みなさまこんにちは。 まだまだ新入社員、山下です。 現在、期間限定でクロホシマンジュウダイの幼魚を展示しています。 今回のコラムでは、クロホシマンジュウダイの幼魚について、①どんな魚なのか、②なぜ期間限定なのかをお話していきます。 早速、①どんな魚なのかについて入っていきます。 現在展示しているクロホシマンジュウダイの幼魚は、 こんな魚です。 学名は Scatophagus argus です。 このScatophagusは、糞食者という意味を持ち、クロホシマンジュウダイの仲間が糞を食べるほどなんでも食べることからこの学名がついたと言われています。 実際に当館で飼育している幼魚も、配合餌料やアカムシ、アミエビ、ブラインシュリンプといった、様々なごはんを食べています。 続いて体の模様についてです。 上の写真のように、幼魚期はしましま模様をしています。 このしましまは成長とともに分断されていき、だんだん黒い斑点模様へと変化します。 上の写真の個体は大きさ約20cmです。 すっかり斑点模様へと変化しているのが分かるかと思います。 今回展示している個体は、木曽三川の河口で浮いた流木と一緒に漂っていた個体や、流れの緩やかな浅瀬で漂っていた個体を発見し、採集しました。 展示水槽内でも、そっと近寄ると、根っこの下でふわふわしているクロホシマンジュウダイを見ることができるかもしれません。 ではここから、②なぜ期間限定展示なのか、について話していきたいと思います。 クロホシマンジュウダイは季節来遊魚という魚の1種です。 本来は暖かい海に生息している魚が、夏から秋の海水温が高い時期に、暖流に乗って本来の生息域ではない寒い地域に流れ着くことがあります。 流れ着いた先で生き延びることができれば、そこを新たな繁殖地にすることができる可能性があります。 しかし多くは寒い冬を越えることができず、死んでしまいます。 このように、冬になると死んでしまう魚を、海水温の高い夏から秋にしか見られないことから、季節来遊魚と呼びます。 クロホシマンジュウダイも本来は暖かい海に生息しますが、幼魚はなんと北海道まで流れ着いたことがあるそうです。 しかし、北海道はもちろんのこと、木曽三川が流れ込む伊勢湾でも、クロホシマンジュウダイの幼魚が越冬しているという報告はありません。 おそらく伊勢湾まで流れ着いてきてしまった幼魚は冬を越せずに死んでしまうと思われます。 そのため、今回の展示も伊勢湾で幼魚が見られる、冬になるまでの期間限定の予定です。 今のうちにぜひ、見に来ていただけたらと思います。 それではまた次のコラムでお会いしましょう!