渓流展も始まって、早1ヶ月。みなさん、お忘れではないですか? 渓流と言えば…。 そう、「流水性小型サンショウウオ」。 まさに満を持してのリレーブログ登場です。 流水性小型サンショウウオと言っても、結構種数がいます。 今回どの種を展示するか非常に悩みましたが、ここはやはり岐阜県にすむ流水性サンショウウオで、 しかも常設展示していないということで、ハコネサンショウウオに決定。 ちなみに、冊子型詳細解説には京都大学の西川先生に執筆していただきました!必読! さて、ハコネと言えば、2009年夏の「サンショウウオ展」以来、2度目の展示となります。 サンショウウオ展の時は幼生を展示しましたが、今回は幼体と成体を展示しています。 ハコネサンショウウオといえば、日本にすむ両生類で唯一肺を持っていないこととか、 繁殖期にはオスの後肢が野球のグローブを着けたように厚く膨らむこととか、 <非繁殖期> <繁殖期> 郷土料理(下の写真は燻製)として利用されていることとか、 (卵持ってるメスなんですよね、この個体…) くわしく紹介したいトピックはたくさんあるんですけれども、とりあえずは今回は写真だけで、 話のメインは、明日26(土)に追加展示するコレのお話しをば、聞いていただければ嬉しく思います。 <コレ> ズバリ、ハコネサンショウウオの卵嚢!!! これはね、ヤバいですよ。展示は日本初ですよ(たぶん)。 ハコネサンショウウオの繁殖場所は河川源流部の大きな岩の裏や、地下伏流水中とあって、 繁殖場所の確認例はわずかしかありません。 正直、カワネズミは野外で見ることがあっても(それもまぁレアな体験ですが)、 ハコネ卵を見つけるなんてことは、まぁ無いでしょう。 それくらいスゲーのです。 上は産卵直後(昨年9月初旬)の写真です。 無精卵を産ませることにかけては右に出るものがいない、 「未受精のファンタジスタ」と全く有り難くない二つ名をもつ私ですがご安心ください。 展示するのは受精卵で、現在はこのようになっています。 今の飼育水温ですと、孵化に約5カ月ほどかかると思いますので、 あと一カ月は卵嚢に包まれた胚の成長をご覧いただけます。 なんだか、自然繁殖させたみたいなのでちゃんとお話しておきますと、 今回は人工的に繁殖させたものなのです。 麻酔後、腹腔内にホルモン剤を注射した親個体を、暗くしたコンテナに入れて産ませました。 (注射中。もちろん、親個体は今でも元気にしていますよ。) 数日後、こんな風に産卵していました。 実は、70年以上前の文献でハコネサンショウウオの飼育下での繁殖行動が紹介されていたり、 NHKさんの映像でも繁殖行動が撮られています。コチラ 今年は自然繁殖を目指します。そんでもって繁殖行動も観察&撮影したいなーと思っています。 中村定八 1941.函根山椒魚の生態に就いて.植物及動物,9(11):422-426;9(12) :515-521. ツイート