「タンガニーカ湖の魚」水槽に仲間が加わりました。 ネオランプロローグス・ブレビス(以下ブレビス)です。 タンガニーカ湖には巻貝の殻で埋めつくされた湖底があり、 そのような場所をシェル・ベッドといいます。 ブレビスはその巻貝を隠れ家として利用するほか、殻の中に産卵し、 外敵から卵や仔稚魚を守ることから「シェル・ブルーダー」と呼ばれます。 シェル・ブルーダーはブレビスの他にも何種類か知られていて、 貝殻がないときは岩穴などを利用して繁殖する種類もいます。 ですが、このブレビスは貝殻でしか繁殖しないそうです。 当館では以前もブレビスを展示していましたが、少しずつ数が減ってしまい、 それからしばらくの間シェル・ブルーダーの展示を中止していました。 「もう一度シェル・ブルーダーを展示したい!」 そう思いました。 ということで、まず生息・繁殖場所になる貝殻を展示水槽に入れなければなりません。 しかし、貝殻をそのまま展示水槽にいれても、炭酸カルシウムが主な成分であるため、しだいに溶けていってしいます。 (タンガニーカ湖は水質が弱アルカリ性であることや、そこにすむ巻貝が厚い殻をもっていることから溶けにくいそうです。) そこで、このように殻の表面を樹脂でコーティングし、 水槽内で貝殻が長持ちするようにしてみました。 そして肝心のブレビスですが「バックヤードで繁殖させて、数を確保してから展示しよう!」となりました。 「貝殻を入れれば繁殖するかな」、なんて安易に考えていましたが、 それがなかなかうまくいかず、親の数を変えたり、 人通りの少ない場所に移動したりと、いろいろ試してようやく繁殖させることができました。 こちら繁殖水槽のオス・メスのペアです。 メスは貝殻に入り込んで卵の世話を、オスは常に貝殻の入り口付近にいて、外敵から守っているようです。 こちらは孵化後6日目の稚魚です。 こうして、バックヤードで安定して繁殖させることができるようになりました。 そしてついに、何年かぶりの展示再開となりました。 展示することになったものの、広く、多種類が混泳する展示水槽では他の魚に追いやられたり、岩陰に隠れて見えないのではと心配していました。 しかし、そんな私の心配をよそに、展示から数日でこの写真のように縄張りをもっている様子が観察できました。 時折、ネオランプロローグス・ブリチャージに追われていたりもしますが、 ブレビスも負けずに貝殻があるところに戻ってきます。 まずは長期展示、そしていずれは繁殖行動なんかも観察できたらいいなと思います。 Tweet