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カピバラの歯(後編)

2020.10.26 (月)

松下

こんにちは。

前編に引き続き、カピバラの歯についてのお話です。

 

次に、抜いた歯の形に注目してみてください。写真左がカピバラの前歯(切歯)、写真右が臼歯です。歯茎側を下にしてあります。

 

人間の歯と比較してみましょう。下の絵は左からカピバラの切歯、臼歯、人間の歯です。人間の歯のように根っこの先が尖っておらず平らになっています。

 

これは無根歯(常生歯)といって、固いものを噛むために歯が生涯伸び続けるためです。カピバラをはじめとした葉を主食とするげっ歯類ではすべての歯が無根歯です。一方で、穀物を主食とするネズミやラットでは切歯のみが無根歯です。

 

 

ペットなどで飼育されている無根歯をもつ動物(ウサギやハムスターなど)に柔らかいものを与えすぎると、歯が伸びすぎて嚙合わせが悪くなることがあります。

当館のカピバラにも、牧草を常に食べられるようにする、固いペレットをあげる、飼育スペースにかじり木を設置するなどの工夫を行っています。

 

 

最後に、咬合面(こうごうめん:歯と歯の噛み合わせの面)に注目してみましょう。これは上顎を裏返しにして撮った写真です。

葉を主食とするげっ歯類は、下顎を前後に動かして草をすりつぶします。そのため、咬合面は真っ平で、洗濯板のように横向きに溝が走っています。

上顎と下顎の接続部を見てみると、上顎にレールのような構造があります。このレールが下顎を前後にスライドする仕組みの一部になっています。

実際に動かしてみました。確かに、下顎がレールに沿って前後に移動できますね。(この写真も上顎と下顎が上下逆になっています。)

 

いかがでしたでしょうか。今度カピバラをご覧になるときは歯に注目してみてくださいね。

長い文章にお付き合いくださり、ありがとうございました。

 

 

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カテゴリー  カピバラ研究・調査
キーワード 松下
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