みなさんこんにちは。 春の訪れとともに、生きものたちの活動も活発になっていますね。 サンショウウオやカナヘビ、カエルの産卵のお話が続いていますが、 もちろん魚たちも産卵シーズンを迎えています。 春に産卵する魚の中で、今回は「カワヒガイ」をご紹介したいと思います。 このカワヒガイ、春になるとオスは婚姻色が出て色づく様子から 岐阜の方では「サクラバエ」などと呼ばれています。 繁殖期を迎えた雄の吻先を見て下さい。 白い模様のようなものが。 これは追星と呼ばれる、コイ科のオスに見られる二次性徴です。 一方で雌はというと。 シリビレの辺りから、白い糸のようなものが。 これは産卵管と呼ばれるものです。 そう、ヒガイの仲間は、ヌマガイやタガイ、イシガイなどの淡水にすむ二枚貝の中に 卵を産みつけるのです。 そこで水族館では、二枚貝の殻を用いてカワヒガイの繁殖を行っています。 殻を輪ゴムでとめて、すき間を作るためにシリコンチューブを挟みます。 出来たものがこちら。 どうせならと貝の入水管や出水管風にチューブを付けてみました。 アサリみたい・・・。 イシガイやヌマガイなどこんな風に管を伸ばすことはないです。 で、結果はといいますと。 貝を開けると、真珠のような丸い卵が。 この卵、同じ貝に卵を産むタナゴの受精卵などと比べると、かなり大きいのです。 正確に言いますと、大きくなるのです。 ヒガイは貝の入水管に産卵管を差し込み、卵を産みつけます。 タナゴでは貝の出水管に産卵管を差し込んで、卵を産みつけるため、 貝の鰓の中に卵は差し込まれるのですが、ヒガイの卵は鰓の外に落ちてしまいます。 そのため、産みつけられた卵は吸水をして大きくなり、 貝が開いても落とされないように変化するのです。 左がシロヒレタビラの受精卵、右が吸水して大きくなったヒガイの受精卵。 もう一枚。 どうですか、かなり大きいことが分かりますね。 イクラ位の大きさですかね。 ヒガイの受精卵は、1~2週間ほどで孵化をして泳ぎ出します。 タナゴの場合は、孵化後に分化が進み、体が出来てきますが、 ヒガイの場合は体が出来あがったあとで孵化します。 ヒガイも二枚貝がないと子孫を残すことが出来ません。 水族館では貝殻を使っていますが、自然の中ではそうはいきません。 現状では、淡水性二枚貝は減少の一途をたどっています。 春のヒガイたちを見たら、そんなことも思い出して頂ければと思います。 ツイート