おもしろ飼育コラム

真珠のついた魚たち
  • 日本の淡水魚

真珠のついた魚たち

みなさんこんにちは。   もう梅雨の時期、外で遊ぶにも雨が心配だなという方が多いのではないでしょうか? そんな時、水族館はおすすめですよ♪     さて、春から夏にかけて、当館の3Fに展示している魚たちの中には、こういった顔をしているものが現れます。 顔の周辺に白いぶつぶつがあります。 たまに優しいお客様が、病気じゃないですか?とこっそり教えて下さいます。     これは、追星(おいぼし)と呼ばれるもので、繁殖期になるとコイの仲間のオスに現れる二次性徴で、正常な状態なのです。 追星は、皮膚にあるケラチンタンパク質が硬くなり、小さな突起物として発達しているものです。 ケラチンタンパク質は私たち人間でいうと、爪や髪の毛などを作っている細胞です。     この追星が現れる部分は、魚の種類によって違い、目の周辺やアゴ、ひたい、胸の近くなど様々です。 形も板のようになるものから、体表を覆いかぶさるようになるものなど様々で面白いです。     先程の写真はオイカワですが、他にもいますので少しご紹介します。 ヌマムツ     カワヒガイ     アブラボテ 正面からみると、一匹だけ白いひげを生やしたみたいで面白いですね。       肝心なその役割については、縄張りをもつオス同士で攻撃につかっていたり、メスに対しては追星で突くことによって繁殖の刺激を与えたりしています。     そして私が一番気になったのは追星という言葉です。 初めて聞いたとき、スッと頭に入ってきて覚えやすい呼び名でした。 追星の語源を探っていますが、それについて触れている情報は見つかりません。 ちなみに英語ではpearl organと呼ばれるそうです。       コイの仲間だけなのかと思いきや、アユにもザラザラした追星が発達するようなので、今年は確認してみようと思います。   追星は繁殖期に現われる特徴なので、観察は今の時期がおすすめですよ。       Tweet

オスメスどっち?!
  • 研究・調査

オスメスどっち?!

みなさん、こんにちは。 だんだんと暑くなってきましたね。   少し前の話になるのですが、性判定研修に参加してきましたので、お話ししたいと思います!     性判定とは、生き物がオスかメスかを判断することです。私たち哺乳類は、外見でオス、メスを見分けることができますが、生き物によっては外見では判断がつかないものもいます。   では、オス、メスがわかると、どんな利点があるでしょうか? 例えば、オス特有の病気、メス特有の病気というものがあります。病気によっては、オスよりもメスの方で発生率が高いものもあります。 オスかメスかがはっきりしていると、病気を鑑別する上でとても有益な情報となります。他には、繁殖する可能性があるかどうか、観察された行動が交尾行動なのか異常行動なのか判断することに役立ちます。     前回の企画展『アマゾンを超える水の楽園 パンタナール大湿原』では、ルリコンゴウインコを展示していました。 このルリコンゴウインコは、外見で性別がわかりません。         そこで今回、性判定研修でルリコンゴウインコの性別について調べてきました! 結果はこちら♪ 右:ミョン、メス  左:サンゴ、オス     ここからは性別を調べる方法を少し詳しく説明していきます。   外見ではわからないため、DNAという物質を用いて判断します。 DNAには、たくさんの遺伝情報が含まれていますが、その中でも性別を決定する部分に注目します。 私たち哺乳類にはXとYという性染色体が存在し、XXであればメス、XYであればオスというふうに性別が決定します。 鳥類では、哺乳類と少し異なり、ZとWという性染色体が存在します。 そして、ZWであればメス、ZZであればオスとなります。     まず、羽毛を数本抜きます。羽毛の先端には少しですが皮膚や筋肉などの組織が付着しています。 それらの組織からDNAを取り出していきます。   ↓下の写真のように、羽の先端を切り刻みます。(写真は別の個体のものです) 切り刻むことによって組織からDNAを取り出しやすくなります。     次にタンパク質分解酵素などが入った液体に漬けて組織を除去し、DNAのみになるようにしていきます。     羽からとれるDNAの量はごくわずかですが、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって、性別を決定する領域のDNAの量のみ増やします。     最後にこの機械で電気泳動を行います。 電気泳動とは、DNAの分子量を比較することができる手法のことです。 これにより、性別を決定するZとWの染色体を区別することができます。     ZとWの染色体は分子量が異なるため、両方の染色体を持つ(ZW:メス)場合は2本の線が現れ、Zの染色体のみを持つ(ZZ:オス)場合は1本の線が現れます。 写真のMはMale(=オス)、FはFemale(=メス)を意味します。 ④のサンゴがオス、⑤のミョンがメスという結果となりました。   いかがだったでしょうか? 難しい用語もたくさん出てきましたが、なんとなく理解してもらえたら嬉しいです。   今回紹介した性判別の方法は、たくさんある方法の1つであり、これ以外にも血液や糞便により性判別を行う方法がありますので、気になった方は調べてみてください。     Tweet

カワニナのハンズオンパネル
  • アクア・トトの生き物

カワニナのハンズオンパネル

今回は、3階の「清流近くの生き物」水槽横に設置してある、カワニナの仲間の貝殻のハンズオンパネルをご紹介します。   ハンズオンとは、実際に手で触れ体験することで、学習効果をより高める展示のことです。   こちらのパネルは、本物のカワニナの貝殻が埋め込まれていて、巻貝の形や質感、内部構造を学ぶことができるものです。   パネルの左半分は貝殻のを切断したものを、右半分は貝殻を直接埋め込んであります。 これまでたくさんのお客様に触れられたおかげで、貝殻が割れたり、外れたりしてしまいました。(赤線の枠の部分) そこで、これからもハンズオンパネルに活躍してもらうために、リニューアルすることにしました。     リニューアルにあたり、早速カワニナの貝殻の調達を開始です。 当館でもカワニナを飼育しているのですが、パネルに使うには小さかったので、川へ採集に向かいました。   写真左から当館のカワニナ貝殻、川で採集したカワニナ貝殻、貝殻を次亜塩素酸ナトリウムに漬けたものです。   貝殻だけでは、長く展示しているうちに割れてしまうことが分かったので、今回は殻の強度を上げるために内部に樹脂を注入しました。     カワニナは川にいる蜷(にな・巻貝の総称)という意味です。止水や流れのあまりない田んぼなどに生息しているタニシ【田にいる螺(にし・巻貝の総称)】に対して、流れのある川に生息することから、この名がついたようです。       新型コロナウイルス感染防止対策のため、現在ハンズオンの使用は中止していますが、パネルが新しくなるのを楽しみにしていてくださいね。 (ちなみにサツキマスのハンズオンパネルもリニューアルしました。)   ※投稿後、一部表記を修正いたしました。   Tweet

コツメカワウソ ポイントガイド
  • コツメカワウソ

コツメカワウソ ポイントガイド

こんにちは。平出です。   今回は、コツメカワウソポイントガイドのデビューまでについて書いていきます。   カワウソの給餌を今年の4月から始め、ガイドを覚え始めました。 最初の頃は、エサバケツに手を入れられ、エサをとられたりと大変でした。   ちなみに、コツメカワウソはエサを食べているときの顔が、とても怖いんです。 ↑餌を食べているナガラ   これはこれで、普段の可愛い顔とのギャップがあって、愛くるしいのかもしれませんね(笑)     そして、給餌を始めて1か月程で、先輩のチェックがあります。 チェックの後は改善点などを指導してもらい、OKがでると、ガイドデビューすることができます。 チェックの時は、とても緊張しましたが、無事にOKをもらうことができて、良かったです。   ↑先輩によるガイドチェック     ガイドは、10:00~、13:00~、16:00~の計3回行っています。 4階からは、エサをあげているところが観察でき、3階からは、プールに飛び込みカワウソが泳いでエサを食べているところなどが観察できます。   現在、ポイントガイドは、新型コロナウイルス感染防止対策の為、中止しているのですが、再開した際にはぜひ、ガイドの続きとコツメカワウソのお食事を見に来てくださいね。   お待ちしています。     Tweet

お食事メニュー
  • バックヤード

お食事メニュー

生き物を飼育する上で、とても重要なものの一つにエサがあります。 当館では、毎日色々なエサを使い、生き物によって与えるエサも違えば、その個体によっても少しずつ変えたりもしています。   ということで、今日はエサの種類のご紹介。 まず、冷凍のエサ。 こちらはアジとサバ。   アシカやカワウソに与えています。 毎朝ぶつ切りにして、1時間かけて1日分を準備します。 魚類には、ぶつ切り以外にもミンチ状にして与えたり、アジ、サバ以外にもタラやマスなどを使用しています。 カワウソにはワカサギも与えています。↑     続いては、釣りをする方にはご存じのオキアミとアミエビです。   解凍してそのまま与えたり、ミンチにして魚類などに与えます。     次はこれ。赤虫です。   これは熱帯魚を飼育されている方はご存じかと思いますが、ホームセンターでも売っているものですね。 小型魚類のエサです。   熱帯魚屋さんやホームセンターで売られているエサにはこういったものもあります。   一般的に使われているエサも使用していますが、養殖業者で使用されている配合飼料や動物園・水族館の生き物用に作られた配合飼料もあります。       草食動物にはどんなものを与えているのかというと、 これは、イタリアンライグラス(イネ科の植物)です。 ゾウガメやカピバラに与えています。 カピバラには配合飼料や果物なども与えています。       下の写真は、カヤネズミのエサとカルガモのエサです。       他には、生きているエサもあります。コオロギやハエなどです。   カエルやトカゲなど両生類や爬虫類は生きたエサにしか反応しないものもいますので、常に与えられるようバックヤードでは、エサとなる生き物も飼育管理しています。     他にも色々な種類がありますが、新鮮なエサを与えられるよう気を付けて管理しています。 そして、そのエサを与えた生き物が食べる姿をよく観察し、体調に異常がないかどうか確認して毎日飼育しています。   最後に、お客様からよく聞かれることは、エサ代は月いくらくらいですか?という質問です。 月によってまちまちですが、平均すると1か月45万円くらいです。     生き物を飼育する上でエサはとても大切で、必要不可欠です。 今後も健康に飼育できるよう、様々なエサを準備していきたいと思います。   Tweet

パンタナール展終了後の気になる魚
  • アマゾンの生き物
  • バックヤード

パンタナール展終了後の気になる魚

パンタナール展が終了してから2カ月ほど経ちました。   展示されていた魚類の一部は、バックヤードで大切に飼育を続けています。 先日、バックヤードでエサを与えていた時のことです。 1匹のきれいな魚が、水槽の正面まで出てきてエサを食べにきました。     この魚・・・パンタナール展で展示していたアピストグラマの仲間です。 水槽にはたくさんの魚たちが混在しているため、この魚を収容したことを 忘れておりました。     パンタナール展開催中は、小さな水槽で幼魚を展示していました。 種名板の写真は3月上旬頃に撮影したものです。   3か月程で背びれが伸長し、体色も青を基調として背びれの先端に黄色味が増してきました。       以前アマゾンに出向いた時、たくさんのアピストグラマに出会った事を思いだしました。 流れの緩い沼地や、湿地のような水溜まりのようなところにのみ生息していました。 いずれも水の色は茶色で、土壌の腐植質の成分が溶け出した止水環境です。 pHを測定したのですが、どこもpH4~5の値ばかりでした。     特異な環境で素晴らしい発色を見せるアピストグラマ・・・ 日本の水槽の中でもきれいな姿を見せてくるのは、状態の良い証拠なのですね・・・ これからも大事に育てていきたいと思います!     Tweet  

プール開き
  • カピバラ

プール開き

少し前まで過ごしやすい季節でしたが、最近ではもう夏かというくらい日中は暑い日が続いていますね。 晴れた日には30℃を超え始めました。 新型コロナウイルス感染防止対策でマスク着用での作業は、暑さとの戦いです。   そんな中、カピバラたちは自分たちの季節がやってきたとばかりに、気持ちよさそうにプールで泳ぎ、じゃれあっていました。 「あぁ、なんて気持ちよさそうなんでだろう」と思いながら作業をする日々です。   夏本番が待ち遠しそうなカピバラたちですが、その前に梅雨がやってきます。 そうなれば、少しは涼しくなるのでしょうか?     Tweet

水族館での困りごと・・・結露
  • バックヤード

水族館での困りごと・・・結露

早くも沖縄や奄美などでは梅雨入りし、これからは湿度が高くじめじめした季節になります。 そして、水族館内では結露との戦いが始まります。   館内には空調をかけて温度調整をおこなっていますが、冷水系の水槽と館内の温度に差ができると、水槽のまわりには結露が発生します。 冬の暖房をかけているときに、皆さんの家でも窓ガラスに水滴ができることはありませんか。冷たいジュースの入ったコップのまわりに、水滴がつくこともあるかもしれません。あれが結露です。   温度差があればあるほど結露はひどく、水槽アクリル面は真っ白に曇ったようになります。   結露がついた水槽では水槽内の魚が見えなくなるので、対策を講じます。 その対策の一つが結露防止シートというものです。   お寿司屋さんのネタケースやガラス張りの冷蔵庫などで使用されていて、かなりの優れものです。ネタケースが真っ白で中のネタが見えないことなんてないですよね。 今回はその貼替えの様子をお伝えいたします。     これは「岐阜県の希少淡水魚Ⅱ」のカマキリ(アユカケ)の水槽です。 結露防止シートは劣化すると効果がなくなってくるために、定期的に貼り替えをします。 古い結露防止シートをはがし、アクリル面の汚れをきれいに拭いていきます。   この際に、アクリル面に糸くずや小さなごみが付かないように気を付けます。 これを怠ると結露防止シートをうまく貼ることができません。     次に、薄めた中性洗剤をアクリル面にまんべんなくスプレーしていきます。   結露防止シートについているセパレーターシート(剥離紙)をはがし、アクリル面の中央をねらってそっと結露防止シートを貼り付けます。     結露防止シートとアクリル面の間にできた気泡を、ゴムへらを使って抜いていきます。 この際、結露防止シートに傷をつけないようにゴムへらにタオルを巻くと、結露防止シートに傷をつけることなくスムーズに作業できます。(写真ではゴムへらがわかりやすいようにタオルは外しています。)     貼り終わったら、結露防止シートのふちなどに残った中性洗剤液をタオルでふき取っていきます。 その後3時間ほどしっかりと乾燥させるときれいに結露防止シートが貼り付きます。 この時に水槽下部に水が溜まっていると、その水分を結露防止シートが吸って浮き上がってしまい、うまく貼ることができません。(何度も失敗して、このことにようやく気が付きました。)     作業完了です。 このように梅雨時期に向けて、冷水系の水槽の結露防止シートを順次貼り替えていき、結露対策を強化していきます。   それでも完全に結露を防ぐことはできないので、見回りの度にタオルでふき取ったりして、お客様に見やすい水槽になることを心掛けています。   Tweet  

アシカショー再開に向けて
  • アシカショー

アシカショー再開に向けて

こんにちは。平出です。   水族館の再開にあたり、たくさんの方に、また元気な生き物たちの姿をお見せすることができ、とても嬉しく思っています。   さて、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として中止になっているアシカショーですが、ショー再開に向けて、マリンと一緒に練習中です。   ショーの再開日は、まだ未定なのですが、マリンもスタッフも元気にトレーニングに励んでいます。   また、ショーの内容も心機一転、新しくなります。 どんな内容なのかは、ご覧になってからのお楽しみです。     早くたくさんの方にお見せできるよう、これからもマリンと息を合わせて一生懸命頑張っていきます。   そして、ショーを見に来て下さった方々が、元気になって、笑顔になってくれたらとても嬉しいです!         この動画の続きは、ぜひアシカショー再開の折に見に来てくださいね。 お待ちしております。 それでは、また皆さんに会えるのをマリンとともに楽しみにしています。     Tweet  

石化けの術!
  • 日本の淡水魚

石化けの術!

さて、エサの時間が今日もやってきた!と、いつものように私は魚たちのエサを運んでいます。   魚には、水槽の前に立つだけで「エサくれ~!」と尾びれをふりふり全力アピールをするものや、その反対に、臆病でじぃ~…と隅の方で餌が目の前に落ちてくるのを待つものなど様々です。   そして、エサを与えたいのに「どこにいるんだ…?」と、水槽の中で姿をくらますものも… 今回はそんなかくれんぼがとっても上手な魚についてご紹介です。     どん!突然ですが問題です! この写真の中にある魚が隠れています…   どこにいるか見つけられますか~♪ 拡大してみますね!   正解は・・・ おやおや!! 大きな顔がこんにちは~♪     見事に石に化けていたのは「アユカケ」という魚でした~!! このように、アユカケは「石化け」と呼ばれる特技をもっていて、環境に応じて自分の体色や質感を変化させ、自然の中にとけこむことができる凄い魚なんです♪   当館の水槽内では3匹のアユカケを展示していますが、よくこれをやられてしまうので探すのに苦戦する時もあります…   皆さんは見つけることができましたか?   ちなみにこの写真は私が川に潜っているときに撮影したもので、ゆっくり泳いでいなかったら確実に見逃していました…(笑)   「アユカケ」という名前の由来は、鰓蓋の上に大きい棘があり、これを使って獲物である「アユ」をひっかけて食べる、という逸話からこの名前がついたと言われています。 (本当にひっかけられるの?と疑わしいところもありますが…w) 主にエサの魚を捕まえる時は、お得意の「石化け」で気づかれないように待ち伏せて…「バクッ!!」と目にもとまらぬスピードで仕留めます^^   また、体長は30cm程と中々貫禄があるサイズまで大きくなります。 先程の写真のアユカケを捕獲してみたところ、なんだか魚でなく、大きなカエルを乗っけているような気分になりました…w   そんなかくれんぼの名人アユカケは、3階「岐阜県の希少淡水魚」のコーナーにいますので、来館された際にはどこに隠れているか探してみて下さいね♪ 写真のようなまだまだビッグサイズではないですが、これからもエサをいっぱい与えて大きくしていきますよ~♪     Tweet  

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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