おもしろ飼育コラム

魚類闘病日記パート⑥
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魚類闘病日記パート⑥

みなさま、こんにちは。 今回はプロトプテルス・ドロイの治療についてです。   こちらの魚は2階の「コンゴ川 下流の魚」水槽で展示されています。     先月、予備水槽で飼育しているプロトプテルス・ドロイにある異変が確認されました。   お分かりいただけるでしょうか? からだの一部が浮き上がってしまっている状態になっています。   実は、こちらのプロトプテルス・ドロイはハイギョの仲間になります。 ハイギョは私たちと同じように、直接空気を肺に取りこんで呼吸を行います。 そのため、水面まで浮上して空気を吸う必要があります。     少しでも呼吸がしやすいよう、水槽の水位をさげました。 過去にハイギョの仲間がこのような状態になったことをみたことがあるスタッフ曰く、 水位をさげて管理しても、体が浮き上がることが治らないと死んでしまうとのこと。   何かできないだろうかと、まずは浮き上がっている原因を調べることにしました。 おそらく浮き上がっている部分に空気が入っているだろうと、 プロトプテルス・ドロイを保定して注射針を刺してみました。 すると、予想通り少し空気が抜け、下の写真のように浮きあがることがなくなりました!   しかし、数分後には元の状態に戻ってしまったことから、おそらくお腹の中になんらかの異常があるのではないかと考えられました。 空気(ガス)が貯まりそうな場所は、肺や消化管が考えられます。   ハイギョの肺や消化管の病気について調べても、ほとんど情報がなく、行き詰ってしまいました…。 そこで、ハイギョ以外の魚において浮き上がってしまう病気について調べると 鰾(うきぶくろ)の異常で同じような症状を確認することができました。   鰾の異常では、細菌や真菌、寄生虫感染が関与していると言われています。 原因を特定するためには麻酔下で肺や消化管を直接、確認する必要があり、その方法ではプロトプテルス・ドロイに負担がかかり過ぎてしまいます。 そのため、診断的治療として毎日、抗生物質の筋肉注射を行い、経過をみてみることにしました。     治療を始めてから4日目の朝、プロトプテルス・ドロイの様子を見に行くと、すっぽりと隠れ家である塩ビ管の中に入ってこちらを見ていました。 おっ!これは良くなってきたのではないかと思い、一旦、治療を中断し、摂餌欲が回復するかを観察していくことにしました。   その数日後、問題なく餌も食べるようになり、再発する様子もなく治療終了することができ、一安心!   現在も、浮き上がることなく、元気に予備水槽で過ごしています。 しかし、浮き上がってしまった原因が、肺にあったのか、消化管にあったのかは未解決のままです。 魚類の病気や治療法については、まだまだわかっていないことも多いため、このように治療に対しての経過をみて判断することもあります。 こうしたデータを蓄積して、よりよい治療をできるように努め、今後もしっかりと健康管理していきたいと思います!         (閲覧注意:魚の内臓の写真があります。) ちなみにですが、ハイギョの仲間であるプロトプテルス・エチオピクスが死亡したときに剖検したときの写真がこちらになります。 肺も消化管もお腹の中に長く分布しており、浮き上がっている部分が尾側でしたが、どちらの可能性も否定することができませんでした。  

第11回 トト漢字コンテスト 受賞作品発表!
  • お知らせ

第11回 トト漢字コンテスト 受賞作品発表!

みなさんこんにちは。   昨年より募集をしておりました「第11回 トト漢字コンテスト」の受賞作品が決定しました! 「トト漢字コンテスト」は「魚」に自由な文字を組み合わせて漢字を作るアクア・トト ぎふの創作漢字コンテストです。 記念すべき第11回の今回は、館内応募に加えてはがきやFAXで計1,278点ものご応募をいただきました。 なんと、第1回から11回までに皆さまからご応募いただいた作品の総数は10,166点! 力作ぞろいの作品の数々をいつもスタッフ一同、悩みながら選考してまいりました。 これまでご応募いただいた皆さま、本当にありがとうございました。   さて、今年の最優秀作品はどんなトト漢字でしょう!? 一般の部 <最優秀賞>   【読み方/なまえ】 かまぼこ 【説明】 板の上にタラのすり身がのっているから 【受賞者名】 小林 則恵 (42才)   <優秀賞>   【読み方/なまえ】 ちりめんじゃこ 【説明】 主に鰯の稚魚から作られるちりめんじゃこですが、小さな鮫や蛸などが入っていることがあるので沢山の鰯の中に紛れ込ませました 【受賞者名】 水嶋 奏帆(16才)     【読み方/なまえ】 ハタハタ 【説明】 ハタハタと旗がはためく様子です 【受賞者名】 山本 聡(59才)   <特別賞>   【読み方/なまえ】 チカ 【説明】 エレベーターで地下に行くときは ” B1 ” を押します 【受賞者名】 浅井 恵(42才)     【読み方/なまえ】 ウオッチ 【説明】 時計のウォッチと魚のうおが一緒になったダジャレ文字 【受賞者名】 吉﨑 陽子(46才)     【読み方/なまえ】 ハモ 【説明】 いくつかの音がかさなってハモっている 【受賞者名】 中村 美月(16才)   <佳作>   【読み方/なまえ】 サクラマス 【説明】 海へ下ったヤマメが桜の咲くころ川に戻ってくるのをイメージしたのであります 【受賞者名】 相撲 正一(88才)     【読み方/なまえ】 リュウグウノツカイ 【説明】 リュウグウは浦島太郎に出てくることから 【受賞者名】 田原 向葵(高校2年生)     【読み方/なまえ】 アオブダイ 【説明】 口から出した粘液の中で寝るから 【受賞者名】 加藤 昭利(47才)     【読み方/なまえ】 かつおぶし 【説明】 刃物で削るからかつおぶしです 【受賞者名】 上杉 莉央(15才)     【読み方/なまえ】 クマノミ 【説明】 くま “のみ” をonlyで表しました 【受賞者名】 小林 夏埜子(16才)     【読み方/なまえ】 ワラスボ 【説明】 有明海のエイリアンであり、エイリアンのモデルにもなったから 【受賞者名】 岩木 陽菜(16才)   キッズの部(小学生以下) <最優秀賞>   【読み方/なまえ】 サツキマス 【説明】 サツキは五月 マスは口 【受賞者名】 一山 美輝(8才)   <優秀賞> 【読み方/なまえ】 ハイギョ 【説明】 はいこきゅうをするから 【受賞者名】 志賀 広望(11才)     【読み方/なまえ】 コンペイトウ 【説明】 こんぺいとうは砂糖でできているので砂糖とかきました 【受賞者名】 小林 千紘(10才)   <特別賞>   【読み方/なまえ】 テトラオドン・ムブ 【説明】 模様が迷路みたいだから 【受賞者名】 左髙 莉帆(小学1年生)     【読み方/なまえ】 チョウザメ 【説明】 超冷めたかんじがするサメです(ダジャレ) 【受賞者名】 大野 瑛祐(9才)     【読み方/なまえ】 クラゲ 【説明】 クラゲは毒を持っているクラゲもいるし透明なのでこのかんじにしました 【受賞者名】 松葉 千咲己(小学5年生)   <佳作>   【読み方/なまえ】 オニテナガエビ 【説明】 オニテナガエビの鬼! 【受賞者名】 立川 蒼依(11才)     【読み方/なまえ】 ヘコアユ 【説明】 集まって立ち泳ぎするから 【受賞者名】 加藤 明希(11才)   【読み方/なまえ】 エイ 【説明】 うちわみたいなすがただから 【受賞者名】 鈴木 裕里菜(11才)     【読み方/なまえ】 タナゴモドキ 【説明】 タナゴという漢字の中に似せているという漢字を入れました 「モドキ」という名前からばれないようにまぎらわせました 【受賞者名】 定政 遥希(12歳)     【読み方/なまえ】 ハリヨ 【説明】 ∧は、はりで(ハリヨははりが三本あるから)ヨはカタカナのヨだからです 【受賞者名】 長縄 柊吾(10才)     【読み方/なまえ】 メダカ 【説明】 め=目 だか=高をイメージしてかきました 【受賞者名】 世古口 万由(小学5年生)     今年も個性的な作品が揃いました。 受賞された皆さま、おめでとうございます! 2月中旬に賞状と副賞を送付させていただきます。楽しみにお待ちください。     入賞作品は2月上旬から水族館ガレリア(出口ゲート付近)に展示予定です。   水族館には受賞作のテーマになった生き物もたくさんいるので、ぜひ作品とともに見てみてくださいね。     Tweet

企画展のダイダイイソミミズハゼ
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企画展のダイダイイソミミズハゼ

こんにちは。寒い日が続きますね。 今日は、現在の企画展で展示しているダイダイイソミミズハゼをご紹介します。   そもそもミミズハゼの仲間が、どのような生き物なのかといいますと、 呼び名の通り「ミミズのような体つきをしたハゼ」です。夜行性であり、石の下にかくれていたり、地面を何十cmも掘らないと発見できなかったりで、目立たないくらしをしています。人目につきにくいくらしぶりのせいか、調査・研究の途上にあり、学名がつけられていない種類がたくさんいます。 国内のどこにどの種がすんでいるのかもわかっていないことが多く、捕まえたミミズハゼが、一体なにミミズハゼなのか、識別できる人はなかなかいません。   なにミミズハゼ? なにミミズハゼ? わたしも目下のところ勉強中です。 これまで当館では、企画展や「河口の生き物」水槽で短期間の展示をしたことがありました。その際も、なにミミズハゼなのかの判断に困り「ミミズハゼの仲間」として展示しました。   しかし、今回の企画展ではピシッ!と和名と学名を添えて展示しています。 展示しているのは「ダイダイイソミミズハゼ」。 この展示は和歌山県自然博物館にご協力いただきました。 2019年に新種記載された種で、沿岸の浅い磯礫中などから見つかっており、眼の下に数本のヒゲ状突起があるのが特徴とのこと。 拡大してみても目の下のヒゲ状突起の存在は確認しづらく、肉眼でぱっとわかるものではなさそうです(おそらく矢印で示したところだと思います)。   明るい展示槽では、下の写真のように隠れてしまい、なかなかお客さまに全身を見ていただくことができていません。 給餌したら(活発な捕食シーンをご覧いただけるかも…。)と思い、試したのですが残念ながら全くの無反応。『食欲 < 隠れ欲』でした。 というわけで、いつも夕方の消灯時間前後に給餌することにしています。 暗がりでは活発に動いて、しかも、けっこうたくさんの量の餌を食べます。       いかがでしたでしょうか?   ミミズハゼの仲間を知らなかった、見たことがなかったという方に、ぜひ見ていただきたいです。

チュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオ
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チュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオ

昨年8月、岐阜県下呂市内でチュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオ(以下、便宜的に交雑個体と書きます)が発見され、新聞などでも大きく取り上げられました。 これまで7府県でチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体が見つかっており、大きな問題となっていましたが、とうとう岐阜県内でも発見されてしまったわけです。   それ以降も大垣北高校の高木先生や下呂市教育委員会を中心に、頻繁に調査が行われていますが、調査のたびに新たな交雑個体が見つかっており、状況は非常に深刻です。 私が調査に同行させていただいた際にも、4個体の交雑個体が見つかりました。       純粋な日本のオオサンショウウオなのか、チュウゴクの遺伝子が入っているのかは、外見からは判断できないような個体も多いため、遺伝子による鑑定が必要です。 鑑定の結果、交雑個体であることが確認された個体を当館であずかっていますが、すでに15個体以上もいて、用意していた水槽は早くも満杯になってしまいました。   オオサンショウウオは国の特別天然記念物であり、岐阜県内の河川には数多くの個体が生息しています。誰かがどういう目的で交雑個体を移動・放流させたのかはわかりませんが、このまま放置してしまうと、純粋な岐阜県のオオサンショウウオは絶滅し、チュウゴクオオサンショウウオの遺伝子をもったオオサンショウウオに置き換わってしまうかもしれません。当館でも出来るかぎり岐阜のオオサンショウウオを守る活動に協力していきたいと考えています。   1/17からこれらの交雑個体の啓発展示も始まりました。   岐阜のオオサンショウウオは大ピンチな状況です。ぜひこの問題を多くの皆さんに知っていただきたいと思います。   また、1/28には郡上市にて「はざこシンポジウム2024」が緊急開催されます。岐阜県での交雑問題について詳しく知ることができますので、ぜひこちらもご参加いただければと思います。 https://gujo-wara.jp/2023/12/22/935/

あの淡水エイが仲間入り‼
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あの淡水エイが仲間入り‼

みなさまこんにちは。 2024年もどうぞよろしくお願いいたします。   さて、今日は、世界最大の淡水魚のひとつといわれるプラークラベーン=メコン川にすむ淡水エイが仲間入りしたお知らせです。 (古い学名からヒマンチュラ・チャオプラヤとも呼ばれます) 飼育スタッフ一同の悲願でもあったこの魚を、ついに展示することができてとてもうれしい。 英名はGiant freshwater whiprayで、体重600㎏にもなるといわれます。 といっても、今はまだ数キロしかありませんが。 本当は2020年の冬から2021年の春にかけて開催した企画展「トゲめくエイ」での展示種のひとつにしたいと考えていたのですが、実現させることができませんでした。 それが、昨年の夏の終わりごろ、奇跡的に1個体を搬入することができ、年が明けた1月の休館日に、展示デビューとなりました。   これからみなさまと一緒に、大きくなっていく様子を見守れたらと思っています。今は「メコン川の魚」水槽での展示となっていますが、大きく成長したらメコンオオナマズの泳ぐ水槽にお引越し!なんてことがあるかもしれません!! 飼育するのはどのスタッフにとっても初めてのことなので、 失敗しないように慎重に観察しながら、迫力あるビックサイズに育てたいと思います。 ぜひ見に来てください! 口先が少しとがっていて、その部位をくいっと上にあげている写真のような姿が、私は好きです。

Discovery!! 新しい企画展がはじまりました
  • 企画展・特別展示

Discovery!! 新しい企画展がはじまりました

新しい企画展がスタートしました。 【Discovery!! ~新種はどうやって見つかるの?~】     新種発見をテーマにした企画展です。   そもそも「新種」とはなんなのでしょうか? 「新種」とはどのように見つかるのでしょうか?     そのあたりの疑問は漫画にして説明しました。 企画展をごらんになる際には、まずはこちらをお読みいただくことをお勧めします。         今回の企画展では、身近な場所で見つかった新種から、海底洞窟や深海のような これまでほとんど調査されてこなかった場所で見つかった新種を紹介しつつ、 新種記載にたずさわった研究者の方々に教えていただいたエピソードもあわせてご紹介しています。       なかでも私が紹介したいのはこちら。     近年続々と新種記載されているゲンゴロウの仲間たちです。   今回の企画展では石川県ふれあい昆虫館の渡部さん、 東海大学の北野先生にご協力いただき、標本と生体を展示しています。   まずはチュウガタマルケシゲンゴロウ、ニセコウベツブゲンゴロウ、オニギリマルケシゲンゴロウ。     どれも5mm以下の小型のゲンゴロウです。   渡部さんより標本をお借りすることができましたが、標本を見たときは 「おぉ、小さい…」と緊張が走りました。 ちょっと力を加えたら簡単に崩れそうです。 展示用のケースに入れ換える作業はヒヤヒヤでした。 こんな小さな標本を何100個体も見比べて、新種の存在を明らかにするなんて… すごいですよね。     さらに、2023年7月に新種記載されたばかりの 「ヤンバルオオイチモンジシマゲンゴロウ」は成体をお借りすることができました! 名前もボディーも渋くてかっこいい! 新種記載されたばかりのゲンゴロウをまさか当館で展示できるとは思っていませんでしたので、 展示することができとても嬉しく思っています。           このように、今回の企画展を開催するにあたって多くの研究機関や 研究者の方々にご協力いただきました。 新種記載までの道のりはとても濃く、この企画展だけで伝わるものではありませんが、 「新種はどうやって見つかるの?」と思った方、ぜひ見にきていただけたらと思います。            

アクア・スクール「河原でアート」開催
  • イベント

アクア・スクール「河原でアート」開催

12月10日の日曜日。 12月とは思えないようなぽかぽか陽気の中、「河原でアート」を開催しました。 こちらは、参加したお客様が自身で拾ってきた石や流木を使って、川の生き物を創造して作り上げるというプログラムです。   午前は、木曽川の河川敷へ行って、   石を積んで遊んで、   お気に入りの材料を拾って、   ついでにゴミも拾って…。   お昼ご飯を食べて元気をチャージしたら、午後はみっちり工作…。   今回、初のプログラムでしたが、ボランティアさんの協力もあって、無事に終えることができました。   参加されたのは小学校1年生、3年生のお子様と保護者の方々、3組7名でした。 お子様だけでなく、大人の方からも「楽しかったぁ~!」という声も聞かれました。 もりだくさんのハードスケジュールでしたが、なかなかどうして、みなさんハマっていましたね。 参加者だけではなくボランティアさんも一緒になって、本気モードの作品を作っていました。   力作の数々がこちら。 冬休み期間中に館内で展示する予定ですよ。   1月7日にも同じプログラムの開催を予定しています。興味のある方はぜひご参加くださいませ! お申込み、お待ちしていま~す!!

コツメカワウソの赤ちゃんが産まれました!
  • コツメカワウソ

コツメカワウソの赤ちゃんが産まれました!

11月21日にコツメカワウソの「ミヤマ♂」「サクラ♀」ペアの赤ちゃんが産まれました。 当館ではじつに7年ぶりの繁殖です。   10月下旬に母獣のサクラの体重が増えはじめ、11月上旬にはお腹のふくらみが目立つようになりました。 妊娠期間は約2カ月間ですが、過去の経験では妊娠の兆候を確認してから約1ヵ月後に出産するケースがほとんどでしたので、11月下旬に出産するのではないかと準備を進めていました。   11月21日の朝、掃除に入ったスタッフから赤ちゃんの鳴き声が聞こえると連絡が入りました。 しっかりとした鳴き声で元気そうではありましたが、この時は何頭産まれたのかは分かりませんでした。 翌日、親がごはんを食べている間に寝床にある麻袋の中を少し拝見させてもらったところ、3頭の赤ちゃんを確認することができました。 生後3日が経ち、サクラの体調も問題なさそうで、父獣のミヤマも巣材となる麻袋の切れ端を運び込む姿も確認でき、両親そろって子育てもしっかり行っているようで、一安心。     生後1週間ほどすると、親が仔を運ぶ姿をよく見かけるようになりましたが、ミヤマはまだまだ慣れない様子で、サクラがしっかりとフォローしています。     生後2週間ほど経つとミヤマも慣れてきたようで、仔を運ぶ姿も一人前です。   子育てにも慣れてきたようですので、雌雄判別と体重測定を行った結果、♂1頭、♀2頭でした。     その後も定期的に体重測定を行っていますが、体重もしっかりと増え、ちゃんと授乳し育っているようです。 さて、待望の展示開始ですが、離乳が始まる生後2か月頃を予定しています。 それまで、もうしばらくお待ちいただき、3頭が無事育つよう温かく見守っていただければと思います。

「うわな漁」と「うわな料理」
  • 日本の淡水魚

「うわな漁」と「うわな料理」

皆さまこんにちは。 今日は「うわな漁」「うわな料理」についてご紹介したいと思います。今回のお話の主人公はウグイになります。ウグイは日本各地に生息している川魚で、普通に見られる魚の一つでもあります。   普通と書きましたが、いやいやどうして、川と海を行き来することや強酸性の川や湖でも生息することができ、その生態は生命力にあふれ、とても魅力的な魚でもあるのです。 ちなみに産卵期では写真のように鮮やかな婚姻色も現れます。   一般に市場に流通することは少なく、私自身も大人になるまで食べたことはありませんでした。一部地域では今でも食文化として残っており、冬のウグイは寒ウグイとして脂ものり大変美味しくなるとのことです。 今回、「岐阜の川人文化研究会」の長尾代表よりお声がけいただき、岐阜県郡上市に伝わる寒ウグイ漁具の展示とうわな料理の試食会にご招待いただきました。   郡上市を流れる吉田川でも、昭和50~60年代ごろまでは寒ウグイ漁が行われ、家庭でも食されていたそうです。 こちらがその「うわな漁」で使用されていた漁具になります。   ウグイの需要も漁獲量も減り、うわな漁は昭和60年頃に行われなくなったそうですが、その唯一の経験者が「大多釣具店」店主の清水さんで、当日は清水さんより貴重なお話を沢山聞くことが出来ました。 ウグイは、水温が下がると石の下などに潜り越冬する習性があり、その習性を利用して魚が入る穴「魚穴(うおあな)」をつくるのがこの漁の特徴なのです。「うおあな」から語変化して「うわな」と呼ばれているそうです。会場となったギャラリーの店主からも、行商で売りにきたウグイを食べていたとお話を聞き、地元の方にはウグイは一般的な魚だったようです。 そして、お待ちかねの「うわな料理」。鮎も見えますが、メインはウグイです!当日は、博物館の学芸員の方や魚を研究する学生さん、漁協の方など15名が参加されていました。   こちらは、吉田川で獲られたウグイの甘露煮になります。川魚の臭みや癖もなくとても美味しくておどろきました。もともと小骨が多い魚で、中骨が少し硬い印象もありましたが私は気にならず、頭から尾までバリバリと全て頂きました。   こちらは、山形県で養殖されたウグイを取り寄せ、唐揚げにしたもので、軽い味わいでこれは子供たちも大好きな味と食感だと思います。   こちらは、ウグイの骨や頭で出しをとった炊き込みご飯で、一番ウグイの味を感じ取れる料理でもありました。   一般的には、食されることの少ないウグイですが、旬や料理法によって、とても美味しくいただけることが良く分かりました。山間部では貴重なタンパク源であり、人々の生活を支えていた魚でもあるのです。   ここまでウグイの魅力は伝わったでしょうか。実は岐阜の飛騨に、ウグイの魅力度向上を目指す「日本ウグイ協会 https://ugui.info/ 」が設立されていることも知りました。 今回の参加者に協会の会長も参加されており、お話をさせていただきましたが、会長がお若い!若者たちがウグイの魅力を伝えるって嬉しいなと思いました。 色々な方々の思いが詰まった、とても素敵な会に参加させていただき、この場をお借りして御礼申し上げます。 岐阜県では一度途絶えた、「うわな漁」と「うわな料理」。伝統的と新たな可能性も融合した、ウグイの魅力を水族館でもお伝えしていきたいと考えています。 本当に美味しく、為になる一日でした。

続・減らない外来種
  • 企画展・特別展示

続・減らない外来種

こんにちは。 前回、「減らない外来種」としてコクチバスをメインにご紹介しました。 14日から展示を始めて2週間以上がたったわけですが、んもーこれ本当にコクチバス同士の小競り合いがひどいこと!どう組み合わせても闘争して傷ついてしまうので、残念ながら現在は1個体のみの展示に変更しました。 2個体展示していた時は、お客さまに「2匹の模様のちがいはなに?」とたびたび質問をいただいたのですが、これはおそらく個体の心理状態ではなかろうか?と個人的に思っています。 悠々としているときは下の個体のように金色(無斑)に、ストレスを感じているときは上の個体のようにまだら模様になっている気がします。あくまでもこちらの水槽で飼育した場合のことです。   ところで、一年前の今頃はこの展示スペースで野外に放流されていたメダカの飼育品種についての展示を行っていました。 今年は、それらの飼育品種が去年にも増して野外で発見される例が増えています。   私自身も、去年と同じ美濃市の用水路で青メダカを見つけました。 ↓ それから岐阜市内の用水路でも 黄メダカと ↓ 白メダカ ↓ を見つけてしまいました。   岐阜市のこの場所は、在来と思われるミナミメダカがまとまって見られるところなので、交雑する危険性が高く事態は深刻です。   くわしくはこちらをご覧ください。   メダカぐらいならお家で飼ってみてもいいかな?と気軽に飼いやすいペットですが、繁殖してたくさん増えたらどうしようか、意外に管理が面倒で飽きちゃったらどうしようか、そんなことをしっかり念頭に置いて飼育を始めてくださいね。そして、増えても飽きても絶対に野外に放流することのないようにお願いします。 「飼育生物を逃がしてはいけない」という当たり前が当たり前になるように、微力ながらも自分にできることを続けていこうと思います。

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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