」と解説文を読んで、探してくれている方もいらっしゃいます。   ふしぎとイシガレイは、人を引き付ける魅力があるみたいです。   砂の色だし、動かないし、隠れてばかりで見えにくいし…。 苦労して展示してもお客様の満足度アップにはつながらないだろうけど、干潟のおもしろさを伝える努力はし続けよう。と思っていたので、期待以上のお客様の反応にとても浮かれている私です。 「カレイどこですか?」っていつでも聞いてくださいね。       Tweet

冬から春へ
  • 日本の淡水魚

冬から春へ

こんにちは。 3月になり、いよいよ春を感じる日が増えてきました。 約1か月前ですが、まだ寒さ感じる2月に採集へ行ってきました。 写真を見てもまだまだ冬の雰囲気が漂っていますが、水の中は春になりつつありました。 ウキゴリのメスです。お腹が色づいて産卵を控えているようです。 きれいです。 この魚は春に産卵する魚の中でも他より早く産卵するので、春を先取りといった感じでしょうか。   川をくだって海の方にも行きました。 毎年この時期にはボラやイシガレイの幼魚が観察されるのですが、今年もしっかり観察できました。   遡上を控えたアユカケも。 癒されます。 2月とは言え、この日は天気も良く春のような陽気でした。 さすがにまだカニ類の姿は見かけなかったです。   一方で、水族館の水槽ではどうでしょうか? 先ほど紹介したウキゴリですが、水槽でも色づいて産卵を控えていました。 去年は水槽内で産卵してくれましたので、今年も期待してます。 こちらはカニがいる水槽。 河口の干潟と同じように、まだ巣穴のなかで春を待っているようです。 ただ、真冬でも夜間や明け方、夕方、ちょっと暖かい日には観察できます。 この時期は日に日に暖かくなってくるので、毎日観察していると少しずつ観察できる頻度が増えてきます。 カニたちをみれば暖かいのかどうかがわかる、そんな見方もできます。   水族館の水槽は室内にあるので、自然の条件とは異なるところもありますが、紹介したように自然と同じような行動が観察できる水槽もあります。 特に当館の3、4階にある水槽では、四季の変化を感じることができる水槽も多くあります。 私たちは春になれば桜をみたり、夏になれば海に行ったり・・・毎年毎年よく飽きないなと思いますが、それは自然のみせる光景が一つとして毎年同じものではないので、そこに魅力を感じるのかもしれないと思います。 日本にはしっかりとした四季があるので、水族館にきて水槽をみていただくことで、その四季を感じて楽しんでいただければと思います。   Tweet

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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