おもしろ飼育コラム

パスファインダー
  • 企画展・特別展示

パスファインダー

現在開催している企画展「世界のナマズ大紀行」ですが、 以前にブログで紹介したアストロブレプス、覚えていただいているでしょうか? 元気かどうか心配で冷や冷やの毎日ですが、 ある朝様子を確認したところ、こんな状態になっていました。 なんと、産卵していました。 残念ながらオスがいなかったので、この卵は未受精卵になります。 非常に悔やまれます。 以前のブログでもお伝えしましたが、 この魚に関する情報はほとんど見当たりません。 アクア・トト ぎふにおいても今回が初めての飼育、 初めての産卵の記録であったわけですが、 産卵についていえば国内外探しても、恐らくないのではないでしょうか。 どのような水温で維持すれば良いのか、 どのようなエサをあげれば良いのか、ずっと手探りな状態で、 どうにかこうにか道を切り開いていくような感じでしたが、 産卵してくれたということは飼育方法として間違っていなかったようです。 卵の大きさは約3ミリ、卵数は59個でした。 体長が約5cmであり、その小さな体からこれだけの卵数を この大きさのまま産卵するとは考えにくいので、 最初はもっと小さい状態で産卵された卵が、水を吸って大きくなるのでしょうか。 また、卵の粘着性についていえば、アクリル面に付着したり、 卵の表面に砂利が付着したりしている状況でした。 本来の生息地では、川の上流の流れのある場所に生息しているようなので、 卵が流されないように石にくっつけるようにして産卵するのでしょうか。 このように色々想像を掻き立てられます。 親の様子を観察していても たまたま卵の近くにいるものの、保護している様子ではありませんでした。 未知な魚とともに過ごしたその日々は初物尽くしでしたが、 最高の贈り物をもらったように思えます。 Tweet

企画展「世界のナマズ大紀行」 ラストスパート
  • 企画展・特別展示

企画展「世界のナマズ大紀行」 ラストスパート

早いもので、企画展「世界のナマズ大紀行」も 少しずつ終りの時期が近づいてきました。 7月から始まったこの企画展も、最初の頃とは展示種が入れ替わっています。 ナマズ類はとにかく種数が多いので、 少しでも多くの種を皆様に見ていただきたく 展示種の入れ替えをしてきました。 最初のほうに企画展をご覧になられた方は、 もう一度ご覧いただければ幸いであります。 長い期間展示していると、当然水槽も少しずつ汚れてきます。 例えば、今回の企画展で一番大きな水槽である ブルーカンディルの水槽は、 ここまで大きな水槽だと掃除をするのも少し時間がかかります。 他の水槽では上から手を伸ばせば掃除できますが、 この水槽ではそうはいかないので、こんな感じで掃除しています。 カンディルというと獰猛な肉食魚のイメージがあり、 中に入ったら襲われたりするのでは?と心配していました。 しかし、掃除しているとコツコツぶつかってはきますが、 襲いにきている感じではないようです。 カンディルにも色々種類がいますので、 もっと獰猛なカンディルだと状況も変わってくるかもしれませんが。 ブルーカンディルは、とにかく忙しなく泳ぎまわるので、 印象に残っている方も多いかと思います。 印象に残ると言えば、 “ハトを丸のみする”といわれているヨーロッパオオナマズ。 こちらの個体は2009年に秋篠宮殿下より下賜された個体で、 満を持してこの企画展で登場しました。 まだまだ成長の途中なので迫力ある大きさはお伝えできませんが、 ナショナルジオグラフィック様のご協力により、 衝撃的な映像とともに展示しておりますので、こちらも見逃せません。 一方でこの企画展の開催中に、同じくナマズの一種である コリドラスの仲間が繁殖しました。 バックヤードツアーに参加されたことがある方は 繁殖の様子をご存知かもしれませんが、 卵から少しずつ成長していく過程をご覧ください。 まだ体の模様はぼんやりとした感じで、親の個体と比べても コリドラスらしさは足りないですが、およそ半月で一気に大きくなりました。 約3か月経過した先日、繁殖した個体を展示に出しました。 このあたりのコリドラスの仲間は、 ピラニアの展示している水槽で一緒に展示しています。 よく見ると水槽の底のほうを泳ぐ小さな個体が観察できるので、 ぜひ探してみてください。 常設水槽で展示している個体は、 どうしても成魚だけに偏るところがあります。 その理由としては、小さい個体では展示しても見えにくい、 物陰に隠れてしまう、他の魚に襲われる危険がある、 まだ餌をしっかりと取るための力がない、など色々です。 ただ、色々な魚が色々な大きさで観察できるのが、 自然の川のありのままの姿に思います。 体の大きさによって利用する環境が少しずつ違ったりするので、 成魚や未成魚、さまざまな成長段階の魚をみることができる、 そのような光景を水槽の中でも表現できると 展示にも深みが出るような気がします。 アクア・トト ぎふで繁殖した魚は、 ある程度大きくなった段階で、皆様にご覧いただけるように なんとか工夫をしていきたいと思います。 Tweet

つぼみ、ショーデビューに向けて! (つぼみ成長期5)
  • アシカショー

つぼみ、ショーデビューに向けて! (つぼみ成長期5)

みなさん、こんにちは! あっという間にもう11月中旬です。 今年も残り2ヶ月をきりましたが、、、 やっと、みなさんに報告ができます!!   4年前の3月、1歳の時にアクア・トト ぎふにやってきた カリフォルニアアシカのつぼみ、 今は、5歳になりました。 そして現在、 ショーデビューに向けての練習をしています!!!!!!!   この4年間、ショーデビューを目指し、 日々トレーニングに励んでまいりました。 アクア・トト ぎふにやってきた当初は、 こんなに体も小さく、周りの環境に敏感で 誰かが動いたり、車の音が聞こえたりしただけでも すぐに飼育舎に帰ってしまっていました。   慣れてきたかなー・・・と、思っても ちょっとしたきっかけ(何かが落ちる音がしたり、人の陰が横切ったり)で、 落ち着きがなくなり、トレーニングを中断することもありました。 ですが、4年かけて少しずつ環境にも人にも慣れていきました。   今では体も大きくなり、 人が通っても、大きな音がしても、驚くことはほとんどなくなり ずいぶんたくましく成長してくれました。 私と比べると成長したのがよくわかりますよね!!   アシカショーを見に来ていただいたお客様に 「つぼみちゃんはショーに出ないの?」 と、気にかけてくださる方がたくさんいらっしゃいました。 ありがとうございます。 やっと、デビューの兆しが見えてきました!!!   ということで、今日は少しだけですが デビューに向けての準備の様子をお届けしたいと思います。   ショーの準備って、 やらなくてはいけないことがたくさんあって結構大変なんです。 (4年かかっているわけですから、お分かりいただけるとは思いますが。笑)   まずは、ショーの台本が必要です。 どんなショーにするのかを考えなくてはいけません。 (この時に、トレーニングする種目も考えながら作ります。) 文字にするとA4用紙4.5枚分くらいあります。 これで大体15~20分くらいのショーができます。 そして、台本どおりのショーができるように つぼみのトレーニングが始まります。   健康管理をする上で必要な種目は この4年である程度できるようになっていたので、 それを応用してショーの中に取り入れたり、 マリンのショーでもおなじみのスポーツなどもできるよう、 トレーニングをしていました。 ボール乗せのトレーニング。 サッカーのトレーニング。   今回のショーで新たにトレーニングするのは11種目でした。 ダンベル持ち上げのトレーニング。 算数のトレーニング。 かぶりものトレーニング。 これが一番時間がかかりました。なにをかぶるかはお楽しみ!!   今年の夏前から開始して、10月に全てのトレーニングが終了! 3、4日でできてしまう種目もあれば、 3か月かけてやっとできるようになった種目もありました。   そして9~10月頃から、ショーでお見せする種目を通しでやってみたり、 トレーナーが喋りながらそれに合わせてつぼみが動いてみたり ・・・と、少しずつショーの雰囲気をつかんでもらう練習がはじまりました。   それから、どんなことがあってもびっくりしないようにするトレーニングも 同時にはじまりました。 例えば、 遠いところから飛んでくる輪、 近いところからくる輪もとれるようにしたり・・・   散歩中、カメラを近づけて撮ってみたり   観覧席で変なことしてても気にしないように・・・ いろんな場面を想定して、試せることはやってみました。 時には、こんなこともします。↓ トレーナーが走り回ったり、近づいたり、 大げさに目の前で手を振ったり、 触ったり(※ショーの途中でアシカに触れることはご遠慮いただいております)、 傘を広げたり・・・ だいぶ気にならなくなったようでした。   10月下旬からは、実際にトレーナーが喋りながら つぼみとショーを通しで行う練習を始めました。 この時点では、BGMやマイク、効果音はなしで練習します。 それができたら次は、BGMありで行い、 それもできたらマイクを付けて行い・・・ 順番に少しずつ慣らしていきました。 あと、ショーと練習ではトレーナーの着ている服も違うので、 ショーの衣装にも慣れさせなくてはいけません。   現在は、効果音ありの練習に入ったところです!   と、まあ、こんな感じで進めてきたわけですが、 これはつぼみの場合でして・・・   ショーの準備は、トレーナーの練習も必要なんです。 まず、ボール乗せや逆立ちといったパフォーマンスの種目を つくるところから始まりますが、できたら随時、 他のトレーナーに教えていかなくてはいけません。 (アクア・トト ぎふでは)1つの種目をつくるのは一人で行いますが、 トレーナー全員がその種目を つぼみとできるようにしなくては、ショーはできませんからね!! 次に台本を覚えて、つぼみがいない状態で立ち稽古を行います。 ショーをイメージして、「ここでこのサインを出して、ここで移動して・・・」 といった感じで台本を見ながら練習をし、覚えたら台本は見ずに練習をします。 そして、やっとつぼみと一緒に全体を通しで練習をしていきます。   先程も書きましたが、流れができるようになったらBGMを流して、 マイクをつけて、衣装を着て・・・これをトレーナー4人全員が 順番にできるようにしていきます。 そして現在、4人がそれぞれがつぼみとショー練習の真っ最中です。 練習も笑顔で本番同様行います。 トレーナーがお客さん役です。 散歩の練習。つぼみの目の前でわざと手を振ってみたりします。 一通り終わったら、反省会をします。   いよいよつぼみがショーデビューする日が近付いてきました!! まだ、もう少し練習が必要ですので、あとちょっと待っていてくださいね!!!   近いうちにデビュー日の報告ができるかもです!!!! (毎日一生懸命練習していますので、 ショー以外の時間もアシカステージをちらっと覗いてみてください。 観覧席に入ることができませんが、ガラス越しでもつぼみのショー練習が 見られるかもしれません・・・!!)   Tweet

冷たい水の中で
  • アクア・トトの生き物
  • 日本の淡水魚

冷たい水の中で

こんにちは。秋真っ只中ですね。 冬になりさらに水温が下がると、魚によっては、じっとしている時間が増えて、 エサを食べる量も減ってきます。 ですが、春に産卵するタイプの魚にとっては、秋から冬にかけてこそ、 繁殖に備えた体づくりをする大切な季節でもあります。 ところで、こちらの写真ですが、これはふ化直前のビリンゴの卵です。 ビリンゴはウキゴリの仲間で、この地方では「ゴリの佃煮」として売られています。 ビリンゴも初春に産卵します。 昨年の秋から春にかけて、水温や照明の時間を操作するなど、 繁殖に備えた体づくりをサポートしたところ、3月7日に産卵しました。 3月?今さら?という感じもしますが、 先日ようやく育った若魚を展示水槽に入れることができましたので、 このタイミングでのお知らせとなりました。 ふだんのビリンゴはこんな感じで、 透きとおったような薄茶色の体に黒い背ビレが特徴です。 それが繁殖期を迎えたメスは大変身! 近くにオスがいないとここまで黒くはならないのと、 カメラを構えたりして人の気配を感じると、 色が薄れるので写真をとるのは苦労しました。 寒い冬が終わり、水温10℃以上になると繁殖行動を開始するそうで、 水槽内でも水温12℃のときに盛んにメスがオスにアピールしていました。 12℃というと、手を入れるとめっちゃ冷たい。 スイカだったらキンキンに冷える水温です。 オスは巣穴で待機していて、そこにメスがアピールするのがビリンゴの求愛です。 本来は川の泥底にある穴を利用して(あるいは穴をほって)、 それを巣穴とするのですが、 予備槽では細いパイプを巣穴として利用してくれました。 産卵が終わってもオスは巣穴に残り、 胸ビレを使って卵に新鮮な水を送るなど、ふ化するまで卵を守ります。 水温が低いこの時期ですから、ふ化まで約1カ月もかかります。 そして誕生したのが、こちらです。体長は6.5ミリ。 ふ化直後にしては、わりとしっかりとした体つきをしています。 数日たって遊泳力がついてくると、とにかく臆病で、 逃げて水槽にぶつかるため、 これ以降の写真は撮れませんでした。 ですが、ふ化したほとんどの個体が生き残り、今は展示水槽と、 来年の繁殖に向けた予備水槽とに分かれて元気にしています。 ビリンゴの繁殖は、当館ではこれが初めての試みでしたが、 奇跡的に成功しました。まぐれかもしれません。 そのため大事なのはこれからです。 当館で産まれた個体が育ち、やがて成魚となり、 うまく繁殖してくれるでしょうか? 水温だけでなく、日照時間、エサの量や種類、水質などなど、 気を遣うことが多すぎて、今年もひやひやな冬を送る予定です。 Tweet

セイメイ
  • 日本の淡水魚

セイメイ

みなさん、こんにちは。 少し前のブログでオイカワの話をさせていただきました。 その後、こまめにオイカワの様子を観察していたところ、 見事オイカワが産卵する瞬間を撮影することに成功しました。 ペアとなったオイカワが数分間に一回のペースで 産卵を繰り返しておりました。 今回の産卵は、お客様が帰られた後に 館内を見回りをしながら気づいたことでした。 飼育スタッフであれば朝から晩まで水族館にいるので、 じっくりと生き物の観察ができそうですが、 館内でいろいろな仕事があり あっちでうろうろ、こっちでうろうろしているので、 日中は時間をかけて観察はできません。 実はお客様のほうがじっくり観察できて、 色々な発見をされているかもしれません。 夜間の生き物の行動を観察するということであれば、 飼育スタッフのほうが色々な気づきもあるのでしょう。 生き物の生き物らしい姿は何度見ても飽きることのない、 人を惹きつける不思議な力をもっているように感じます。 水槽に生き物を入れて終わりの展示ではなく、 生き物のあらゆる本来の生態が観察できるような魅せる展示を 創出していきたいところです。 さて、産卵を確認してから何日か後に水槽を観察していると オイカワの稚魚が泳いでいました。 新しい命が確実に育っています。 通常、水槽の水はろ過器を通して循環しているので、 魚のエサとなるようなプランクトンなどは取り除かれてしまいます。 ただ、こちらの水槽は屋外にあり、落葉があったりコケもよくはえるので、 稚魚のエサとなるようなものが何かしらあるのかもしれません。 まさに自然のなせる業なんでしょう。 この水槽の中で世代交代が繰り返されるようになれば本望です。 Tweet

これもナマズの仲間?
  • 企画展・特別展示

これもナマズの仲間?

暑い夏もおわり、秋の気配が日に日に濃くなってきました。 この夏からスタートした企画展「世界のナマズ大紀行」も、 夏休みに多くの方にご覧いただきました。 今回の企画展では、世界中にいるナマズの仲間を紹介しております。 企画展の展示以外にも、館内の常設の水槽には たくさんのナマズの仲間がいますので、改めて注目していただくために このように種名板も色を変えております。 諸説ありますが、日本には13種のナマズの仲間がおり そのうち9種のナマズを、この企画展の開催中に展示予定しています。 そして世界には、ユーラシア、アフリカ、オセアニア、南米、北米の 各大陸にナマズの仲間が生息しており、約3,700種いるといわれています。 さらに、毎年新種が報告されているというので驚きます。 今回の企画展を開催するにあたり、 限られた水槽とスペースで、いかにナマズの多様性を表現するか悩みました。 分類群ということで整理すると、 絶滅したものも含めると全体で42科に分類されており、 今回の企画展では常設展示のものも含め、30科のナマズを展示しております。 種類数や個体数でいくと、約80種630個体ほどになります。 今現在、世界で一番多くのナマズの仲間がみられる場所といっても 過言ではないでしょう。 多種多様なナマズを展示すべく 企画展が始まるまでのおよそ半年の準備期間で情報を収集し、 各方面からご協力いただきナマズを収集しました。 海外のものを現地までということはなかなかできませんが、 日本のものは可能な限り協力を得て収集しました。 レイアウトに使う砂や流木や石も、 ナマズの生息地で収集したものもあります。 他にもナマズ類の産卵行動を撮影したいと思い、 ナマズやビワコオオナマズの産卵を見るために 現地まで何度か足を運びました。 そして、当館のスタッフがナマズの産卵動画の撮影に成功しました。 もちろん今回の企画展で使わせていただいております。 日本のナマズについては、こうやってこだわりを追求できるのでいいですね。 そして、今回の企画展で早めに紹介しておきたい種がいます。 アストロブレプスというナマズの仲間です。 南米に生息しており、川の上流の渓谷のような場所で見られるようです。 そのため、水温もやや低めを好みます。 見た目も変わっており、狭いところや石の裏などに入り込んで くっついたりできるようになっております。 泳ぐときも底を這うようにして移動します。 このナマズはごくまれに日本に輸入されるようですが、 専門の方でもはじめてみたという声が多くありました。 渓流のような場所にいるので採集も困難であることや、 低めの水温を好むため南米から日本へ輸送する途中に 水温があがってしまうと死亡してしまうことが多いので、 冬場でないと輸入が難しい、などの事情もあるようです。 このように色々な問題が多いので、 日本では取り扱いを避ける場合が多いとのことです。 今回の企画展ではなんとか一個体展示できておりますが、 今まで飼育したことのない未知の魚です。 今後どうなるかわかりませんので、 ぜひ今のうちにご覧いただきたいと思います。 Tweet

アイゾメヤドクガエルの展示再開
  • 両生類

アイゾメヤドクガエルの展示再開

皆様お待ちかね、アイゾメヤドクガエル再登場のお知らせです。 (待ってましたよね?ね?) 1Fアマゾン川コーナーでは、現在ヤドクガエルの仲間を2種 (キオビヤドクガエル・マダラヤドクガエル)展示しています。 アイゾメヤドクガエルは約2年前に一旦展示終了としました。 理由としては繁殖がなかなかうまくいかなかったためです。 過去には偶発的にぽつぽつ受精卵がとれたことはあったのですが、 なかなか安定しません。 そこで思い切って、バックヤードで繁殖に取り組むことにしました。 2015年11月末に当館にやって来た、 まだあどけない幼体達をコツコツ育てること約1年。 ペア形成もうまくいって、ぽんぽん産卵するようになりました。 今、バックヤードのヤドクガエル水槽は、 色々なサイズのアイゾメヤドクガエルがヒョコヒョコ歩いていて、 とても可愛いです。 ニヤニヤが止まりません。 経年劣化で穴だらけだった擬岩も補修し、 当館生まれの個体も展示できる大きさまで成長しましたので、 いよいよ展示再開の運びとなりました。 同居している2種より一回り大きいですが、まだまだ大きくなります。 成長をお楽しみに。 成長といえば、バックヤードツアーの見学ルートに、 まだ少しオタマジャクシもいますので、 ぜひそちらのチェックもお忘れなく。 バックヤードツアーは土・日・祝、11:00と15:00に開催しています。 ※各回先着10名(当日インフォメーションにて受付) Tweet

渾身の婚姻色
  • 日本の淡水魚

渾身の婚姻色

オイカワと聞くと、皆さんの印象はどうでしょうか? 淡水魚の“オイカワ”を思い浮かべた方は、 普通の魚で、どこにでもいるという感じでしょうか? オイカワは上流のほうから下流の方まで広範囲に見られ、 多少環境が変わっても生き残っている、 そんな一面もある魚です。 アクア・トト ぎふのオイカワは、 長良川の上流から中流エリアの水槽で展示しているので、 それなりに流れがあり、夏場でも水温はやや低めになっています。 この水槽の場合、天井からわずかに太陽の光も差し込むので、 水族館の中ですが、多少の季節感も感じられます。 繁殖期の夏前になると、オスのオイカワにはきれいな婚姻色がでます。 このままでも十分きれいですが、どこか物足りない、 色がぬけてしまっている感じがあります。 オイカワを、太陽の日がもっとしっかりあたる別の水槽に移動すれば “オイカワ映えする”のではないか、ということで 1つの候補として下流の水槽で試してみました。 この水槽には、モツゴ、タモロコ、ワタカ、ボラ、ゴクラクハゼ などを展示しています。 秋になると大迫力のイタセンパラの大群泳を展示する水槽です。 (イタセンパラは年魚のため、秋から冬までの期間限定の展示となっています。) さて、この水槽は屋外にあり、太陽の光もしっかりとあたり、 底が砂利になっているので、オイカワを展示すれば きれいな婚姻色がでたり、オス同士が激しく争ったり、 産卵行動までみせくれるのではないかと考えています。 上流から中流エリアの水槽にいるオイカワはそのままで、 少しずつこの下流の水槽に採集してきた個体や、 タッチングプールでお客様によって育てられたパワフルな個体を展示して 様子をみていこうと思っています。 オイカワの体色は、タモロコやモツゴなどと比べると全然ちがうので かなり目立ちます。 よく泳ぎ回るので、さらに目立ちます。 顔のまわりの追星、体色、ヒレの色、圧巻です。 見るものを惹きつけます。 残念ながら写真や動画だと本物には劣ってしまいます。 この光景はぜひ生でご覧いただきたいと思います。 Tweet

ウキゴリ故郷にかえる
  • アクア・トトの生き物
  • 日本の淡水魚

ウキゴリ故郷にかえる

こんにちは。あっという間に秋になりましたね。 涼しくて食欲も増し増しです。 さて今日は5月に「こちらのブログ」で紹介いたしました ウキゴリの稚魚のその後についてのお知らせです。 稚魚の展示は6月の初旬に終了しましたが、 その後もちゃんと元気に生きてますよ~。 あれからたった3カ月ちょっとしかたっていませんが、 見違えるように大きくなりました。 4月↓ 5月↓ そして現在はこんなかんじ。 9月↓ どうですか?どこからどう見てもウキゴリですよね。 背ビレの後ろのほうに、黒と白の模様もちゃんとでています。 稚魚期はあまり泳がず茶柱のようでしたが、 今やしっかりと群れてホバリングしています。 時に泳ぎ、時に潜り、食欲も増し増しです。 大きさは、大きいもので6cmぐらいになりました。 展示槽の石の下に産みつけられていた卵からフ化したのが4月20日。 それから、成長に合わせてあっちこっちの予備槽を転々として育ちました。 その稚魚たちが今、まさに展示デビューを迎えています。 展示する水槽は、稚魚たちが産まれた故郷の水槽。 先日こそっと第1陣を展示槽に入れてみたところ、 無事に生存しているのが確認できましたので、 今日、第2陣を送り込みました。 この展示槽は、とにかくカワヒガイがエサをかっさらっていくので、 若いウキゴリたちがしっかりエサにありつけるか…。かなり心配です。 そして、油断すると石のすき間にかくれている 巨大なヌマチチブに バクッとやられるおそれもあり、さらに心配です。 でも、たくましく生き残ってほしい。 そしてまたこの水槽で産卵してくれるといいな。 みなさまもちょっと小ぶりなウキゴリを見つけたら、 ぜひ応援してあげてください。 それから、アクア・トト ぎふにもう一種いるウキゴリの仲間のビリンゴも、 この春に産まれた若魚を展示に加えました。 こちらは「下流のカニ」水槽にいます。 ビリンゴの繁殖についても、またブログを書きますね。 おたのしみに。 Tweet

新たな一歩
  • 日本の淡水魚

新たな一歩

みなさん、こんにちは。 アクア・トト ぎふの3Fにあるこちらのワンド水槽では、 ゼゼラを展示しています。 川で魚を採っていても普通の人にはあまり馴染みのない魚かと思いますが、 アクア・トト ぎふがあるこの濃尾平野では、 ワンドなどのように水深が浅く、 流れが穏やかな場所に行けばよく見かける魚です。 このような場所は、川の増水により適度にかき混ぜられること(攪乱)で 良い環境が保たれており、 多くの魚類が繁殖に利用したり、繁殖した稚魚が育つ場所にもなります。 しかし現在では、樹林化が進み攪乱が起きにくいことから、 水質や底質の悪化を招き、 ワンドのような環境を利用する魚の多くが生息数を減らしました。 中には絶滅危惧種に指定されている種も少なくありません。 そんな魚類を保護していくためには、本来の生息地における取組(保全)と その生息地とは別の場所での取り組み(保存)の 両方の取り組みが欠かせません。 水族館で働く私にできることとしては、 飼育下における繁殖方法を確立させることで 野外ではなかなか観察できない繁殖生態の解明であったり、 繁殖・飼育・展示を通じて普及啓発を行なっていくことなどが挙げられます。 冒頭で紹介したゼゼラについては、 当初、当館では展示しておりませんでした。 普通に飼育するのも少しクセがあり、痩せやすいことや臆病なことから 展示が避けられていた経緯がありました。 そんななかでバックヤードである程度飼育できる目途が立ったことから、 2016年5月から展示を開始し、あわせて繁殖にも取り組んできました。 繁殖には屋外の水槽を使用しました。 この場所はそこまで人も通ることもないので、 魚にとっては落ち着いて過ごせる場所であったかと思います。 毎日のエサをあたえて、水温を計測して、 あとは繁茂してくるアオミドロなどの藻類を定期的に取り除くぐらいで、 できるだけ自然に近い状態で維持管理していきました。 1年目の昨年は何も手ごたえを感じることなく繁殖期を終えてしまいました。 そして、2年目の今年は見事繁殖に成功しました。 まだまだ小さいですが、まぎれもなくゼゼラです。 前回紹介させていただいたトウカイコガタスジシマドジョウは ホルモンを使用して繁殖させた経緯がありますが、 今回のゼゼラは自然に産卵しました。 今回の事例は、当館にとっては初の繁殖です。 もう少しこまめに見ていれば、卵や、ふ化直後の様子など 写真に残すこともできたのでしょう。そこだけが悔やまれます。 ちなみに卵としてはこのような感じです。 ゼリー状になっており、よく見てみるとこまかな卵が無数にあります。 こちらの写真は、ゼゼラの繁殖について色々とアドバイスをして応援してくれている ゼゼラのスペシャリストからお借りしたものです。 なかなかゼゼラだけに力を注ぐこともできない現状もあるのですが、 今回の繁殖を偶然ではなく、必然にするためにもなんとかしたいですね。 痩せたり病気にならないように、しっかりとエサをあげて良い状態を保つこと、 そこからいかに繁殖させていくか、繁殖させたものを いかに育てていくか、 まさに飼育技術そのものです。 そして、その技術が水族館の財産にもなっていくわけですから、 挑戦しない理由はないでしょう。 では、最後にゼゼラの稚魚がエサを食べる様子をご覧ください。 底のエサをついばむように食べるのは、特徴的なエサの食べ方かと思います。 Tweet

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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