おもしろ飼育コラム

ネコギギのこどもたち
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ネコギギのこどもたち

こんにちは。気づけば2025年も、あと少しですね。 へび年から、うま年へと移り変わります。 さて、今年を締めくくるトピック展示では、十二支に選ばれなかった「ねこ」さんに登場してもらうことにしました。     アクア・トトで「ねこ」さんといえば…、ネコギギです。     ネコギギは、岐阜県・愛知県・三重県にしか分布していない、小型のナマズの仲間です。 河川改修などの影響で、すめる環境が減り、個体数も少なくなってしまいました。 そのため、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類に選定され、国の天然記念物にも指定されています。     当館では、いなべ市教育委員会が取り組む「員弁川水系ネコギギ保護増殖事業」に協力しています。   この夏、バックヤードで飼育している親個体の繁殖に成功し、そのこどもたちが元気に育っています。     【お腹の大きなメス】 いよいよ、オスと同居させます。     【産みつけられた卵】 粘着性があり、石などにくっつきます。     [video width="1920" height="1080" mp4="https://aquatotto.com/wp-content/uploads/2025/12/20251227_0.mp4"][/video] 【ふ化して1週間後】 この頃は、オタマジャクシのような姿をしています。     【それから4か月後】 現在では大きさが3~4cmほどになり、からだの模様もはっきりして、とてもきれいです。     展示は2026年の2月2日までの予定ですので、ぜひ成長の様子を見にきてくださいね。
今日は「ハゼの日」
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今日は「ハゼの日」

みなさまこんにちは。展示飼育部の山下です。   本日12月23日はハゼの日です。 なぜハゼの日なのかというと、本日はハゼの仲間の研究者として知られる上皇陛下の誕生日だからです。   ハゼの日には、魚類研究者や愛好家をはじめとした一部界隈で、ハゼに関する話題で盛り上がるのです。 ちょうどハゼをテーマにした企画展『ハゼパラダイス』を実施している身として、ハゼの日に合わせてコラムを書こうと思いました。     「ハゼパラダイス」でも、「上皇陛下とハゼ」と題したブースがあります。 ここでは、上皇陛下のご研究についてのご紹介、上皇陛下とゆかりのあるハゼの展示をおこなっています。     上皇陛下はこれまでに10種のハゼを新種として記載され、30種以上のハゼに新しく標準和名を提唱されたことが知られています。   ここで少し語句の解説です。 〇新種記載… 未知の生物が見つかった場合に、ほかの種と比較して何が違うのかを科学的に明らかにし、学術論文などで新種として記載することを言います。記載論文の中でその種の学名を命名し、新種を代表し基準となる標本を指定する必要があります。   〇標準和名… 日本で一般的に用いられている日本語での生物の名前は「和名」と呼ばれます。地方によって呼び名が変わる種など、同じ種でも複数の和名を持つものもいますが、その中でも1種につき1つだけ与えられる全国共通の和名を「標準和名」と言います。新種記載の際や、図鑑などの刊行物、学会発表などの際に新しく提唱されることがあります。     それらのハゼの中から、上皇陛下が標準和名を提唱されたハゼの1種である、アケボノハゼを展示しています。   アケボノハゼは「日本産魚類大図鑑」という図鑑の中で、上皇陛下によって新たに標準和名が提唱されたハゼです。   こちらが日本産魚類大図鑑です。実は私はこの図鑑を持っていなかったのですが、先日参加したとある学会のオークションに出品されていたので、「ちょうどいい機会やな…。」と思って落札しました。嬉しい。     …話は戻ってアケボノハゼですが、非常に鮮やかな体色をしたハゼです。頭部から尾部にかけてのグラデーションのかかった体色を、状態が刻々と移り変わる「曙(あけぼの:夜が明け始める時間のこと)」に見立てたことが名前の由来とされています。   水槽内でも鮮やかな体色と優雅な泳ぎを見せてくれるハゼです。お客様の反応を見ていても、なかなか人気のハゼ…!     そしてアケボノハゼの生体展示以外にも、上皇陛下が新種記載されたハゼや、標準和名を提唱されたハゼの一部を写真でご紹介しています。ご紹介できているのは本当に一部なので、気になる方は上皇陛下とゆかりのあるハゼに、ほかにどんな種類がいるのか、ぜひ調べてみてください。     そしてSNS、特にX(旧twitter)では毎年多くの人がハゼの日に関する投稿をされているのを見かけます。今年もハゼの日で盛り上がりつつ、ハゼパラダイスも盛り上がっていくと嬉しく思います。     それではこのあたりで今回のコラムは終了とさせていただきます。 また次のコラムでお会いしましょう!
ハゼパラダイス開始!!
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ハゼパラダイス開始!!

みなさまこんにちは。展示飼育部の山下です。 少し久しぶりのコラムとなってしまいました…。というのも、最近とある展示の準備で非常に忙しかったからです…。 その展示とは、2025年度冬の企画展「ハゼパラダイス」です。     ハゼパラダイス、通称ハゼパラ。テーマはもちろん「ハゼ」です。 ハゼには本当にいろんな種類がいます。     今回の企画展では、中層をふわふわと遊泳するハゼや…     石の上や壁に張り付くハゼ…     陸場を飛び跳ねるハゼなど…   いろんな生き方をするハゼたちを展示しています。     私山下が、初めて主担当を務めた企画展でございます。 とても頑張って準備したので、見に来てやってください…涙。   今回の企画展は少しマニアックな種が多めかもしれません。しかし、展示を通して「こんなにもいろんなハゼがいるのか!」と感じていただけると嬉しく思います。     まだ展示が始まったばかりですので、ネタバレを避けるためにも、今回のコラムはこのあたりで終了しようと思います。 今後もハゼパラに関するコラムは大量に書いていこうと思っております。   解説パネルには載せきれなかったことを書きなぐっていく予定です。 楽しみにお待ちいただければと思います。   それではまた次のコラムでお会いしましょう!         《ご案内》 アジメドジョウ特別展のコラムを読んでくださっていた方へ。 アジメドジョウ特別展は終了してしまいましたが、コラムの続き+来られなかった方向けのまとめのようなコラムを作成しております。もうしばらくお待ちください…。
もしもマムシに咬まれたら…?
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もしもマムシに咬まれたら…?

企画展『毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~』の開催期間も早いもので、残り1か月となりました。 今回の企画展の個人的目玉というか、これは外せないよね、という2種がこちら。   ニホンマムシとヤマカガシです。 どちらも岐阜県内では、普通に見られるヘビですが、ご存知のとおり毒ヘビです。     ヤマカガシの毒牙は口の後方にあり、深く咬まれないと毒が体内に入らないこともありますが、毒性は強く人間の死亡例もあります。 昨年は岐阜県内でもヤマカガシ咬傷の重症例が発生しています。   ニホンマムシはヤマカガシよりも被害が多く、岐阜県内でも毎年咬傷被害が発生しています。 山の中だけではなく、水田近くでも多くみられ、農作業時に咬まれることが多いようです。   ニホンマムシがいることに気が付かずに、近くに手を置いてしまったことや、後輩と一緒にカエル観察に行った際に、かがんだ状態でカエルを夢中で写真撮影している後輩のお尻の下にニホンマムシが鎮座していたなど、ヒヤッとした経験がたくさんあります。     では、実際に咬まれたらどうなるのか、どのように対処すればよいのか。 このような情報を少しでも知っておくだけで、いざという時に役にたつはずです。   ということで、イベントを開催することになりました。 その名も、 「もしもマムシに咬まれたら…?」     実際にニホンマムシに咬まれて大変な目にあわれた方や、治療にあたったことのある医師の方に、その経験などについてお話ししていただきます。 参加費は無料ですので、ぜひご参加ください!     私はどちらかといえば、非常にどんくさい人間で、これまで多くの生物に咬まれています。 ハイギョ、エメラルドツリーボア、ミンダナオミズオオトカゲ、トッケイ、オオアナコンダ、カリフォルニアアシカ…などなど枚挙にいとまがありません。お恥ずかしい…。   とにかく、今回の企画展では、この2種にだけは絶対に咬まれないように、細心の注意を払っております。     もしも、自分にこの毒牙が刺さることを想像すると…恐ろしや。   イベントは11/22(土)です。 当日、私が咬まれた話をしていたら、「そういうことなんだな」とお察しください。
アジメドジョウ特別展:ディープな話 Part1
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アジメドジョウ特別展:ディープな話 Part1

みなさまこんにちは。 真面目にコラムを書き始めた山下です。     みなさま、前回のコラムは読んでいただけましたでしょうか? 今回のコラムは前回の続きのようなものとなりますので、まだの方はぜひ前回のコラムを読んでからこちらのコラムを読むことをおすすめいたします。     さて、今回のコラムではアジメドジョウ特別展に関して、展示に載せきれなかったディープな話をご紹介しようと思います。 かなり文章だけのコラムとなっています。     特別展の中でもご紹介していますが、実はアジメドジョウは非常に岐阜にゆかりのある魚です。その中でも最も重要なこととして、アジメドジョウという魚は岐阜県の人が新種として記載したこと、アジメドジョウが新種として記載された際に、岐阜県の個体がタイプ標本に指定されたことが挙げられます。(タイプ標本という言葉については後ほど説明します)     アジメドジョウを記載されたのは、丹羽 彌(にわ ひさし)さんという方です。丹羽さんは現在の岐阜県中津川市の出身で、その生涯をアジメドジョウの研究に捧げたといっても過言ではない方です。 丹羽さんは自身の研究の成果を「あじめ アジメドジョウの総合的研究」という書籍の形にしてまとめられています。 この書籍の中には、アジメドジョウがどのように新種記載されたのかに始まり、アジメドジョウの分布、地方名、生態、卵の発生、食文化、保護対策などなどが記されています。丹羽さんがいかに多様な方面からアジメドジョウを研究されていたのかがわかります。     さらに新種記載に関しても岐阜県との繋がりがあります。 生き物の新種を記載する際には、タイプ標本というものを指定し、その種がほかの種とどう違うのかを示す必要があります。中でもその種の代表となるただ1つの標本のことをホロタイプと言います。丹羽さんはアジメドジョウのホロタイプ標本に岐阜県恵那市産の個体を指定しているのです。 {残念ながら当館で展示している個体の産地は、模式産地(タイプ標本が採集された場所)とは異なる産地の個体です。いつか模式産地の個体を展示したいものですなぁ…。}   ここまで、丹羽さんの研究、新種記載に関するお話をしてきました。これだけでもアジメドジョウと岐阜県との繋がりを感じていただけているかと思いますが、まだまだあります。が、今回のコラムはこのあたりまでにしておこうと思います。   岐阜県とアジメドジョウシリーズは一応次のコラムで終了予定です。 続きを楽しみにお待ちいただけると幸いです。   それではまた、次のコラムでお会いしましょう!
アジメドジョウの特別展が始まりました!
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アジメドジョウの特別展が始まりました!

みなさまこんにちは。 最近少しサボっており、お久しぶりのコラムとなりました、山下です。   今回のコラムでは、先日より始まった特別展、『岐阜県とアジメドジョウ』に関してご紹介します。     最初にアジメドジョウとはどんな魚なのかをご紹介し、今回特別展をおこなうことになった理由、展示内容についても少しご紹介しようと思います。     アジメドジョウとは、中部地方と近畿地方の辺りに分布し、河川の上、中流域で見られることの多いドジョウです。 このような見た目をしています。普通のドジョウと比べると、少し複雑な模様をしているのがおわかりいただけるのではないでしょうか。実はこの模様が、アジメドジョウが生息している地域によっても少し異なることが知られています。     大きくは、太平洋流入河川と一部の日本海流入河川で見られる斑紋収束型、Gタイプと呼ばれる集団と、日本海側流入河川で見られる斑紋分散型、Sタイプと呼ばれる集団に分けられます。 上がGタイプ、下がSタイプです。     模様をじっくり見てみると、なんだか雰囲気が違うのがわかりますでしょうか? 具体的には、Gタイプは 〇体の側面中央の模様が直線的なことが多い 〇腹側に模様がないことが多い 〇尾ビレの模様は1~3列   Sタイプは 〇体の側面中央の模様は直線的な模様に加えて、さかさまのハートを並べたような模様になることが多い 〇腹側に模様があることが多い 〇尾ビレの模様は3~8列ほど といった違いがあります。   しかし、個体によって模様は異なり、全ての個体が必ずこれらの特徴に一致する、ということではありません。 どちらもかっこいい模様ですねぇ。       岐阜県には上でご紹介した2つのタイプがどちらも分布しています。 同じ種類なのに、ここまで見た目が違うというのはすごく面白いから、2つのタイプのアジメドジョウの比較展示がしたいなぁと思い、展示の提案をしてみました。最初は2つの水槽を並べるだけのちょっとした展示を想定していたのですが、せっかくならもっと詳しく解説する展示にしよう、ということで、あれよあれよという間に特別展の形で展示することとなりました。     そして始まった今回の特別展は、『岐阜県とアジメドジョウ』というタイトルです。 展示内容としては、岐阜県とアジメドジョウの繋がり、アジメドジョウの繁殖、アジメドジョウの食文化、アジメドジョウを対象とする漁業などのご紹介に加え、当初予定していたGタイプとSタイプの比較展示、さらには少し特殊な生体の展示もおこないます。 アジメドジョウを対象とした、非常に盛りだくさんな展示になっているのではないかと思います。     ボリューミーな展示になった分準備は大変でしたが、スタッフ総動員で準備をし… なんとか完成しました。   秋らしい雰囲気の本展示は、11月末までを予定しております。     会場は3階から2階へ降りるスロープの手前です。 この展示を見たらアジメドジョウのすべてがわかる…とまでは言いませんが、かなり詳しくなれること間違いありません。 ぜひ展示を見に来ていただき、アジメドジョウという魚への興味が深まると嬉しく思います。     今回ご紹介した以外の展示内容や今回の展示に反映しきれなかった詳細情報などについては、また別の飼育コラムに書くかもしれませんし、書かないかもしれません。 書くつもりではいますので、楽しみにお待ちください。   それではまた次のコラムでお会いしましょう!
力作のイラストたち(企画展裏話③)
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力作のイラストたち(企画展裏話③)

みなさま、こんにちは! 猛暑の日々が終わり、秋の気配を感じ始めました。 季節の変わり目、体調に気をつけてくださいね。     7月から始まりました企画展『毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物』も2ヶ月経ちました。 みなさま、ご覧いただけましたでしょうか。 実は、今回の企画展にはたくさんのイラストや漫画が掲載されています。 これらすべては、企画展に登場する助手のモデルになった飼育スタッフが作ったものになります!!   めっちゃ上手ですよね!     イラストを用いることで、解説の文章だけでは説明が難しいことを表現することができます。 たとえば、毒蛇といっても毒の牙がある場所が種類によって異なることは知っていますか?   企画展で展示しているニホンマムシとヤマカガシでも毒牙の位置が異なります。 ニホンマムシ   ヤマカガシ       他の毒生物もイラストで解説していますので、ぜひ、企画展の隅から隅まで目を通してみてくださいね!   ちなみに、こんな展示物もあります!     もうみなさまなら答えはわかりますよね? ぜひ、毒の館オーナーからの挑戦状に挑んでオリジナルシールをゲットしてくださいね!
特定動物ってなあに?(企画展裏話②)
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特定動物ってなあに?(企画展裏話②)

みなさま、こんにちは! 暑い日々が続きますので熱中症対策してくださいね。   さて、7月19日(土)から新しい企画展が始まりました! 先日の企画展「毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~」のおもしろ飼育コラム、みなさまご覧になりましたでしょうか。     今回は、展示している特定動物3種についてご紹介したいと思います。 特定動物の1種、マムシについては助手がアツいコラムを書いていますのでそちらを読んでみてください。     特定動物を展示している水槽下にはなにやら標識が貼ってあります。 こちらは岐阜県より特定動物を飼育、展示してもよいですよという許可証になります。         そもそも、特定動物とは? 私たち人間に危害を加えるおそれのある危険な生き物のことをいいます。 企画展では特定動物であるアメリカドクトカゲ、マムシ、ヤマカガシを展示しています。     特定動物は現在、約650種の生き物が対象となっており、飼育する場合にはさまざまな決まり事があります。 例えば、ご家庭でペットとして特定動物を飼うことはできません。 また、一定の基準をクリアした施設の中でしか展示、飼育することができません。     企画展で展示するにあたって、岐阜保健所の担当者としっかりと打ち合わせを行い、準備を進めてきました。 無事に許可も下りまして、現在展示できていますが、それまでの道のりは長いものでした。     さかのぼること3月から、岐阜保健所の担当者と特定動物の申請についての打ち合わせを行いました。マムシ、ヤマカガシは岐阜県内で採集して、水族館に搬入することとなり、どういった書類が必要か相談しました。   そもそも、特定動物は飼養許可が下りている場所(例えば他の動物園水族館)から飼養許可が下りている場所への移動が多く、野生からの搬入事例はあまりありません。   担当者の方も県庁へ確認をとりながら、さまざまな書類と飼育するための設備や水槽を準備していきます。前例がないためか、許可が下りるまで時間がかかり、無事に許可が下りたのが6月頭となりました。なんと約3ヶ月もかかりました。     ただ、これよりも大変だったのがアメリカドクトカゲです! 東京都にある施設より借用することになりました。   6月末に保健所より許可証もいただき、7月頭に東京から岐阜へアメリカドクトカゲを車で移動する運びとなりました。 特定動物を移動するときは、なんと!通過する各自治体に、この日の何時頃に特定動物のアメリカドクトカゲを乗せた車が通りますよ~という連絡をする必要がありました。   約15の各自治体に電話する私の姿をみた助手は 『な、何か手伝えることはありますか…!』と声をかけてくれました。 (1時間半くらいずっと電話をし続けていたみたいです)   無事に各自治体への連絡も終了し、アクア・トトぎふにアメリカドクトカゲがやってきてくれました。     また、マムシもヤマカガシも無事に採集することができ、 企画展開始前に特定動物3種類そろいまして、一安心!   毎日、特定動物を飼育している水槽に異常がないか確認を行って、安心安全に展示をしていければと思います。       実は、ヤマカガシの展示水槽横にある仕掛けがあります。 こちらの机の引き出しの中にも何かものが入っているようで…?   ぜひ、アクア・トト ぎふに遊びにきて確かめてくださいね。
マムシを探せ!(企画展裏話①)
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マムシを探せ!(企画展裏話①)

みなさまこんにちは。 助手です。※企画展「毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~」参照   去る6月初頭。私はとても焦っていました。 というのも、1か月以内に、ニホンマムシとヤマカガシをどうしても捕まえなければならなかったからです。     7月から始まる企画展では、岐阜県に生息する毒蛇「ニホンマムシ」「ヤマカガシ」を展示したいと考えていました。しかし、両種は人に危害を加えるおそれのある特定動物に指定されています。飼育するには、安全上の基準を満たしたケースを用意したうえで、県から許可を得る必要があります。   その許可が下りたのが、6月初頭のこと。つまり、展示が開始される7月までの約1か月間で、両種を捕獲しなければならなかったのです。     最初は、水族館の近くを中心に、何度か夜の森を探し回りました。このときは、カブトムシ・クワガタムシ展示の担当者ら数名と一緒に行っていました。 (「夏はやっぱりカブトムシ!クワガタムシ!」も8月31日(日)まで開催中です。こちらもよろしくお願いします。)   「見つけました!」 時おりそんな声が上がるのですが、見つかるのはコクワガタばかり。企画展担当の私は、歯ぎしりしながらも成果ゼロの日々が続きました。       あまりにも心配になってしまい、上司(執事)に相談したこともありました。 「マムシとヤマカガシが見つからなくて、このままじゃ展示できないかもしれません……」 深刻な私とは対照的に、上司はまったく動じません。 「なんとかなるやろ。そんなことより、ほかの準備をしっかりしいや!」     そんなある日、私は勝負をかけることにしました。天気は昼ごろから小雨。気温も高め。これは、爬虫両生類たちが活発になる条件がそろっています。きっと今夜は、山の林道にカエルがたくさん出てくるはず。つまり、それを狙うニホンマムシも出るはず! 急遽メンバーをかき集め、その晩に乗り合わせて山に向かいました。     夜、雨がぱらつく林道に到着し、車を降りて直後――数歩も進まないうちに、先輩が叫びました。 「ヘビがいるよ~!」 一同に緊張が走ります。早鐘を打つような心臓を抑えながら、先輩のもとにかけつけると、そこにいたのは……。     「タカチホだー!!」 そこにいたのは、七色に反射するウロコをもつ、美しいタカチホヘビでした。ミミズを食べるため、こんなジメジメした夜に出てくるのですが、出会える機会の少ない種です。 すごい……けど、今じゃない!       その後もしばらく粘ったものの、結局この日は成果なしで解散となりました。 深夜。後輩を家に送り届けたあと、コンビニに寄ったところで、先ほどの先輩から連絡が入りました。 「あの後、一人で田んぼを探してたんだけど、見つけたよ ^^b」 ニホンマムシを展示できるという安堵と、遅くまで探し続けてくれていた先輩の優しさに、私はその場にへなへなと座り込んでしまいました。 ありがとう、ありがとう……。     その数日後。今度は上司から連絡が入りました。 「ヤマカガシとれたで。ほら、なんとかなったやろ」 ……こんなにあっさり、なんとかなるんかい! 結局、私はずっと一人で空回りしていただけでした。     先輩と上司の手厚いサポートのおかげで、展示にはニホンマムシとヤマカガシの両種がしっかりと並んでいます。ぜひ、会いに来てください。     ※ニホンマムシやヤマカガシの飼養または保管のためには許可が必要です。また、捕獲には大変危険が伴います。絶対にまねしないようにしてください。
企画展「毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~」
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企画展「毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~」

みなさまこんにちは。   7月19日(土)より、企画展「毒の館へようこそ~博士と学ぶ毒生物~」が始まりました。 毒をもつ魚類から、爬虫両生類、鳥類、哺乳類、はたまたクラゲまで、さまざまな毒生物を展示しています。いくつかピックアップしてご紹介しますと……。     ウロコが美しいアオブダイ。 地域によっては毒をもっており、食中毒が発生しています。     ポップなカラーリングのアメリカドクトカゲ。 唾液に毒を混ぜ、歯の溝を通じて相手に注入します。     涼しげに触手をたなびかせているアカクラゲ。 触手に毒があり、海水浴中に刺傷事故が発生することもあります。     また、この度の企画展は、全体を通してストーリー形式で解説をしています。 「毒の館」に招待された博士と助手が、館で発生した事件の謎を追うというものです。     獣医師のあやな先生が博士役に、私(松下)が助手役になってさまざまな毒生物を解説しています。     楽しく、時々ゾクッとしながら毒生物について学べること請け合いです。 開催期間は少し長めの12月7日(日)までです。 ぜひ一度お越しください。
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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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