昨年8月、岐阜県下呂市内でチュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオ(以下、便宜的に交雑個体と書きます)が発見され、新聞などでも大きく取り上げられました。 これまで7府県でチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体が見つかっており、大きな問題となっていましたが、とうとう岐阜県内でも発見されてしまったわけです。 それ以降も大垣北高校の高木先生や下呂市教育委員会を中心に、頻繁に調査が行われていますが、調査のたびに新たな交雑個体が見つかっており、状況は非常に深刻です。 私が調査に同行させていただいた際にも、4個体の交雑個体が見つかりました。 純粋な日本のオオサンショウウオなのか、チュウゴクの遺伝子が入っているのかは、外見からは判断できないような個体も多いため、遺伝子による鑑定が必要です。 鑑定の結果、交雑個体であることが確認された個体を当館であずかっていますが、すでに15個体以上もいて、用意していた水槽は早くも満杯になってしまいました。 オオサンショウウオは国の特別天然記念物であり、岐阜県内の河川には数多くの個体が生息しています。誰かがどういう目的で交雑個体を移動・放流させたのかはわかりませんが、このまま放置してしまうと、純粋な岐阜県のオオサンショウウオは絶滅し、チュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオに置き換わってしまうかもしれません。当館でも出来るかぎり岐阜のオオサンショウウオを守る活動に協力していきたいと考えています。 1/17からこれらの交雑個体の啓発展示も始まりました。 岐阜のオオサンショウウオは大ピンチな状況です。ぜひこの問題を多くの皆さんに知っていただきたいと思います。 また、1/28には郡上市にて「はざこシンポジウム2024」が緊急開催されます。岐阜県での交雑問題について詳しく知ることができますので、ぜひこちらもご参加いただければと思います。 https://gujo-wara.jp/2023/12/22/935/