おもしろ飼育コラム

ヒキガエルの企画展が始まりました
  • 企画展・特別展示

ヒキガエルの企画展が始まりました

12月17日より企画展「新ヒキガエルのすすめ」が始まりました。   タイトルの通り「ヒキガエル」の企画展です。       みなさんヒキガエルは好きですか?   私はとても好きです。 大きくてたくましい体はとてもかっこ良く、 ちょっと怒っているような顔つきはとてもかわいらしいです。   しかし、大きくてイボイボの体がちょっと…と見た目で敬遠されてしまうことも 少なくありません。     今回の企画展で、まずはそんなヒキガエルたちの暮らしぶりなどを 知ってもらいたいと思っています。   そして、 「ヒキガエルってかわいい!」 「意外といいかも!」 「健気だな。」 など何か感じてもらえたら嬉しく思います。   では、ざっと展示内容をご紹介。 まずは岐阜県にも幅広く分布しているアズマヒキガエル。   2022年生まれの幼体も展示しています。 「ヒキガエルの幼体ってこんなに小さいんだ!」 という声をよく聞きます。     そして、日本に生息する他のヒキガエル4種類も展示しています。       下の写真のオオヒキガエルは外来生物法で「特定外来生物」に指定されており、 原則として飼育などが禁止されている生き物です。     今回の飼育展示も、もちろん許可を得て実施しています。 展示しているオオヒキガエルは石垣島に定着している個体で、 捕獲のために実際に石垣島に足を運びました。 捕獲の話はまた後日、飼育コラムで紹介できればと思います。   そして、ヒキガエルの毒や保全活動についてもパネルで解説していますので、 ぜひ読んでいただきたいです。     展示期間は4月9日までです。   そして、今後もこのコラムでヒキガエルのあれこれをお伝えしていきたいと思います。 お楽しみに。     Tweet

アクアマイスターになろう!12月の活動
  • イベント

アクアマイスターになろう!12月の活動

皆さまこんにちは。 体験学習班の河合です。   12月の活動内容は、「ナイトツアー」でした。 閉館後の開催と貸し切りという状況に子どもたちのテンションは、見学前から高めでした。 今回は、「夜の生き物をじっくり観察し、昼との違いをくらべる」をテーマとしました。   消灯前の見学では、 昼と夜で行動や形態などに違いがみられそうな生き物や、夜に見たい生き物を考えながら見学しました。 子どもたちが選んだ生き物は、オオサンショウウオ、アユ、ニシアフリカコガタワニ、ポリプテルスの仲間、テトラオドン・ムブ、ピラルクー、カピバラなどでした。   消灯後の見学では、 先ほど各々がチェックした生き物を中心に観察しに行きました。   子どもたちが一番気になっていたオオサンショウウオは、少しだけ位置が変わっていただけで、観察中もほとんど動きませんでした。 ちょっとだけ口が動いた瞬間は、「動いた~」「すげぇ」と声を上げて盛り上がりました。 タニガワナマズやアカザ、ニホンウナギは、活発に活動しており、「泳いでいる姿をはじめてみた」と感動する子もいました。   モクズガニやアシハラガニが出てきたのを見つけたり、カエルの瞳孔の形の変化に気づいたりと細かいところまで目を向けるあたりはさすがアクアマイスターの受講生。 常にテンションは高めでしたが、生き物を見る時だけは冷静にしっかりと観察していたようです。     一方で、ニシアフリカコガタワニやテトラオドン・ムブ、ピラルクーなど変化が見られなかった生き物もいました。 子どもたちは、予想や期待とは違っていたみたいで残念がっていましたが、変化がなかったことを知れたのも学びです。 今回のタイミングでは、たまたま変化が見られなかっただけということもあります。 夜行性の生き物だからといって暗くなるといつも動いているということはありません。 動いている時間もあれば動いていない時間もあります。これも面白さの1つだと思います。     また私からは、ヤマトイワナの水槽に設置されたネット、アユとカヤネズミの照明の秘密、アマゾンツリーボアやヤドクガエルの水槽に設置された保温板など当館ならではの夜間の管理方法について解説をしました。   このナイトツアーを通じて新たな発見があったことでしょう。 とにかく終始テンションが高く、楽しく学べたようなのでそれが何よりです。   最後に少しお知らせです。 夜の生き物を観察してみたい方のために、2023年3月に「夜の水族館」を開催する予定です。 開催1か月前にはホームページで募集に関する情報を公開しますので是非チェックしてくださいね。   では       Tweet

スナヤツメ展示再開!
  • アクア・トトの生き物
  • 新しい展示

スナヤツメ展示再開!

みなさまこんにちは。 朝晩はかなり冷え込み、布団から出るのがつらい季節になりましたね。本コラムの主役も、普段砂にもぐってなかなか出てこない生き物です。   さて、12月5日より当館3階「岐阜県の希少淡水魚」コーナーにて、スナヤツメ北方種の展示を開始しました! 開館当初はスナヤツメとして常設展示していました。 その後、スナヤツメには北方種と南方種がいることが明らかにされ、岐阜県にはそのどちらも分布していることが報告されました。今回はスナヤツメ北方種として常設展示にカムバック。じつに10年以上の歳月を経てお客様に再びご覧いただける運びとなりました。   ところで、本題のスナヤツメという生き物。あまり馴染みがないかもしれませんが、みなさまはご存知でしょうか。それでは、こちらの写真をご覧ください。   なんだこの生き物は!? 本当に魚なのか!?……というのが、素直な感想でしょうか。それもそのはず、スナヤツメはほかの多くの魚類(硬骨魚類や軟骨魚類)と系統的に大きく離れた、原始的な脊椎動物の特徴を残す生き物なのです。   簡易な脊椎動物の系統樹を書いてみました(絶滅した分類群を省いたり、多系統群を一本の枝で表したりしている点をご了承ください)。     この図の通り、スナヤツメは私たちの祖先にあたる生物がアゴの骨を獲得する以前に分岐した生き物です。そのため、アゴがなく、「無顎類」や「円口類」と呼ばれることがあります。   こちらがスナヤツメの口もとを拡大した写真です。私たちのような上下に開く口ではなく、左右に開く頭巾状の口をもっています。   上に掲載した写真はスナヤツメの幼体です。砂の中にもぐり、有機物を食べて成長します。約3年間の幼生期を経て、変態し成体となります。それでは、成体の写真もご覧ください。   成体は目が発達し、ヒレが伸長してよく泳げるようになります。口は吸盤状になり、岩などにくっつくことができるようになります。しかし、消化管を失うため一切食事をとらず、産卵して一生を終えます。 目の後ろに、七つの鰓孔が開いているのがお分かりいただけるでしょうか。名前の「ヤツメ」とは、本当の目を入れて八つの目を持っているように見えることに由来しています。   ほかの魚とはちょっと変わった特徴をもつスナヤツメ。ぜひ当館へお越しいただき、直接観察してみてくださいね。     Tweet

魚たちのはじめまして
  • アクア・トトの生き物
  • 新しい展示

魚たちのはじめまして

こんにちは。 気付けば今年もあと1か月とちょっと。 当館では、恒例のデンキウナギのクリスマスツリーや、クリスマス限定スタンプラリーを開催しています。今年まだアクア・トトに行ってないなぁ~という方はぜひぜひお越しください!   さて、先日Twitterでお知らせしたとおり、メコン川エリアにオオウナギが仲間入りしました。 日本にも分布しているのに、なぜメコン川エリア?と思われるかもしれませんが、オオウナギは分布域が広くメコン川にもいるんです。 (※念のためですが、オオウナギはニホンウナギの大型個体というわけではありません。オオウナギとニホンウナギは別の種類の魚です。)   オオウナギを展示水槽に移動すると、最初の数分間は水槽の隅に身を潜めていました。   それに気づいたのは大型のスネークヘッド、チャンナ・アウロフラメア(以下チャンナ)でした。   オオウナギをぴったりマークして、全身をすみからすみまで、なめるように観察していたチャンナ。   どちらかが本気で噛みついたら、結構な傷になりそう…。 結局、噛みつくことはなく、気が済んだチャンナは離れていきました。 ほっとしたのも束の間、今度はオスフロネムスに囲まれたオオウナギ。   流木の奥に身を隠し、オスフロネムスをやり過ごしました。 チャンナとオスフロネムスのはじめましてのご挨拶はここまで。   自由になったオオウナギは自分の居場所をもとめてうろうろして、 ここ数日はこんなかんじで、土管がお気に入りです。   尾部が収まりきってないですね。笑   しかし、土管に入ってばっかりじゃオオウナギがどんな姿をしているのかわかりません。オオウナギの立派な姿をみなさまに見ていただけるよう、ちょっとずつレイアウトを変えてみようと思っています。 新しい仲間が加わって、見どころの増えた「メコン川中流の魚」水槽。ぜひ見に来てくださいね。   Tweet

アクアマイスターになろう! 11月の活動
  • イベント

アクアマイスターになろう! 11月の活動

皆さまこんにちは。 体験学習班の河合です。     11月の活動内容は、「木曽川で魚釣り」でした。 河川環境楽園のすぐ横を流れる木曽川で実施しました。   釣り方は、2.7mの延べ竿でウキ釣り、エサはミミズと練り餌を使用しました。 木曽川の中流域にはどんな魚がいるのかを釣った魚で調べます。 過去には、アブラハヤ、タモロコ、ウグイ、ギンブナ、コウライモロコ、ゴクラクハゼ、ブルーギル、ギギ、モクズガニが釣れています。 毎年、タモロコは安定して釣れていますが、それ以外の魚は、年によって変わるので今回は何が釣れるのか楽しみです。     まずは、館内で基本的な仕掛けの結び方を練習しました。 今回は、釣りの時間を長くとれるように結び方だけ練習したのですが、結び方1つの練習だけでギブアップ状態。しばし頭を抱える様子も見られました。 思いのほか大苦戦だったので結局仕掛けはスタッフで準備したものを使用しました。 結び方は、練習あるのみです。     次は竿の扱い方です。 竿の先は繊細で、雑に扱うと簡単に折れます。 未経験者がいきなり長い竿を扱うのは難しいので、まずは短い竿で練習をしました。 とりあえず、狙った場所にエサを落とせるくらいを目指しました。     釣りをするにあたって技術は当然必要ですがマナーやルール、安全管理などの心得も大切です。 「周りに注意して竿を振る」「釣り場でさわがない」「ゴミを捨てない」「ライフジャケットを着用する」などについてレクチャーしました。     最後に釣れない時の対処法として「餌、場所、タナ(深度)を変える」などのコツもしっかり伝授しました。   基本を学び準備を整えて、出発です!   川に到着後、危険場所と行動範囲を確認し、釣りを始める予定でしたが、ここで次の壁が。   「ミミズがさわれない」   釣りをするためには、さわるだけではダメで、釣針につけなければいけません。苦手な人にとっては、かなり高いハードルです。 毎回、子どもたちが頑張れるところまでは見守り、どうしても無理なら手伝うことにしています。 でも、みんなすぐに慣れ、普通にミミズをつかめるようになります。     肝心の釣果はというと全員ボウズ。1匹も釣ることができませんでした。 コツを思い出し場所を変え、タナを変えいろいろ試しましたが残念な結果に終わりました。   子どもたちが釣れずに悶々としている中、珍客がありました。 一人の子が突然「茶色でふわふわした変な生き物がいる!」と叫んだのです。 駆けつけてみるとそこには外来生物のヌートリアがいました。 よく見ると足跡もありました。 どこに潜んでいたのかわかりませんが、釣れない子どもたちをあざ笑うかのように目の前を悠々と泳いでいきました。 「初めて見た!」と興奮する子もいたので、これはこれで気晴らしくらいにはなったのでないでしょうか。     実施の前日に魚が釣れたポイントを選んだのですが、朝方の冷え込みがよくなかったようです。 自然を相手にしているわけですからこんなこともあります。 これもまた釣りですし、良い経験です。   主催者としては、釣りの楽しみを味わって欲しかったので悔しい気持ちでいっぱいです。今回の結果を糧にして、来年度に向けて作戦を練り直したいと思います。     最後に河原の清掃活動をしました。 ペットボトルやビニール袋が落ちていたので「ゴミ拾いをしようか?」と声をかけると子どもたちは快諾してくれてゴミ拾いも楽しそうにやってくれました。 釣りのマナーもしっかりと伝わったようです。 みなさんありがとうございました。   では   Tweet

「ちがい」をわかりやすく伝えるための工夫
  • 企画展・特別展示

「ちがい」をわかりやすく伝えるための工夫

みなさま、こんにちは。   企画展「ココがちがうんです!~生き物の見分けは難しい!?~」ですが、残り約1か月となりました。 長期の企画展でしたが、始まってしまえば、あっという間に過ぎてしまいますね。 館内での展示やこちらのコラムだけでなく、インスタグラムによるライブ配信でも生き物の見分け方をご紹介してきましたが、みなさま、ご覧になっていただけたでしょうか?     1回目は、7月29日(金)にカワムツとヌマムツ、ベンケイガニとクロベンケイガニ、ミナミメダカとキタノメダカの見分け方を紹介しました。     2回目は、9月15日(木)にツチガエルとヌマガエル、タゴガエルとネバタゴガエルの見分け方を紹介しました。   3回目は、10月30日(日)にネズミ、モグラ、コウモリの仲間について紹介しました。     まだ見ていないという方は、インスタグラムにアーカイブが残っていますので、ぜひご覧くださいね!!   さて、ここからが今回のコラムの本題です。 この企画展は「生き物の見分け方」を、ご覧になっているみなさまにわかりやすく伝える必要がありました。ちがいがあるとはいえ、生き物そのものを見ただけでは、やはり見分けることは難しいです。   そこで、イラストと生き物を見比べながら観察してもらうことで、よりわかりやすくちがいを伝えることができるのではないかと考えました。   企画展の解説で使用しているイラストは、全てスタッフの手作りなんです。(知らない方も多かったのではないでしょうか?)   作成するにあたり、大変だったポイントをいくつか紹介さていただくと・・・   まず、ちゃんと「イラスト」にすることです。 作成開始当初につまづいたところなんですが、生き物の色合いや形をリアルに描きすぎると、イラストとしては、わかりづらくなってしまうんです。それなら写真で良いのでは?となってしまいます。   ちがいがあるとはいえ、似ている種を展示するので、イラストを見て、全くちがうと思われてはいけませんし、似ている中にちがいをつけるのは、なかなか苦労しました。   こちらは、ヌマムツとカワムツの最初に作成していたイラストです。   ここから、色や線を単純にすることで、わかりやすいイラストにしていきました。   最終的には、こちらのイラストになりました!     次に、ちがいの書き方です。 生き物のちがうポイントって意外と曖昧なものが多いんです。 カマツカ3種のちがいとして、模様のちがいがあるのですが、「くっきりしている」「ややぼやけている」「ぼやけている」などで表現されているんです。 これをイラストで表現するのが、とっっっても難しかったです!! なかなか納得がいかず、カマツカ3種は、何パターンも作りました。一番苦労したイラストでした。   試行錯誤を繰り返しなんとか表現できたときは、達成感がありました。   そして最後は・・・いつもよりも作成数が多いことです!! ちがいを表現するためには、最低でも2種で1組になります。いままでの企画展の倍以上のイラストを作成したのではないかと思います。 作成したイラストは、見分け方のイラストだけでも、23コでした。     途中で心が折れそうになることもありましたが、なんとか全て作成し、企画展を開催することができました。   今、「ココがちがうんだって~。」と、イラストと生き物を見比べながら水槽をご覧になっているお客様を見かけると、作成してよかったなと改めて思います。   企画展は、12月11日(日)までの開催となっていますので、ぜひ、イラストを見ながら、生き物のちがいを見つけに来てくださいね!お待ちしております。   Tweet

岐阜県のカメがせいぞろい!
  • 企画展・特別展示
  • 爬虫類

岐阜県のカメがせいぞろい!

みなさまこんにちは。 日中でも肌寒くなってきた今日このごろ。私たち人間にとっては食欲の秋ですが、当館で飼育している爬虫類たちはすっかり摂餌意欲が落ちてきたところです。   さて、10月25日より3階「里山の生き物水槽」にてミシシッピアカミミガメの展示を開始しました。アルビノのジムグリからのバトンタッチです。 向かって左側のスペースに幼体が、右側のスペースに成体が入っています。 ブースでは、今年5月に公布された外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)を改正する法律の内容を中心に、ミシシッピアカミミガメにまつわる外来種問題について解説しています。   より詳しく知りたい方は環境省のホームページをご覧ください。WoWキツネザルさんの動画などは必見です。     ミシシッピアカミミガメの展示を開始したことで、私はひっそりと満足感に浸っていました。……それは、岐阜県の野外でみられるカメ全種をお客さまにご覧いただけるようになったからです!   では、順番にご紹介して参りましょう。   まずは、ニホンイシガメです。 日本固有種で、岐阜県レッドデータブックでは準絶滅危惧種として指定されています。平野部よりも山間部でよくみられます。甲長は最大20cm程度と、他の種に比べて小柄です。     続いて、ニホンスッポンです。 水生傾向が強いカメで、産卵期のメスをのぞいて陸上を歩く姿はあまり見かけません。現在展示している個体は、今年9月から仲間入りしました。長くバックヤードで飼育されていた個体ですが、他の魚を食べてしまわないかなど慎重な観察が行われつつ、デビューに成功しました。     こちらは、クサガメです。 かつては日本在来種とされてきましたが、化石や古文献の記録が確認されないことから、現在では江戸時代以降に朝鮮半島や中国から移入したものと考えられています。捕まえるとくさい臭いを出します。     最後に、ミシシッピアカミミガメです。 アメリカ合衆国南東部およびメキシコ北東部原産で、ペットとして輸入され野外へ遺棄された個体が日本に定着しています。今では、日本の多くの河川でもっともよくみられる種です。     いかがでしたでしょうか。ミシシッピアカミミガメは期間限定ですので、この4種がそろっているのは今だけです。ぜひご来館いただき比較してみてくださいね。   他にも、岐阜県ではカミツキガメ、ワニガメをはじめとする何種もの外来のカメが発見されています。今のところ定着はしていないとされていますが、今年10月に岐阜市内でカミツキガメの幼体が捕獲されたニュースは記憶に新しく、とても心配なところです。   日本の生態系を守るためにも、ペットは生涯飼い続けられるかどうか事前に十分検討するとともに、現在飼育している生き物を野外へ遺棄することがないようにお願いいいたします。 Tweet

DLT
  • 研究・調査

DLT

初めまして、4月に入社した霜鳥です。 早いもので入社から半年以上が経ち、すっかり肌寒い季節になりました。     さて、いきなりクイズですが、11月1日は何の日でしょう?   正解は、「計量記念日」です!   1993年の11月1日に、現行の計量法という法律が施行されたことから、経済産業省によって定められているそうです。     今日は水族館での「計量」のお話をお届けします。   今回のお話の主役となる生き物は、当館でもその大きさで圧倒的存在感を放つメコンオオナマズ! そのメコンオオナマズの全長(吻端から尾びれ先端までの長さ)測定について、ご紹介します。     どのような方法で測定しているかというと、DLT(Direct Linear Transformation)法という、ちょっと特殊な方法です。   2台のカメラを使ってメコンオオナマズを撮影し、その映像から、3次元座標におけるメコンオオナマズの吻端と尾びれの先端の位置を推定し、その距離を求めます。 う~ん、なんだか専門的で難しそうですね…。   そんなことしなくても、直接メジャーでも使って測ればいいじゃないか!と言われてしまいそうですが、実はそれ、水族館ではかなり難しいお話。 多くの魚は臆病で、人や見慣れないものが近づくと逃げます。 また、無理やり捕まえると驚いて暴れてしまうことがあります。 あの大きなメコンオオナマズが大暴れすると…、想像しただけで恐ろしいですね。 麻酔などを使う方法もリスクがあり、魚への負担を減らすためには避けたいところです。 DLT法を使うことで魚に直接触らずに済むので、生きている魚にとって優しい測定が可能になるのです。 当館では2016年にも同じ方法で計測を行い、当時一番大きい個体が169.2 cmでした。 果たして6年間でどれだけ成長したのでしょうか。     測定した日は2022年8月31日。 近畿大学農学部水産学科漁業生産システム研究室の皆さまに教わりながら、今回私も撮影と解析に挑戦してみました。     こちらが実際の撮影風景です。 2台のカメラを設置し、撮影スタート!(当館のカメラと近畿大学のカメラがあるので4台になっています。)   まずは3次元座標の基準となる一辺90 cmのキャリブレーションフレームを水槽内に沈めます。 ちなみに潜水しているのは当館の館長です。 キャリブレーションフレームの基準点(角にあるオレンジの丸)がすべてカメラに映るようにしたら引き揚げます。   あとはそのまま水槽内のメコンオオナマズを撮影するのみ。 あとから見返した際に分かりやすいよう、横切った個体の識別番号を示していきます。     撮影は終了し、ここからが解析。 苦手なパソコン作業です…。   まずはキャリブレーションフレームの画像を左右それぞれのカメラ映像から抜き出し、各基準点同士の実際の長さをあてはめ、補正を行います。 解析の精度を高めるために誤差をなるべく小さくするのですが、これがなかなか難しくて時間のかかる作業で、私は3時間ほど苦戦しました…。     この作業が済んだら、これを基準にメコンオオナマズの画像解析が出来るようになります。 メコンオオナマズが体をまっすぐにして泳いでいる瞬間を探し、1秒間の映像を30枚の画像に分けて抜き出します。 そして各画像の吻端と尾鰭の先端を指定していくと…。   出ました!結果は340 cm!!   …いやいや。そんなはずはない。いくら何でも成長しすぎだし、最大で3 m程度と言われているメコンオオナマズのそんなギネス級の記録……。   落ち着いて見返してみると、左右のカメラから抜き出した画像を解析ソフトに入れるときに、左と右を逆にして取り込んでいたようです。 まさかのヒューマンエラー。 今後カメラの左右は絶対に間違えないように、本体に「左」「右」を明記しておこう。と先輩と固く誓ったのでした。     そんなトラブルも乗り越えつつ、現在解析を進めています。 飼育作業の合間をぬっての慣れない作業ですので時間がかかっておりますが、詳しい結果が出たら皆さまにお伝えしたいと思います。 皆さまは当館のメコンオオナマズ、どれくらいの大きさがあると思いますか? ぜひ直接ご覧いただき、想像していただけたら嬉しいです。     Tweet

アクアマイスターになろう! 10月の活動
  • イベント

アクアマイスターになろう! 10月の活動

皆さまこんにちは。 体験学習班の河合です。   10月の活動内容は、「川漁師になろう!」でした。   長良川で漁業を営む若手の川漁師・平工顕太朗さんを特別講師としてお招きし、長良川中流域で実施しました。 実施場所は、平工さんがふだん実際に漁をしている漁場の近くで、漁で使用している和船に乗って登場していただきました。   到着するなり平工さんが見せてくれたのは、ニホンスッポンとモクズガニ。子どもたちを喜ばせようと事前に準備してくださっていました。   これを見るやいなや参加した子どもたちのテンションは、急上昇! 興奮状態で生き物にまっしぐら、恐れることなく「すげー」「かわいい」と言いながら触れていました。 これらも漁の対象にしている生き物であることや、モクズガニが旬の食材であることを平工さんから教えていただきました。   平工さんの自己紹介を終え、ここからが川漁師になるための体験です。   魚を捕るために必要なことは「魚を見つけること」、そして「魚がとれる距離に近づくこと」だそうです。 まずは、この基本を身につける練習からです。   柄が短い小さな網や短い竹竿を使って足元にいるヨシノボリの仲間を捕獲することから始めました。 道具は、事前に平工さんと打合せをしてスタッフが自作したもので、どちらも魚の動きをよく見て、魚にそっと近づかないと捕ることができない仕様です。 基本の力を付けるにはちょうど良い道具です。     最初は網の体験から ヨシノボリを見つけたら、上からそっと網をかぶせ、手首を返して捕まえます。 魚を見つけることはすぐにできるようになりましたが、魚が逃げないように近づくことが難しかったようです。 手首を返すのも難しかったみたいで捕獲できたのは1人だけでした。     網の次は、竹竿での体験。竹竿から垂らした釣り針にミミズを付けて釣るだけです。 ヨシノボリの動きにも慣れてきたようで、こちらは参加者11名で、17匹捕獲できました。 上手な子は、一人で7匹も釣り上げました。 1匹も釣れない子もいましたが、簡単に捕れないことを知れたのも良い経験です。     体験中には、「見つけるのは簡単になったよ」「なんで逃げていくのよ~」「逃げないで、そのままじっとしててね」「場所によって水温がちがうね~」などいろんな声が聞けました。魚との駆け引きや川の性質を感覚的に学べたようです。     基本を練習した後は、乗船体験。 平工さんの漁場まで遊覧しながら移動しました。 子どもたちは、船上から見える景色も楽しんでいました。   漁場に着くと平工さんからアユの見つけ方やアユのいる場所、アユの動きなど生態や習性について詳しく教えていただきました。   そして、アユがいる瀬まで歩いて移動し、平工さんが投げ網を打つところも見せていただきました。 残念ながらアユは捕れませんでしたが、使用した網を持たせていただき、網を投げるタイミングやアユとの間合いのとり方、狙う魚の大きさと網目の大きさの関係など漁に関する話から、市場での値段の付け方や、流通システムについてなど漁で生計を立てている人ならではのリアルでおもしろい話を聞かせていただきました。       最後は、自由行動。 ヨシノボリ釣りや遊泳など、川でやりたかったことを体験してプログラムを終えました。 どれも貴重な経験になったのではないでしょうか。     水族館のプログラムでは、学問的に生き物を学ぶことが多くなりがちですが、今回は、漁師さんならではの視点から「自然の中での魚の生態」を学ばせていただきました。 旬の食材、値付け、流通など「人と魚の関わり」についてもお話しいただき、川の恵みを受けて生活していることを実感できたことと思います。   では     Tweet

用水路にいた青いメダカ
  • 企画展・特別展示
  • 日本の淡水魚
  • 研究・調査

用水路にいた青いメダカ

みなさま こんにちは。 現在、3階の「用水路の生き物」水槽の隣で青いメダカを展示しています。     青いメダカはペット用の改良品種で、観賞魚売り場に行くと、青いメダカの他にも、白いメダカや赤いメダカ、黒いメダカなど、いろいろと売られています。 家に水槽を置いて、それらのメダカを飼ってながめるのは私も好きです。     でも、そんなメダカを野外の川で見つけた時は、ぞっとしました。   去る2021年11月、岐阜県内の、とある用水路で生き物観察をしようかな。と水に入ったとたん、水面にいるたくさんの青いメダカを見つけました。 背側が青白く光る特徴を持つ「幹之メダカ」もいました。   初めて行く場所だったので、何がいるかなぁ~とわくわくしていたのにこれです…。残念でなりませんでした。     ここは、野生の生き物たちがくらす場所。ペット用のメダカがいるべき場所ではありません。 きっと、飼っている人が、(このメダカはいらないな)と思って、この場所に捨てたんだと思います。ざっと50匹以上はいました。       もし、ここに野生のミナミメダカがいたら…   ペット用メダカと野生のメダカは容易に繁殖するので、子孫を残す可能性があります。そうなると、遺伝子が撹乱され、この地域固有の遺伝子をもつ野生のミナミメダカはいなくなってしまいます。一度失われてしまうと、もう元には戻せません。     これまで、野生のメダカは開発による生息地の消失や、農薬や生活排水による水質汚濁、そして、国外外来種のオオクチバスやブルーギルに捕食され、また、カダヤシにすみかを奪われるなどして、大幅に数が減っています。     そして、またここにきて、ペット用メダカによる遺伝子の攪乱というあらたな脅威にさらされています。     飼っているメダカが増えすぎて飼えなくなったとしても、野外の川に捨てるのは絶対にやめましょう   青いメダカを見つけたこの用水路は、近所の人曰く、小学生もよく来て魚捕りを楽しんでいく場所だそうです。小学生には、その地域で世代を重ねてきた本物の地元の魚だけを捕らせてあげたいと心から思います。 川にペット用のメダカがいるのが当たりまえ、なんて事態にならないよう、自分にできることが何かを考えた結果が、青いメダカを展示することでした。   展示しているのは、今年の8月に同じ用水路で捕まえた個体です。   去年に続き、今年も青いメダカがたくさんいました。   ペット用メダカを川に放したらなぜダメなのか、しっかりとパネルで解説したつもりです。 ぜひ読んでいただけたらなと思います。 Tweet

16ページ(全154ページ)

本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

年間パスポート
のご案内