おもしろ飼育コラム

カメとサンショウウオのための池
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カメとサンショウウオのための池

特別企画展「カメペディア」は、7月16日から世界編が始まります。 日本のカメに加えて、世界のカメがいよいよ展示に・・・。 そして、それだけではなくて、他にもカメにまつわるコーナーを設けたりする予定です。   その展示資料をお借りしに、岐阜大学に行ってきました。 無事、資料をお借りした後、大学構内にあるとある施設をのぞいてきたのでご報告。 その施設の名称は「在来水生生物保全池」! そう、カメペディア内でも取り上げている、 ニホンイシガメとカスミサンショウウオの域外保全施設です。 施設に入ると、すさまじい勢いでカメたちが水中に逃げ込む音が聞こえますが、全てミシシッピアカミミガメです・・・。警戒して私を見てますね・・・。(研究用に飼育されています。) こちらは、クサガメたち。 ここにいる個体は、岐阜大学構内、および周辺で捕獲されたカメたちなのですが、 ミシシッピアカミミガメだらけです。 (施設の横を流れる水路をみると、捕獲できていないカメが日光浴していましたが、やはりアカミミガメ)   調査の結果からこの地域では、 肝心のニホンイシガメはもうわずかしかいないことが、わかってきました。 ニホンイシガメがおそらく昔はそうであったように、 たくさんの個体が再び見られるよう、この施設が担う役割はとても重要です。 当館もできるかぎりご協力していきたいと思います。   もちろん、カスミサンショウウオゾーンものぞいてきました。 いましたよ、そろそろ上陸間近な幼生が。 この個体は岐阜市のカスミサンショウウオで、先日放流されました。 ニホンイシガメとともにこの施設で保護されます。 非常に良い環境ですので、3~4年後にはこの個体達の卵のうを見ることができると思います。 出入り口の掲示板で、当館の宣伝をしてくれていました。ありがとうございますー!   さて、この「在来水生生物保全池」の詳しい情報や、池が出来るまでの様子など、 岐阜大学応用生物科学部生産環境科学課程応用動物科学コースのHPで 見ることができます。ぜひ、一度ご覧ください。   http://www1.gifu-u.ac.jp/~zoology/index.html (HP内でも当館をめちゃめちゃ紹介してくれています。恐縮です)         Tweet  

繁殖シーズン到来♪
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繁殖シーズン到来♪

いよいよゴールデンウィークも始まり、各イベントで大忙しの日々・・・ 時を同じくして、日本産淡水魚たちの繁殖シーズンの到来です。 ちょっと前にサンショウウオ(アベ、クロ、ホクリク)やヒキガエル(アズマ、ナガレ)など両生類の産卵をご紹介しましたが、 いやいや魚類だってお盛んですのよ(と密かにライバル視しているワタシ・・・) 特に日本産の淡水魚は、四季の変化に敏感で、この時期、水が温み、日長が長くなってくると繁殖期を迎える種が多くいます。   まるで理科の実験室みたいに、整然と並ぶビーカーの中には、 人工授精によって得られたスイゲンゼニタナゴやアブラボテの受精卵や仔魚たちが、うやうやとおります。   稚魚期となったスイゲンゼニタナゴです。 このほかにも、ウシモツゴやデメモロコなんかも現在育成中です。   これがウシモツゴの仔魚です。 デメモロコの仔魚は、あまりに小さくて写真撮れませんでした・・・(泣)   こんな仔稚魚育成用の水槽が、バックヤードにずらりと並ぶのもこの時期ならでは。 バックヤードツアーのコースにも含まれていますから、ぜひ見てみてくださいませ!     さ、今日の産卵チェックしてこよっと♪   Tweet

<サンショウウオ日記 vol.14>アベサンショウウオ
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<サンショウウオ日記 vol.14>アベサンショウウオ

ようやく岐阜県に生息する6種の紹介が終わりました。 今回からは、日本各地にいるサンショウウオをご紹介します。   1発目はコチラ。 アベサンショウウオです。 このアベサンショウウオは小型サンショウウオで唯一、「種の保存法」で捕獲等が禁止されています。 今回のサンショウウオ展を企画するにあたり、このアベサンショウウオは規制が厳しいため、 生体の展示はちょっと無理だろうと思っていました。 しかしながら、数年前、福井県越前市で行われた「アベサンショウウオネットワーク会議」に参加した際、 アベサンショウウオ保全活動に感銘を受け、保全という切り口からでも紹介できればと考えていました。   今回、その情報収集のため、大変お世話になったのが、福井県両生爬虫類研究会会長、 (環)希少野生動植物種保存推進員の長谷川巌さんです。 お忙しい中、生息地など現地案内していただき、これまでの活動成果などについての資料もこころよく提供していただきました。   実際、アベサンショウウオが暮らす場所を目にして驚いたのは、人の生活圏と本当に近いことです。 民家の裏庭で繁殖していたりするものですから、ちょっと衝撃的でした。 また、人それぞれ、いろんな立場の方がおられます。そういった保全活動の難しさについても思い知らされました。   その後、展示準備を進めていくうちに、なんと幸運にもアベサンショウウオの捕獲・展示許可がおりました。 これは当館にやってきた若いメス個体です。 繁殖期は終わっており、時期的に微妙でしたが、なんとか発見できました・・・・。 (どうでもよいことですが、見つけたのは私ではありません。でも、こういうのって結構後引くくやしさです・・・)   今回のアベサンショウウオの展示が、サンショウウオと暮らしていくための「理解」につながるものとなれば、本当にうれしいことです。 同時に、飼育下繁殖方法の確立めざして、取り組んでいきます。皆さんにも良い結果を伝えられるよう、頑張っていきたいと思います。

<サンショウウオ日記 vol.4>ハクバその3 
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<サンショウウオ日記 vol.4>ハクバその3 

その3です。   道路沿いのゴミを除去すると同時に、道路のたまり水を、繁殖池と間違えてメスを待っているオスや、 すでに産みつけられてしまった卵のうを救出したら、次の作業です。 次は繁殖池の造成です。これが、なかなかキツイ!   毎年同じ場所に池を掘っても、たった一年で落ち葉や植物で半分以上が埋まってしまいます。 もちろんその上にはこの写真のように雪がつもっていることも。 (この写真は当時のものではありませんが、同じ場所です)   でも、繁殖に集まった成体と卵のうが観察できると、体の疲れが癒えるとは言いませんが、 一瞬喜びで疲れを忘れてしまいました。 また、この作業から数カ月後、同じ場所でたくさんの幼生が確認できた時は、ほんとにホッとしました。   そしてこの年から、アクア・トトぎふでは、ハクバサンショウウオの飼育に取り組み始めました。 残念ながら、いまだ飼育下繁殖には成功していませんが、少しづつ進展しています。   もともとゴミと一緒に捨てられてしまっていたのは、何が問題だったかというと、 「みんなそんなところにハクバサンショウウオがいるなんて知らなかった」ということです。 そもそもサンショウウオ自体が知られていないわけですから、当然です。 飼育下繁殖技術などの確立も大事ですが、実物をみて、その生物のことを知ってもらうことも、 水族館の大切な使命です。   という熱い思いを込めての、ハクバサンショウウオの初展示なのです! 

<サンショウウオ日記 vol.3>こんなに寒いとは・・・。 
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<サンショウウオ日記 vol.3>こんなに寒いとは・・・。 

それでは、話の続きです。 ハクバサンショウウオを初めて見たのは、4年前。 カスミサンショウウオの保全活動を一緒に行っている岐阜高校の先生で、 岐阜県野生動物保護推進員の高木先生に、ハクバサンショウウオの保護活動を 見に来ないかとお誘いを受けたのです。   ※当時の岐阜県レッドデータブックでは、まだヤマサンショウウオと記載されていました。 その後、ハクバサンショウウオのシノニムであるということで、名前が変わりました。   場所は岐阜県の北部、飛騨地方。水族館から車で約3時間! 私は岐阜県出身ではなく、大阪のいわば巷の子。 岐阜県って広!とこの時初めて感じました・・・。 <行く途中の風景>   いやー、景色最高!     さて、ようやく到着して、車を降りると、あれ?なんか寒いんですけど・・・。 それもそのはず、雪が見事に残ってるじゃないですか。 水族館では半袖だったのに。またも岐阜県の広さを痛感しました。   さて、到着後はすぐに活動開始です! 何をするかというと、まず道路脇にたまった落ち葉やゴミを撤去します。     雪解け水が常に道路わきを流れており、落ち葉やゴミがあると、水がたまって池のようになってしまいます。 すると、そこでハクバサンショウウオが誤って卵を産んでしまい、 そのまま流されたり捨てられてしまったりするのです。 なんてこった!!   つづく

<サンショウウオ日記 vol.0>カスミサンショウウオ幼生の放流 
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<サンショウウオ日記 vol.0>カスミサンショウウオ幼生の放流 

いよいよサンショウウオ展がスタートしました! 「サンショウウオをみなさんに知ってもらいたい!」 この熱い思いを胸に、ながらく温めてきたこの企画! 完成した時は、まさに感無量・・・。   いやいや終わったわけではなく、これからスタートですから、 感傷にひたっている場合ではありません。 これから特別展とあわせて、この飼育日記でも、どんどんサンショウウオ の魅力を伝えるべく、毎日更新していきます!   いや、2~3日おき・・・。ともすれば、一週間お・・・。 できるだけ頑張ります!   さてvol.0では、以前飼育日記にも書いた、 カスミサンショウウオの保護個体についてです。 彼らもそろそろ変態間近で、感染症検査も陰性。 というわけで、先日岐阜高校自然科学部のみなさんと一緒に、 生息地に放流してきました。   繁殖地はこのコンクリート製の側溝です。もっとちゃんとした池だったら問題ないのですが・・・。   生徒のみなさんの手で放流!ちょっと名残惜しそうです。 わかります。正直、カワイイと思います。   アクア・トトぎふスタッフも生徒さんの横で放流!   この幼生の飼育・変態前の放流という保護活動は数年前から実施しており、今年初めて放流個体が産卵やってきました。そのため、この一連の活動は今年でいったん終了となります。(調査はもちろん継続しますよ)今回放流した個体が成体になって、再び繁殖のため水場に戻ってくるのは、おそらく3年後。無事に戻ってこれることを祈りつつ、ついでに、サンショウウオ展の成功も祈りつつ水族館にもどったスタッフなのでした。追)このカスミサンショウウオの保護活動と放流の様子は、新聞でも取り上げられてます。ネット配信もされていますので、ぜひご覧ください。もちろん当館のサンショウウオ展では、みっちりと取り上げています! ぜひ皆さんに興味をもっていただけたら嬉しいです。

ニホンアカガエル産卵数調査その②
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ニホンアカガエル産卵数調査その②

先日、おもしろ飼育日誌にのせた、ニホンアカガエルの産卵数調査。 その時はまだ産卵していなかったのですが、 昨日の調査で、たくさんの卵塊を確認することができました。 その数、ざっと60以上!   こんな感じです。   無事ふ化したら、一面オタマジャクシですね。最高です。 サギ類の足跡もみられました。彼らにとって、オタマジャクシは餌ですから、ふ化を心待ちにしていることでしょう。   ※さも自分が見てきたように書いておりますが、実は今回の調査、私行っておりません。 今回は別のスタッフが行ってきました。 自分の時にはさっぱりだったのに、「いっぱい産んでいたよ」なんて言われたので、若干悔しいです・・・。 早速、自分も行ってきます!      

ニホンアカガエルの産卵状況調査
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ニホンアカガエルの産卵状況調査

今年で3年目、ニホンアカガエルの産卵状況を見てきました。ニホンアカガエルは岐阜県のレッドデータブックにも記載されていて、産卵場所となるような里山の田んぼが減っていることが問題視されています。その貴重な繁殖地をこの季節に見て回り、卵塊の数や発生状況をチェックしています。その調査の中で、今年はニホンアカガエルの卵塊のほかに、アズマヒキガエルの卵塊も見つけることができました。ヒキガエルの卵塊はながーくて太さ2cmぐらいの麺みたいな形をしています。その麺みたいな卵塊に紛れて、見事にコイル状に巻いた卵塊を見つけました。「おもしろーい」と思い写真に撮ってきましたので、みなさん見てください。すごいでしょ?

両生爬虫類会議
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両生爬虫類会議

先日、出張で北海道の円山動物園に行ってきました。岐阜県でも寒い寒いと思っていましたが、さすが北海道。寒さのレベルが違います。路面もキンキンに凍っていました。さて、出張の目的は「第20回日本動物園水族館両生類爬虫類会議」に参加するためです。この会議は、全国の水族館・動物園の両生爬虫類に携わる職員が、日ごろの研究成果などを発表する場となっています。私も、今年の夏に実施した国際カエル年イベントの成果などについて発表してきました。ちなみに、開催園の円山動物園はヨウスコウワニの繁殖など、かなりの成果を挙げられている動物園で、そこで働く職員の方々に色々と参考になる情報もいただきました。コモドオオトカゲを観察することが出来るのも日本でここだけなんですよ。さて、このシックで美しいヘビは、アオダイショウ。岐阜県にもたくさん生息しています。写真の個体は、円山動物園で展示しているアオダイショウで、「青色」が非常に美しいです。感動しました。写真では若干色がとんでしまっているのが残念ですが。北海道のアオダイショウは青みがかっているものが多いそうです。岐阜県では見たことがない色ですね。なにより、身近な生物のすばらしさを伝えようとする展示姿勢がすばらしかったです。身近な両生爬虫類の魅力をもっともっと皆さんに知ってもらえるよう、心に火がついた出張でした。

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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