「動く枯葉!?」かくれじょうず通信 ①
2018.04.30 (月)
みなさん、こんにちは。
4月14日より始まりました企画展「かくれじょうずな生き物たち」はもうご覧になりましたか。
今回展示した生き物は、どれも周りのものなどに隠れる(擬態する)ことに特化しているので、もしかしたらお客様が見つけられず、諦めて素通りされてしまうかもと思ったのですが・・・・。
むしろ、通りがかる人が吸い込まれるように「どれどれ見つけてやろうか」と水槽をのぞく姿をみて、企画展担当スタッフとしては「やったかいがあったなー」と思っています。
そして、生き物を一生懸命お探しになっている横で「そこそこ、そこにいるよー」と教えたそうな顔をしている人や、本当にそこだけかなー?とニヤっとしている人がいたら、その人はきっと企画展担当スタッフです。
さて、今回から「かくれじょうず通信」と題して企画展を担当したスタッフが、展示している生き物をご紹介していきます。
第1回目、私がご紹介する生き物はこちら。
リーフフィッシュです。
どこにいるかわかりますか?
ここです。
このリーフフィッシュが擬態するものは「枯葉」です。「枯葉」に擬態する生き物の中でも、より魅力的な点をご紹介します。
リーフフィッシュはアマゾン川に生息しており、主に流れがゆるやかで枯葉がたまるような環境の表層で生活しています。
それでは、全身をよく見ていきましょう。
体の色、全体がもう枯葉に似ていますが、こまかく見ると目の周辺やヒレの先までしっかり枯葉の模様があります。
また、口の先にあるヒゲのようなものは、皮弁と言われる皮膚の一部で葉っぱの葉柄に似せているのではないかとの話もあります。
更に驚くのは、遊泳するために必要なヒレには模様はなく、透明で見えません。透明なヒレは胸ビレ、背ビレ、尻ビレ、尾ビレですが、しっかり全体が枯葉のフォルムになるよう一部は模様がついたりしています。
そして行動については、基本的に枝や枯葉にぴったりとくっついて擬態しているので、じっと動きません。
しかし、この「動かない」というのは視た側からであり、実はリーフフィッシュ自身は結構動いているんです!!
その動画を是非見てください。
みえましたか?
動かしているのは主に胸ビレです。
確かに魚はヒレを動かして泳いでいないと浮かんだり、沈んだりしてしまいますよね。
更に枝や漂う枯葉に似せようとすると、その場から動かないようにしたり、ちょっとズレたりして修正するために移動する必要があります。
この擬態に対する必死さに最初に気づいたときは、感服する一方で、擬態する生物は、決まってじっと動かないという固定概念を覆されました。
他にも、擬態に対する特筆すべき体の構造があるのですが、今日はこのくらいにして次にいきます。。。
もう一つのおもしろい行動について。それは、捕食です。
リーフフィッシュが擬態する理由の一つには、天敵に見つからないようにすることがありますが、もう一つは獲物に対しても見つからないようにすることもあります。
自然界では小型のテトラ類を獲物としていて、夜になり枯葉などが集まる流れがゆるい場所へ休息にきたところを襲って食べているようです。
想像しやすいですが、捕食シーンを撮影しましたのでご覧ください。
ひらりひらりと水中を漂う枯葉のように近づき、一瞬で飲み込む。
恐るべし、吸引力。
獲物である魚からしたら、休息する場所の周りの枯葉が、実はリーフフィッシュだらけだったとなると恐ろしいですね・・・・
ここまで来ると、リーフフィッシュがこのような枯葉に擬態するように進化した過程を想像するだけで話が尽きませんね。
ど派手でいつも目立つような生物とは反対に、目立たないように隠れている生物は飼育員泣かせな一面があるのですが、今回の企画展では、思う存分隠れることで存在感をアピールしてもらいたいです。
それでは最後に。リーフフィッシュはどこにいるでしょう。
ぜひ探しに来てくださいね。
(10匹はいますよ)