おもしろ飼育コラム

企画展「ワイルドアマゾン」終了後の生き物たち
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企画展「ワイルドアマゾン」終了後の生き物たち

12月半ばに企画展「ワイルドアマゾン」が終了しました。 その後の生き物たちはというと、他の水族館へ引っ越しをしたり、当館のバックヤードで飼育したり、常設展示へ仲間入りしたり、さまざまな場所へ移動することになります。     その中で、企画展終了後に新たに常設展示に仲間入りした生き物を紹介します。 まずネオンテトラなどの小型のカラシンの仲間。 こちらはピラルクーなど大型の魚を多数展示している水槽へ仲間入りすることに! 「食べられないの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これだけ体格差があるとエサとして認識しないようです。 ピラルクーの迫力ある姿もとても良いですが、ネオンテトラたちが群れで泳いでいる姿もとてもきれいです。     そして次はアロワナなどが泳いでいる水槽。 こちらにはオレンジキャットとドルフィンキャットが仲間入りしました。 最初はお客様から見えない隙間に隠れていたオレンジキャットですが、ようやく環境になれてきました。最近は、水槽真ん中にある流木の下がお気に入りのようです。 ドルフィンキャットは泳いでいる姿がよく確認できます。   新たに始まった展示をぜひ見にきてくださいね。

ゴミじゃない!
  • カピバラ

ゴミじゃない!

みなさん、こんにちは。 今回のお話は、カピバラ飼育場に転がっている木片の役割についてです。       カピバラ飼育場にはこのような木片がいくつか転がっていますが、決してゴミが落ちているわけではありません。 ちゃんとした役割があるのです。     げっ歯類(ネズミの仲間)は歯が一生伸び続ける動物です。 その長さを調整できないでいると、噛み合わせが悪くなり、最悪の場合ごはんを食べられなくなってしまいます。 では、どのようにして歯の長さを調整しているのか。 それは、木や石などをかじって自ら歯を削っているのです。     上の写真は飼育場に置いてある流木ですが、所々に噛み跡があります。 こういった硬いものをかじって前歯を削っています。 では、奥歯はどうでしょう? もちろん奥歯も伸び続けますので、削って調整する必要があります。 でも、こんな大きな木は口に入りませんよね。     そこで、最初にご紹介した木片です。 これらを口に含んでガジガジかじって削ります。       個体によって好みがあるようで、よくかじっている木片はこんな感じで小さくなっていきます。   カピバラは世界最大級のネズミの仲間とあって、歯もとても大きく噛む力も強いため、レイアウトしている植栽や扉などの硬いものでもかじって削ってしまいます。 しかし、健康に生活する上でかじる行動は必要不可欠です。 時々かじりすぎて、前歯が折れてしまうこともありますが、すぐ伸びて元の長さに戻ります。     さて、当館にはもう1種、げっ歯類がいます。 それはカヤネズミ。     カヤネズミも歯が伸び続けますが、日本最小のネズミとあって、歯も小さく噛む力も強くはないので、カピバラと同じように木や石を上手くかじって削れません。 そこで、当館では殻がついた状態のヒエやアワ、麻の実などをごはんとして与え、それらをかじって殻をむいて食べることで歯を削っています。     げっ歯類は歯が命。 歯が伸びすぎてしまわないよう、ネズミたちには硬いものを自らかじって調整してもらっています。     毎日開催のもぐもぐタイムでは、カピバラにごはんをあげた際に、カピバラの歯を観察することができます。 皆様もカピバラの歯の状態をチェックしてみるのはいかがでしょうか? 【申込制】カピバラもぐもぐタイムのページ

はじめての停電
  • アクア・トトの生き物

はじめての停電

みなさまこんにちは。山下です。入社してまだ1年が経過しておらず、日々はじめてのことでいっぱいです。 そんな中で、当館では特に大きなイベントの1つが先日おこなわれたので、ご紹介します。それは「停電」です。     停電と聞くと、ふーん、くらいに思われる方も多いかもしれません。しかし!今回約6時間電気が止まった状態を経験し、電気がない状態の無力さを痛感しました。     生き物の飼育設備は非常に多岐にわたります。シンプルな飼育設備を図示すると、下図のようになります。 生き物を飼育する水槽、そこで汚れた水を綺麗にするためのろ過槽、そして水を循環させるためのポンプ、というような感じです。 ただ、これはあくまで最もシンプルな場合の話です。これ以外にも水温を調節するための温調機器、エアレーション、照明などなど、非常に様々なものが飼育には必要です。 電気が使えないとどうなるかというと、水槽の水は汚れても綺麗にできず、飼育水の温度は外気温によって変動し、水に溶け込む空気は消費され続け、水槽は真っ暗、といった感じになり、本当に何もできなくなります。     こんなリスクを冒してまで、なぜ停電をするのかというと、電気系統に異常がないか、いったん電気を止めて検査をしないとわからないことがあるからです。検査をせずに突然機械が壊れててんやわんやするよりは、しっかり準備をして停電させ、点検するのが大事ということですね。     さあ、ではどんな準備をするのでしょうか。まず大きな水槽について。ピラルクーがいる水槽やメコンオオナマズがいる水槽などについては、水を循環させるポンプを停止し、温調機器も停止させます。 ただし、真っ暗な状態にすると暴れてしまう魚もいるので、そういった水槽には電池式の作業灯を付けておきます。そしてある程度小さめの水槽は、発電機を回すことで、温調機器も水を循環させるためのポンプも稼働させておくものと、一切を停止させるものとあります。暖かい地域に生息する魚がいる水槽などは、ヒーターを停止させると非常にまずいです。2月の寒い日に停電をおこなうので、小さい水槽ほど外気温による影響を受けて水温が低下しやすく、生き物が死亡してしまいます。そのため、ヒーターなどを稼働させたままにしておきます。各生き物が健康でいられるように、水槽ごとに用意をするわけです。     そんなこんなで準備を終え、いざ停電!館内は暗闇に包まれます。 例えばこちらの写真、昼間のピラルクーがいる水槽の写真です。作業灯が見えるだけで真っ暗なのがわかるかと思います。 このような状態の中で、飼育スタッフは何をするのか?当然見回りです。館内に異常はないか、各々ヘッドライトなどを使用して見て回ります。   ライトの明かりを頼りに、館内を歩き回ります。普段はポンプなどの機械の音が響くバックヤードも、この日は静まり返っています。とても新鮮でした。     見回り以外にも、屋外なんかは明るいので、ペンキの塗り直しといった作業もおこないました。 こちらはゾウガメ舎のペンキを塗る先輩。楽しそうです。     見回りをする中で、静かな館内以外にも大きく変化するものがあります。それは生き物たちの様子です。 昼間でもハコネサンショウウオの幼生やタゴガエルは石の影に隠れることはなく、 アカザは遊泳し、 オオサンショウウオもなんだか活動的でした。 企画展ブースでは赤い目が光っていました。   普段と違う生き物の様子が見られるのはやはり楽しいですね。     ある程度の時間が経ち、点検が終わると停電は終了します。電気が使用できるようになると一気に館内がまばゆい光に包まれます。順次普段通りの飼育設備を稼働させ、異常がないかを再度見回り、停電は終了です。     電気の使えない暗い館内も新鮮でしたが、やはり電気がないと何もできません! 明るい世界の安心感たるや…。といった感じではじめての停電を終えました。普段とは違うことをするため、1つ1つの作業にいつも以上に緊張感があり、終わったころには疲労感が押し寄せました…。しかしこれも生き物のため。今回の経験を忘れず、来年以降も無事に停電を乗り切っていきたく思います。     最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また次のコラムでお会いしましょう!

第12回 トト漢字コンテスト 受賞作品発表!
  • お知らせ

第12回 トト漢字コンテスト 受賞作品発表!

みなさんこんにちは。   昨年より募集をしておりました「第12回 トト漢字コンテスト」の受賞作品が決定しました! 「トト漢字コンテスト」は「魚」に自由な文字を組み合わせて漢字を作るアクア・トト ぎふの創作漢字コンテストです。 第12回の今回は、685点ものご応募をいただきました。 なんと、第1回から12回までに皆さまからご応募いただいた作品の総数は10,851点! これまでご応募いただいた皆さま、本当にありがとうございました。   さて、今年の最優秀作品はどんなトト漢字でしょう!? 一般の部 <最優秀賞> 【読み方/なまえ】 スネークヘッド 【説明】 スネークヘッドは魚だけど頭がヘビのようだから。 【受賞者名】 佐分 圭介 (中学2年生)     <優秀賞> 【読み方/なまえ】 カンブリ 【説明】 寒さをふるえで表しました。冬の味覚! 【受賞者名】 長縄 亜希子(40代)     【読み方/なまえ】 タチウオ 【説明】 立っている魚でタチ(立ち)ウオです。 【受賞者名】 戸叶 青葉(中学2年生)     <特別賞> 【読み方/なまえ】 イチモンジタナゴ 【説明】 体をはしる一文字状のラインを漢数字「一」で表しました。 【受賞者名】 浅野 由起(34才)     【読み方/なまえ】 リーフフィッシュ 【説明】 枯れ葉そっくりに擬態します 【受賞者名】 加藤 昭利(49才)     【読み方/なまえ】 ウシノシタ 【説明】 牛タンは、ウシノシタ 【受賞者名】 中川 真由美(53才)     <佳作> 【読み方/なまえ】 鉄火巻き 【説明】 「くにかまえ」をのり巻きにみたてました。うまい。 【受賞者名】 赤池 栄敬(37才)     【読み方/なまえ】 コイ 【説明】 手で招く こっちへコイ! 【受賞者名】 中山 楓(20才)     【読み方/なまえ】 ネオンテトラ 【説明】 電飾(ネオン)のようにきれいだから 【受賞者名】 野中 直美(58才)     【読み方/なまえ】 ボウズハゼ 【説明】 坊主は寺にいるので、寺記号の卍が中にあります 【受賞者名】 福手 優音(23才)     【読み方/なまえ】 テッポウウオ 【説明】 照準で狙いを定めて撃ち落とすぜ!! 【受賞者名】 志賀 元紀(36才)     【読み方/なまえ】 キタマクラ 【説明】 南が足なら、北は? 【受賞者名】 中川 真由美(53才)   キッズの部(小学生以下) <最優秀賞> 【読み方/なまえ】 トランスルーセントグラスキャットフィッシュ 【説明】 骨がスケスケなところを書きました 【受賞者名】 藪 潤ノ介(小学校1年生)     <優秀賞> 【読み方/なまえ】 ラブカ 【説明】 「ラブか?」ラブカ 【受賞者名】 長岡 悠(小学校3年生)     【読み方/なまえ】 タナゴ 【説明】 棚に5匹います。 【受賞者名】 安井 美詞(小学校2年生)     <特別賞> 【読み方/なまえ】 ヌタウナギ 【説明】 ぬめぬめだから 【受賞者名】 三輪 朱(6才)     【読み方/なまえ】 サンマ 【説明】 マが3つで3マ 【受賞者名】 北川 けんしん(小学校1年生)     【読み方/なまえ】 テッポウウオ 【説明】 ピストルのたまが入った魚をイメージしました 【受賞者名】 左髙 莉帆(小学2年生)     <佳作> 【読み方/なまえ】 コバンザメ 【説明】 魚の下にこばんがある様子を書きました 【受賞者名】 佐藤 照真(9才)     【読み方/なまえ】 ゴライアスタイガーフィッシュ 【説明】 キバのようなするどいはだから 【受賞者名】 江口 晴菜(小学校2年生)     【読み方/なまえ】 ディスカス 【説明】 親魚の出すディスカスミルクに群がる稚魚達を表現しました。 【受賞者名】 田代 啓悟(小学校4年生)     【読み方/なまえ】 たいやき 【説明】 たい(鯛)を焼いているようすを表しました 【受賞者名】 柴田 恵汰(小学校1年生)     【読み方/なまえ】 アカメ 【説明】 目が赤いからいれました 【受賞者名】 立川 芽衣(小学校4年生)     【読み方/なまえ】 クラゲ 【説明】 わたしのすきなくらげだから 【受賞者名】 正岡 美智子(小学校2年生)     今年も個性的な作品が揃いました。 受賞された皆さま、おめでとうございます! 2月中に賞状と副賞を送付させていただきます。楽しみにお待ちください。     入賞作品は水族館ガレリア(出口ゲート付近)に4月6日(日)まで展示しております。   水族館には受賞作のテーマになった生き物もたくさんいるので、ぜひ作品とともに見てみてくださいね。

子育て応援企画『おさかな、いこう♪』がはじまります
  • イベント

子育て応援企画『おさかな、いこう♪』がはじまります

2月17日(月)から、子育て応援企画『おさかな、いこう♪』がはじまります。 毎年2~3月の寒い時期と、6~7月の梅雨時期に開催していて、今回が第5弾となります。     そもそも… 当館は公園の一角に位置することもあり、平日には1~3歳くらいの小さなお子様と親子で遊びに来てくださるお客様を多く見かけます。   水族館のイベントは休日が中心です。平日に「なにか楽しんでいただくことはできないかな」、「気軽に何度でもお越しいただけないかな」そんな思いからこの企画はうまれました。     さて、第5弾となる子育て応援企画『おさかな、いこう♪』。 イベントの内容はこちらのページでご覧ください。   このコラムは、前回6月にご紹介した内容と重複する部分もありますが、初めて水族館にお越しいただく方に向けて、少しだけ役立てば良いなという情報をご紹介します。担当者の私見ですのであしからず…。   ベビーカーで行けるの? 館内はエレベーターで4階まで上がり、3階、2階、1階へはすべてスロープで降りる構造になっています。 4階、2階の一部を除き、ほとんどの床はカーペット敷きになっているので、ベビーカーでもガタガタ感はありません。 歩くことができるお子様には、格好のお散歩スポットです。 ちなみに、水族館の入り口から最も近い駐車場は、一般道の中央駐車場です。     こどものトイレやオムツ替えは? 1階のミュージアムショップ横(入館前)、館内1階(カピバラの近く)、館内2階(メコン川淡水環境研究所)にトイレがあり、男女とも各トイレにオムツ替えの台を設置しています。 また同じ場所に多目的トイレもあり、こちらにも設置しています。 4階~3階にはトイレがありませんので、オムツがパンパンかも?という場合は、入館前にミュージアムショップ横のトイレをご利用ください。   こども用の便座シートは、各多目的トイレに設置しています。     こども用のトイレは、館内1階(カピバラの近く)の女性用トイレ内に2か所あります。   大人がトイレに行くときは? 各所のトイレの個室に、男女とも各1部屋ベビーキープを設置しています。 たくさんの個室が並んでいる場合は、一番手前の個室をご確認ください。 個室内は広くないため、ベビーカーの持ち込みは難しいと思います。     授乳室は? 1階のミュージアムショップ横に授乳室があります。女性のみがご利用いただけるお部屋になっており、部屋内はカーテンにより2ブースに仕切られています。 あまり広くないので、ベビーカーの持ち込みは難しいかもしれません。 お湯の設置はありませんので、通路を挟んだレストランでお声がけください。 尚、利用中の場合は、公園内の授乳室もご利用ください。 水族館の目の前にある観覧車の下、岐阜おみやげ川島店店内、ひだまりホール、自然発見館に設置されています。     ベビーカーのレンタルは? 7か月~2歳のお子様用のベビーカーを無料で貸し出し可能です。ただし数に限りがありますので、いつも乗るお子様なら持参いただく方がおすすめです。     外で遊ぶにはまだまだ寒い時期。「おさかな、いこう♪」とお出かけしてみてはいかがでしょうか。 それでは、水族館でお待ちしています!  

岐阜県郡上市に伝わる、伝統漁法「うわな漁」
  • 研究・調査

岐阜県郡上市に伝わる、伝統漁法「うわな漁」

世界中にはさまざまな生き物が生息しています。人間はそれら生き物を捕まえるために生き物の特徴に合わせたさまざまな手法を取ってきました。 魚類に関しては、特に漁法と呼ばれます。漁法の中には、もうおこなう人がおらず、この世から消えてしまうもの、あるいは既に消えてしまったものもあることでしょう。   そんな中で、40年ほど前まで実施されていた、ウグイを獲る漁法「うわな漁」の実演が先日おこなわれました。 大変貴重な実演に呼んでいただけたので、どんな漁法なのか、学んできたことをこちらのコラムでご紹介しようと思います。     最初に、大まかにどんな漁法なのかを説明します。 ウグイは石の隙間に潜って越冬する習性があるため、晩秋にウグイが潜り込みやすい石組を作ります。これを「うわな掘り」と言います。そして真冬にその石組を崩し、中に潜り込んでいるウグイを漁獲する、というものです。これを「穴開け」と言います。     では、もう少し具体的に説明していきます。 まずは石組を設置する場所を決めます。川の中でも、浅く、流れのある場所が良いです。場所が決まったら河床を掘り下げます。今回は深さ約1m、幅は直径約2mの円状に掘り下げたようでした。そこへ人が抱えて運べる程度の石を積み重ねていきます。もともとの河床くらいまで石を積み重ねたら、その上に藁むしろを敷き、さらに石を載せます。   石組の少し上流に波よけを作ったら、設置作業は完了です。石組を図にするとこのような感じです。     今回は残念ながら、出水によって日にちがずれてしまい、私は設置の様子を見ることができませんでした…。またの機会を楽しみに待ちます。   設置が終了したら、冬が来てウグイが石組に入るのを待ちます。   1か月ほどが経ち、1月下旬。待ちに待った穴開けの日がやってきました。   まずは、藁むしろの上の重石を取り除きます。その後、掘った穴の上流側にリンゴ箱という箱を沈めます。リンゴ箱というのは下の写真のような箱のことを言います。   片側の金網に穴が開いたつくりになっており、一度魚が中に入ると、外には出にくいようになっています。また、川の流れに沿って箱を置くと、中を水が通り抜けるようになっています。   そして、リンゴ箱を中心にタテ簾を立てます。   この時、隙間ができないようにタテ簾と河床の隙間を砂利で埋めます。藁むしろを取り除き、穴の中の石を取り出していきます。   ある程度取り出したら、上流に作っておいた波よけを崩して、石組への水の流れを強めます。こうすることで、飛び出してきた魚が流れに逆らって泳ぎ、リンゴ箱に入りやすくなります。実際に魚がリンゴ箱に入る様子を撮影できたので、お見せします。   奥の穴から箱の中へと魚が入ってきているのがわかるでしょうか。 全ての石を取り除いた後、魚がタテ簾に沿ってリンゴ箱に入るのを待ちます。最後に仕掛けを撤去し、河床をならして、うわな漁は終了です。     今回の実演で漁獲されたウグイは6匹で、サイズも10cm前後の小型の個体でした。ウグイ以外には、オイカワ、カジカ大卵型、アカザといった魚が見られました。     今回実演していただいた方のお話では、40年ほど前は1回の漁で1000個体ものウグイが漁獲されたことがあった、とのことでした。今回漁獲された個体数が少なかった要因としては大きく2つの要因が考えられました。     1つ目は設置場所です。今回の実演では、河川工事の関係で、比較的流れの緩やかな環境に設置しました。大きなウグイは流れの速い環境にいることが多いために、緩やかな環境に設置した石組には大型のウグイが入らなかったのではないか、とのことでした。     2つ目に、以前に比べて魚の数が減っている、ということが挙げられました。見学に来られていた方も最近は魚がおらんからねぇと話されていました。     減少しているのはウグイのみではなく、さまざまな淡水魚が絶滅の危機に瀕しています。現在当館では企画展『Save the 淡水魚 ~未来へつなぐ水辺の宝~』を実施しています。その中で、淡水魚が今どのような状態にあるのか解説をおこなっています。ご興味のある方はぜひ一度見に来ていただけると幸いです。     話を戻してうわな漁ですが、また来年度も実施する予定だそうです。現地での見学も可能です。私もぜひもう一度見学し、たくさんのウグイが漁獲される様子を見たく思います。   最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次のコラムでお会いしましょう!

コツメカワウソの見分け方、教えちゃいます!
  • コツメカワウソ

コツメカワウソの見分け方、教えちゃいます!

みなさん、こんにちは。 当館で飼育しているカワウソですが、昨年10月にミヤマとサクラの子どもが産まれ、現在の飼育頭数が11頭となりました。     産まれた子どもたちも、離乳をし、大人と同じごはんを食べてくれるようになってきて、体もすくすく成長しています。体毛も大人と同じ濃い茶色になり、動き回れるようになってきました。一緒に部屋の中を動き回っていると、どこにいるのかわからなくなる時があります。 元気に成長してくれて、私たち飼育スタッフもうれしい限りです。     ところで、先ほど載せた写真ですが、3頭の見分けはつきますか? 同じ顔に見える!という方もいると思いますが、カワウソも1頭1頭、違う顔をしています。今回のコラムでは、みなさんにもカワウソを見分けていただけるように、それぞれの特徴を紹介します。     では早速、今回産まれた子どもから紹介します。 左側に写っていたのはメス。子どもの中では体が一番大きく、口の右下に黒い色素(ほくろみたいな)が1か所あります。顔が丸くて、鼻が黒いのも特徴ですね。     中央に写っていたのはオス。口下のピンク部分が大きく、ギョロっとした目をしているように見えます。メス②と、たまに間違えることがありますが、食べる速度がメス②よりも早いので、ごはんの時間は、顔と行動を見て、見分けています。     右側に写っていたもう1頭のメスは、体が一番小さいです。頭部が平らにも見えますね。そして、ごはんを食べるときは、両手でつかんでから口に魚を持っていくので、行動からも見分けることができます。     こちらの3頭は、まだまだ成長途中です。今は、見分けがつかなくても大丈夫です!これからどんどん個性が出てきて、さらに見分けやすくなっていくと思われます。 今後の成長が楽しみです!     では次に、子ども3頭の親兄姉の紹介です。 左から、モナカ・サクラ・ミヤマ・ゴヘイ・ホオバです。   では、1頭ずつ紹介していきます。   まずは、ホオバです。個人的には、一番わかりやすいと思っています。 吻先の色が、ピンクっぽい色をしていて、口の下に黒色の色素がたくさんあります。顔、体が、一番小柄なのも特徴です。     ゴヘイは、吻先の上が白色です。ホオバほどではありませんが、口の下に黒色の色素は入っています。そして、顔が一番横長です。     モナカは、ホオバやゴヘイのように口の下に黒色の色素が入っていません。吻先が黒く、上の部分がまっすぐになっています。     そして、お父さんのミヤマは、ヒゲが短く、顔の白い部分が全体的に茶色みがかっています。一番落ち着いていて、ごはんの時、他の個体に魚をあげているのを待っていてくれます。     お母さんのサクラは、顔がまん丸で、目鼻口が真ん中にキュッと寄っています。口下がピンク色で、黒色の色素がところどころ入っています。     1頭ずつは、見分けられても全頭一気に見分けるのはとても難しいです。常に動いているので、難易度はさらに上がります。     そして現在、巣穴で展示しているカシワ。 カシワは、現在1頭で飼育しているので、すぐにわかります。 体格が、がっしりとしていて、鋭い目つきをしています。毛並みもとても良いです。     最後は、ヒダ・アサヒの紹介です。 まずは、ヒダ。 ギョロっとした目が特徴的で、顔も体も大きいです。   そして、アサヒ。 顔が小さく、頬が丸みを帯びています。吻先の下に黒色の色素が入っているのも特徴です。   こちらの2頭は、現在ペアリングしており、常に一緒に生活をしています。 アサヒは、体格が小さく、ヒダの方が大きいです。また、一番わかりやすいのは、ヒゲの長さです。ヒダは、短いヒゲをしていますが、アサヒは、とても長いです。 2頭を見比べてみると、どちらかすぐにわかるかと思います。       さて、全11頭の見分け方を紹介しましたが、みなさん違いがわかったでしょうか? よく観察することで、見分けられるようになってきますので、ぜひチャレンジして見て下さいね。   現在は、ヒダ・アサヒペアとカシワの展示をしておりますが、もう少ししたら、産まれた子どもたちも展示デビューをする予定です。その際には、またお知らせしますので、楽しみに待っていてくださいね!  

オオウナギが…し、死んでる…
  • アクア・トトの生き物

オオウナギが…し、死んでる…

みなさまこんにちは。 本日ご紹介するのは、お客さまからご指摘いただくことの多い「あの生物」です……。     「オオウナギが……し、死んでる……」   オオウナギがひっくり返って底に横たわっていますね。お客さまからこのようなご指摘をいただくことは日常茶飯事です。 しかし安心してください、生きてますよ。   オオウナギは、全長2mに達することもある大型のウナギの仲間です。太平洋の暖かい海や周辺河川を中心に分布しており、日本では南西諸島でみられます。 野生では岩の隙間などに隠れて暮らしており、もしかしたらひっくり返ることにあまり抵抗がないのかもしれませんね。 時間帯によっては、水槽内をダイナミックに泳いでいることもあります。     さて、この写真を先輩スタッフに見せたところ、こんな会話がありました。 「私がこの水槽に潜ると、底に足がつかないんだよね。シュノーケルの先っぽも水面に出ないくらい」 「ってことは、このオオウナギ、先輩よりも大きいんじゃないですか?」 「そうかもしれないねぇ……」 そこで、全長を計測してみることになりました。     オオウナギがアクリル際にいるところを狙って、メジャーを置いてみました。 果たして結果は……。     件の先輩は152cmのため、先輩の勝利のようでした! 水槽の端の方は底砂が分厚くなっていたため水深が浅く、オオウナギが実際よりも大きく見えていたんですね。   このまますくすく育って、いつか本当に先輩も追い越して欲しいです。 ここまで読んでいただきありがとうございました。

コノシロ奮闘記
  • アクア・トトの生き物

コノシロ奮闘記

みなさまこんにちは。 今回の飼育コラムでは、少し前にもちらっと登場したあの魚について、つらつらとご紹介していこうと思います。   その魚とは… コノシロです!     コノシロ、お寿司屋さんではコハダという名前で出てきます。 知っている人も多い、身近な魚なのではないでしょうか。 ただみなさん、コノシロを水族館で見たことがある人は果たしていらっしゃいますか?   実はコノシロを展示している水族館はそんなに多くありません。 それがなぜなのか、今回展示に挑戦してみて分かった気がします。 それは…「シンプルに飼育が難しいから」のような気がします。   今回のコラムは、何がそんなに難しいのか、どういった血のにじむような努力があったのか、その片鱗でもいいので、このコラムを読んでくださっている皆様に届くことを願って書いております。     コノシロ飼育の難しい点その① 狭い場所ではダメ! コノシロは基本的には海域に生息し、産卵期の4~5月に汽水域に回遊する魚です。 そのため、個体を当館に搬入してすぐ、海水の予備槽へ入れて様子を見ることとしました。   当館は基本的には淡水の水槽ばかりで、少しなら海水の水槽がある、という状態です。 それは予備槽も同様で、淡水の予備槽に比べると非常に数は少ないです。 コノシロは遊泳魚だし、一番大きい予備槽へ入れよう、となりました。   しかし、狭かったのでしょう。 当館の海水予備槽ではコノシロを落ち着かせるには足りませんでした…。 水槽内の壁にぶつかり、ぽろぽろ鱗がはがれてしまいます…。 これはまずい、ということになり、ダメもとで最も大きな海水の展示槽へ移すこととなりました。 現在も展示を継続している、河口の魚水槽です。 壁への激突も治まり、今ではすいすい優雅に泳ぐコノシロを見ることができます。     コノシロ飼育の難しい点② ごはんを食べるようにならない! コノシロは搬入当初、本当にごはんを食べませんでした。 同じ水槽にはスズキやクロダイなど、様々な魚が入っており、週に5日様々なごはんを与えています。 しかしコノシロは一切食べるそぶりを見せません。 そんな日が続き、コノシロがごはんを食べずはや幾星霜。 このまま衰弱してしまうのではと焦っていた時、先輩からごはんを食べたとの連絡がありました。   話を聞くと、なになに「食べたごはんはおとひめ」? それを聞き、「食べるのか、これ食べるのか?」と思いました。 おとひめというのは配合餌料の一種で、粒径はおよそ0.5mmです。 これを水中にふわふわ漂わせると、パクパク食べるというのです。 試してみると…食べました!これ食べました! ふわふわしているとこを食べました!     コノシロがおとひめを食べるようになってはや幾星霜。 まだまだ問題は残っています。 おとひめはあまりにも小さい…。 コノシロのために大量に水槽に撒いても、おそらくコノシロをおなか一杯にすることは難しく、水槽もかなりのペースで汚れていきます。 より大きなごはんを食べるようになって欲しいところです。 そこで次はアミエビのミンチを試してみることにしました。 大きさはだいたい1.5mmといったところ。   「食べてくれ、これ食べてくれ」と与えてみると… 無事食べました! ここで調子に乗った山下、アミエビでもいけるのでは?と思い、水槽に投入しました。 すると、食べました!アミエビでもいけました!     その後も細かなサバミンチ 粗めのサバミンチというように粒径を大きくしていき… 現在は6mm角ほどに切ったサバコマを食べるようになりました。 鱗のはがれた部分も徐々に治り、現在は安定した飼育ができていると思われます。   しかし本来は群れで泳ぐ魚です。 コノシロが群れて泳ぐ様子をお見せできるよう、日々精進してまいります。

16種類400匹のタナゴたち
  • 企画展・特別展示
  • 日本の淡水魚

16種類400匹のタナゴたち

こんにちは。   現在開催中の企画展『Save the 淡水魚 ~未来へつなぐ水辺の宝~』は見に来ていただけましたでしょうか? 毎日寒いですが、暦の上ではもう春!ということで、企画展で展示しているタナゴたちも、少しずつ春の訪れを感じているようで…。 ほんのりとですが、春産卵型のタナゴたちに婚姻色があらわれ始めました。     まずはミヤコタナゴ。こちらは尾ビレや臀ビレのふちがオレンジ色になり安定の美しさをほこっています。   小型種のカゼトゲタナゴにも婚姻色がうっすらと。眼や背ビレ、臀ビレのふちが赤く染まっています。     見分けが難しいタビラ属も、婚姻色があらわれると違いがわかり易くなります。   アカヒレタビラ ミナミアカヒレタビラ セボシタビラ シロヒレタビラ   このように、それぞれのタナゴたちの婚姻色をくらべるにはもってこいのこの企画展となっています。なんといっても在来のタナゴ類全16種類が勢ぞろいしていますから。     ふだんから展示している東海・近畿地方に生息する6種類にいたっては、ど~んとひとつの水槽でお見せしています。 この水槽だけで170匹! 種ごとに群れたり、ほかの種とも交ざって群れたり。 隠れたり、底をついばんだり。 広い空間での様子はふだん見る姿とはまた違います。     この水槽はスタッフにも人気で、閉館後の安らぎの場となっていることも。 開催期間は4月13日までの4か月間ですが、早くも1か月が過ぎてしまいました。あと残り3か月しかありません!!   さらにタナゴたちの色が美しくなるように、レイアウトなど日々調整中です。ぜひぜひまた、何度でも見に来てください。

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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