おもしろ飼育コラム

ポリプのお話
  • 企画展・特別展示

ポリプのお話

みなさんこんにちは。 現在、期間限定でマミズクラゲの展示をしています。   マミズクラゲは池や湖などの淡水に生息するクラゲで、水温の高い夏から秋にかけて現れます。 昨年の秋には木曽川でも発生し、そのときに採集した個体の展示も行っていました。   木曽川にマミズクラゲ現る|おもしろ飼育コラム一覧|   しかし、マミズクラゲの寿命は2か月程度と短く、一度出た場所で毎年見られるとは限りません。 まさに“神出鬼没”のクラゲ、いつでも採集できる保証はないのです。     そこで、昨年クラゲを採集した際に「ポリプ」も一緒にとることができないかと、ひそかにチャレンジをしていました。 ポリプとは、クラゲの生活史の中の一つの形態で、イソギンチャクのように石などの基質に固着した姿のことをいいます。   マミズクラゲのポリプはこんな形。   つぼのように少し下側が膨らんだ形で、その上にぽこっとした丸い部分があります。 この丸い部分(矢印で示した箇所)が口で、ごはんを食べるところです。 写真のように、2つ(あるいはそれ以上)のポリプがくっついて群体になっていることが多いです。     ポリプは環境が悪くならない限り、何年も生き続けることができ、さらに自らの分身をたくさん作ることができます。 条件が整えばポリプからクラゲを遊離させることが可能なため、このポリプさえ確保できれば、数をコントロールしながら、必要な時にクラゲを増やすことができるのです。 つまり飼育スタッフにとっては、なんとしても手に入れたいもののひとつなのです。     しかしポリプの大きさは1mm程度ととても小さく、野外で肉眼で見つけるのは至難の業。     現地で探すのは諦め、「きっとポリプがついていそうだな」という感じの流木を拾い集め、水族館に持ち帰ることにしました。   そこからは、ひたすら顕微鏡を覗き込み、しらみつぶしにポリプを探す毎日です。 覗いてみるとこんな感じ。     名前こそ詳しくは分かりませんでしたが、いろいろなプランクトンや付着生物がおり、それらをなんとなく見ているだけでも新鮮で面白いものでした。   ところが1か月たち、2か月たち、それでもポリプは見つからず…。 最初の方はわんさかいた小さな生き物たちも姿を消していき、これはポリプもいないんじゃないかな、と半ばあきらめの気持ちで作業だけを続けていました。     そしてある日、小さな枝を顕微鏡で観察していたところ、求めていたシルエットを発見!! 採集から実に3か月以上がたちましたが、ついにマミズクラゲのポリプを見つけることができました。     その後、ポリプにしっかりとごはんをあげ続け、十分に数を増やすことができました。 現在展示しているクラゲは、そのときのポリプから育成を行ったクラゲです。     一年越しに展示に至ったマミズクラゲ、ぜひこの機会にご覧ください。 ポリプの実物も展示していますし、ポリプからクラゲになるまでの過程や、クラゲの体のつくりについての解説パネルもあります。 不思議なその生態から、何か一つでも面白いな、というポイントを見つけていただけたら幸いです。     そして、マミズクラゲのポリプは、もしかしたらみなさんの身近な環境にも潜んでいるかもしれません。 ある日突然そこから、小さなクラゲが姿を現すかも。 そう考えてみると少しだけ、水辺を覗き込んでみたくなりませんか? もしふわふわただよう小さな生き物を見つけたら、そっと観察してみてくださいね。

次回企画展の告知 淡水魚を守りたい
  • 企画展・特別展示

次回企画展の告知 淡水魚を守りたい

こんにちは。 早くも12月、そして、その12月もすでに1週間が経過しました。 そして、ここからさらに1週間が経過すると…   「Save the 淡水魚 ~未来へつなぐ水辺の宝~」がスタートします!   この企画展では、いずれも絶滅が心配されている   美しい魚   目立たない魚   かっこいい魚   シブい魚 を展示します。     なんと、在来のタナゴ類全16種類が集結する、まさに「大タナゴ展」状態。     ほかにも、   泥の中で生活する魚   はるばる沖縄からやってきた魚 なども展示します。     人の暮らしをよくするために行われてきた開発や、外来種の侵入により、今、日本各地に生息する汽水・淡水魚が悲鳴をあげています。   保全のスタートラインは「知ること」です。 企画展をご覧いただいて、こんなにも凛々しく美しい魚が、みなさまの身近な水辺にもいるかもしれないということを、知っていただければと思っています。   開催期間は12月14日(土)~2025年4月13日(日)の予定です。 よろしくお願いします。

やっぱりアマゾンは最高でした!
  • 企画展・特別展示

やっぱりアマゾンは最高でした!

夏休みから始まった企画展 『ワイルドアマゾン アマゾン最高!』 連日たくさんのお客様に楽しんでいただいております。 とうとう12月8日(日)で終了となりますが、まだ間に合います笑。     展示の生物たちも頑張ってくれていますが なんと私も展示生物の一部として頑張っています。   (アマゾン展に出ていた方ですよね?) (そうです本物です。あの写真は標本です・・・) このような会話が結構ありました。     私の写真との記念撮影も沢山していただいたようです。   学習プログラムの アクア・スクールでは「アマゾンを感じよう!」も開催し、参加者の方から温かいお言葉もいただきました! (想像以上に楽しかったです!)     我が愛しアマゾン やっぱりアマゾンは最高です! 12月7・8日、最後の週末、ぜひ企画展にお越しください!

オニオオハシのオレンジくん
  • 企画展・特別展示

オニオオハシのオレンジくん

みなさん、こんにちは。 7月から始まった企画展「ワイルドアマゾン アマゾン最高!」もうご覧になったでしょうか?   魚類や爬虫類などのアマゾンの生き物を展示していますが、そのなかでも唯一の鳥類として「オニオオハシ」の展示をしています。 掛川花鳥園様よりお借りしているオニオオハシのオレンジくんです。 オレンジ色のくちばし、青色の目、白と黒の羽が特徴で、ご覧になったお客様も見とれてしまうほど美しい鳥です。     このオニオオハシの展示で、不思議な出来事がありました。   オレンジくんは、朝と夕にごはんを食べています。ごはんを置く専用の台があるのですが、ある日、その台の上に大量のヤシ殻(床材)が盛られていました。 なんでこんなに盛られているのかと不思議に思っていたら… 後日、また大量にヤシ殻が盛られていたんです。 オレンジくんが運んだのかと思い、しばらく観察をしてみても運ぶ様子はみられません。ですが、オレンジくん以外にヤシ殻をごはん台に乗せるなんてしないと思い、それ以降、色々な時間帯に様子を見に行くようにしました。     そして、ある日のお昼ごろ… ついに現場を目撃! ヤシ殻を運んでいたのは、やっぱりオレンジくんでした。 大きなくちばしを上手に使い、ヤシ殻を台まで運んでいました。運んだヤシ殻をくちばしで一つずつくわえ、遊んでいる様子も観察できました。     くちばしを使う様子は、ごはんを食べるときにも観察ができます。 大きなくちばしを器用に使い、ペレットやフルーツを一つずつ上手にくわえて食べているので、ごはんの時間に遭遇したら観察してみてくださいね。 朝のごはんは開館直後、夕のごはんは午後なら見ることができるかもしれません!     あと、個人的に注目していただきたいのが、くちばしの裏です。 くちばし裏の付け根に、三角形の切り込みが入っています。 あまりにもきれいな三角形で、どうして切り込みが入っているのかと不思議に思っていたんです。 掛川花鳥園の飼育員さんに聞いてみたところ、大きなものを飲み込みやすくするために切り込みがはいっているそうです。ごはんを食べるときに見ていたら、切り込みがあることで、ものをうまく飲み込めていることに気づきました。 みなさんも、観察してみてください。   展示期間もあと少しです。ぜひ会いに来てくださいね。 お待ちしております。

SDGsのワークショップ
  • イベント

SDGsのワークショップ

こんにちは、体験学習班の大島です。 さて、昨今 日本各地でSDGsについての取り組みが行われていますね。   当館も2022年10月に岐阜県のSDGs推進ネットワークに登録し、県内の産業廃棄物をものづくりワークショップの材料として利用できないか探っていました。   待つことおよそ1年半…2024年6月に岐阜市内の衣料製造業者より「布生地の端切れを使いませんか」と打診がありました。   どんなものかと試しに少し分けていただきましたが、…すごい量。   さまざまな色や柄があって、見ているだけで楽しくなりました。     そこで、12月29日に、この材料を用いた特別ワークショップを開催することとなりました。 名付けて「SDGsのおさかなぼうずをつくろう!」です。 この布を使って、みなさんがよく知っているてるてる坊主の生き物バージョンを作ってもらおうと企画しました。     ボランティアの方にも協力いただき、材料の裁断、サンプル作品の制作、糸やリボンといった小物の準備などなど…。   早くもアレンジの効いた作品も…!     みなさま、楽しみにしていてくださいね。当日のご参加をお待ちしています!! (参加料金は、なんと一作品¥100です)

2年半ごしのウグイ
  • 日本の淡水魚

2年半ごしのウグイ

こんにちは。3階「ゆるい流れの魚」水槽には、ここ最近大きくて立派でかっこよいウグイが悠々と泳いでいます。     じつはこのウグイたち、2年半前はこんな姿でした。 大きさは約1cm。     2年前の初夏に長良川の流れのゆるい場所で、水面付近を泳ぐ稚魚の群れを見つけて、 これは何の稚魚だろう?と調べるために数匹持ち帰ってきました。   調べたところ、どうやらウグイだろうということが分かり、 大きく育てて必ず展示水槽にデビューさせよう!と大切に育ててきました。     「ゆるい流れの魚」水槽には大きくて魚食性のナマズもいますから、相当大きく、25cm以上にしないとデビューは難しい。     しかし、その反面、遊泳力のあるウグイをそこまで大きくさせられる予備槽がはたしてあるか?いや、あるにはあるのですが、「なんかマイナー?」といわれがちなウグイのために、はたしてその予備槽を使ってよいものか?という懸念もありました。     みなさまご存じのように、当館にはピラルクーやメコンオオナマズやタイガーフィッシュなど大型の看板魚がいますから、大きな予備槽はそういう魚で埋まりがちです。     と、頭の中では思いつつも、大きな長良川産のウグイを展示してこそアクア・トト ぎふ。 抜け目なくベストな予備槽を確保して、育てること2年半。ついに展示デビューできるサイズにまで育てることができました。   ウグイの魅力は、オレンジ色の婚姻色ではありますが、婚姻色の出ていない時期の銀色に輝く滑らかな体も、しゅっとした鼻先も、美しい流線形も、どこをとってもかっこよい、いい魚です。 「ゆるい流れの魚」水槽前で、ウグイの魅力に「はっ!」とされるお客さまが続出するのでは?と楽しみにしています。

期間限定展示!クロホシマンジュウダイの幼魚
  • 企画展・特別展示

期間限定展示!クロホシマンジュウダイの幼魚

みなさまこんにちは。 まだまだ新入社員、山下です。   現在、期間限定でクロホシマンジュウダイの幼魚を展示しています。   今回のコラムでは、クロホシマンジュウダイの幼魚について、①どんな魚なのか、②なぜ期間限定なのかをお話していきます。     早速、①どんな魚なのかについて入っていきます。 現在展示しているクロホシマンジュウダイの幼魚は、 こんな魚です。   学名は Scatophagus argus です。 このScatophagusは、糞食者という意味を持ち、クロホシマンジュウダイの仲間が糞を食べるほどなんでも食べることからこの学名がついたと言われています。   実際に当館で飼育している幼魚も、配合餌料やアカムシ、アミエビ、ブラインシュリンプといった、様々なごはんを食べています。     続いて体の模様についてです。 上の写真のように、幼魚期はしましま模様をしています。 このしましまは成長とともに分断されていき、だんだん黒い斑点模様へと変化します。 上の写真の個体は大きさ約20cmです。 すっかり斑点模様へと変化しているのが分かるかと思います。   今回展示している個体は、木曽三川の河口で浮いた流木と一緒に漂っていた個体や、流れの緩やかな浅瀬で漂っていた個体を発見し、採集しました。   展示水槽内でも、そっと近寄ると、根っこの下でふわふわしているクロホシマンジュウダイを見ることができるかもしれません。     ではここから、②なぜ期間限定展示なのか、について話していきたいと思います。   クロホシマンジュウダイは季節来遊魚という魚の1種です。 本来は暖かい海に生息している魚が、夏から秋の海水温が高い時期に、暖流に乗って本来の生息域ではない寒い地域に流れ着くことがあります。   流れ着いた先で生き延びることができれば、そこを新たな繁殖地にすることができる可能性があります。   しかし多くは寒い冬を越えることができず、死んでしまいます。 このように、冬になると死んでしまう魚を、海水温の高い夏から秋にしか見られないことから、季節来遊魚と呼びます。 クロホシマンジュウダイも本来は暖かい海に生息しますが、幼魚はなんと北海道まで流れ着いたことがあるそうです。   しかし、北海道はもちろんのこと、木曽三川が流れ込む伊勢湾でも、クロホシマンジュウダイの幼魚が越冬しているという報告はありません。 おそらく伊勢湾まで流れ着いてきてしまった幼魚は冬を越せずに死んでしまうと思われます。   そのため、今回の展示も伊勢湾で幼魚が見られる、冬になるまでの期間限定の予定です。 今のうちにぜひ、見に来ていただけたらと思います。   それではまた次のコラムでお会いしましょう!

職場体験
  • バックヤード

職場体験

こんにちは、体験学習班の大島です。   10月から11月にかけて職場体験(特に中学校)が盛んです。 毎週のように、入れかわり立ちかわり生徒さんが来館し、展示飼育部の業務を体験しています。 今年度は、今後の予定も含めると、中学校11校、高校3校です。     中学校、高校の職場体験は2日間のスケジュールとなっており、午前中は給餌や測温など飼育業務、午後にはバックヤードの紹介や水族館の仕事についてのレクチャーなどを行っています。     水族館が好きで生き物が好きで飼育スタッフになりたい生徒さんや、そうでもない生徒さんなど熱量は様々ですが、実際に作業を行ってみて、飼育スタッフの生き物に対する大いなる愛に驚いています。     仕事の厳しさを感じながらも、生き物への興味をより一層高めて、満足して帰っていく姿を見ると、うれしく感じます。     アクア・トト ぎふが、将来の就職先の選択肢の一つになってくれるといいな~と願っています。     受け入れの人数に限りがあるため、たくさんの生徒さんに体験いただけないのが大変心苦しいのですが、来年度も職場体験の受け入れをしますので、興味のある方はぜひお問い合わせくださいませ。

カラヒガイの人工授精
  • アクア・トトの生き物

カラヒガイの人工授精

ハッピーハロウィン! 本日ご紹介するのは、オレンジと黒のしましまの魚、「カラヒガイ」です。また、先日行った人工授精の様子についてもご紹介します。   カラヒガイは中国に生息するヒガイの仲間で、親が二枚貝に産卵し、仔魚は貝の中で成長するという生態を持っています。野生では4~7月ごろが繁殖期ですが、飼育下では条件が整えば秋でも繁殖することがあります。今回はその兆候が見られたため、人工授精に挑戦することにしました。   繁殖期に入った魚の多くには、体に目に見える変化が現れます。 カラヒガイのオスがこちら。 口元に「追星(おいぼし)」と呼ばれる白いつぶつぶが出現します。これは他のオスを牽制したり、メスを刺激して産卵を促したりする役割を持つと言われています。   一方、カラヒガイのメスがこちら。 おしりから白い紐状の「産卵管」が伸びています。この産卵管は、二枚貝の入水管(貝が体に水を取り込む管)にさし込み、卵を産みつけるために使われます。卵を持っていれば伸長するため、採卵できるかどうかの目安にもなります。     さて、いよいよ人工授精の作業に入ります。 基本的な方法はオスもメスも同じです。魚をシャーレの上に取り上げ、腹部を前から後ろに向かって押し、精子、あるいは卵を放出させます。 今回私は初めて行ったのですが、力加減に苦労しました。魚体を傷つけまいと優しく押しても卵は出ません。何度もやり直すと、かえって魚に負担をかけることになります。反対に、強く押しすぎれば内臓を傷つけてしまうかもしれません。 さすがに熟練の先輩スタッフは見事なもので、1匹あたり数秒のペースで、次々と作業を進めていました。私も精進したいと思います。     こうして採取した精子と卵をシャーレで合わせれば、人工授精は完了です。人工授精直後の卵は白く透き通っており、非常に美しい姿をしています。     その後、4日ほどでふ化が始まりました。     そして現在です。ふ化からは2週間ほどが経過しており、自分でエサを取って食べられるようになりました。今はブラインシュリンプという小さな甲殻類を食べ、日に日に大きくなっています。   展示水槽にデビューするのはまだまだ先になりそうですが、引き続き大切に育てていきたいです。ところで、親は横じま模様なのに、子どもは縦じま模様なんですね。この模様がいつ変化するのか、これからの観察が楽しみです。

はじめての新規展示
  • アクア・トトの生き物

はじめての新規展示

みなさま、こんにちは。 新入社員の山下です。 どうぞよろしくお願いいたします。   今回は初めて新規展示を行った生物について紹介しようと思います。 その生物とは、こちら! そう、アメンボです。 知らない人がいないほど有名な生物だと思います。 今回はアメンボを展示しようと思った理由について、その後でアメンボの特徴についても少し紹介しようと思います。   アメンボ、本当にいろんな場所で見ることができます。 流れの緩やかな河川、水路、池、ちょっとした水たまりなどに生息する、非常に身近な生物の1種です。 しかし、その姿を間近でじっくり見たことがある人は少ないのではないでしょうか。 広い場所で観察しようとすると案外素早いです。 私も種名板用に写真を撮ろうとしたら… 残像を撮影してしまうことが多々ありました。 このように非常に身近ですが、間近での観察がしにくい生物だと感じました。   そのため、水槽にいる様子を多くの人に見てもらい、身近な生物も近くでしっかり見ると面白いことを体感してもらおうと思い、展示をしようと考えました。   一応以前にもテーマ水槽で展示したり、どこからともなくワンド水槽に飛んできたりして、一時的に展示していたこともありました。 しかし、種名版を作成しての展示は、先日20周年を迎えたアクア・トト ぎふの長い歴史の中でも初めてのことです。 なんとも意外ですね。 現在は里山の生きもの水槽のエリアで、タガメと同じ水槽で展示をおこなっています。   ここからは、種名板作成のためにアメンボについて調べた中で面白かった特徴を紹介していきます。 アメンボは水生昆虫の1種です。 水生昆虫というと、タガメやゲンゴロウのように、水中にいる昆虫の姿を想像する人がほとんどかと思います。 ここで水生昆虫の定義を調べてみると、生活史の少なくとも一部分を水中、あるいは水面で生活する昆虫のことだそうです。 アメンボは体に細かな毛が生えており、非常に軽い体を表面張力によって支え、水面に浮いて生活します。     つまりれっきとした水生昆虫なのですね。 しかし、常に水面に浮いているのかというと、そうではありません。 意外と植物に登っている姿をよく見ます。 さらに、産卵の際は潜水し、水中の植物などに産卵することが知られています。 なんとも驚きです。 そしてどうやら展示水槽内で繁殖していたらしく、新しく生まれた幼虫がたくさん孵化しています。 こんな感じです。 非常に小さいので、よーく見ないとわからないかもしれませんが、ぜひ水面をじっくり探してみてください。 成虫と比べると、こんなにも大きさが違います。 成虫の左下に幼虫が写っているのがわかるでしょうか。 幼虫は成虫になるまでに5回脱皮をおこないます。 脱皮のたびに一回りずつ体が大きくなります。 アメンボを飼育し始めたころは、脱皮殻を見て「死んだの!?」と驚いたこともありましたが、そのたびに大きく成長したアメンボを見て安心していました。     まだまだいろんな特徴がありますが、長くなってしまうのでもう1点だけ。 アメンボのにおいについてです。 アメンボという名前は、漢字で書くと「飴ん棒」、つまむと焦げた飴のようなにおいがすることからこの名前が付いたと言われています。 気になるので、実際につまんでにおいを嗅いでみました。 すると…確かににおいがします!! 焦げた飴、というのはよくわかりませんが、美味しい食べ物がいい感じに焦げたような、香ばしいにおいがしました。 アメンボは臭腺(しゅうせん)という器官をもち、そこからにおいを出すことが知られています。 普通に美味しそうに感じてしまいました…。   ここまでいくつかの特徴を紹介してきましたが、みなさんも知らないこともあったのではないでしょうか。 こんなに身近な生物にも、実は知らないこと、面白いことがこんなにあるのかと感じていただけたら嬉しいです。 そしてぜひ、展示しているアメンボをじっくり観察してみてください。   それではまた次のコラムでお会いしましょう!

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本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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