おもしろ飼育コラム

喜びに打ち震える初春
  • 日本の両生類

喜びに打ち震える初春

やりました! 私がこの時期にこういう報告をするということは、 そう!サンショウウオが繁殖したよということです。   まずは、此方。クロサンショウウオです。 岐阜県白川村産で、繁殖場所である湿地に水が堪らなくなってしまった、いわば危機的な状況にある個体群です。 (昨秋、NEXCO中日本さんらが新たに遮水シート埋設工事を行ってくれたので、今年は大丈夫でしょう!) 一昨年、この個体達の繁殖に成功して、去年は「今年もよろしく、クロサンショウウオちゃーん♪」とたかをくくっていたら、 1匹も産卵しないという、まさかの結果に茫然としたことも今となっては良い教訓です。 そもそも、一昨年は受精率がすごく悪かったので、どちらかといえば、マグレに近かったのかもしれません。 去年の失敗をもとに、環境を改善した結果、この結果です! 比較的卵のうの色の薄いものを観察すると、どうやら受精している模様。 (クロサンショウウオの卵のうは、他種と違い透明ではないので、なかなか判断が難しいです)   <カメラを構えていたら、オスが近寄ってきました。「何撮ってんじゃコラー」と言ってそうなくらい、イカつい立派な体型です。>   次はホクリクサンショウウオ! これは昨年から飼育をスタートした種です。 岐阜県内には生息していませんが、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧ⅠB類に指定されている、 いわば、非常に危機的な状況にある種です。 日本動物園水族館協会の種保存委員会でも対象種に指定されており、 昨年から当館でも担当園館として、域外保全に取り組むことになりました。 そして、初めての繁殖期をむかえ、見事産卵と相成りました。 (サンショウウオ展開催時のブログでも、いずれコイル状の卵のうを皆さんにお見せしますと宣言していました)   約束は守る男、見た目よりは口は固い男、として有名な私。 もちろん展示しましょう!皆さんに見ていただきたい!プリプリした卵のうを!   というわけで近日中に展示したいと思っています。 その時はまたご報告します。取り急ぎ。

ミミクリーシリーズ第10弾
  • 企画展・特別展示

ミミクリーシリーズ第10弾

いつも見ていただき、まことにありがとうございます。 ついにこのシリーズも2ケタに突入です! さて、いよいよ大詰めとなってきたこのシリーズですが、 今回は、「魚群(ぎょぐん)」です。   最近、いくつかの水族館で、イワシなどの群れが、ワーッと泳いでいる様子を見ることができます。 (ちなみに当館には、イワシはいません。だって淡水魚メインですから。) あの群れを見て、何か気付くことはありませんか? ・・・そうです!ぶつからないのです!!   これは、魚類の持つ感覚器官のうち特に視覚と側線感覚の働きが大きいといわれています。 この魚群の習性をマネし、「ぶつからないクルマ」の実現に向けて研究が進められています。 それが、日産自動車株式会社が開発した「群走行ロボットカー エポロ」です。 このロボットは、他のロボットとの距離感や障害物などをセンサーでキャッチし、 障害物や道幅の変化があっても、周りのロボットとぶつかることなく、 通り抜けることができるのです。 (エポロを展示したかったんですけど、引っ張りだこ状態だそうで、無理でした・・・) これが、実現すれば、交通事故のないクルマ社会ができるかもしれませんね? さて、この魚の視覚と側線器官の働きをどうやって展示するか?   悩みました・・・だってイワシの大群なんて展示できませんもの(泣) 悩みに悩んだ結果、「障害物を避ける」という行動をお見せしようと考えました。 このかっちょいい(?)実験風水槽をご覧ください。 円柱型の水槽に一定方向の水流をつけることで魚を定位させ、 クルクル回る障害物を避けさせようという算段です。   おっと、これは、飼育スタッフの国崎さん、仕事ほったらかしで遊んでますね? ・・・ちょっと楽しげですね。 でも、あんまり激しく回さないでくださいね?魚たちが、びっくりしてしまいますよ。 みなさんも、この実験をぜひ体験してみては? 早く交通事故のない社会にならないかなぁと切に願う私です。

動物奮闘記 ~においがダメ?!~
  • アクア・トトの生き物

動物奮闘記 ~においがダメ?!~

みなさまこんにちは。 動物班の尾崎です。 前回、カワウソ「エナ」との痛い初対面からの続きです。   その後,何度エナの給餌に入っても、一向に私に慣れてくれませんでした。 給餌中に「もう無理だぁ~」と思い先輩の方を見ると、 先輩とカップルのお客様が一緒にガッツポーズをして、応援してくれました!!   はい!!頑張ります!!!  さぁ、こい!エナ!!!!   シャー!!と噛まれました(泣)   その後もエナの名前をやさしく呼んでみたり、ドンゴロスをめくる時に声をかけてみたり、 毎回いろんな事を試しましたが、なかなか近寄って来ません。 そんな日々が続いたある日、先輩が「お前の臭いがイヤなんじゃない?」と一言…。 原因は私の臭いか!? そうなのか!?   よし!じゃあ全身に消毒用アルコールを香水の様にふりかけて、さぁ!これでどうだ!!   シャー!!!!と噛まれました(泣)   ダメだこりゃ…。   そしてついにエナの給餌をあきらめることとなり、 ナガラとミナミ(現在展示に出ています)に給餌してみることになりました。   ナガラとミナミは何も警戒することなく、私に近寄り餌を食べました。 そして一番人見知りをするレンゲ(現在バックヤードにいます)も、 はじめは警戒していましたが、食べるようになりました。   結局残るはエナ…。 はたして私はエナと仲良くなれる日が来るのでしょうか!!   次回カワウソ「エナ」編完結です!! 写真はエナ  寝むそうですね。     こちらはレンゲ レンゲは近くまで寄ってきます。

ミミクリーシリーズ第9弾
  • 企画展・特別展示

ミミクリーシリーズ第9弾

ローン地獄を覚悟の上、念願のマイホームを手に入れたお父さんへ。   家のお手入れは、きちんとしていますか? 家の中は掃除機でガンガンお掃除できちゃいますが、家の外側はどうでしょう? 外壁は、きれいにしていますか? 実は、この外壁の汚れというのは、なかなか手ごわいもので、そう簡単には落ちないものなのです。 特に、クルマの通りが、激しいところでは、その問題は深刻です。 そんなお悩み一発解消アイテムがこちら、・・・   カタツムリなのです!! おっと!早合点しないでくださいね。カタツムリが、外壁をきれいにしてくれるわけではありません。 でも、ヒントが隠されていたのです。 カタツムリの殻って、いつもきれいですよね?      ・・・・なぜなのでしょう? これは、殻の表面構造に秘密がありました。 カタツムリの殻の表面には、とっても細かな溝があり、 また殻の表面には微細な無機粒子が付着しています。 これにより、カタツムリの殻は、 親水性(水をはじかずに表面になじんだ状態)であることが分かりました。 親水性が高いと、物質の表面についた汚れの下に水の膜が入り込み、 汚れを浮かせて洗い流すことができるのです。 INAX株式会社は、このカタツムリの殻の構造から、 汚れない(汚れても雨できれいになる)外壁を開発しました。 その名も「マイクロガード」!!   企画展担当チームは、そんなすばらしい外壁をどのように展示するかが、課題になりました。 そこで、INAX株式会社様のご協力もあって、実験キットをお借りすることができました。 それが、これです!!!   どっかのサイエンス番組の実験みたいでしょ? ぱっと見、同じタイルに見えますが、通常品と防汚加工品の2種類が貼りつけてあります。 これらに、INAX株式会社の総合技術研究所特製の「疑似汚染物質」なるものを、   振りかけます。 そして、スプレーで、水をプッププップすると、あら不思議!? 防汚加工品のタイルは、みるみる汚れが流れ落ちていくではありませんか!!!!   展示を開始してから、約2カ月半が過ぎ、 多くのお客様にこの実験を体験していただいておりますが、 その結果、通常品には、汚れがたまってきているのが分かりますね? カタツムリの殻が、いつもきれいであるという事実から、 汚れない外壁タイルへ応用するという発想力は、脱帽モノです。 いやはや、バイオミミクリーのヒントってほんと身近にあるものなんですね・・・。   今回、サンプル、資料、実験キットをお貸し下さいましたINAX株式会社様には、 この場をお借りして御礼申し上げます。   ワタシの家のタイルも、防汚加工しとけばよかった~(泣)

ショップ通信 第1号
  • お知らせ

ショップ通信 第1号

みなさま、はじめまして。 水族館ショップ「フィッシュタンク」で店長をしています横山です。 現在男性スタッフは、私ただ一人。すぐに顔がバレてしまいますが・・・。 全力の笑顔での接客を心がけていますので、ご質問、ご要望ありましたら、 お気軽に声をかけてくださいね。 このブログでは、新商品やオススメ商品、さらには、お得なイベント情報などを みなさまに、いちはやくお伝えしていきますので、どうぞよろしくおねがいします。   では、早速ですが、オススメ新商品を紹介します!! 「オリジナル パタパタメモ(315円)」   ただいま、人気急上昇中の水族館オリジナルキャラクターのイラストを、 表紙から中身までふんだんに使用した、にぎやかな商品です。 メモ紙のデザインは4種類もあり、 しかもどこからでもすぐに使えるよう分かれていますのでとても便利です。 その日の気分で選んでくださいね。   ところで、商品名にある「パタパタ」ですが・・・。 実はメモ帳を閉じる際の音からきています。少しクセになりそうなこの音。 ぜひ、ショップで鳴らしに来てください!

万華鏡はいかが?
  • イベント

万華鏡はいかが?

2月13日(日)にアクア・スクール「お魚万華鏡を作ろう!」を実施しました。 今回はその時の様子をご紹介します。 まず、お魚万華鏡の「お魚」は何かというと「魚型の万華鏡」ということ。 もう1つ「魚のうろこ」が中に入っているということです。   うろこクイズをしたり、いろんなうろこを触ったりしながら、うろこについて少し学びます。 そのあとはじっくりゆっくり時間をかけてMy万華鏡を作ります。 参加してくれた子供たちの様子です。みんなあれこれ考えて素敵な万華鏡を作っていましたよ。こんな素敵な作品が出来ました!   みなさんもお魚万華鏡を作ってみませんか? 次回は3月13日(日)です。詳しくはこちらで確認してください。

ミミクリーシリーズ第8弾
  • 企画展・特別展示

ミミクリーシリーズ第8弾

さてさて、新幹線ネタをもうひとつ・・・。   今回の特別企画展示物の中で、一番の注目度です! それは、・・・   これです。 フクロウの後方に、なにやらオーラを放つ金属物体が目を引きます。 実は、500系新幹線のパンタグラフ(集電装置)なのです。 つまり、新幹線が走るために架線から電気を得る部分。 ここにもバイオミミクリーが活かされています。 新幹線は、ご存じのとおり高速で走行しますが、 その際、パンタグラフ周辺はその構造により大きな空力音を発生していました。 空力音は、空気の流れの中に発生する渦により発生する音です。 この渦は「カルマン渦」と呼ばれ、 在来型のパンタグラフは大きな渦を発生させていました。 そこで、この問題を解消するべく開発陣は、フクロウに着目しました。 フクロウは、夜間、餌となる動物を捕えるために、音を立てずに飛翔することができます。 これは、風切羽の縁がギザギザのノコギリ状になっていることや、 羽表面が繊毛状になっていることで、翼後方の空気の流れを整えているのです。 ギザギザの部分を空気が通過すると、 カルマン渦は小さくなります。 『カルマン渦が小さい=発生する音が小さい』 ということになり、 結果、音を出さずに飛べるという仕組みです。     このフクロウの風切羽を参考に、まずパンタグラフを翼状にしシンプルな構造にし、 さらに支柱側面にノコギリ状の突起を多数つけることで、整流効果を生みだしたのです。   この技術を「ボルティックス・ジェネレーター」と呼び、航空機の翼やレーシングカーなどにも応用されています。わたしの大好きなクルマの一つである  ラン○ボのルーフエンドにもついてるんです♡ 少し「ここ」がずれてしまっていますが、分かりますか?見た感じ、ホントに小さな突起が並んでいるだけなんですが、高速走行時には大きな効果を生み出すんですね・・・。 (残念ながら、現在では新型パンタグラフに取り換えられていて、実搭載はされていません。) こちらも、前回と同様、大阪の交通科学博物館、 ならびに岐阜県博物館のご協力により展示することができました。 また、フクロウの風切羽をご提供いただきました長野市茶臼山動物園様には、 この場をお借りして御礼申し上げます。   いやはや新幹線マニアになりそうだ・・・

ミミクリーシリーズ第7弾
  • 企画展・特別展示

ミミクリーシリーズ第7弾

みなさんは、新幹線に乗ったことがありますか? 今や我が国において、新幹線は重要な交通手段のひとつと言えます。 そして、車両のデザインやカラーリングは、多くの鉄道ファンを魅了していることでしょう。 現在、新幹線は、そのスピードの追求より、静粛性が追求されています。 やはり近隣住民にとっては、騒音問題は重篤な環境問題でもあります。 そんな中、1997年デビュー(営業運転開始)を果たしたのが、この500系新幹線です。  すごい形をしていますね?ときんときんです。 実は、この形には理由があるのです。 それまで、新幹線は、高速でトンネルに突入した時、 その衝撃波が、トンネル内を伝わり、 その反対側(出口側)でドーンという音や振動を発生させていました。(これ、トンネルドン現象というそうです) これを解消すべく開発陣は、さまざまな実験を繰り返し、結果、この形にたどりついたそうです。 でも、この形って、何かに似ていると思いませんか? そう!カワセミです!! 並べてみると一目瞭然!!  カワセミは、水中の魚をダイブして捕えて食べます。 しかし、そのダイブの瞬間、ほとんど水しぶきが立ちません。 カワセミのくちばしは、上下合わせると鋭い四角錘形をしています。 これにより空気から水へという急激な抵抗の変化にも対応できているのです。 トンネルに突っ込む新幹線と水中に突っ込むカワセミの形状が似ていたのは、偶然ではなく、 科学的検証から導かれた答えが自然界にすでに存在していたことを示します。   この500系新幹線は、今は山陽新幹線区間での営業に限られていますが、 ぜひ、乗ってこの「カワセミ新幹線」を体感していただきたいと思います。 さらに、このシリーズの第2弾でご紹介したハニカム構造が、 この車両の外板に利用されているとのことです。 まさに今回のテーマにぴったりの新幹線です!   今回、500系新幹線の特大サイズの模型をお貸し下さいました大阪の交通科学博物館様、 ならびにカワセミの剥製をお貸し下さいました岐阜県博物館様には、 この場をお借りして御礼申し上げます。   この新幹線で、水中へダイブしてみたいなぁ・・・

ミミクリーシリーズ第6弾
  • 企画展・特別展示

ミミクリーシリーズ第6弾

ご無沙汰いたしました。お待ちかねの第6弾です。 しかし、あっという間で、この特別企画展も残すところあと1カ月となってしまいました。 ブログ急がないと、間に合わないっ!!と焦り始めた次第です。 さて今回、ご紹介するのは、水着です。 このところ、運動不足で、たるんだお腹周りが気になるという方(私もですが・・・)に朗報です。 競泳用水着といえば、過去にシドニー五輪で、サメ肌水着が脚光を浴び、 新記録が続出したのは、記憶に新しいところです。 しかし、2005年に国際水泳連盟が使用禁止にした経緯もあって、 新たなる水着の研究は続けられていました。 そんな中、ミズノ株式会社が開発したのが、これです!   手前に写っているかっこいいカラーリングの方です。 実は、この水着は、カジキの体表面にヒントを得て、開発されたのです。 その名も、「ミズノ アクセルスーツ ウォータージーン」!!  (なんだかすごそうだ・・・) 今までの、「撥水による低抵抗」から「水との融合による低抵抗」という発想に切り替えたのです。 魚類を触ってみると、粘液でヌルヌルしていますよね? これは、水中の細菌や寄生虫から身を守る役割もありますが、 体の抵抗を減らす役目も果たしていたのです。 摩擦が生地とその表面を流れる水との関係ではなく、 ジェル化した生地表面の水と表面を流れる水との関係になるため、 抵抗を軽減することが実現されたのです。 ちょっと難しいですが、サメの次はカジキで勝負ということですね。 これを着用し、プールでタイムを競ってみませんか? 今までにないタイムを叩きだすかもしれませんよ。 今回、サンプル水着、資料、 ならびに迫力満点のカジキの画像をご提供いただきましたミズノ株式会社様には、 この場をお借りして御礼申し上げます。 うん、これ着て、プールに通ってみようかな・・・

動物奮闘記~宿敵あらわる!?カワウソ「エナ」!!~
  • アクア・トトの生き物

動物奮闘記~宿敵あらわる!?カワウソ「エナ」!!~

みなさま、こんにちは!   動物班の尾崎です。   以前書きましたが、動物班へ移動した当初の私の苦労話その①です。 動物班に移動してから一番苦労し、悩まされたのがカワウソの「エナ」です。 (現在エナは展示の巣穴の方で見ることができます。)   カワウソの給餌をはじめたのは異動して1カ月後ぐらいでした。 カワウソは現在ナガラ・ミナミ・エナ・レンゲの4頭を飼育しています。 そして先輩いわく、『エナが一番給餌しやすいだろう。』ということで、エナの給餌から始まりました。   『部屋に入ったら座って待っていれば寄ってくるよ。』と言われ、いざエナの待つ部屋へ!!   しかし、いくら座って待ってもエナは近づいてこない!!しかも威嚇しているような…気が…。 エナはそのまま、ドンゴロスに隠れてしまいました。 どうすればいいのか分からず、外で見ている先輩を見てみると、 『ドンゴロスから出して!』とジェスチャーで指示がきました。 恐る恐るドンゴロスを持ちあげると…   噛まれた!!ドンゴロスに入っているにも関わらず、噛まれたぁ~。  ドンゴロスに入っているのも関わらず、なぜ私の手の場所がわかった!? けっこう痛いですし、なにより怖かった…。 その後も1時間おきに給餌に入るも、毎回のように噛まれました…。 結局その日は先輩と交代し、カワウソデビューは痛い、痛い思い出となりました。   はたして私はエナと仲良くなれる日は来るのか!? つづく。

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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