当館が長らく関わっている岐阜市のカスミサンショウウオ保全活動。 個体数を増やすことを最初の目標として、死亡率の高い卵・幼生を飼育下におき、 変態直前まで育てた後放流する、という活動を継続してきました。 結果として、産卵数の増加と、今まで確認できていなかった若い世代の繁殖参加が 見られ、一定の成果がでてきました。 でも、繁殖場所は駐車場の側溝で、根本的な問題が解決されたわけではありません。 そこで、生息域外保全も並行して行っています。 当館でも屋内水槽内で一定数を飼育していますが、飼育できる個体数にも限界があります。 (飼育スペースや、管理に携われる時間などいろいろ) そこで、当館と岐阜大学では敷地の一部を利用し、 粗放的な飼育(ある意味、ほったらかし)に取り組んでいます。 (岐阜大学の施設はこちらを参照 http://www1.gifu-u.ac.jp/~zoology/contents/hcc/hcc3.html) 当館では、ゴミを集積しておく建物横の、少し植栽が植わってあるこじんまりとした場所で取り組んでいます。 こんな所~?と思われるかもしれませんが、数年前、京都大学の敷地内で カスミサンショウウオが繁殖している場所を見学させてもらったことがあり、 その時の経験から「ここでもイケる!」とひそかに考えていました。 それでも、少し心配ではありましたので、約3㎡をベニヤ板で囲って変態後の幼体をはなち、 約一年、飼育予備実験(放置)を行いました。 ごくたまに石などをどかして生存確認していましたが、やはりちょっと心配。 そして、いよいよベニヤ板をとっぱらって、成長具合を確認する時がやってきました。 あぁ、みんな元気にしてますやん! 「カスミー、生きとったんかーワレー!」 と叫ばずにはおられません。 しかも、バックヤードよりも成長が良いじゃないですか。 これでもう自信を持って、スペース拡張工事に取り組めます。 今年の1月、いよいよ着工です。季節は真冬。 雪がこんこんと降りしきる中、鼻水垂らしながらコツコツと塩ビ板で柵を手作りしました。 そして、3月初旬ごろにオスを水場で発見。 まさかの造成初年度にして繁殖成功か?いやがおうにも期待が高まります。 そして運命の3月26日早朝。2対の産卵を確認!やったぞぅ!! (産卵日はくしくも私が当直の日。真夜中、「これは産むぞ」と判断し、 ビデオカメラをとりにダッシュで事務所に戻り、誰も使っていなかった機能「ナイトショット」をONにして、 さぁ産みたまえ!と録画を始めた途端にバッテリー切れ。私もブチギレ。 という顛末があったことを、こっそりとお伝えしておきます) ちゃんと受精もしています!あぁ、フ化が待ち遠しい。 数日前の様子。石をどけたら2匹がコンニチハ。来年もよろしく頼むよ。 (追記) 今年もアベサンショウウオ・ホクリクサンショウウオは順調に繁殖しております。 今年もGWに「プレミアムバックヤードツアー」を開催します。 私が担当の時は、もちろんこの場所もご案内します。 一緒にこの喜びを分かちあってくれる方、参加求む。 ツイート