ライのまぶたがはれた日
こんにちは。
8月28日、環境省がニホンカワウソを「絶滅種」に指定しました。
昭和54年に最後の1頭が目撃され、
30年以上経過して「絶滅」とみなされたのです。
日々、コツメカワウソと接しながら、
こんなに表情豊かで、家族思いで、すばしっこい生き物を、なぜ人は、絶滅においやるほど、殺すことができたのだろう?
と疑問に思ってしまいます。
それは、簡単にいえば、現代と当時の違いなのだとは思います。現代しか知らない私が、過去の出来事について言及することはできませんが、今後、同じことが繰り返されないように、動物を扱う者として、来館してくださる方々に、何を、どうやって伝えるのか
慎重に考えていきたいと思います。
さて、今日はコツメカワウソについて書きます。(全然関係のない話です。)
先日、「ライ」の左まぶたがはれていました。
そういう時は、第一発見者がすみやかに班内のメンバーに伝達します。
「たかがまぶたがはれたぐらいで…」とはなりません。なにか深刻な病気の予兆の可能性もありますから、慎重に対応します。「程度は?行動は?痛がる?気にしてる?写真撮っといて。」だいたいこんな感じの会話になり、写真をとったら獣医に相談します。
余談ですが、カワウソの写真撮るのは大変です。
めっちゃめちゃ動き回ってますから(笑)
ご覧のように、左のまぶたがはれています。
診断の結果、原因は分かりませんが、
抗生剤と消炎酵素剤の2種類の薬を3日間、
エサに混ぜて与える処方になりました。
捕まえて触診したり、外科的処置を行うことになる場合もありますが、それは動物にとって大きなストレスとなってしまいますから、できればやりたくない。
したがって、小さな変化も見逃さないように、エサの食べっぷりやふだんの行動をいつも以上によく観察します。
行動に異常はないか?いつもと変わらないか?まぶたを気にしたりはしないか?
ドアのまどからそーっと観察していたのですが…、見つかってしまい、逆に観察されました。
「なにしてんの?」
「ねーなにしてんの?」
「ねーなにしてんの?ってば!」
好奇心旺盛!いつもと変わらず元気なライです。
これなら深刻な事態にはならずにすみそうだなー。そして5日目、まぶたのはれは、すっかりきれいに治りました♪
関係ありませんが、コツメカワウソの足跡です。
まずは、どんな生き物でも精一杯生きていること、
そして、生き物は尊敬に値するものであること。
そのふたつを、アクア・トトで直感してもらえるように、展示を作っていきたいです。
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