アユモドキ
2015.11.30 (月)
2階の「淡水魚博士の探検小屋」にある『吉井川の魚』水槽では
岡山県の吉井川に生息する淡水魚の中でも、
タナゴの仲間を中心に展示をしております。
その中に“アユモドキ”という魚も展示しています。
よく耳にするのが「全然アユに似てないじゃん!」という会話。
野外では流れに逆らって泳ぐ姿が、アユに似ているそうなんですが...。
じつは、アユモドキは名前に“アユ”とついていますが、
アユの仲間ではなくドジョウの仲間なんです。
口ひげは3対あり、背中のしま模様は成長するにつれて薄くなります。
しかしドジョウの仲間とはいえ、一般的なドジョウとも少し違います。
アユモドキはドジョウの仲間の中でも「ボティア(botia)」
と呼ばれるグループで、その多く(50種以上)は
中国から東南アジアに分布しています。
当館で展示しているなかでは
メコン川に生息するシニボティア・ロブスタ(Sinibotia robusta)や
シンクロサス・ヘローデス(Syncrossus helodes)が
アユモドキと同じ「ボティア」と呼ばれるグループです。
どの種類も共通してこのように目の下に棘を隠し持っていて、
種類によって形が違います。
話は変わりますが
今年の11月19日に国際自然保護連合(IUCN)が
レッドリスト(絶滅のおそれがある生物リスト)の改訂を行いました。
これはそれぞれの専門分野の研究グループが、
世界の植物や動物を対象に絶滅の恐れあるいは危機的状況を調査したもので、
そのデータは開発事業や国際取引などの指標として使われています。
その中に、日本固有種の淡水魚アユモドキが含まれました。
日本では国の天然記念物及び
種の保存法の国内希少野生動植物種に指定され、保護されているのですが
今では岡山県の2か所と京都府の1ヵ所のみに生息し、
その数は激減しています。
話がとんでしまいましたが、
水族館では楽しんでいただくことはもちろん、
生き物がおかれている現状なども知っていただく場を目指しています。
今度アユモドキをご覧いただく際は
「実はドジョウの仲間なんだ」ということに加えて
このような状況も知っていただけるといいなと思っています。
それでは最後に、アユモドキの泳ぐ姿を撮影しましたのでご覧ください。