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カピバラの歯(前編)

2020.10.18 (日)

松下

こんにちは。今年4月に入社した、体験学習チームの松下です。

 

さて、先日、残念ながらカピバラのパンタが死亡しました。

 

死亡する直前まで下痢が激しく、消化管の疾病であることが予想され、当館の獣医師や担当スタッフが連日懸命にケアをしましたが力及びませんでした。

 

一般家庭のペットが亡くなったのであれば、人間と同様に火葬することが多いでしょう。しかし、ここは水族館。生き物の死を無駄にせず、死亡した個体から少しでも次の飼育や活動に結び付けることが私たちの使命と考えています。

 

体験学習チームではこの個体を引き取り、今後の教育資料として役立てられるべく標本を作製しました。この標本により分かったさまざまなことを2回に分けてご紹介します。

 

 

 

 

こちらがクリーニングされた頭骨の写真です。カピバラは哺乳綱げっ歯目に属し、世界最大のネズミといえます。ネズミである証拠に、大きな前歯(切歯)がこの写真からもお分かりになるかと思います。

 

次に歯全体を見てみましょう。これは、上顎の写真です。一見、大きな切歯と長い臼歯だけがあるように見えますが、歯をすべて顎から抜いてみると、臼歯もパーツに分かれていることが分かります。

 

カピバラの歯式は、I1/1 C0/0 P1/1 M3/3=20です。

歯式とは、それぞれの動物がもつ歯の種類と数を式で表したもののことです。Iは切歯、Cは犬歯、Pは前臼歯(小臼歯)、Mは後臼歯(大臼歯)のことで、分子は上顎、分母は下顎の片側の本数を示します。=でつながれた最後の数字が、歯全体の数になります。写真で見ると、切歯が1対、犬歯がなく、前臼歯が1対、後臼歯が3対あるのが分かります。

 

前臼歯をもっているのが、げっ歯目の中でも祖先的な形質を残したグループの特徴です。カピバラに近い仲間にモルモットやチンチラがおり、彼らも前臼歯を残しています。実験動物としてよく使われるマウスやラットは前臼歯を持っておらず、後臼歯3本のみです(I1/1 C0/0 P0/0 M3/3=16)。

ちなみに、人間の永久歯の歯式はI2/2 C1/1 P2/2 M3/3=32です(親知らず含む)。よかったら数えてみてくださいね。

 

長くなってしまったので、ここでいったん区切りたいと思います。後編もぜひお読みください。

 

 

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カテゴリー  カピバラ研究・調査
キーワード 松下
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