もうすぐ終了…ゲンゴロウの仲間たち展示
2021.10.22 (金)
8月に「ゲンゴロウの仲間たち!」というコラムでお知らせしましたように
3F「水田と用水路の生き物」エリアで「ゲンゴロウの仲間たち」の
展示をしています。
展示を開始してから、こちらの水槽ではクロゲンゴロウの幼虫が
続々とふ化しました。
以前にもバックヤードでぽつぽつと産卵しており、
展示水槽でも下の写真のように交尾している様子が見られたため、
もしかしたら産卵するかな…とは思っていましたが、やはりしていました。
クロゲンゴロウは水生植物の茎をかじって穴を開け、
その中に産卵することが知られています。
どんな水生植物でも良いというわけではなく、クロゲンゴロウがかじれる硬さで、
茎の中は空洞ではなく、スポンジ状の植物に産卵します。
こちらの水槽に一時期コウホネの仲間を植えていたことがあり、
その茎に産卵したのでしょう。
さて、ふ化したクロゲンゴロウの幼虫ですが、
「そういえばクロゲンゴロウを幼虫から育てたことなかったな」と思い、
育ててみることにしました。
飼育経験があるこちらのゲンゴロウ(他のゲンゴロウ類と区別するために
ナミゲンゴロウなどと呼ばれることが多い)
と近縁であるため、飼育方法はそんなに変わらないはず…。
ですが、実際に育ててみると、1令幼虫の小ささに少し苦労しました。
ナミゲンゴロウのふ化時の体長が25mmほどであるのに対し、
クロゲンゴロウは17mmほどです。
このサイズの8mmはかなり違います…。
ナミゲンゴロウの1令幼虫には、エサとなるコオロギをピンセットで与えましたが、
クロゲンゴロウにはそうもいかず、生きているミズムシという水生のワラジムシの仲間を与えて飼育しました。
クロゲンゴロウの幼虫は、2回脱皮をし、3令幼虫になってしばらくすると土の中に潜ります。
そして、土の中で蛹室を作り、その中で蛹になります。
その後羽化して成虫になります。
下の写真の個体は、かなり浅いところで蛹室を作ってしまったのか、
蛹の姿が観察できました。
そして羽化。羽化後は体が固まるまで土の中で過ごし、固まると出てきます。
なのでこちらの羽化の写真も本来は土の中の様子です。
あと数日で土の上に出てくるでしょう。
水中で生活していたゲンゴロウの幼虫が水からあがり、
土に潜って蛹室を作り、誰にも見られないところで蛹になり、
羽化して地上に出てくる…。
ここが、私がゲンゴロウを好きな理由の1つでもあります。
幼虫の時期に時間をかけて世話をした分、土から出てきた成虫の姿を見ると
自然と笑みがこぼれてしまいます。
「クロゲンゴロウが羽化したらコラムを書こう!」
と思っていたらかなりギリギリになってしまいました…笑
展示期間は10月27日までと残りわずかですが、水族館にお越しになった際は
ぜひゲンゴロウ水槽も注目してみてくださいね!