みなさまはドンコという魚を知っていますか? 「ドンコ」をインターネットで検索するといろんな魚がでてきます。 魚の図鑑を見ても、カジカやアユカケ、ヨシノボリの仲間、はたまた深海にすむチゴダラなど、たくさんの魚にドンコという呼び名が書かれています。 わたしも子供のころは、川でとれるハゼっぽい魚をすべてドンコとよんでいました。 しかし、真のドンコ(標準和名がドンコ)はただ1種のみです。 どーん!!これが正真正銘のドンコです。 このドンコ、強面(こわもて)です。ほんとに強いです。 個人的には長良川にすむ淡水魚界1、強いしこわい魚なのではないかと思うぐらいです。 ドンコどうしで気が合わないと、「ひねり体当たり噛み」をくり出しますが、そのキレの良さははんぱじゃありません。 弱い方のドンコは生きた心地がしないと思われます。 さて、そんな強さをもったドンコですが、オスが卵を守る健気さも持ち合わせています。 この夏、バックヤードで飼育しているドンコがうまくペアをつくって繁殖してくれましたので、ご紹介します。 黒々としたオスとお腹の大きなメスがいるな~とは思っていたのですが、ある日、隠れ家として入れてあるパイプの内側に卵が産みつけられていました。 オスが卵のそばにいて、胸ビレを使って新鮮な水を送っているようでした。 本来はこうして卵がふ化するまでオスが守るのですが、ふ化した後に、ほかの魚たちに稚魚が食べられてしまうかもしれないので、卵をパイプごと取り出して人工的に育てることにしました。 卵の観察もしたかったので、いくつか回収してシャーレで管理しました。 以下、写真で紹介していきます。 6月1日 お米のような形の卵です。 6月8日 体ができてきました。 6月17日 大きな卵黄をかかえた稚魚が誕生しました。 6月28日 卵黄を吸収してドンコらしい体つきになりました。 7月16日 体の色が濃くなり強面になってきました。 ドンコは広くとらえるとハゼの仲間ですが、一般的なハゼにくらべると卵が大きく、ふ化した稚魚も大きめです。 浮遊期間がなく、初めから着床して親と同じような生活を送り、ぐんぐん育ちました。 本当はこうしたドンコの繁殖の一部分でもいいから、お客様に見ていただきたかったので、なんとか展示水槽で繁殖しないかと、去年、一昨年とペア飼いに挑戦したのですが、うまくいかず…。 予備槽では穏やかに過ごしているペアを選んで移しても、なぜか展示水槽に入れるとバッチバチの大げんかになってしまうのです。 現在では大きい個体は体長4cm近くになりました。 そして、ドンコらしく大きい個体がいばり始めました。 このどんこのこたちが大きくなって展示水槽にデビューできるのは、どれぐらい先になるかわかりませんが、大切に育てていきたいと思います。 Tweet